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NPG来日&プリンス楽曲ストリーミング解禁記念!思い出のプリンス・ソングをプレイバック
ザ・ニュー・パワー・ジェネレーション(NPG)の来日公演が迫る中、2017年2月に開催されたグラミー賞と同じタイミングでプリンス楽曲がストリーミング配信解禁となった。NPGのプリンス・トリビュート公演と楽曲解禁を記念して、故プリンスを慕うアーティスト、西寺郷太、沼澤尚、そして音楽ライターの内本順一、bmr編集長の丸屋九兵衛にインタビューし、プリンスのプレイリストを作成。それぞれの楽曲についてのコメントや思い出についても語ってくれた。世界的大スター=プリンスの突然の訃報からもうすぐ1年。ビルボードライブで開催されるNPGのプリンス・トリビュート公演ではどの曲が披露されるのだろうか。命日(4月21日)を前にここでもう一度プリンスの思い出を楽曲と共にプレイバックしてみよう。
思い出のプリンス・ソングをプレイバック(前半)
西寺郷太(NONA REEVES)が選ぶプリンス3曲
NONA REEVESのシンガー、メイン・ソングライターであり、バンド以外でも作詞・作曲家、歌手、編曲家、音楽プロデューサー、小説家、脚本家、MCとして活動する。2015年9月には、ミュージシャンの視点からプリンスの軌跡を追った『プリンス論』を執筆。2017年3月8日にはノーナ・リーヴスの20周年記念ベスト・アルバム『POP'N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES』をリリースした。
選曲のテーマは「ザ・ニュー・パワー・ジェネレーション tribute to プリンス公演で聴きたいプリンス曲」。
01. GROOVY POTENTIAL - 『Hitnrun Phase Two』
チョイスした三曲はいずれもプリンスの“遺作”となった『ヒット・アンド・ラン フェーズ・ツー』から。今回来日するサックス奏者、エイドリアン・クラッチフィールドがフルートも吹いたメロウ・グルーヴ。最高。
02. LOOK AT ME, LOOK AT U - 『Hitnrun Phase Two』
プリンスの正規リリース作品で、データ的に生前最後に完成していたことがわかるのがジャズ・タッチのこの名曲。来日するサックス奏者のマーカス・アンダーソンがホーン・アレンジの他、フルートも担当。個人的にプリンスのフェイバリット・ソング、生涯トップ5に入る。
03. STARE - 『Hitnrun Phase Two』
来日メンバー、トランペットのリン・グリセットがホーン・アレンジ。プリンスはホーン奏者ひとりのみに比重を置くことなく、それぞれに大役を任せることである種の競争意識を持たせたのだろうか。
ザ・ニュー・パワー・ジェネレーション tribute to プリンス公演に向けてのコメント
プリンスのファンならご存知の通り、「ザ・ニュー・パワー・ジェネレーション(NPG)」という栄光のバンド・ネームは、「ザ・レヴォリューション」とともに彼のキャリアに欠かせない、大きな意味を持つ。
「第二のスティーヴィー・ワンダー」というキャッチフレーズで10代にしてワーナーとの大型契約を獲得したマルチ・インストゥルメンタリストのプリンス。初期のトレードマークは、自在にあらゆる楽器を操る彼自身によるひとり多重録音だった。しかし次第にライヴ・パフォーマンスを重視し始めたプリンスは、バック・バンドをリズムマシンやシンセ・プログラミングを多用し、ジャズ的なアプローチも取り入れたチーム「ザ・レヴォリューション」へと発展させてゆく。
1986年9月の横浜スタジアムでの公演を最後に「ザ・レヴォリューション」を突然解散させたプリンスは翌年ソロ名義で《サイン・オブ・ザ・タイムス》をリリース。1988年発表の《ラヴセクシー》のオープニング・トラックで、「ニュー・パワー・ジェネレーションにようこそ」と初めてメッセージを発した。
90年代に突入してしばらくの間、活動はその「予言」に基づいて新たに結成された大所帯の「NPG」を率いて行われた。ニュー・ウェイヴ的なコンセプトに基づいた「ザ・レヴォリューション」との最大の違いは、マイケルBによるブっとい生ドラム、そしてホーン・セクションを多用した「生演奏」のファンク・グルーヴを武器にしたことだろう。
プリンスの「遺作」となった2016年の《ヒット・アンド・ラン フェーズ・ツー》では、久々に「プロデュース、編曲、作詞作曲と演奏がプリンス&ザ・ニュー・パワー・ジェネレーション」とクレジットされていた。この時、新たなるバンド名でなく、わざわざ「NPG」と名乗った理由を今も僕は探している。2010年代半ば、何度目かの黄金期を迎えようとしていたプリンスにとって、真の意味で究極のメンバーという意気込みの現れだったのだろうか。
