2013/12/05 13:16
ヴェルディ生誕200年イヤーの最後を飾るべく、ジャナンドレア・ノセダ率いるトリノ王立歌劇場が12月1日に東京文化会館にてオペラ『仮面舞踏会』を上演した。
実際に起こったスウェーデン国王暗殺事件を元に作られたオペラ『仮面舞踏会』は、リッカルド総督と、秘書レナート、レナートの妻アメーリアの3人の恋愛模様と、リッカルドを狙う暗殺計画を巧みに絡み合わせた全三幕からなるヴェルディ後期の作品。ロレンツォ・マリアーニによる近代的な演出によってステージは大胆な白と黒の格子柄にあしらわれ、各場面では、ストーリーを象徴するような大きなベッドや首吊り用ロープ、肖像画などが登場するのが印象的だった。
まず、白と黒という相反する衣装に身を包んだリッカルド政権の賛成派と反対派が不穏な合唱によって登場し第一幕がスタート、そして短時間でガラッと舞台転換された第二場ではマリアンネ・コルネッティ演じる占い師ウルリカが、異様な空気を創りだし観客を引き込んでいく。第二幕は、若き歌姫オクサナ・ディカが、長大なアリアからリッカルドとの二重唱へと全く疲れを見せること豊かな歌声を会場隅々まで響き渡らせ、7月にリッカルド役を演じたばかりのベテラン歌手ラモン・ヴァルガスも、美しく張りのある歌声でアメーリアとの許されない愛に応じ、圧巻の二重唱を披露した。
第三幕では、精悍な顔立ちと正統派な歌声がレナートにぴったりのガブリエーレ・ヴィヴィアーニが妻の不貞に対する怒りを爆発。本公演のキー・カラーである“赤”を存分に取り入れたセットに転換すると、いよいよ舞台はクライマックスの仮面舞踏会へと突き進む。リッカルドを追う暗殺者達による緊迫した空気が続く中、唯一日本人キャストで出演した市原愛は小姓オスカル役として華を添え、アリアを歌い終えると思わず合唱団からも拍手が。最後はレナートに撃たれてもなお、アメーリアの潔白を歌い部下を信じ続けるヴァルガスの姿に場内は悲しみに包まれ、幕を閉じた。
音楽監督ノセダによって、名実ともにイタリアを代表する歌劇場の一つとして成長し続けているトリノ王立歌劇場。最終公演となる12月8日まで熱演が繰り広げられる。
※写真はゲネプロ。(C)三浦興一
◎公演情報
【トリノ王立歌劇場】日本公演
会場:東京文化会館
日程:
プッチーニ『トスカ』
11月29日(金)、12月2日(月)、5日(木)、8日(日)
ヴェルディ『仮面舞踏会』
12月1日(日)、4日(水)、7日(土)
ヴェルディ『レクイエム』
11月30日(土)
出演:トリノ王立歌劇場管弦楽団&合唱団
More Info
http://www.japanarts.co.jp/torino_2013/
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