Special
モーニング娘。 『ブレインストーミング/君さえ要れば何も要らない』インタビュー
田中れいな モーニング娘。卒業インタビュー。
「私はこのモーニング娘。のメンバーだったんです」
道重さゆみと共に駆け抜けた10年間(卒業の真相、2人の出逢い、遅すぎたプラチナ期評価への想い、先に卒業した同期 亀井絵里や先輩 高橋愛&新垣里沙との関係、恩師 つんく♂への感謝、気になる後輩 鞘師里保、彼氏にしたい存在 道重さゆみ、道重が見てきた素顔の田中れいな、卒業後のモーニング娘。へのメッセージ等々)を語る。
やっとれいなと喋るようになって……ここ1,2年で(笑)
▲モーニング娘。 『ブレインストーミング』(Morning Musume。[Brainstorming])
--今日は2人にモーニング娘。10年分の想いを語ってもらいます。まず道重さん、田中れいな卒業を来月に控えた今の心境を教えてください。
道重さゆみ:今まで卒業していったメンバーは、最後のツアーのリハーサルから泣いていたりとか、当の本人が寂しそうな態度や表情を見せたりしていたんですけど、れいなの場合は楽しそうで(笑)。モーニング娘。を卒業してLoVendoЯ(ラベンダー)として活動していく。それを楽しみにしているれいながいるんで、隣にいて私も応援したいなっていう感じだったんです。
--とてもポジティブな卒業ですからね。
道重さゆみ:でも最近になって「そろそろ卒業か」って実感が湧いてきて、「ブレインストーミング」のミュージックビデオ撮影で「れいなにとって最後だね」って会話したり、れいなの地元 福岡でのコンサートのときに「あ、れいながモーニング娘。として福岡に来るのは最後か」って思ったりすると、ちょっと寂しさを感じたりもして。
--田中さんはどうですか? 卒業を控えた今の心境は。
田中れいな:こうやってインタビューの機会とかで「卒業どうですか?」って聞かれると、「あと1ヶ月か……」って思うんですけど、さゆがそんな風に感じていたことも感じ取れないぐらい、れいなって鈍感なんですよ。でも最後の福岡コンサートのときに、本編終わった後に「ありがとう」みたいな感じで挨拶することになったんですけど、いつも終演後はすぐ楽屋に戻って着替えるさゆが、ステージ袖で見てて。しかもそれをれいなにバレないように、挨拶が終わった途端に走っていったところまで見えたんですよ(笑)。
--健気ですね。
田中れいな:可愛いなと思って。ヒラっとスカートが見えたけん、バレバレだったんですけど。でもそうやって見てくれよったけん。最後だから見守ってくれとったちゃね。そういう瞬間とかに「最後か」って思う。でもやっぱり他の卒業メンバーとは違って、昨日もリリースイベントやったり、今日も池袋でイベントですけど、「もうすぐ卒業やけん、何かしよう」みたいな感じはあまりなく。だからインタビューでいつも申し訳ない気持ちになるんですよ。求められてるような答えができないというか……。
--「すみません、泣けなくて」的な(笑)。
道重さゆみ:ウケる(笑)。
--そもそもこのタイミングで卒業しようと思ったのは、何故なんですか?
田中れいな:過去にも「もうそろそろ卒業していいかな」って思うタイミングはあったんですけど、口には出さなかったんですよ。本気で思ってなかったのかもしれないんですけど、今思えば。でも今回はずっと悩んでてとかじゃなく、その日に思って、その日に言った、みたいな。考えが定まったけん、気分が変わらん内に言おうと思って。でも「卒業しても歌は辞めたくないんです」って話したら、つんく♂さんがいろいろ考えてくれて、今に至る。
--卒業を知ったときは、どう思いました?