たしかに今回の来日メンバーは往年の、僕らがよく知る「90年代のNPG」ではない…。だが、遺作でプリンスが「これが"The NPG”」と名乗らせたメンバーがほとんどという意味では、「殿下が選んだ真のNPG」という見方もできる。僕は主なき今、近年のプリンス・サウンドを支えたメンバーによる来日公演を寂しくもフレッシュな意味で楽しみにしている。
沼澤尚(ドラマー)が選ぶプリンス3曲
ドラマーとして、様々なアーティストのレコーディング、ライブサポートを行う傍ら、自身の参加するバンドでも精力的に活動し、年間でライブを多くこなす。2000年まではLAに在住。チャカ・カーン、ボビー・ウーマック、LA ALL STARS、シーラ・E、ネッド・ドヒニーなどのツアー参加をはじめ数々のアーティストと共演しながら、13CATSとして活動。1999年には自身のアルバム『THE WINGS OF TIME』をリリース。翌2000年に、1997年から参加したシアターブルックとしての活動に専念するために17年ぶりに日本に帰国。以降、拠点を日本国内に移して活動を始め、数多くのアーティストのレコーディングやライブに参加している。
01. SEXY DANCER - 『Prince』
1979年毎週末朝まで遊んでいた六本木のXANADUのフロアで初めて体感した次の瞬間には隣のWINNERSに買い行っていた…20歳の若者がたった一人で全てを作り上げた奇跡の2ndアルバム。この日からPRINCE教原理主義者になったきっかけの1曲。
02. LET'S WORK - 『Controversy』
PRINCE名義のソロ作品はもちろん、彼が手掛けたミネアポリス・サウンド物を片っ端からチェックしつつ、前作DIRTY MINDからのニューウェイブ路線がさらに確立された4枚目から、もちろんこれも全ての楽器を一人で録音している…超絶どFUNKトラック。
03. LADY CAB DRIVER - 『1999』
LAに住み始めた頃に音楽業界における大革命となっていたMTV。この流行りに見事に乗って大ヒットしていた傑作"1999"…FMラジオでかかりまくっていたこの曲のスーパーグルーヴがいい意味でデタラメだった自分のLA生活のスタートをいつもフラッシュバックさせてくれる。
来日公演情報
THE NEW POWER GENERATION tribute to PRINCE
ビルボードライブ大阪
2017年3月29日(水)
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
⇒詳細はこちら
ビルボードライブ東京
2017年3月31日(金)
1stステージ開場17:30 開演19:00
2ndステージ開場20:45 開演21:30
2017年4月1日(土)
1stステージ開場17:00 開演18:00
2ndステージ開場20:00 開演21:00
2017年4月2日(日)
1stステージ開場15:30 開演16:30
2ndステージ開場18:30 開演19:30
⇒詳細はこちら
BAND MEMBERS
アンドリュー・ゴーチ / Andrew Gouche (Musical Director, Bass & Vocals)
ゴードン・キャンベル / Gorden Campbell (Drums)
カサンドラ・オニール / Cassandra O'Neal(Keyboards & Vocals)
リック・マーセル / Rick Marcel (Lead Guitar & Vocals)
マルクス・アンダーソン / Marcus Anderson (Sax & Vocals)
リン・グリセット / Lynn Grissett (Trumpet)
エイドリアン・クラッチフィールド / Adrian Crutchfield (Sax & Vocals)
ジョーイ・レイフィールド / Joey Rayfield (Trombone)
バーナード・"BK"・ジャクソン / Bernard "BK" Jackson (Baritone Sax & Vocals)
※当初予定しておりましたカーク・ジョンソン(Dr.)が出演キャンセルとなり、ゴードン・キャンベル(Dr.)に変更となりました。
リリース情報
POP'N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES
ノーナ・リーヴス
2017/03/08 RELEASE
2,700円 (tax in.)
WPCL-12516
⇒詳細・購入はこちら
丸屋九兵衛が愛してやまない、プリンスの決めゼリフは4EVER(永遠に)
丸屋 九兵衛 / 著
2017/03/24 RELEASE
1,100円 (tax out.)
