2016/08/30
若手実力派ヴァイオリニストとして活躍する松田理奈が、10月31日に小林研一郎指揮、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団との共演でメンデルスゾーンの「ヴァイオリン・コンチェルトホ短調Op.64」を披露する。本共演への意気込みや、作品の魅力について聞いた。
―超絶技巧の難曲として知られる曲ですが、松田さんはいつ頃からこの曲を弾いてこられたのでしょう。
「第一楽章だけ、など限定的ではありますが、コンクール課題曲に選ばれることもある曲ですので、小学校5、6年生の時には既に弾いていたと思います。ヴァイオリニストでもあったメンデルスゾーンならではの、楽器を知り尽くした運指で、とても弾きやすく華やかに聞こえるように書かれています。1楽章のカデンツァよりも2楽章のメロディラインの方が難しく感じることもありますね」
―小林研一郎氏とは、よく共演されているようです。ハンガリー国立フィルとの共演は初めてでしょうか。
「マエストロとはすごく共演が多くて、今年は群馬交響楽団でこの曲を演奏し、他のプログラムでもご一緒しました。ハンガリー国立フィルと共演するのは初めてですがマエストロはこのオーケストラのことを知り尽くしているので、とても心強いです。マエストロと演奏するこのコンチェルトは、ソロとオケが対等に共演する、熱いメンデルスゾーンになると思います」
―いろいろな方のメンデルスゾーンの「ヴァイオリン・コンチェルトホ短調Op.64」を聴かれていると思うのですが、どなたの演奏がお好きですか。
「コンサート会場に行って、アーティストの生の演奏を聴き刺激を受けることも多いですし、CDやレコードで巨匠の演奏に感動することもしばしばあります。
つい先日、演奏家同士で集まった時に、ハイフェッツ、オイストラフ、ミルシュテインの3人の1楽章の冒頭を聴いて、ブラインドで当てようという企画をしたんです。ミルシュテインは本当にお手本通り、キチッと凜とした演奏。ハイフェッツは躍動感がすごくて、オイストラフは音色が恐ろしく豊か。3人とも当てたのは私ともう一人だけで、久しぶりに思いっきり『やったー!』と叫んでしまいました(笑)3人とも全く個性は違うんですが、カッコいいんですよね。全部の要素が入っているメンデルスゾーンのヴァイオリン・コンチェルトは最強でしょうね…」
―それはきっと松田さんが実現してくださることと、本番楽しみにしています(笑)。さて、松田さんは今年、CDデビュー10周年を迎えられますね。
「はい、記念リサイタルを9月1日の岩手公演からスタートし、12月10日には東京・紀尾井ホールで開催します。ヴィターリから始めて、クライスラーやサラサーテ、パガニーニ、イザイなどのヴァイオリニスト達が作曲したヴァイオリンの名曲を集めました。ヴァイオリニスト達が、ヴァイオリンのことを愛しているからこそ、楽器を分かって曲を書いているのが伝わってくる。時を超えて共感できるし、学ばせてくれる曲ばかり。『ヴァイオリンが好き』という共通点から、音を出していきたいと思っています」
―今回演奏されるメンデルスゾーンのヴァイオリン・コンチェルトも、テーマとしては通じるものがありますね。コンチェルトの中で、ヴァイオリニストとしてグッとくるポイントを挙げるとすればどこでしょう。
「全部そうなのですが…特に2楽章のメロディラインですね。楽器の特徴として、共鳴率が多い音は開放的に、共鳴が少ない音の音色は深刻であったりするのですが、その音色の使い分けが絶妙だと思います。(スコアを見ながら)マニアックかもしれませんが、例えば2楽章の44小節目から半音で上がっていって、46小節目で和音が変わるところとか、とても好きですね(笑)」
―公演に向けて意気込みなどお願いします。
「ハンガリー国立を知り尽くしているマエストロがブラームスのハンガリー舞曲を3曲演奏されて、盛り上がって会場が充分に暖まったところで、メンデルスゾーンの「ヴァイオリン・コンチェルト」を演奏することになるんです。ものすごく前奏が短い作品なので、一気にヴァイオリンで空気を変えなくてはならないプレッシャーがありますが、マエストロからは『思いっきり歌って弾いてくださいね!』と言われていて、これは、思いっきりやって良いのかな(笑)と、とても楽しみにしています」text:yokano
photo:松田理奈 (C)Shigeto Imura / 小林研一郎 (C)SatoruMitsuta /ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団 (C)KAllos Bea
◎公演概要『ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団』
日程:2016年10月31日(月) 19:00
会場:東京芸術劇場 コンサートホール
出演:ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団
小林研一郎指揮 (桂冠指揮者, Conductor Laureate)
松田理奈(ヴァイオリン)
プログラム:
ブラームス「ハンガリー舞曲 第1番/第6番/第5番」
メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64」 (ヴァイオリン:松田理奈)
ベルリオーズ「幻想交響曲 Op.14a」
more info:https://goo.gl/WyeGMl
◎松田理奈 Apple Music プレイリスト「1人ドライブ編」
text:yokano
goo.gl/iy0Ynp
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
インタビュー・タイムマシン
注目の画像