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2026/05/29 21:10

<レポート>新たなリスナー層にも“聴く読書”の価値を――桐谷健太/染井為人/三宅香帆らがオーディオブックの魅力を語る 【Audibleプレス発表会】

 2026年5月28日に東京・渋谷Studio 126 Tokyoで【Audibleプレス発表会】が開催され、2026年の取り組みと戦略、最新コンテンツのラインナップを発表した。

 発表会の冒頭でAudibleカントリーマネージャーの逢阪志麻が登壇し、Audibleのこれまでの歩みを振り返った。そして2026年に注力する3つの取り組みとして、"聴きたい"に応えるラインナップの強化、新ジャンル開拓による利用層の拡大、リアル体験を通じた認知拡大と利用促進を発表するとともに、東京・渋谷駅直結地下広場にて期間限定で【Audibleカフェ】を開催中であることも紹介された。逢阪は、「読書の習慣がない人にとっても、Audibleはその扉を開くきっかけになれると考えています」と語った。

 Audibleで聴かれている最新の人気作品ランキングも発表された。2026年1月1日~5月11日の期間で最も聴かれたのは、4月9日に発表された第23回本屋大賞の受賞作でもある朝井リョウの『イン・ザ・メガチャージ』であることが分かった。そのほか、本屋大賞にノミネートされた作品も人気で、『殺し屋の営業術』(著:野宮有)、『エピクロスの処方箋』(著:夏川草介)などが上位にランクイン。また、2025年11月に配信が開始され、本屋大賞に初めてノミネートされたオーディオファースト作品となった湊かなえの『暁星(あけぼし)』や、1月に発表された嶋津輝の直木賞受賞作『カフェーの帰り道』もランクインしており、リスナーからの話題作への注目度の高さが伺える。

 続いて、Audibleヘッド・オブ・コンテンツ・ジャパンのキーリング、宮川もとみが登壇し2026年の最新コンテンツラインナップについて説明した。

 5月28日から配信された村上龍の『五分後の世界』は、時空が5分ずれたもう一つの日本の歴史を描く長編大作となっており、桐谷健太が朗読する。年内には、三宅香帆による初のオーディオファースト作品『没頭する力』を配信予定とのこと。染井為人の最新作『硝子のマンション』は6月24日に配信開始予定で、書籍の発売と同時にAudibleでの配信が始まる取り組みとなる。6月26日には池井戸潤の最新作『ブティック』の配信も予定している。

 また、新ジャンルとなる韓国コンテンツの第1弾として、5月28日に『天国の階段』の配信を開始した。2000年代に熱狂的な支持を集めた作品で、今回Audibleでは若手実力俳優たちによる新しいオーディオドラマとしてお届けする。

 同作品の主題歌「逢いたい」は、TOMORROW X TOGETHERのTAEHYUNが日本語で歌唱する。TAEHYUNはビデオメッセージで、「自分自身が大好きな作品で主題歌を歌わせていただくのは光栄。音源をリリースする前に聴けるのはAudibleだけなので、ぜひ聴いてください」と話した。

 そして今回の発表会では、俳優の桐谷健太、小説家の染井為人、文芸評論家の三宅香帆を迎えたトークセッションも開催された。

 『五分後の世界』(著:村上龍)を朗読した桐谷は、「10代の頃に初めて読んだ小説が村上さんの『コインロッカー・ベイビーズ』でした。その世界観に没入して、村上さんの作品をたくさん読み、『五分後の世界』も読んでいたので、今回、お話をいただいたときには縁を感じました」と話した。『五分後の世界』は長編大作だが、桐谷は集中して5日間で収録を終えたとのこと。「実際に朗読する時間以外に何度も読みましたし、自分の中で想像して情景を思い浮かべて読んでいました。僕は、本当にずっと、あの"五分後の世界"にいました」と語った。

 オーディオブックの魅力について桐谷は、「自分が見ている風景と聴いて想像する世界観が入り混じるのは面白い体験。また、読書とは違って、目を閉じることができるのも魅力。目を閉じていてもストーリーが進んでいき、自分だけの異世界に没入できます」と語った。また、「自分を含め、たくさんの方々が、オーディオブックの朗読という新しい表現に挑戦しています。その方々の素晴らしい表現にもぜひ注目していただけたら僕も嬉しいです」とも話した。

 自身初のオーディオファースト作品『没頭する力』を書き下ろした三宅は「現代のSNSやスマホなど、常時接続している空間では、没頭することが難しいと感じています。では、没頭するためにはどうすればいいのか?それをエッセイ調で書きました。私のポッドキャストやYouTubeなど、音声で親しんでくださっている方も多いので、そうした方々にAudibleで聴いてみようかなあと思っていただけるとうれしいです」と話した。

 三宅は自身の著書『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』について、「紙では読めなかったけれど、働いている自分でもAudibleなら聴けた、という声を読者の方から多くいただきました」と紹介。忙しい日々の中で本を読む時間を確保しづらい人にとっても、音声であれば自然に物語や言葉が入ってきて、読書への弾みになると語った。また、「Audibleを聴くことで家事がはかどったり、ドライブしながら一緒に聴いたりすることで夫婦の仲が良くなったりするそうです。読書は人と共有するのが難しいのですが、Audibleは共有しやすく、会話のきっかけにもなりますよね」と話した。

 染井は最新作『硝子のマンション』について、「舞台は東京・板橋のマンション。いろいろな部屋の男女の物語。ホラーサスペンスです」と、配信に先がけて物語のさわりを明かした。また、大工である義理の兄がAudibleの会員になり仕事をしながら染井の作品を全て聴いたというエピソードを紹介し、「Audibleは活字から離れた人だけでなく、活字が苦手な人でも入っていける世界なんですね」と話した。


◎イベント情報
【Audibleカフェ】
2026年5月25日(月)~5月31日(日)
東京・渋谷駅直結地下広場