道重さゆみ:やっとれいなと喋るようになって……ここ1,2年で(笑)。すごくたくさんプライベートの話もお互いにするし、お仕事の話とかも普通にするようになってて。その流れで、かしこまって「発表があるけん」っていうよりは、普通に「卒業」っていうワードがいつの間にか会話の中に出てくるようになってたんです。だから「そうか。そうやって進んでいってるのかぁ」「バンドのメンバー募集してるんだぁ」って納得しながら話を聞いていた感じ。なので、卒業を知ってこういう感情になりましたとか、そういうものがなくて。
--自然と心の準備はできていたと。
道重さゆみ:そうです! だからよかったなって思います。仲良くなれてて(笑)。前もって教えてもらってなかったら、相当衝撃だったと思います。
--ここ1,2年でやっと仲良くなったという事実の方が衝撃ですけどね。
道重さゆみ:仲悪かった訳じゃないんですけど(笑)。
--現在開催中の【モーニング娘。コンサートツアー2013春 ミチシゲ☆イレブンSOUL ~田中れいな卒業記念スペシャル~】は、どんな想いで臨んでいるの?
田中れいな:だからいつものツアーと変わらないんですよ。れいなも卒業を発表した後、どういう風に自分が変わるか想像していたんです。1公演1公演終わる度に涙したりとか、「もう終わっちゃった」って寂しくなるのかなって。でも実際には自分の想像を絶するというか、想定外というか、一番分かりやすく言うと、何も感じない……って言うと聞こえ方が悪いんで! なんて言ったらいいんですかね!?
一同:(爆笑)
田中れいな:良い意味で?
道重さゆみ:普段通りってこと?
田中れいな:そう、普段通り! 普段通り過ぎて自分でもビックリみたいな。「もっと感じるはずやったのに!」っていう想いがあって。で、それは何でか自分で考えたときに、卒業後もマイクを持って人前で歌えるところがあるからかなって思って。モーニング娘。卒業して、歌辞めて、演技だけとかになったとしたら、れいなの場合は絶対悲しいと思うんですよ。コンサート終わる度に「もうマイクを持つ回数は、あと少しだ」って。でも歌はこれからもやっていけるから、あんまり悲しくならないのかもしれない。ただ、最近、武道館の卒業公演のことを考えるんですけど、おそらく涙な方向に持っていかれると思うんですよ。
--卒業セレモニーもありますからね。
田中れいな:だから泣くんじゃないかと思うんですけど、でもそれは自分が悲しいとかじゃなくて。ファンの人がうわぁ~って泣きよる顔を見てとか、メンバーが溢れる感情を抑えながらメッセージしてる顔を見てとか、今までのことが走馬燈のように頭に流れてとか、そういうのがあるとちょっと弱いんで。自分的には泣きたくないんですけど、まぁでもそのときに感じたことを伝えようって思ってます。
--せっかくなので、その卒業公演に至るまでのストーリーを振り返りたいんですが、今から約10年前に2人は亀井絵里と共に6期メンバーとしてモーニング娘。へ加入します。お互いの最初の印象はどんな感じだったんでしょう?
道重さゆみ:すごく大人っぽいと思いました。オーディション会場で会ったんですけど、年上なんだと思い込んでいて。すごくオシャレだし、髪も染めてたし、ブーツも底が高いし、山口県では見たことがないタイプで「格好良いぃぃ~!」って思ってて。でも年齢を聞かれて「中学1年生です」って答えたら、「一緒やん!」みたいな。「一緒!?」って思って(笑)。同じ歳って知ってからも、さゆみは敬語で、れいなはタメ口だったんですけど。でもオーディションの最後に合宿をやったとき、大人っぽいけど、喋ってみたら同じ歳というか、一緒にワイワイできるなって分かってからは……しかも「敬語じゃなくていいよ」ってお許しがあったので。
--(笑)
道重さゆみ:そこからは普通にタメ口で楽しくやってましたね。
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ブレインストーミング/君さえ要れば何も要らない
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さゆが彼氏やったら最高だなって
田中れいな:れいなは同じ歳って聞いて「おっ! 喋れそうな子、見っけ」って思って。全然タイプは違ったんですけど、同じ地方組だったから集合場所とかがいつも一緒だったんですよ。親も一緒におるし、お互い「どうやった?」みたいな話が聞けるというか。で、れいなは「絶対に(亀井)絵里は合格する」って思ってて、最初から。都会の子で、超可愛いし、絶対入るだろうなって。だから仲良くしておこうと思っていたんですけど、さゆは……
道重さゆみ:受かると思ってなかったんでしょ(笑)?
