dEnkAはメンタル弱い？
～暴れるだけじゃないところでの感動

KNOCK OUT MONKEY - Wonderful Life (Official Music Video)

－－神戸の暴れ猿、メジャーデビューしてからその活動範囲はより広がっていると思うんですが、新しいリスナーやオーディエンスと繋がっていっている実感はありますか？

w-shun：まだ追加公演が残ってるんですけど、先日、恵比寿リキッドルームでファイナルを迎えた今回のツアーは、あまり行けてない土地とかもあって。そこでワンマンを切っても大丈夫なんかな？って思ったんですけど、思ったよりもお客さん来てくれてて、ガッツリ盛り上がってくれてて「今日はヤバかった！」って言えるようなライブになったんですよね。それはすごく嬉しかったです。「これだけ聴いてくれてる人がいるんだ？」って背中押されました。

ナオミチ：フタ開けるまでは「大丈夫か？大丈夫か？」ってずっと言ってましたからね（笑）。でも予想以上に人が集まってくれて、そこにははじめましての人もたくさんいて、その人たちが俺らの楽曲を口ずさんでくれているのはすごく嬉しかったです。まだまだではありますけど、確実に広がってるんだなって。

－－メジャー1stアルバム『INPUT ∝ OUTPUT』の反響はいかがでした？

w-shun：良い反応もあったし、「もっとこうなんじゃないの？」っていう声も聞こえました。すべてが「よかった！」ではなかった。「好き勝手やってる感がインディーズの頃に比べると弱いんじゃない？」みたいな。自分たち的には、作っている最中も、ライブでやってても、出来上がったものを聴いても、そんな感じは全然なかった。満足した上で出したものなんで「へー、そう感じるんや？」とは思いましたけどね。

－－……好き勝手やってる感しかなかったですけどね。

一同：（笑）

w-shun：そうなんですよね！「好き勝手やってるのにな！」って。

－－あれを好き勝手と感じないなら、アレですかね。テクノとかやればよかったんですかね？

一同：（爆笑）

ナオミチ：まぁでもメロディーを大事にしたアルバムだったので。

w-shun：歌モノ感が強いからそう思ったのかもしれないですね。ただ、そういう声がいっぱいあった訳じゃないんですよ。ポツポツとあった感じだったんで、そう捉える人もいるのかぁっていう感じだったんですけど。

－－ポジティブな声って素直に嬉しいですけど、ネガティブというか、こっちの思惑に反する意見って、制作している以上は必死に作っている訳で「なんで？」ってなるじゃないですか。それってどう消化してるんですか？

w-shun：咀嚼して飲み込まないことには……それをフルシカトして進んでいく人もいるんでしょうけど、自分にはない観点の聴き方だったりとか、「そういう反応もあるのか」というものは咀嚼して飲み込みます。でも最終的に音鳴らすのは自分たちなので、瞬発的に出てきたものを信用しないと曲は作れなくなる。「出来ちゃった！」みたいなものを大事に信じるしかない。そうしないと嘘になっちゃうから。

dEnkA：まぁそういう意見の中には「分かってるよ、そんなこと」っていうものもあるし、「え、そう？」っていうものもある。ただ、僕は神経質なんで、無視しきれないんで、「はっ…………」ってなる（笑）。

ナオミチ：気にしぃなんで結構うるさいですよ～。

－－この強そうなヴィジュアルで？

w-shun：ノミの心臓なんで。

ナオミチ：「別にええやん、もう」みたいなことでも、ずっと気にしててなんか言い続けてる。

dEnkA：うーん…………なんでなんだろうな、俺。

－－自分を見つめ返し始めちゃいましたけど（笑）。

dEnkA：「全部を理解してほしい」っていう勝手な欲望があるからこそ、そういう風に思ってしまうんでしょうね。「全部を受け入れてほしい」って。でもそんなの無理じゃないですか。プライベートでも仲良い奴、話合わない奴がいるのと同じで、音楽の聴き方もそれぞれ違うはずなんで。好きなもんも違えば、着てる服も違うし。

w-shun：目も合わせたくない人とかもいるし。まぁそういう人とも上手く渡り歩いていけたら理想ですけどね。

－－KNOCK OUT MONKEYのライブだったらそれが出来る瞬間もありますよね？

w-shun：そうですね。今回のツアーで印象に残ってるのは、小さい子供をおんぶしながら後ろのほうで観てくれてる親子がいたりして。「すげぇピースだな」と思っていたら、その前のほうではグッチャグチャになって汗かきながら「うわぁー！」って叫んでる野郎がいたり。

