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<インタビュー>“クラシックファン”甲斐翔真が語る、自身初のオーケストラコンサートへの想い



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 2020年に『デスノート THE MUSICAL』で初舞台にして初主演を務めた甲斐翔真。 その後、『RENT』『マリー・アントワネット』『ロミオ&ジュリエット』『エリザベート』『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』など数々のグランドミュージカルに主要キャストで出演。 ミュージカルの最前線で輝くミュージカルスターとなった。 飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍を続け、趣味はクラシック鑑賞という甲斐が、ビルボードクラシックスで初めてのオーケストラコンサートに挑戦する。
(Interview,Text & Photo:岩村美佳)


オーケストラとの共演は格別

── 2020年の初舞台から4年間、休むことなくミュージカルでの活躍が続いていますが、お気持ちはいかがですか?

甲斐翔真:不思議なことに、初舞台の『デスノート THE MUSICAL』からマインドがずっと変わらないんです。「楽しむ」ということです。1曲目が終わって舞台袖にハケた時に、 初日から「楽しい~!」と言いながら次のシーンの着替えをしていました。共演の横田栄司さんに「お前は大したタマだな。大物になるよ」って言われて、「いや、そんなことないですよ」と言いました。


── 横田さんのお言葉通り、今のミュージカルを代表するおひとりになられたと思います。

甲斐:今の自分の状態が、ミュージカルに向いているんだとは思います。もちろん緊張はしますが、やっぱり初日が楽しいですね。 お客様と迎える本番で完成するんだと思うんです。お客さまに直接感動していただいて、本当に心が動いた結果の拍手が伝わってくる。そういう生のやり取りみたいところも楽しいんですよね。


── オーケストラコンサート開催が決まってどんな思いですか?

甲斐:まずは、オーケストラ自体が好きなんですよ。ミュージカルやジブリでオーケストラに触れてきて、ここ数年クラシックのコンサートにも自分で行くようになって、 いつかこの大きなオーケストラを背負ってコンサートをできるようになったらいいなと思っていたら、ありがたいことに思ったよりも早く機会に恵まれました。 ただただ楽しみですし、本当のことを言うと、歌いたくないんです。セットリストを勝手に決めて、僕が聴きたい演奏を、ただコンサートとしてやりたいんですが、残念ながら歌わないといけないので(笑)。



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── ミュージカルでオーケストラピットが前にあるのと、ご自身の後ろに背負うのとでは、きっと聴こえ方が違うでしょうね。

甲斐:クラシックファンとしてはすごいことですよ。あの距離でオーケストラを聴けるわけですから。 ただ、オーケストラファンとしての顔と、俳優、歌手としての顔を同時にやらないといけないので、変な感じですよね。


── オーケストラの魅力について、ぜひ甲斐さんの言葉でお聞かせいただけますか?

甲斐:今回は僕が歌わないといけないので、スピーカーなどもついてしまうのですが、あれだけ大きなホールの中で、本当はホールの反響を使って、生音で音楽を紡いでいきます。 クラシックは新曲がないじゃないですか。数あるいろんな人たちが演奏してきた曲でも、その場所や人や国や指揮者によって、何もかもが違ってくる面白さや、スピーカーを通さない生感がいいんですよね。 まさに、今出ているその音を聴く、そこが魅力的だと思いますし、自然界の音ではないですが、人間ってここまで美しい音を作り出せるんだというすごさも魅力ですね。


── オーケストラの魅力に初めて気づいたのは、どんな瞬間でしたか?

甲斐:ミュージカルの舞台で、奈落にオーケストラピットの皆さまがいらっしゃるのを聴いた時に、「うわ、なんてすごいんだ」という初めての感覚になりました。 もともとアーティストのライブに行くのは好きで、生で聴くということは好きだったんですが、楽器、オーケストラというものがこんなに素晴らしいんだと気づいたのは、初ミュージカルの『デスノート THE MUSICAL』の時です。 生まれて初めて間近にオーケストラサウンドを聴いた時に、「こんなすごい世界があるんだな」と気づき、そこからいろんなクラシックの曲を調べていたら、ラフマニノフに出会いました。 すごく美しい曲で、交響曲第二番第三楽章のアダージョです。そこからハマっていき、今沼にいるという感じです。


── きっと甲斐さんにとっての大切な、大きな趣味なんでしょうね。

甲斐:打ち合わせでも、普通にクラシック談義をしていましたね。


── 沼にいる目線で、構成などを考えているんですね。

甲斐:オーケストラという大きな規模のもとで歌を歌えること、ミュージカルの曲を歌えることは格別です。 あの曲をオーケストラで聴けるのかと喜んでくださると思います。オーケストラのアレンジではないものを、オーケストラ用に編曲してお届けすることも考えています。



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「ザ・オーケストラ」を意識したコンサート

── 選曲は当日までのお楽しみということですが、どういう風に選んでいますか?