田中れいな:結局はふたりとも受かったんですけど。その後、土日だけ東京に通ってたんで、同じホテルに泊まってたんですけど、レッスンが終わった夜にレストランでご飯を食べてたんです、お互いの家族4人で。そのときにれいながホームシックで。パパとも離れなきゃいけないし、地元離れなきゃいけなかったから、全然食欲もなくて泣いてたんですよ。でもさゆはあっけらかんとしてて「悲しくないと?」って聞いても、「全然悲しくない!嬉しい!」みたいな。自分はこんなに悩んでるのに、何も感じてなさそうに見えたけん、「やっぱりちょっとアホなのかな?」って思って。
一同:(爆笑)
田中れいな:合宿のときもインタビュアーに聞かれたことじゃない返事をしていたり、おかしいことばかり言っていたので、きっと考え方が違う子なんだと理解はしたんですけど。「あーあ……もうちょっと共感してほしかったな。この寂しさを」「楽しそうでいいな、ひとりだけ」って思っていた時期はありましたね(笑)。
▲モーニング娘。 『君さえ居れば何も要らない』(Morning Musume。[Don't want anything but you]) (MV))
--実際、そのときはどういう心境だったんですか?
道重さゆみ:私は「モーニング娘。に入れて嬉しい!」って思ってて。だから唐揚げとかアイスとか、すごい食べてたんですよ(笑)! れいなが泣いてても構わずすごい食べてて。でもれいなは本当に食べなかったんですよ。唐揚げとか大好きなはずなのに全然食べなくって。れいなって強気に見えるじゃないですか。当時も泣いたりしないイメージだったし、すごく強い子なのかなって思ってたんですけど、実際には友達や家族と離れることを悲しがるような娘だったんですよね。ただ、私はまだ子供だったんで「大丈夫?」とも言えず、「唐揚げ1個にしておこう」とかも思えず……
田中れいな:(笑)
道重さゆみ:れいなって意外とマイナス思考なところがあるんですよ。6期の3人で合宿したときも、藤本(美貴)さんが加入するってニュースでやってて、れいなが「あ、もうこの3人は落ちた」みたいなことを言って(笑)。ここで藤本さん加入を決めたってことは、合宿までやってみたけど良い娘がいなかったって判断されたんだと。さゆみは「あ、藤本さんと一緒に入れるんだ!楽しみ!」みたいな感じだったんですけど。まだ受かってもないのに!
--要するに田中さんは切実に考えてて、道重さんは楽観的だったと。
道重さゆみ:「いぇーい!東京にいる、私!」ぐらいな感じでした(笑)。「もしかしたらミキティにも会えんのかな!」って喜んでた。
--モーニング娘。は1期から11期に至るまで、それぞれに個性があると思うんですけど、6期はどんな世代だと感じていますか?
田中れいな:れいな的には、5期(高橋愛、新垣里沙、小川麻琴、紺野あさ美)のみんなは固まりすぎて怒られて、もっと散らばりなさい、個性を出しなさいって言われていた話をよく聞いてたんですけど、6期はそういうことで悩んだことが1回もなくて。個々に好きにやっていた。それでもコンサートの6期MCコーナーとかではすごく噛み合う。さゆえりはプライベートでも遊んでいたりしたんですけど、れいなは楽屋でもそんなに話してなくて。でもそんな3人がMCをやると「この前どこどこで何々がさ」って2人が盛り上がって、れいなが話に入れず……っていうので笑いが取れたんですよ。「え? 知らんし!」って言って成り立つみたいな。プライベートではメールもしないのに、仕事の場ではそうなるのは良い関係だなってずっと思ってました。
道重さゆみ:6期はひとりひとり自由なんですけど、集まったら最高の仲間になる。すごくやりやすいんですよね。先輩には気を遣わなきゃいけないし、後輩には気を配らなきゃいけないけど、同期はラクに自分のことも喋れるし、ツッコミも容赦なくできるじゃないですか。壁がない。あと、トークに関して言うと、話が上手いんですよね、みんな。しかも得意分野がちょっと違っていて……誰がどうとかの説明はちょっと難しいんですけど(笑)。だから6期が揃えば怖いものなしだと思ってました。
--その6期から2010年12月15日 亀井絵里が卒業してしまいました。当時の心境って覚えてますか?
