2026/05/08 17:00
FM COCOLOが主催する、恒例の野外音楽イベント【靱公園 MUSIC FESTA FM COCOLO~風のハミング~】(以下、“風ハミ”)が4月29日、大阪・靭公園センターコート特設会場で開催された。
「都会の真ん中で、大人のための音楽祭」をコンセプトに、同局でレギュラー番組を持つ根本 要(スターダスト☆レビュー)、KAN、馬場俊英を中心に、2011年から続くスペシャルコラボレーションイベントで、今回で14回目の開催となる。イベントの中心メンバーであったKANが2023年に逝去して以降も、彼は“永久欠番”としてイベントの中心に息づく存在に。“風ハミ”では毎年、メンバーと縁のあるアーティストがスペシャルゲストとして登場するのが恒例で、今年は杉 真理、矢井田 瞳といった豪華な顔ぶれが参加。さらにFM COCOLOの番組『MARK‘E MUSIC MODE』でライブの模様を完全生中継。14回目にして初となる、“風ハミ”ならぬ“家ハミ”が楽しめることに。
会場には全国各地から約6,200人の観客が集結。「“風ハミ”は私たちリスナーにとって、年に一度の大事なイベント」と、誰もがこの日を待ちわびていたと嬉々とした表情で語るほどで、チケットは早々に完売、立見席も出るほどの賑わいだ。さらに会場周辺には高層マンションも点在していて、“風ハミ”名物である“マンションのベランダ観覧”の姿もあちこちに。「毎年マンションから“風ハミ”を観ていたけど、もっと間近で観たくなって初めて会場に来た」という人もいて、14回目の開催ともなると、イベントが“街の風物詩”にもなっていることがよく分かる。
待ちに待った本番。万雷の拍手に迎えられるなか、根本が「ようこそ、風のハミングへ! ゆっくり楽しんで!」と歌いながら挨拶。ギターのイントロが長く続くなか、肝心の出演者の姿がなかなか見えず客席がざわつき始めたところで、客席の一部から大きな歓声が上がる。まさかの2階スタンド席から、根本がギターとヘッドマイクを付け“練り歩き&弾き語り”で登場したのだ。さらに馬場も客席の反対側から姿を見せ、「今夜だけきっと/スターダスト☆レビュー」を歌いながら客席をゆっくりと歩く。まさかのサプライズに観客は大喜び! 歌詞の<ふり返るほど♪>に合わせて2人が互いに振り返ったり、美しいハーモニーを響かせたり。2人は会場のどこにいるかがわかるように背中に風船をつけて歩いていたが、根本の星型風船が<星になった~♪>の歌詞に合わせるように空へ飛んでいくというハプニングも。開始早々にピークを迎えるような盛り上がりを見せるなか、続いて「最後まで/馬場俊英」でも歌詞に合わせ、2人が向かい合って歌う姿に観客は拍手喝采を送る。
その後、センターコートのステージに改めて姿を見せた2人。スターダスト☆レビューと馬場は同じ埼玉県出身で、馬場は学生時代にスターダスト☆レビューに出会い、初めて手にした2ndアルバム『今宵はモダン・ボーイ』に多大な影響を受けたという。バンドと作品へのリスペクトを込め、根本がゲストボーカルで参加した「金曜日の天使たち」をスターダスト☆レビューによる演奏で披露。馬場は「アルバムの最後にこんな曲が入っていたら……」と、イメージして作り上げたというが、根本が「それは物足りないってこと?」と、さらりとツッコミを入れるなど、長年の付き合いのある2人だからこその自然体の掛け合いに、客席も思わずほっこり。バンドへのリスペクトを存分に感じられるポップなサウンドを満喫していると、そのままスターダスト☆レビューのデビュー曲「シュガーはお年頃」へと繋げる、愛と遊び心たっぷりの“風ハミ”ならではのコラボがさっそくスタート。
オープニングから会場を大いに盛り上げたところで、スペシャルゲストの杉 真理、矢井田 瞳をステージに呼び込み、「まずはやっぱりこのコラボから始めたい。あいつは(KAN)は亡くなったけど、すごい曲を作ってくれたから」と、オーディエンスもハミングで参加する、イベントのテーマソング「靭のハミング」を披露。杉、矢井田、そして根本と馬場の4人の歌声に、スターダスト☆レビューのメンバーによるコーラスと演奏。そしてそこに360度全方位から観客の“ハミング”が加わり、唯一無二の空間を作り上げていく。
