2015/09/14
1996年に岩井俊二が監督、小林武史が音楽を担当した映画『スワロウテイル』から飛び出した伝説のバンド YEN TOWN BAND。9月12日 約20年ぶりに再始動を果たし、約20年ぶりのシングル『アイノネ』を初披露した。
<彼女は最後まで“グリコ”としてステージに立っていた>
YEN TOWN BAND再始動の地は、新潟県十日町まつだいの農舞台。これまで数か月にわたって【大地の芸術祭】の会場となり、数々のアート作品が展示されてきた場所だ。観客に囲まれる形で設計された特設ステージの向こう側には里山の自然が広がる。
開演時間となり、大きな歓声の中、小林武史とバンドメンバー、そしてCharaが登場。SEからセッションを経て最初に歌ったのは「Gold Rush」だ。ピアノとギターのシンプルな演奏に乗せて歌声が響いた瞬間、その場の空気がガラリと変わる。コケティッシュな「上海 ベイベ」を歌い終えて笑顔を見せたCharaは「みんな元気ですか? グリコです」と声をかける。映画『スワロウテイル』で彼女が演じた主人公の名前だ。そして「次の曲は、グリコが会ったことのないお母さんに向けて書いた曲です」と、「小さな手のひら」を歌う。純白のドレスを着た彼女は最後まで“グリコ”としてステージに立っていた。
映画の中でも重要な位置付けとなっていたフランク・シナトラのカバー「My way」に続けては「まだタイトルは決まってないけど、僕らの中では“EL”と呼んでいます」と、新曲を披露。思わず引き込まれるような壮大なバラードだ。終盤には、この場所ならではの“自然の演出”も生まれていた。日が暮れて辺りが暗くなり、まるで紙吹雪のように舞う沢山の羽虫に青や緑のライトがあたり、異世界のような光景が生まれていた。「これが蝶々だったらいいのにね」とCharaが笑う。
そして「沢山の愛、多様な愛がこの世界にあればいいなという願いを込めた曲です」と小林武史が語り、新曲「アイノネ」を披露。シンプルだが力強いビート、そして包容力を持ったメロディが印象的な、新たな時代のアンセムになりそうな一曲だ。最後は全員を魅了した「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」。感動的な余韻を残して、バンドはステージを降りた。単なる復活劇ではない。約20年の時を経て、架空のバンドに新たな“命”が宿った。そんな確信を抱くようなライブだった。
<20年ぶりシングル『アイノネ』&アルバム『MONTAGE』リマスター盤発売>
そんなYEN TOWN BANDの『Swallowtail Butterfly ~あいのうた~』から約20年ぶりのシングル『アイノネ』(JFL presents FOR THE NEXT supported by ELECOMテーマソング)がユニバーサルミュージックより12月2日に発売される。
今作の初回限定盤ボーナスCDには、前述した【大地の芸術祭 2015 YEN TOWN BAND @NO×BUTAI produced by Takeshi Kobayashi】のライブ音源を抜粋収録(「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」を含む3曲収録予定)。そして、ジャケットアートワーク(初回盤、通常盤ともに)を岩井俊二が担当という、当時のファンには垂涎ものとなっている。
また、シングル『アイノネ』リリースに合わせて、当時初登場1位を獲得した大ヒットアルバム『MONTAGE』のデジタルリマスター盤リリースも発表された。今回のタイミングで再発売されるにあたり、初回生産限定盤は三方背BOX仕様となり、DVDには映画『スワロウテイル』が収録。12月23日には、ファン待望となるアナログ盤リリースが決定しており、リマスタリング&アナログカッティングにはMetropolis StudiosのエンジニアJohn Davisが手掛ける。
なお、前述のライブの模様は、11月下旬にスペースシャワーTVにて特別番組として放映されることも決定している。
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