田中れいな:卒業を知ったときは「早っ!」って思って。まだ先輩もおったし、絵里は本当に顔も可愛いし、人気もあるし、残った方がいいと思っていたんです。去っていく意味が分からなかったんですけど、理由を聞いて「そっか」と思って、受け止めて。ただ、さゆが一人では生きていけない娘だと思っていたので、絵里がいなくて大丈夫なのかなって心配しました。これから誰とどうやって過ごすのかと思いましたね。
--そこで「じゃあ、私が」とはならなかった?
田中れいな:ならなかった。
一同:(爆笑)
田中れいな:でも相当悲しかっただろうなって。
--実際どうだったんですか?
道重さゆみ:れいながそんな風に思ってくれてたんだ?って、今嬉しかったんですけど(笑)。結構前から絵里の卒業の話は聞いていて、れいなのときと一緒で徐々に理解して、納得して、覚悟していったので大丈夫だったんです。でもれいなが絵里の卒業コンサートで「6期の3人でモーニング娘。を引っ張っていきたい夢があったけど、それが崩れた」って泣きながら言っているのを見て、そのときに改めて「絵里にいてほしかったなぁ」とは思いましたね。でも結果的に今の形でちょうど良いバランスになったんですよ。さゆみとれいなって。そこに9期10期11期がいるっていう形がしっかりと完成したので、よかったなって思ってます。
--ちなみに2人にとって亀井絵里ってどんな存在だったんでしょう?
道重さゆみ:さゆみはすごく仲が良くって、お互いの家に泊まりに行ったり、オフでも一緒に遊びに行ったりしていたので、客観視するのは難しいんですけど……何でも言える仲ですね。でもこれはれいなに対してもそうで、黒い自分を見せられるんですよ。一緒にいて楽しいというのはもちろんあるけど、気兼ねなく思ったこととかも言える相手って、後にも先にも6期しかいないと思う。私、言いたいことがあるとすごく口が悪くなるんですけど(笑)、そういう姿って信頼できる人にしか見せられないじゃないですか。でも6期は何でも話せる仲が出来上がってるんです。
田中れいな:今思ったんですけど、さゆが彼氏やったら最高だなって。悪いところとかも全部見せ合ってるし、言いたいことも言い合えるし、聞き合えるし、何を見られても恥ずかしくないし(笑)、れいな、こういう彼氏がほしい。
道重さゆみ:ウケる!
田中れいな:10年ずっと一緒におったけん。そのうち8年間ぐらいはあんまり喋ってなかったとしても、ずっと一緒におったっていうのがあるけん、急激にここまで親しくなれたのかなって。
道重さゆみ:昔から友達だったけど、友達から恋人になったみたいな感じだね。出逢ってから10年、恋人歴は2年。
田中れいな:それって相当すごくないですか? お互いのこと、目には入っとった訳やけん、10年間ずっと。
--で、今、思ったんですよね。彼氏にしたいって。
田中れいな:今、思った。
一同:(笑)
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Interviewer:平賀哲雄
愛ちゃんとは言葉なくても通じ合えるって思ってました
田中れいな:この関係ってなかなか作れないじゃないですか。れいなだって機嫌が悪いときは、そのまま接するんで。でもそれはさゆが私を理解してくれている前提なんですよ。だから気疲れがない。れいな、気遣うのが大っ嫌いなんで、女友達ができないんです。女の子って「うん、いいよ」って言いながら、影で「ちょっと聞いてよ」みたいなイメージがあるけん、苦手なんですけど、さゆにはそういう女の子に対する気疲れみたいなのがなくて接することができる。あと、今、絵里のことを考えてたんですけど、れいなは何でもママに相談するタイプなんですよ。でも同じ現場の人に聞いてほしいトラブルがあって、誰にも言えなくて困っていたときに絵里が聞いてくれたんです。夜中に電話で寝てるところを起こしたにも関わらず、いろいろ話を聞いてくれて……っていうのが何回かありましたね。それでスッキリするみたいな。
--亀井さんってそういうエピソード、多いですよね。
道重さゆみ:そうですね。絵里って聞き上手でもあるし、アドバイスもしてくれるんですよ。あと、上っ面で「大丈夫だよ」とか言うんじゃなくて、「それ、ヤバイくない? さゆ、どうすんの?」って素直に本心で対応してくれる。
田中れいな:絵里は私たちの1コ上なので、ちょっとお姉ちゃんみたいなところがあって。それでれいなも「頼れる!」と思って電話したんだと思う。
--その6期の3人が頭角を表した、いわゆる世間で“プラチナ期”と呼ばれていた時代についても触れていきたいんですが、あの頃のモーニング娘。って今振り返るとどんなグループだったなと思いますか?