続いて矢井田 瞳のソロステージへ。「ハロー、大阪! もうすでに最高な時間が流れておりますが、最高の時間過ごす準備はできてる?」と、「Look Back Again」からグッドメロディと美しく力強いハイトーンボイスで会場を一気に沸かせる。愛娘の「なんで戦争なんてするの?」という、ふとしたひと言から生まれた「駒沢公園」では、凛とした歌声で丁寧に言葉を紡ぐ。地元・大阪出身の彼女は、歌はもちろんMCでの親和性も抜群で、“風ハミ”初出演とは思えないほど、スムースなトークで会場を大いに盛り上げていく。今年デビュー25周年を迎え、年を重ねるなかで、愛情と呪いは紙一重と感じることがあると語り、「アイノロイ」へ。馬場バンドの演奏を背に、熟した感情を丁寧に紡ぎ、唯一無二の世界観を届けた。
続いてはイベントホストのひとりであり、今年でデビュー30周年を迎える馬場俊英のステージ。まずは「明日へのフリーウェイ」から、力強くも心にじわりと染み込む誠実な歌声で観客を魅了。心を鼓舞する言葉のひとつひとつがくっきりと胸に刻まれ、オーディエンスのコール&レスポンスもエネルギッシュに響く。続く「スタートライン」も熱量高く、それでいて一人ひとりに寄り添うような柔らかな歌声に、観客は彼の言葉をまっすぐに受け止めようとステージを見つめる。「ひとつだけ」では、目の前に景色が浮かぶような言葉の存在感がより大きくなり、歌声もさらに熱を帯びて響く。ワンマンライブのような高まりも感じさせ、観客もその音に呼応して力強い手拍子で応えた。
ライブは再びコラボステージへ。根本は「4人で面白いことをやってみよう! 今回は大先輩の杉さんの数々の偉業を皆さんにお見せしたい」と語り、来年でデビュー50周年を迎える杉がこれまで手掛けた名曲を披露することに。根本や馬場と同じく、杉もラジオDJとして活躍していることもあり、竹内まりやに、大滝詠一が主宰したナイアガラ・トライアングルなど、大物アーティストの名前が次々と飛び出す息もつかせぬエピソードトークに会場は大盛り上がり! そこへ馬場が「飲み物は何が好きですか?」と“風ハミ”名物の小芝居を挟み、杉が作曲した「ウイスキーが、お好きでしょ/SAYURI」へ。杉が「ヤイコの声もいいですね!」と、矢井田の歌声を絶賛するなど、作曲家自らが歌唱するだけでなく、4人の美しいハーモニーを一度に味わえる、ここでしか聴けない贅沢なシーンに誰もが聴き惚れていた。
杉が手掛けた数多くの楽曲から、「こういう曲を作る日本人がいるなんて! 素晴らしい名曲です!」と根本と馬場が大絶賛し、二つ返事で意見が一致したのが「素直になりたい/ハイ・ファイ・セット」だ。4人それぞれの歌唱や複雑なコーラスはもちろん、シンガー4人が息ぴったりにダンスまで披露! 「(コラボは)嬉しいけど、踊るなんて思ってもなかった!」(杉)、「(どのコラボ曲よりも)一番練習しました!」(矢井田)と驚きつつも、これぞ“風ハミ”なコラボシーンで会場を盛り上げていく。
「スターダスト☆レビュー、馬場君、KANと始めた“風ハミ”は僕らにとって大切な場所。あいつは星になって風船になって飛んでっちゃったけど……。杉さんからこの曲をこの場所で歌いたいと言ってもらったから……」と、「言えずのI LOVE YOU(KAN)」へ。イベント開始直後に根本が身に着けていた星型の風船だけが空に飛んでいったり、前日のリハでは同曲のタイミングで4人のマイクの周りをチョウが飛びまわったりと、出演者も観客も“KANの存在”を感じていたという。それでも、根本が「オレの時だけチョウじゃなくて蛾だったかも!?」と、愛ある冗談を飛ばすもんだから、あっという間に観客は破顔の表情で満たされていく。
ステージは続いて、杉 真理のソロステージへ。イベント当日、7年ぶりとなる新アルバム『MUSIC MAN』をリリースしたばかりの杉。「(リリース日に)ライブができて最高! 最高傑作から、スタレビと一緒にやりたい曲がある」と、メジャーリーガー・大谷翔平選手の“勝手に”応援ソング「It’s Show Time」をスターダスト☆レビュー、馬場とコラボ。杉自ら考案したという曲の“決めポーズ”を観客と共に楽しむなど、発売したばかりの新曲でも“風ハミ”ファンはあっという間に楽しみ尽くしてしまうからさすが♪ さらに根本が絶賛した「いとしのテラ」では、ビートルズ由来のポップセンスや軽やかで少年性を持つ杉の歌声に、スターダスト☆レビューのコーラスが唯一無二の美しさを添える。続く「ミュージシャン行進曲」は杉と根本による、“ミュージシャンのリアルと誇り”を描いたご機嫌で遊び心たっぷりな楽曲。2人はデビュー以来の交友関係を懐かしみつつ、音楽の楽しさを嬉しそうに語り合った。