甲斐:まずは僕が初オーケストラコンサートということで、お客さまも分かりやすい、ザ・オーケストラを考えています。 オーケストラのすごさが分かりやすいような曲を、最初に皆さまにお聴かせしたいなと思っています。その後はいろんな意味でただ楽しんでもらえれば。空気感の流れみたいなところは意識しつつ選曲しています。


── ご自身の出演作品ではないものも入ってくるんですか?

甲斐:はい。せっかくのオーケストラなので、出演作には縛られずに。初めて歌う曲もあります。 今から練習しないといけない曲もあります。どんな曲だろうと、想像しながら楽しんでいただければ。コンサートによっては先にセットリストを出すじゃないですか。僕はそれがあまり好きじゃないんです。 観るときもやるときも、その場のサプライズ感というのが大事じゃないですか。 セットリストが分かっていたら、イントロがかかっても「わ~っ!」とならないじゃないですか。最初から心の準備ができてしまう。それを防ぎたくて、今回はサプライズを大事にしています。


── 逆に、フルオケに慣れていらっしゃる方には、どんなサプライズを?

甲斐:皆さんミュージカルの曲には慣れていないと思うんです。 クラシックの方からしても、ミュージカルの曲はすごく特殊らしくて、 そこの面白さみたいなものもあると思いますし、やっぱり誰もが知るミュージカルのあの名曲をオーケストラで聴けるというところにおいては、感動もあると思いますし、目新しいコンサートになると思います。


── ミュージカルの曲に出会ってほしい、というところですか?

甲斐:本来は逆ですよね。結局、新しいものはクラシックの応用なので、勝てないんですよ。例えばミュージカルにリプライズがありますよね。 同じメロディを繰り返すとか、そのメロディに似たものをまた持ってくるとか、そういう手法みたいなところがミュージカルにも多用されています。もしも、クラシックオタクの方がいらっしゃったら、そこまで深く観ないでくださいとお伝えしたかも(笑)。 でも、ミュージカルの面白さや音の作り方、構成みたいなところを聞いていただけたらと思います。ただただ音を楽しんでいただきたいと思って作っていますので。日本のミュージカルでも、生オケじゃなくて、録音音源で上演しているミュージカルも多いですが、そういう曲を生オケで演奏することを、今回は考えています。ミュージカルファンの方々は「生でこれを聴けるんだ」という曲もあると思います。


── バラエティに富んでいるミュージカルの楽曲で構成されているんですね。

甲斐:オーケストラに合った演出から始めようかなと思っていて、そう来たか、というのもあります。 一幕の始まり方と二幕の始まり方にまたギャップがあって、それもまた面白いと思います。


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── 豪華な4名のゲストがご出演されますね。

甲斐:この方だったらきっと素敵に歌ってくださるだろう、というイメージでお声がけさせていただきました。 本当におこがましいですが、僕が楽しく一緒にやれるなという皆さんで、スターの方々です。女性ゲストのおふたりとは共演していますが、 男性ゲストのおふたりとは舞台での共演経験はないので、夢の競演になるのかなと。ようやくデュエットが叶う曲も、なるほどと思っていただける曲も、やっぱり歌うんだと思われる曲もあると思います。


── 大好きなオーケストラとの共演にプレッシャーはありますか?

甲斐:もちろん緊張はありますが、やりたいと言ってできることでもないですから、楽しみ以外の何者でもないというか。オーケストラのリハーサルから行きたいくらいです。


── お話を伺ったり、ご活躍を拝見していると、甲斐さんは基本プレッシャーが大きいことを楽しまれる資質をお持ちなのかなと。

甲斐:そうかもしれません。楽しんだもの勝ちみたいなところはあります。ある意味自分を鼓舞させて楽しめるところまでいっているところはありますし、緊張する場面もあります。 人には無敵ゾーンみたいな瞬間があるじゃないですか。「何をやっても絶対行ける」みたいな。そこに自分が入れるような努力は、稽古でします。


── どんな稽古をするんですか?

甲斐:すべてのことを把握することです。そうすれば何も怖くないじゃないですか。例えば相手の台詞が飛んだらどうつなげられるかとか、そこまで張り巡らしてしまえば、何も怖くないというか。 自分の台詞が飛んだら、このシーンで何を言えばつながるかとかも考えておけば、飛ばないんですよ。それくらいやっておけば、ゾーンに入れるというか。


── でも、考えてしまうほうなんですね。

甲斐:そうなんです。だからそれがより楽しめることに、うまいことなっているんじゃないでしょうか。緊張するというのは、何かが怖いからじゃないですか。もちろんその心もすごく分かるし、僕もなるんです。 でも、ゾーンに入った途端に何も怖くなくなるのが分かっているから、何て言ったらいいんでしょう……やっぱり楽しむためにはゾーンに入るんです。ゾーンに入るから楽しいのではなく、楽しみたいからゾーンに入る。


── そうすると、本番がより楽しいですね。

甲斐:やっぱり本番で完成しますね。ぜひ当日お会いしましょう!



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