2020/10/19 11:00
最近はストリーミングサービスでサプライズリリースというパターンがずいぶん増えたが、このやり方でヒットを出すというのは、やはり配信の時代ならでは。フィジカルのCDに関していえば、今もプロモーションの基本として、リリース前にいかに事前告知を徹底できるかが重要となる。CDだとサプライズという瞬間的な話題性では購入につなげるまでに遅れを取るし、ファンの期待を煽っておくことで、発売日に一気に結果が出るからだ。
今週のHot 100で首位を獲得したSnow Manの「KISSIN' MY LIPS」は、フィジカルのCDリリースとしてはとてもお手本的な動きをしていると言える。まず、この曲の存在が告知されたのは、半年以上前の2月だ。その時点ですでにツイッターのポイントが、3/2付で初登場14位となっている。その後はテレビ出演などを挟みながら告知を徹底していき、7月22日に彼らの公式YouTubeチャンネルで正式にリリースを発表。8月28日には同じくYouTubeチャンネルで告知ティーザーをアップし、9月4日にはMVをリリース。動画再生数のポイントは、9/14付で11位まで上昇した。そして、10月7日にCDをリリースし、今週の結果となったのである。
彼らはダウンロードやストリーミングといった配信を一切していない。そのため配信のポイントがつかない事は、チャート集計上は不利だが、それを補うくらいフィジカルでの勢いがあると同時に、ツイッター上のファンの盛り上がりが非常に熱い。逆に言えば、これほどの熱いファンがいないことには配信の時代に、ここまでの結果を出すことはできないだろう。
今後の課題は、いかにロングヒットさせるかだ。配信がないのは長くヒットさせるには不利だが、2月にリリースされた彼らのデビュー曲「D.D」は今週もHot 100で55位となっており、8カ月以上もの間ほぼ100位以内で推移している。「KISSIN' MY LIPS」がどこまで長くヒットし続けられるのかにも、ぜひ注目していただきたい。Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
1
【ビルボード 2025年 年間Top Lyricists】大森元貴が史上初となる3年連続1位 前年に続き5指標を制する(コメントあり)
2
【ビルボード 2025年 年間Top Albums Sales】Snow Manがミリオンを2作叩き出し、1位&2位を独占(コメントあり)
3
【ビルボード 2025年 年間Artist 100】Mrs. GREEN APPLEが史上初の2連覇を達成(コメントあり)
4
【ビルボード 2025年 年間Top Singles Sales】初週120万枚突破の快挙、INI『THE WINTER MAGIC』が自身初の年間首位(コメントあり)
5
【ビルボード 2025年 年間Hot Albums】Snow Manがベストアルバム『THE BEST 2020 - 2025』で史上初となる、通算3度目の総合アルバム首位に(コメントあり)
インタビュー・タイムマシン







注目の画像



【深ヨミ】初週で93万枚超えのSnow Man 前作を大幅に超える勢いを継続中
Snow Man、ananで映画のみどころを語り尽くす短期集中連載「『滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie』の軌跡」スタート
ロングヒットはきっかけ作りが最重要?! 藤井風のデビュー作
ありふれた日常こそロングヒットの秘訣?! もさを。の新旧2曲
ルックアップはユーザー層のバロメーター?! ヨルシカの新旧アルバムを比較 