道重さゆみ:今になって「プラチナ期は凄い」とか言われるんですけど、当時はそんなこと全然言われてなくて! 今になってその時代のライブDVDを「凄い」って褒めてもらったりするから、こっちからすると不思議な感じです。そのときは普通にやってたのに、今になって褒められるんだ?って。でもストイックにはやっていた時期だと思います。ダンスをどう揃えるかとかは、今よりも時間をかけてやってましたね。「リゾナント ブルー」とかは特に。
田中れいな:れいなの場合は、石川(梨華)さんの踊りを見て「こういう風になりたいな」とか思っていた時期って、自分に向上心があるけん、1回1回のライブもすごく楽しかったんですよ。ただ、プラチナ期は「こうなりたい」って目指す明確な目標がなく、自分のレベルがずっと止まりっぱなしだと思っていて、常に向上していたいタイプとしては「どうしよう?」って悩んではいました。(高橋)愛ちゃんとツインボーカルになれたときは「やった!」って思ったんですけど、その形がずっと続くと、それが自分の中であたりまえになってしまう。だけん、れいな的には止まってました。
--ただ、外から見ていた自分としては、田中さんは高橋愛とリードボーカルを担うようになり、道重さんはバラエティ番組で活躍するようになり、亀井さんもパフォーマーとして目を引く存在になっていきました。ある意味、6期がグループ内に革命を起こしていた時期だと思っていたんですけど。
道重さゆみ:そうなんですか? すごくない? 嬉しいね!
田中れいな:凄いね! そのときに言ってほしかった。
一同:(笑)
--あと、6期にとって5期の存在は大きかったんだろうなとも思ってました。年齢の近い先輩として高橋愛と新垣里沙が存在していたというのは。そこで聞きたいんですけど、長らくモーニング娘。のリードボーカルをツインで務めてきた田中れいなと高橋愛。道重さんから見て2人の関係ってどう映っていたの?
道重さゆみ:お互いが認め合ってるんだろうなって。愛ちゃんからしたら「れいながいれば大丈夫」だし、れいなからしたら「愛ちゃんがいたら安心」だし、お互いに安心しきって歌える。で、さゆみは愛ちゃんの歌が本当に好きだったし、れいなの歌もすごく上手いなと思ってるんで、その2人がリードボーカルを取るグループにいられるって凄いなと思って、毎回ステージに立ってました。
田中れいな:さっき「あたりまえになってた」とは言ったんですけど、そういうことを思いつつも、愛ちゃんとはモーニング娘。だけじゃなくハロコン(ハロー!プロジェクト所属アイドルが一同に会す公演)でも一緒に歌うことが多くて。しかも難しい曲を任せられるんです。で、愛ちゃんは先輩やし、ずっと良いポジションにいるイメージがあったので、そういう人と並んで難しい曲を歌えてて「れいな、凄くない?」みたいな。後輩なのに同じ立ち位置にいられる嬉しさはありました。あと、歌い方のジャンルも声質も違うんですけど、ちゃんと混ざり合うなって思ってて。だから愛ちゃんとのユニゾンとか好きだったんです。ユニゾンをやれる機会は少なかったんですけど。高橋組、田中組みたいな感じで別れてたけん、そっちは愛ちゃんが支えて、こっちはれいなが支えるみたいな。でも一緒に歌うときは、さゆが言った通り、ちゃんと信頼できるというか、愛ちゃんとは言葉なくても通じ合えるって思ってましたね。
--では、田中れいなと新垣里沙の関係は?