－－モッシュやサーフの向こう側はアットホームっていう。

w-shun：向こう側はピースなのに目の前は地獄絵図（笑）。自分たちから「ライブはこういう風に盛り上がれ」とか言いたくないから、それは来た人が作るもんであって。ルールもモラルも。それでコケてる人を支えてる人がいたりとか、見ず知らずもん同士がそういう風にコミュニケーション取ったりする。その予定調和じゃない一体感はライブが進んでいくにつれて生まれていくんですよね。あと、「後ろで見てる奴は前で暴れてる奴を笑ってやれ」って言ったことがあるんですけど、批判じゃなく「どんだけ元気やねん？」ぐらいの（笑）。そういう空間が今回のツアーから生まれるようになったので、すごく嬉しかったです。感動しました。

ナオミチ：あと、メジャー1stアルバム『INPUT ∝ OUTPUT』の中に「Sunrise」という曲が出来たことによって、今まで「行けぇぇぇ！どっかーん！がっしゃーん！」で終わっていたライブが、今回はみんなで大合唱。最後はみんなで歌いきって作り上げて「本当にありがとうございました！」って終わる。その形が新たに出来たのは新鮮でした。

w-shun：あれは感動するよ。そこに行き着くまでは「うわぁぁぁ！」ってなってるんですよ。それでみんながぜーぜー言ってる中で、最後の最後に「暴れるんじゃなくて心の底から叫べ！」って言って、それでひとつになる。今まで体とか盛り上がりだけで感じていた一体感が、今回は人の声によって生まれた。ただ闇雲に暴れるだけじゃないところでの感動っていうのは凄かったですね。ただ泣きそうになるところもありましたね。

亜太：SEから最後の「Sunrise」まで、いろいろ試行錯誤して組み上げた世界観によって、お客さんと呼吸を共有するというか、暴れるときは暴れるし、聴くときは聴くし、今までとは違う視点のライブ感を体感できたなと思いましたね。

w-shun泣いたら全剃り？
～各メンバー理想のツーマンライブ相手

－－7/25の大阪なんばHatch行ければなと思ってるんですが、こちらは今までの公演と若干内容が異なるんですよね？

w-shun：単純に今回のシングル曲をライブで披露しようと思っていて。あと、なんばHatchという場所自体はかなり思い入れの強い地というか、Dragon Ashのオープニングアクトを務めさせてもらった会場なんです。そのときに初めて立って、あのステージから見える景色、人の波を見て「やっぱり辞めれへんわ。もっともっとやろうぜ」ってなったんですよね。そこでワンマンが出来るなんて当時は思ってもいなかったですし、決まったときは震えましたよ。「キャパでけぇぞ。未知の領域やぞ。あのステージでいつも通り振舞えるのか？」って。今まで手を抜いたライブなんて一回もなかったですけど、今回はちょっと違うものが出るんじゃないかな。

－－あの会場で満員のお客さんが「うわぁぁぁ！」って、KNOCK OUT MONKEYのライブを観てはしゃいでる光景は見たいですよね。

w-shun：俺、ライブで今まで一回も涙流したことないけど……

－－なんばHatchは泣くかもしれない？

w-shun：ちょっとヤバいかも。だから「絶対泣かない！」って今から決めているんですけど。

－－じゃあ、泣いたらどうしましょうか？

一同：（笑）

w-shun：……全剃り？

－－結構思い切った公約ですよ（笑）！

dEnkA：ヤベェぞ！

w-shun：じゃあ、下だけ？

－－アンダーヘア全剃り？

w-shun：…………OK。

－－それ、映像配信厳しいんで、音声配信で。

dEnkA：ジョリジョリジョリ（笑）。

－－「KNOCK OUT MONKEY、一皮剥けたな」ってなりますよ。

一同：（爆笑）

w-shun：まぁ泣かなきゃいい話ですから！

－－でもこれ掲載されたら、ファンも必死に泣かしにかかってきそう。垂れ幕バーン！みたいな。

w-shun：そしたらトイレ行きます。

－－「あいつ、絶対泣きに行った！」って。

w-shun：目パンパンにして戻ってくる（笑）。

－－また、ワンマンライブ以外にもフェスやイベントに参戦していると思うんですが、自分は【ARABAKI ROCK FEST.14】のライブを観させてもらって……というか、お客さんとして普通に暴れさせてもらったんですけど（笑）。初参戦してみていかがでした？

