2018/12/21
本年度の賞レースの大本命との呼び声も高い『アリー/スター誕生』が、遂に2018年12月21日より日本公開がスタートする。先日、公開に合わせて、監督/主演のブラッドリー・クーパーが来日したが、ラスベガス公演の準備中のため、残念ながら来日することが出来なかったレディー・ガガが、日本メディアのためにインタビューに答えてくれた。
◎あなたの音楽は常に正直で、音楽を通してありのままのあなたを表現してきたかと思います。女優は自分を消して別人物になることですが、アリーという架空のキャラクターの中にも、ご自身と共通する部分はありますか?
レディー・ガガ(以下ガガ):イエスであり、ノーでもあるわ。最初、私は「私たちは全く違うわ」と言いがちだったの。なぜなら、冒頭のアリーは完全に(歌手になることを)諦めているから。自分の歌を信じておらず、鼻が大きすぎるとずっと言われてきた彼女は自信がなくて音楽業界にうんざりしている。でも、私が演技を目指すのをやめて、ミュージシャン/ソングライター/シンガー/プロデューサーとしての道を進むと決めたとき、私は自分を信じていた。全てのドアを叩き、できる仕事は何でも全てやろうとしたし、マネージャーのふりをして電話をして、私が街で最もホットな歌手だと言ったものだわ。私はとても狡猾だったの。それが、私とアリーの最も大きな違いよ。似ているのは、私が女優を、アリーは歌手になるのを諦めたこと。私はある意味、それを(演技に)使うことができたわ。
ジャクソンとアリーが初めて一緒にステージで歌うシーン(「シャロウ」)について、私はよく「何年も何千人もの前で歌ってきたあなたが、どうやってあのシーンを出来たんですか?」って訊かれるの。私は、それが以前一度も起きたことがないかのようにやらなくてはいけなかったから、一部はイマジネーションなの。それから…私はこの映画をやる何か月も前から、髪を染めて、メイクをするのを止めて、アリーみたいな格好をして、私は本当に彼女みたいに、傷つきやすさや自信のなさも感じた。あのシーンで「私は、初めて映画の主役として、カメラの前で撮影されることになるんだわ。それに彼(ブラッドリー・クーパー)は4度オスカーにノミネートされた人よ。こんなことは前に一度も経験がない。全く新しいことだわ」と思えたことが、私がそのモーメントに入り込む手助けになったわ。
◎この物語は、あなた自身のサクセスストーリーを思い起こさせます。自身の体験とリンクするシーンはありますか?
ガガ:演技は、常に真実から引き出すことが重要だと思っているから、すべてのシーンにおいて私は感情的にリンクしていると言える。特に感情とリンクしたシーンを選ぶとすれば、多分、ジャクソンが私に初めてステージ上で私の歌を歌うようにと頼むシーン(「オールウェイズ・リメンバー・アス・ディス・ウェイ ~2人を忘れない」)でしょうね。私があの歌を彼と一緒に歌い、観客が叫ぶのを聞いたとき、私は自分の音楽を歌って、人々が拍手をして、部屋にいるみんなが興奮しているのを初めて感じたときのフィーリングを本当に感じたの。私はセットで泣いてしまったわ。
◎歌手としての成功はもちろん、今や女優としても成功を収めています。才能ある方だというのはもちろんなのですが、夢を叶えるための秘訣は何だったと考えますか?
ガガ:一緒にたくさんのジャズを歌ってきたトニー・ベネットが私にアドバイスしてくれた「ルールNo.1、諦めるな。そしてルールNo.2、常にルールNo.1を聞くこと」を私はずっと守ってるわ。実はデューク・エリントンがトニーにあげたものなの。
キャリアの初めの頃、正直に言って、私がなぜ度胸を持てたのかわからない。ただ、やらずにはいれなかったの。私が左腕の内側に入れているタトゥーはレイナー・マリア・リルケの(『若き詩人からの手紙』からの)引用文「真夜中に、もし書くことができないなら、死んでしまうのかどうか、白状してごらんなさい。深いところに根ざした答えを求めて、心の中を掘り下げてみるのです」と、ドイツ語の「自分は書かずにはいられないのか、と自分自身に問いかけるのです」。私は音楽をやらずにはいられず、アクティングもそう感じたの。この映画は、キャリアを前進させるためじゃなく、大好きなことだからやった。ブラッドリーは私を信じてくれた。誰かが信じてくれると、羽ばたく翼を与えてくれる。彼らの愛が、彼女に羽ばたくための翼を与え、彼女はスターになるのよ。
◎楽曲制作のプロセスについて教えてください。
ガガ:音楽制作と同時に、脚本が修正されたり、変更されたりしていた。私たちは必ず音楽がストーリーに役立つようにしたかったの。ブラッドリーは自分で歌を書いて、ギターも学び、ヴォイスレッスンも受けたのよ。ソングライターのジェイソン・イズベルが送ってくれた「メイビー・イッツ・タイム」をブラッドリーが私に演奏してくれたのだけれど、あの歌がジャクソンのサウンドがどういうものになるかということの始まりだったように感じるわ。それから、ブラッドリーから、ウィリー・ネルソンの息子のルーカス・ネルソンと、彼のバンドThe Promise of the Realを紹介され、脚本が書かれている間も、私たちは一緒に音楽を作っていた。また、デイブ・コブと「オールウェイズ・リメンバー・アス・ディス・ウェイ」も取り組んでいて、私たちは、アリーがジャクソンの音楽や彼のバンドにインスパイアされ、彼のバンドが彼女の歌を演奏するのがとても自然になるようにしたかったのよ。私もブラッドリーも全員、音楽がその愛やリアルなところから生まれてくるようにしたかった。だから、サウンドトラックに入っている多くの楽曲は、アリーが音楽的にジャクソンのサウンドから影響を受けているのよ。
アリーはマネージャーのレズに出会い、新しいジャンルの音楽でもっとコマーシャルなアーティストになる一方、(アーティストとしての)自分らしさを維持することに苦労する。音楽というキャラクターがジャクソンとアリーを結び、ある時点で、彼らの間に軋轢を作り、その変化が彼らの愛や関係に影響を与える。音楽アーティストとして、彼女のアーバンなポップ・ミュージックが、ジャクソンと一緒にいるときに作っていたアリーの音楽と違うサウンドにすることが重要だった。その衝撃、変化、チャレンジ、障害を感じられるようにね。
◎公開情報
『アリー/スター誕生』
2018年12月21日(金)より、全国ロードショー
監督&製作:ブラッドリー・クーパー
出演:レディー・ガガ、ブラッドリー・クーパーほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
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