道重さゆみ:そこ、聞きますか(笑)?
--お互い喋らなくなってから【リボーン~命のオーディション~】で和解するまでのストーリーは、れいなさんから詳しく聞いてはいるんですけど、2人と仲の良い道重さんにはどう映っていたのかなと。
道重さゆみ:さゆみも鈍感なんで。今は周り見たりもできるようになったんですけど、本当に自分が楽しければいいタイプだったし、自分はメンバー間で不自由なかったので、あんまり気にしてなかったんですよ。でも絵里とかが「ヤバくない?」って言い出して。絵里は周りを見れる娘なので。それで「たしかに会話してないかな?」って気付いたんですけど、れいなとさゆみもそんなに会話してなかったから、それとあんまり変わらないと思っていて。絵里が卒業したり、9期が入ってきてから、それとはまた別なのかなと気付きはしたんですけど、舞台【リボーン~命のオーディション~】ですごく喋るようになってたんで、最初から最後まで深くは気にしなかった……
--(笑)
田中れいな:その件に関しては、おそらく誰にも相談……あ、(光井)愛佳には話していたかも。【リボーン~命のオーディション~】は愛佳が療養することになって、その代役で出ることになったんですけど、ガキさんと9期っていう当時まだ壁を作っていたメンバーとの共演で。だから最初は全然喋れなかったですよ。でも9期が稽古中にやる気がみえなかったりとか、あまりにも……って感じで演出家さんが頭を抱え始めていて。それで悩んで悩んで、ずっと話していなかったガキさんと「9期に言って下さい、このままじゃダメだと思います」「そうだね」って会話をするようになったんです。ただ、9期があまりにも分かってなさ過ぎて、ガキさんが泣き始めちゃって。で、このままだと子供にナメられると思って、れいなが9期に怒鳴って逆に泣かせたんですけど(笑)。そしたら向こうから「ありがとね」って言ってくれて、それから普通に話すようになったんですよね。で、ガキさんの卒業公演で「ガキさんとはギクシャクした時期もありました」って話して笑いが起きるっていう。
道重さゆみ:よかったね、【リボーン】があって。
田中れいな:そう!【リボーン】のおかげ。
--それにしても田中れいなは先輩キラーでしたよね。先輩がそこにいればいるほど燃えるっていう。
田中れいな:そうかも!「これでいい」って思ったらいろんなところが緩んでくるんですよ。気も引き締まらないし、「これぐらいでやっておけば、楽勝やろ」って思っちゃう自分がいる。でも先輩がいると、悩むことは多くなると思うけど、向上心が出てくるし、それが楽しかったんですよね。
--で、先輩いなくなったら卒業するって格好良すぎませんか(笑)?
道重さゆみ:れいなってモチベーションの持ち方が凄いなって思います。あと、Mなのかな? 厳しい状況が好きそう。今ってもうモーニング娘。がれいなに頼ってる感じじゃないですか。歌の面でもライブの面でも。でもそれだと、れいなにとって刺激ないじゃないですか。だからもっともっと上を目指す為に新しい道へ行くんだなって思います。
田中れいな:Mかも、れいな。今、めっちゃ忙しくて毎日慌ただしいんですけど、でも「やりたくない」って思ったことはないんです。とりあえず言いたいことだけは言わせてほしいっていう(笑)。あと、れいなは暇すぎると死にたくなるんですよ!「自分に生きる意味がなくなってきた、仕事したい」って思っちゃう。
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私はこのモーニング娘。のメンバーだったんです
--完全にワーカホリックですね(笑)。
田中れいな:それかも!