w-shun：うーん……まだ出来ることはいっぱいあったと思いましたね。終わった瞬間に「出れてよかった！」とは一切思わなかった。これを糧にして次はどうするかとか、来年も出させて頂く為にはどうするべきかとか、よく考えました。それがよかったなと思って。「クソ。もっと人集まると思ってたのに」とか「もっと演奏できたのに」とか思えることで、ちょっとずつ進んできたバンドなので。だから今年初めて観てくれた人が「あのバンドが今はこんな風になってんのか！」って驚くようにしたい。叩き上げで。あと、桜が舞ってる中でライブやる気持ち良さ。あれにはすごく感動したので、やっぱりまた出たいですねー。

－－あと、個人的なリクエストなんですけど、KNOCK OUT MONKEYにはもっと対バンライブをしてほしいなと思っていて、特にツーマンライブ。ガチンコバトルみたいなやつが観たいんですけど、今、競演するとしたらどんなバンドやアーティストとぶつかってみたい？

w-shun：あくまで希望ですもんね？

－－そうですね。でもそれ載せてみたら実現しちゃったケースは結構あるんで、言うだけ言ってみようっていう。

ナオミチ：僕はTOTALFATとツーマンしたいですね。神戸でツーマンしたことはあるんですけど、それはTOTAFATのツアーだったので、僕らが30分でTOTALFATが60分みたいな感じで。だから次は同じ持ち時間で、ガチでやれたらなって。TOTALFATのファンで埋まった中でなく、対等な条件でぶつかってみたい。

亜太：え、そういう感じか！

－－そういう感じじゃなくてもいいですよ（笑）？

亜太：俺、GLAYです。

一同：おー！！

ナオミチ：デカっ！

w-shun：叶っちゃうよ、これ！

－－なんでGLAYなんですか？

亜太：……会いたい。

一同：（笑）

－－好きなの？

亜太：好きなんです。JIROさんに憧れてるんで。っていうのもあるし、「そこ！？」っていう人たちとやってみたい。ガチンコという言葉も対バンという言葉すらハマらない感じがいいなって。俺らが出てきて「コイツら、誰だよ？」みたいな（笑）。

w-shun：俺も「そこ!?」っていう相手がいいなと思う。バンドじゃない人たちとか。バンドファンじゃないお客さんとガチンコでやり合うみたいな。前々回ぐらいのインタビューでアイドルとの対バン話がありましたけど、今それって結構多いじゃないですか。だったらそこじゃなくヒップホップとかレゲエとか、また別のシーンで異種交流を求めてる人とやってみたい。一昨年かな？ RIZEがスチャダラパーと対バンしてましたけど、ああいうのって面白いと思うんですよね。そこのお客さん同士が合わさったときに何が生まれるのか。そこに興味が沸くような、全く別のところにいる人と会ってみたいですね。

振り切るんだったらとことん振り切れ！
そっちのほうが清々しい！

－－dEnkAさんは？

dEnkA：去年、ゼブラヘッドのオープニングアクトをやらせてもらいましたけど、ガチでツーマンやりたい。ちゃんと僕たちももっとお客さんを入れて、半々ぐらいの割合にして、なんばHatchで同じ持ち時間でやり合う。それこそ「どういう光景を生むんだろう？」と思って。あのゼブラヘッドのオープニングアクトで僕はすごく刺激を受けて、仲良くもなれたし、ライブ観てて純粋に「格好良いな」って思ったんですよね。「コイツら、ロックだなー！」と思ったんで。

－－これらの対バンを実現させる為にも、この夏どれだけ暴れられるかが大事になると思うんですが、7月23日に『Wonderful Life』、8月20日に『Greed』と2か月連続でのシングルリリース。まず「Wonderful Life」はどんなイメージから生まれた曲なんでしょう？

w-shun：「とことん振り切って「夏だぜ！」って曲を作ろうぜ」って漠然と思って、せーので作ったんです。『INPUT ∝ OUTPUT』からの反動じゃないですけど、歌にしてもラップをしてみたりとか、詰めれる要素やアイデアはどんどん入れちゃって。中途半端に「夏っぽい曲を作りたいけど、今までやってきたことも大事にしたいし、今表現したいことはこうで……」って言うぐらいだったら、ソレはソレ、コレはコレで「振り切るんだったらとことん振り切れ！そっちのほうが清々しい！」と思って。