ISBN:978-4-907435-48-6
出版社:スペースシャワーネットワーク
⇒詳細・購入はこちら
関連リンク
思い出のプリンス・ソングをプレイバック(後半)
内本順一(音楽ライター)が選ぶプリンス3曲
エンタメ情報誌の編集を経たのち、90年代半ばから音楽ライターとして東京で活動。一般誌や音楽ウェブサイトでレビュー、コラム、インタビュー記事を担当し、シンガー・ソングライター系を中心にライナーノーツも多数執筆。プリンスには96年11月と99年9月の2回、インタビューを行なった。また『レイヴ・アン2・ザ・ジョイ・ファンタスティック』『レインボウ・チルドレン』『N.E.W.S.』『3121』『プレクトラムエレクトラム』のライナーノーツも担当。
01. SEXUALITY - 『Controversy』
10代半ばで学校生活にまるで適応できずに毎日苛立っていた僕は、パンクロックにハマっていた。心情的に一番フィットしたからだ。ただしパンクにはいやらしさが欠如していて、そこだけは物足りなかった。僕はパンクよりもっと不道徳で猥雑でアブナイ音楽を欲していたのだ。初めてリアルタイムで買ったプリンスのレコード『戦慄の貴公子(CONTROVERSY)』の、とりわけ「セクシュアリティ」がぶっ刺さったのは、その意味でドンズバだったのだろう。つまりその曲はパンクのラジカルさを持ちつつも、この上なく猥雑。その両方を有していたことから、自分の待ち望んでいたタイプのひと(と音楽)が遂に現れたという気がしたものだった。
02. DO ME, BABY - 『Controversy』
初めて買ったプリンスのレコード『戦慄の貴公子(CONTROVERSY)』の、3曲目に収録されていたのがこのラブバラード。ラジカルな「セクシュアリティ」から曲調としては真逆へと反転させているようでありながら、しかし「セクシュアリティ」の「このカラダを自由にするんだ」というメッセージがあってこそこの曲が効いてもくるわけで、流れとして見事と言うしかない。そのものズバリの性愛ソングで、プリンスの悶え声もたっぷり入っている。この上なくロマンチック。これを聴いて気持ち悪いなどと言うひととは一生理解し合えないなと、10代半ばのませた僕は思っていた。
03. BAMBI - 『Prince』
“不道徳で猥雑でアブナくて、その上ラジカル”な曲を欲していた僕には、この曲もズバッと刺さった。発情したような裏声で「バンビ、男とのほうがいいんだよ」と歌うプリンスは狂ってさえいるようだったが、それゆえ抗えず、いけない世界に引きずり込まれていく感覚があった。「男とのほうがいいんだよ」というのもアレだか、それ以上に「バンビ」というそのシャウトから小鹿と裸の男性がイメージされ、やはりプリンスはどうかしてると思いながらも、しかし曲そのものとハードなギターがあまりにもかっこよくて何度も繰り返し聴いた。2010年代に入ってサードアイガールと一緒にやるようになったプリンスが、突然この曲を引っ張り出して彼女たちとのスタジオ・ライブ映像を公開した際には、あの頃のアブナイ感覚を意識的に取り戻しているようにも思えて興奮した。サードアイガールと一緒にこの曲を演奏するプリンスをナマで観てみたかった。
丸屋九兵衛(bmr編集長)が選ぶプリンス3曲
“最後まで「アルバムは大切だ」と主張していた生粋のアルバム主義者プリンスのレパトワールから3曲選べだと?! と言いながら、好きだからついつい話に乗ってしまうわたしだった……。”
ブラック・ミュージック専門誌あらためヒップホップ/ R&B専門サイト『bmr』編集長。 10代の頃、「ビートに抱かれて」こと「When Doves Cry」のビデオでバスタブから全裸で出てきて床を這い回るプリンスを目撃、そのまま恋に落ちる。「Batdance」のビデオにて殿下が見せる「ヴィッキー・ヴェイルの股くぐり」に感化され、自らトライするも、キム・ベイシンガー役を志願する女性がおらず、一人で床を這うだけに終わる。 そんなこんなを経て、今は特殊黒人音楽評論家にして決めゼリフ収集家。プリンスの死は未だに信じていない。
01. LITTLE RED CORVETTE - 『1999』
2分半を過ぎてのサビでかます裏声混じりのフェイク、そのあとの喘ぎ声、そして3分半を過ぎて「乗り心地はスム~ズ!」と歌うファルセット絶唱。身悶えするほど好きだ。 甘い歌声、美しい曲、そしてひどい歌詞。この歌は、リヴィン・ラ・ヴィダ・ロカな女性を高級車コルヴェット(三代目)に喩えたものと言われる。だが殿下ファンたる者、本当にそんな(真っ当な)解釈に安住していいのか?! 詳しくは……。
02. D.M.S.R. - 『1999』
マイルス・デイヴィスに「あいつはセックスの最中にドラムスを聴いているに違いない」(意味不明)と評されたリズムとグルーヴの絶対王子ぶりは、この曲で味わえる。ファンカーとしてのプリンスの長所が詰まった逸品だ。しかし、この名曲がCDで聴けない暗黒時代があった。詳しくは……。