道重さゆみ:本当だね。常に刺激を求めてるもんね。だからプラチナ期はさ、物足りなく感じちゃってたんじゃない?
田中れいな:あのとき、ヒマだったんだよね。
道重さゆみ:今日とかシングルの発売日でリリースイベントあるけど、当時はなかったもんね。「発売日なのに休み!?」みたいな。
--よくひっくり返しましたよね。その状況からここまで。
道重さゆみ:さゆみたちのモチベーションは何も変わってない。あの頃から頑張りたかったしさ、あの頃からもっと売れたかったしさ。だから今の状況は嬉しい。
--田中れいなと後輩たちの関係についても聞いていきたいんですが、9期10期11期。意外と言ったら失礼かもしれませんが、比較的早く打ち解けましたよね。
田中れいな:10期がすごく来るけん。佐藤(優樹)を筆頭に。
道重さゆみ:佐藤がれいなのこと、お気に入りすぎて(笑)。
--まーちゃん(佐藤優樹)が田中さんに懐いて、それで他の後輩たちも話し掛けやすくなったエピソードは有名ですけど、そもそも頼られたら可愛がっちゃう姐御肌の素養はありましたよね? 田中さんって。
道重さゆみ:あります、あります。れいなの方が全然そういうところはあると思う。
田中れいな:来る者を拒まないんで、れいな。慕ってくれたら可愛がりたいし。最近、鞘師(里保)がれいなのことをよく見てるって発言してて。「卒業する前にいろいろ盗みたいです」みたいな感じで。だけん、れいな、鞘師には言ってないけど、鞘師のことめっちゃ見てますから。今、可愛がってあげたいナンバーワン。頼ってくれてるし、慕ってくれてる感じがするし、パッと見たら目が合ったりするけん、「今、絶対見よったよね? れいなのこと」みたいな。
--可愛いですね(笑)。
田中れいな:だから可愛がってあげたいなって思うけど、鞘師は甘え下手だから来ないんですよ。れいなにも、さゆにも。かと言って「おいでー」とか言うタイプじゃないけん、距離感はあるんですけど、れいなの心は向いてます。
--そんな田中さんにとってモーニング娘。卒業シングルとなる『ブレインストーミング/君さえ居れば何も要らない』。史上最高に“格好良いモーニング娘。”を目指したような今作を田中れいな卒業に当ててくるのは、粋(いき)だなと感じたんですけど、自身ではどんな印象を持たれました?
田中れいな:自分では『Help me!!』が卒業シングルだと思っていたんですよ。それで「次出る」って聞いて、「え?『Help me!!』超格好良いから、これでいいのに!」って思って(笑)。すごく好きやけん、衣装もファンのみんなに「ザ・れいなだね。豹柄だし」って言ってもらえていたから。それで「どうしよう? 次が卒業っぽい曲やったら。格好良いのにしてぇ~」って思っていたら、両A面でどちらもすごく格好良いじゃないですか。
--しかもカップリングには、田中れいなのソロナンバー「Rockの定義」が入っています。
田中れいな:そうなんですよ! この曲はまず曲調が「好きだ!」って一発で思って、これをモーニング娘。の最後に歌えるのがすごく嬉しくて。あと、歌詞を読むと「つんく♂さんってれいなのこと、ずっと見ててくれていたんだな」ってすごく分かるというか。ずっとれいなのことを持ち上げようとしてくれていたんだなって。だから、今、ライブで歌っててもスウィッチが入る。れいなは「シャボン玉」と「リゾナント ブルー」でもスウィッチが入るんですけど、それと同じ感じで曲の中に入れるんですよね。「田中れいなの心の内は、本当はこうなんだよ」って体でも表現できる曲だなって思います。
--その今作が田中れいな在籍時最後のシングルになります。そこで聞きたいんですが、道重さんの目には、田中れいなってどんなメンバーとして映っていましたか?
道重さゆみ:れいながいると空気がれいなになるんですよ。れいなが笑うとみんなが嬉しくなるし、れいなが怒ってると「しっかりしなくちゃ」ってみんな背筋が伸びる。グループの空気をいつも変えてくれてた。
--では、共に10年間歩いてきた仲間としては?