－－その結果、ミュージックビデオもだいぶパーティーピーポーな……

w-shun：そうなんです。ただ、あのパーティーピーポーたちとは全然絡まなかったです。

－－4人はひたすら演奏ですからね。せっかくビキニギャルがたくさんいるのに全く絡めないっていう（笑）。

w-shun：俺らはがむしゃらに演奏してます！

－－撮影は楽しめた？

w-shun：いやぁー、楽しそうでしたよ。非常に楽しそうでした！ Wonderful Life！

－－（笑）。その『Wonderful Life』の1ヵ月後には『Greed』がリリースされます。

dEnkA：こっちは「好き勝手やったな！」っていう感じ。「Wonderful Life」とはまた違うニュアンスでの好き勝手というか。これもなんだかんだで夏っていうテーマがあったんで、ベンチャーズ的な要素も取り入れてる。元々リフは3年ぐらい前からあって、それを今の僕たちでリアレンジしてみたらこうなったっていう。

ナオミチ：ワガママに作っていった感じ。いっぱい転調するんですけど、「ここを明るくしたい」と思ったらコードを変えるんじゃなく「じゃあ、無理やり転調しよう」みたいな。完全にパワープレイでやりきった曲（笑）。良い意味でしっちゃかめっちゃか！

亜太：小手先じゃない。岩砕きまくって作ってる（笑）。

－－そのしっちゃかめっちゃかやってやった「Greed」が、アニメ『名探偵コナン』のオープニングテーマに起用されるっていう。

w-shun：「マジか!?」って思いました。

－－タイアップの話は後から決まったの？

w-shun：後からです。ただ、歌詞が下ネタだらけだったので「これは書き変えないといけないなー。子供観るもんなー」と思って（笑）。少年少女からしたら僕らジジィですよ。ジジィが好きなこと言って悪い影響与えるのもなぁって。それで自分がその主人公になったとして、どういうこと思うかなって考えながら書き直したんです。だから希望としてはこの曲を少年少女に聴いてもらって、ジャンジャンギャンギャン鳴ってる音を「格好良い」って思ってくれたらいいなって。そういう子が一人でもいたらすげぇ嬉しいな。ただ、少年少女たちが「この曲のCD欲しい」と思ってCD屋行ったら、このジャケットが並んでる。

－－「おっぱいだー」って（笑）。

w-shun：変なところでロックが出てしまった。

－－そんなロックなKNOCK OUT MONKEY、今年の夏はどんな夏にしてやろうと思っていますか？

w-shun：今年の夏フェスは【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014】と【RISING SUN ROCK FESTIVAL 2014 in EZO】に出るんですけど、どちらもバンド始めた当初から「こんなん出たい！」と憧れていたフェスだったんで、声かけてもらったときは本当に泣きそうになりましたね。最近、涙腺弱いのかな!?

dEnkA：歳やな。

－－でも泣いたら全剃りですよ？

w-shun：俺、絶対泣かれへん！

一同：（笑）

w-shun：あとは今回これだけ振り切った曲を作ったんで、振り切ったライブがしたいなって思ってます。

亜太：夏真っ盛りの中でシングルを2枚も切れて、それをライブだけじゃなくお茶の間にも届けられるっていう意味では今までの夏とは違う。そこに賛否両論はあると思うんですけど、去年まで以上に一歩でも二歩でも進んだ感じで夏を沸かせる一役が担えるんじゃないかなと思ってます。

ナオミチ：あと、一度ぐらいはキャンプ行きたい。

－－キャンプ？

w-shun：分かる！ 激しく同意！

－－『Wonderful Life』のMVで遊べなかった分ね（笑）。では、最後に、dEnkAさん。アニメ『名探偵コナン』をご覧の皆さんにメッセージを。

一同：おー！

dEnkA：これ、炎上するんちゃう？

ナオミチ：一番メンタル弱いのに！

dEnkA：（笑）……そうですねー、いろんな欲ってありますけど、欲がないとね、何も始まらないので、皆さん、この夏を目いっぱい遊びましょう。楽しみましょう。僕もいろんな意味で今年の夏は遊んでやろうと思っているんで……

一同：…………

dEnkA：真実はいつもひとつだ！

－－コナン出てきた！

一同：（笑）