2017/02/21
キング・クリムゾンの現ベーシスト、トニー・レヴィンとドラマー、パット・マステロット、ロバート・フリップのギター・クラフト出身、マーカス・ロイターで結成されたスティック・メンが、同じくクリムゾンのメンバーであるメル・コリンズをゲストに迎えた約2年ぶりとなる来日公演を2月20日、ビルボードライブ東京で開催した。
浮遊感漂うイントロから、昨年秋にリリースしたアルバム(国内盤が会場で先行発売されている)『Prog noir』収録曲の「Schattenhaft」で4人の音が複雑に絡み合う怒涛のパフォーマンスに突入。トニー・レヴィンはチャップマン・スティックを息をつかせぬ速さでタッピングし、マーカス・ロイターはスティックの展開型であるタッチ・ギターやシンセ、打ち込みを巧みに操り曲に様々な表情をつけ、パット・マステロットはメリハリのあるドラムスティック捌きで着実にビートを刻み曲の形を作り上げる。そしてその上をメル・コリンズのサックスが時に激しく時に滑らかに浮遊する。はたして誰がどの音を出しているかさえも危うくなるほど、次から次へと音が渦巻き、交錯する。オーディエンスはステージを凝視しながらも次々と押し寄せる音に飲まれ、静かに、しかし確実に高揚感と興奮に包まれた。
キング・クリムゾンの「インダストリー」や『Prog Noir』の収録曲を披露したあと、マーカス・ロイターが「最もエキサイティングな瞬間」と語った、メンバーによる完全なるインプロヴィゼーションを披露。メル・コリンズのソロからスタートし、16ビートのハットの打ち込みが投下されると、トニーとマーカス、そしてメルが魔術師のごとく様々な音色を重ねていく。来日記念特集を執筆したライターの浅野氏の言葉の通り、「ミニマル系フレーズによるポリリズム的な絡み合い」で会場を大きな音のうねりに包みこみ、圧倒的な音世界で支配し、ラストをクリムゾンの「セイラーズ・テイル」、「レヴェル・ファイブ」で締めくくった。
事前の予告通り、1stステージと2ndステージで異なるセットリストとなっており、どちらのステージもファン納得のパフォーマンスを見せてくれた。来日公演は本日21日の公演を残すのみ。残された2つのステージでも、20日とはまた違ったパフォーマンスでオーディエンスを深淵なるプログレッシブ・ロックの世界に導いてくれるだろう。
Photo:Masanori Naruse
◎公演情報
【スティック・メン with メル・コリンズ】
2017年2月18日(土)
ビルボードライブ大阪
公演詳細:https://goo.gl/FzKEtC
2017年2月20日(月)~21日(火)
ビルボードライブ東京
公演詳細:https://goo.gl/eZFWWq
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