2016/12/17
2016年12月23日に公開となる映画『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』。ロバート・グラスパーの手掛けた本作のサウンドトラックが【第59回グラミー賞】にノミネートされるなど公開前から注目を集める本作だが、映画のプロデューサーでもありマイルス・デイヴィスの甥でもあるヴィンス・ウィルバーンJr.が11月に来日した際のオフィシャルインタビューが到着した。
―映画『MILES AHEAD~』は史実とフィクションが入り交じり、時代が行き来します。なぜ、このような構造になったのでしょうか。
ヴィンス・ウィルバーンJr.(以下ヴィンス):ドン(ドン・チードル)と脚本家のスティーブン・ベーグルマンは「ありがちな伝記映画はつまらない」と話していたんだ。音楽要素だけではなく、銃をぶっぱなすようなアクションがあって、フランシスとのロマンチックなラブストーリ―もある。そういったエンターテイメントとして楽しめるものが作りたいと思っていた。(ラストシーンにも出演している)ハービー・ハンコックは完成した映画を見て、「まるでマイルスの夢の中を歩いているみたいだ!」と言っていたよ。とてもうまく表していると思う。
―本作のプロデューサーとしての役割についてはいかがでしたか?
ヴィンス:僕の最も大きな仕事はドンを選んだことだ。その後はドンと楽曲に関して、シーンごとにどの曲を使うのかということをかなり細かくやりとりをした。彼は僕だけではなくエリンやシェリル(マイルスの実子)とも連絡を取り合っていたし、その他サイドマンやフランシスにも実際に会いに行って、熱心にリサーチをしていた。ドンがマイルスの声をできるだけ正確に模倣したいっていうから、マイルスが以前BBCから受けたインタビューの音源をドンに渡したんだ。深夜に「もしこの場面だったらマイルスはどういう風に言ったと思う?」って電話口でお互いマイルスの真似をし合ったりもしていたよ(笑)。
―劇中に出てくるマイルスの家の様子は親族からみていかがでしたか?
ヴィンス:それが恐ろしく似ているんだ!子供の頃は毎年夏になるとNYにあったマイルスの家に泊まりに行ったんだけど、その家に本当にそっくりだった。撮影中シンシナティにあるセットをエリンと一緒に訪ねた時は、マイルスになり切ったドンが芝居をしている姿をみて、エリンは言葉を失っていたし、僕はそれに圧倒されて涙がこぼれたよ。
―音楽的なディテールへのこだわりについてはありましたか?
ヴィンス:サウンドトラックを手掛けたロバート・グラスパーとも何度も話し合いをした。グラスパーにとって映画のスコアを手掛けるのは初めての経験だったが、マイルスは新しいチャレンジに対してリスクを恐れない人だったから、その精神を受け継ぐ意味でもグラスパーを起用したよ。結果としてヒップホップとジャズの懸け橋となるような音楽性を活かした素晴らしいものを作ってくれた。ファロア・モンチのヒップホップ「Gone 2015」をサントラの最後の曲として選んだのは、マイルスの遺作『DooBop』でヒップホップを取り入れていたからだ。もしマイルスが生きていたら、きっとそうするだろうと思えるものができたから、すごく満足しているよ。
◎公開情報 『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』
2016年12月23日(金・祝)よりTOHOシネマズシャンテほか全国順次ロードショー
監督・主演・共同脚本・製作:ドン・チードル
プロデュース:ヴィンス・ウィルバーンJr.
出演:ユアン・マクレガー、エマヤツィ・コーリナルデイ
音楽:ロバート・グラスパー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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