ソロステージの最後は、今年でデビュー45周年を迎えるスターダスト☆レビュー。昨年から来年にかけて150公演を超えるライブを展開する生粋のライブバンド。「大阪の街にライブバンドとして育ててもらった。これからもライブを中心に……って、ライブしかないんだよ!」と冗談を交えつつ、「Northern Lights -輝く君に-」から圧倒的なライブパフォーマンスと唯一無二の美メロで会場の空気を一変させる。たった一小節で“スタレビ”の世界観が全身に伝わり、“ライブバンド”然とした姿に誰もが魅了される。夕刻を迎え、小雨で空気は冷え込むものの、内側から湧き出る充足感に心が温まっていく。“風ハミ”では360度のステージを曲ごとに出演者が90度ずつ角度を変えて客席に向き合う。メンバーの顔が見えなくても、正面の観客の満足げな表情を見れば、メンバーの“良い顔”も伝わってくる。名曲「トワイライト・アヴェニュー」「はっきりしようぜ」も、根本の透明感たっぷりのハイトーンボイスと卓越した演奏が空高く響き渡り、会場外のマンションから拍手喝采が届けられる瞬間も♪
昨年リリースのオリジナルアルバム『星屑冒険王』に収録された「ナントとカナルの物語」で、馬場とともに作詞を手掛けた根本。「45年の活動で交友関係も広がった。「ナントとカナル」はNHK『みんなのうた』に取り上げてもらったり、バンドを知らない人たちに楽曲を届けられるのはうれしい。今日は大合唱になるかも!」と、馬場とともに同曲を歌い上げる。“風ハミ”中心メンバー2人でのコラボは何よりも特別で、観客も楽しそうに歌声を重ねる。同郷で、FM COCOLOでも共に番組「Wabi-Sabi レディオ・ショー」を担当する2人なだけあって、息が合うのはもちろん、トークもラジオ番組さながらに盛り上がるのもまた“風ハミ”ならでは。目の前でラジオトークが繰り広げられているような、和気あいあいとした雰囲気も楽しい。
イベントもいよいよ終盤へ。「こっからはみんなと盛り上がっていこう!」と、出演者総出のコラボステージで何度もピークを作り上げていく。矢井田が「大阪、まだまだ元気かー! みんなの底力と声を聴かせて!」と呼びかけると、「My Sweet Darlin’/矢井田 瞳」、「A面で恋をして/ナイアガラ・トライアングル」、「ボーイズ・オン・ザ・ラン/馬場俊英」、そして「夢伝説/スターダスト☆レビュー」と、ビッグアンセムを次々と披露。4人の歌声はもちろん、根本&馬場&杉によるギター、スターダスト☆レビューのバンド演奏も、どれをとっても“風ハミ”でしか生まれない豪華なパフォーマンスばかり。観客は感嘆の声を漏らしながらも、ありったけの歓声で応える。
コラボステージはこれだけでは終わらない。「最後にみんなの声を聞きたい♪」と、根本と馬場が再びマイクセットを身に着け、客席を練り歩きながら「愛の歌/スター☆ダストレビュー」を出演者+観客全員で大合唱。360度のステージの中、ありったけの愛を振りまきながら歌う根本と馬場。最後の最後までエンタメもサービス精神も旺盛で、出演者も観客も誰もが幸せそうな表情を浮かべていた。「素晴らしい音楽体験、もう1回やりたいくらい♪ 360度愛たっぷりで多幸感でいっぱい!」(矢井田)、「ミュージシャンもスタッフも素晴らしいし、何といってもお客様が最高!」(杉)とメッセージを送り、イベントは幕を閉じた。
……と思いきや、まさかの延長戦へ! ラジオ番組の放送時間が余っているという理由から、オンエアのタイミングでは聴けなかった“家ハミ”リスナーのために、「靭のハミング」を再度披露することに。会場の観客にとっては、ライブとラジオの“生”感を同時に楽しめる、一度で二度美味しいステージに! それができるのも、生粋のライブアーティストであり、ラジオDJの根本と馬場だからこそ! 2度目の「靭のハミング」も美しいハミングを響かせるだけでなく、最後には完全生中継の番組を担当していたDJマーキーもステージに参加し、お喋りは尽きないまま、名残惜しそうに4組はステージを後にした。
「僕らはまだまだこの会場で面白いことをやっていきたい。良かったら、また来年も遊びに来てほしい。出演者のみんなが言ってくれるけど、この会場には特別な空気がある」と、次回開催への約束と、意気込みを語った根本。ステージを去る際に叫んだ「【風のハミング】、日本一!!」という言葉に、来年への期待も高まるばかりだ。
なお、この日の貴重なステージ音源はFM COCOLOの番組『Wabi-Sabi レディオ・ショー』で5月9日に放送される。
Text by 黒田奈保子
Photo by 田浦ボン/キシノユイ
◎番組情報
FM COCOLO『Wabi-Sabi レディオ・ショー』
2026年5月9日(土)18:00~19:00
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