道重さゆみ:10年間ずっと同期として一緒にいて、同じ歳で。平成元年生まれってハロー!プロジェクト全体で見ても私とれいなしかいなくって。そんな2人が、見た目も性格も正反対なんですけど、同じグループでずっとやってきた。6期の中で最初に辞めそうなメンバーだったと思うんですよ、さゆみとれいなって。絵里が一番正統派で、優しいし、後輩の面倒見もいいから最後まで残っていくんだろうなって思っていたんですけど、気付いたらこの2人が残ってて(笑)。想像つかなかったですからね。オーディション会場で出逢ったときに、まさかこの2人が10年間も一緒にメンバーでいられるとは思ってなかったし、その相手がれいなでよかったなって思います。
--田中さんにとって、道重さゆみはどんな存在でした?
田中れいな:最初の方は全然喋ってなかったけん、ハッキリ言って居ても居なくてもどっちでも良かったんですけど。
一同:(爆笑)
田中れいな:ここ最近、ドラマ『数学□女子学園』(□=ハート)からよく一緒に喋るようになったんですけど、それ以降、さゆと一緒にいる時に笑うことが増えたんですよ。仕事に行く楽しみが増えたんです。こんなに笑い合えるなら、もっと早く喋っておけばよかったって思うぐらい(笑)。今、いつも横におるけん、自分が感じたことをすぐに言える相手はさゆだし。あと、同じ話になるんですけど、絵里が残ると思いきやこの2人が残って、絵里がいなかったら6期MCは成立しないって思っていたんですけど、2人になったらなったで「今日は喋れる気分じゃないな」と思ったときはさゆがよく喋ってくれたり、「さゆ、今日は調子悪いな」ってときはれいなが喋りたい気分になったり、良い感じにそれが……混ざり合う?
道重さゆみ:バランスが良いよね。
田中れいな:ほら、今みたいに助けてくれるでしょ? だから最後まで一緒にいてくれたメンバーがさゆで良かったって思います。
--名コンビだったと思いますよ、ふたりはずっと。
道重さゆみ:いぇーい!
田中れいな:(笑)
--では、最後に。田中れいなにとってのモーニング娘。は、どんな存在でしたか?
田中れいな:モーニング娘。は……本当に入って良かったです。それは今、自分がLoVendoЯとしても活動しよるけん、思えることでもあるけど、モーニング娘。ってれいなが入る前から有名だったから、あたりまえのようにテレビに出れて、こうやって取材も受けれて、ラジオもできてっていう環境があって。下積み時代の辛い思い出とかはないんですよ、合宿ぐらいしか。そういう面ではちょっと甘やかされてきたかなって、最近気付いて。モーニング娘。は名前が売れとるけん、普通にイベントできたりするけど、それはあたりまえじゃないって9期10期11期にもすごく伝えたい。ホールでコンサートができる有り難さとか、平日のイベントですら大勢のファンの方が集まってくれる有り難さを。うーん、話がまとまらないんですけど……。
--伝えたいこと、全部言って下さい。
田中れいな:ただ、れいなはそういうグループに何も知らずに13歳で入ってきて、いきなり大人数のお客さんの前でライブをやったりして鍛えられた部分もいっぱいあると思うんですよ。だけん、本当にモーニング娘。に入れて良かったし、どんな存在かって言ったら一言では表せないんですけど……歌が改めて大好きだと思わせてくれたのもモーニング娘。やし、歌は子供の頃から好きやったけど、好きだけじゃ言い表せないいろんなものを手に入れることができた。だから本当……れいなにとっては大切だし、ずっと在ってほしいです。卒業後もモーニング娘。が。そしたられいなもずっと言える。「私はこのモーニング娘。のメンバーだったんです」って。
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Disc01
- 01.ブレインストーミング
- 02.君さえ居れば何も要らない
- 03.A B C D E-cha E-chaしたい
- 04.ブレインストーミング (Instrumental)
- 05.君さえ居れば何も要らない (Instrumental)
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