03. BREAKFAST CAN WAIT - 『Art Official Age』
天国は待ってくれる。ではなく、朝ごはんは待ってくれる。 セクシーな曲調でありながら、悪戯っぽく笑っている殿下が目に浮かぶ。 そして、ビデオとジャケット写真からも匂い立つユーモア。それは、我々プリンス信奉者ですらなかなか理解してあげられなかった彼の美点なのではないか、と思う。詳しくは……拙著『丸屋九兵衛が愛してやまない、プリンスの決めゼリフは4EVER(永遠に)』を。
ザ・ニュー・パワー・ジェネレーション tribute to プリンス公演に向けてのコメント
2016年6月、BET Awardsを見て痛感したのは……「追悼は、やはり近しい人、ゆかりのある人がやるべきだ」ということ。というわけでNPGよ、よろしく頼む!
NPGのアンドリュー・ゴーチからビデオメッセージが到着!
▲THE NEW POWER GENERATION Video Message for Billboard Live Tour 2017
来日公演情報
THE NEW POWER GENERATION tribute to PRINCE
ビルボードライブ大阪
2017年3月29日(水)
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
⇒詳細はこちら
ビルボードライブ東京
2017年3月31日(金)
1stステージ開場17:30 開演19:00
2ndステージ開場20:45 開演21:30
2017年4月1日(土)
1stステージ開場17:00 開演18:00
2ndステージ開場20:00 開演21:00
2017年4月2日(日)
1stステージ開場15:30 開演16:30
2ndステージ開場18:30 開演19:30
⇒詳細はこちら
BAND MEMBERS
アンドリュー・ゴーチ / Andrew Gouche (Musical Director, Bass & Vocals)
ゴードン・キャンベル / Gorden Campbell (Drums)
カサンドラ・オニール / Cassandra O'Neal(Keyboards & Vocals)
リック・マーセル / Rick Marcel (Lead Guitar & Vocals)
マルクス・アンダーソン / Marcus Anderson (Sax & Vocals)
リン・グリセット / Lynn Grissett (Trumpet)
エイドリアン・クラッチフィールド / Adrian Crutchfield (Sax & Vocals)
ジョーイ・レイフィールド / Joey Rayfield (Trombone)
バーナード・"BK"・ジャクソン / Bernard "BK" Jackson (Baritone Sax & Vocals)
※当初予定しておりましたカーク・ジョンソン(Dr.)が出演キャンセルとなり、ゴードン・キャンベル(Dr.)に変更となりました。
リリース情報
POP'N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES
ノーナ・リーヴス
2017/03/08 RELEASE
2,700円 (tax in.)
WPCL-12516
⇒詳細・購入はこちら
丸屋九兵衛が愛してやまない、プリンスの決めゼリフは4EVER(永遠に)
丸屋 九兵衛 / 著
2017/03/24 RELEASE
1,100円 (tax out.)
ISBN:978-4-907435-48-6
出版社:スペースシャワーネットワーク
⇒詳細・購入はこちら
関連リンク
4EVER
2016/11/25 RELEASE
WPCR-17586/7 ¥ 3,300(税込)
Disc01
- 01.1999
- 02.リトル・レッド・コルヴェット (初CD化ヴァージョン)
- 03.ビートに抱かれて
- 04.レッツ・ゴー・クレイジー (初CD化ヴァージョン)
- 05.ラズベリー・ベレー
- 06.ウォナ・ビー・ユア・ラヴァー
- 07.ソフト・アンド・ウェット
- 08.つれない仕打ち
- 09.アップタウン
- 10.君を忘れない
- 11.ヘッド
- 12.ガッタ・ストップ
- 13.戦慄の貴公子
- 14.レッツ・ワーク (初CD化ヴァージョン)
- 15.デリリアス
- 16.ダイ・フォー・ユー
- 17.テイク・ミー・ウィズ・ユー (初CD化ヴァージョン)
- 18.ペイズリー・パーク
- 19.ポップ・ライフ
- 20.パープル・レイン
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