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五輪真弓 インタビュー
1972年にシングル「少女」で衝撃のデビューを果たした、日本のシンガー・ソングライター草分け的存在の五輪真弓。2013年にはデビュー40周年を迎え、ニュー・シングル「BORN AGAIN」、ベスト・アルバム『Lovers & Friends』をリリースした。この40年間で蓄積されてきた数々の作品、彼女の音楽感、そして2014年に迎えるビルボードライブ公演に向けて話を訊いた。
母国の音楽にこそオリジナリティがある
??昨年10月にデビュー40周年を記念したベストアルバムをリリースされました。改めて楽曲を聴き直すと、各作品に確固としたオリジナリティがありながらも、旧き良き時代の様々なアーティストや楽曲へのオマージュを感じる部分もあります。具体的にどんな音楽やアーティストに影響を受けられましたか。
五輪真弓:幼少時代には歌謡曲。小学時代はプラス洋楽(ラジオでかかっていたアメリカ、フランス、イタリア、イギリスのヒット曲、映画音楽も)。中学時代はビートルズ、高校時代はアメリカンフォークソング。特別に誰かというと、18、9才の時に聴いたジョニ・ミッチェル、キャロル・キング、エルトン・ジョン、ブラインド・フェイス、その他多数。とにかく、新しいタイプの音楽はすべて聴いて、それらすべてに影響を受けたと言えると思います。
??デビュー・アルバム『五輪真弓/少女』(シングル「少女」)はアメリカ録音となっていますが、アメリカでのレコーディングにこだわった理由は。
五輪真弓:上記の通り、アメリカンサウンドに魅了されていたので、何としても1stアルバムはそこでやりたいと思っていました。
??そのアルバムでは、影響を受けたというキャロル・キングやチャールズ・ラーキーなど錚々たるメンバーがレコーディングに参加しています。収録現場はどんな状況でしたか。
五輪真弓:当時はまだ日本が侍の国という見方をされていたので、彼らにとっては大変珍しいレコーディングだったのです。おそらく日本人シンガーソングライターのセッションという形では初めてだったのではないでしょうか。私が緊張しているのをみて、みんなが優しく、積極的に話しかけてくれました。コード譜だけの譜面でしたが、決めたい部分は同行したアレンジャー木田高介さんが指示をしていました。彼は私のよきアドバイザーでもありました。
??CBSフランスからのオファーがあり、70年代後半にはフランスに渡りヨーロッパデビューも果たされています。フランスではどのようなものを吸収されましたか。
五輪真弓:音楽的にはマイナーの叙情的な部分(映画音楽のような)。また、録音技術もたいへん優れていたので、特に自分のボーカル、声の出し方がより繊細に出来るようになりました。エンジニアは私の声がとてもエコーになじむと言っていましたが、まさにそれが気持ちよいので自然と楽に発声できるようになったのです。人間的には、自分の行くべき分野を切り開こうと積極的に仕事をするようになりましたし、同時に自然食、玄米食という健康管理も徹底させて、ライフスタイルの充実もはかりました。
??1970年中盤頃まではどちらかというとフォーキーであったり、アメリカン・ロックに影響を受けたレイドバック感のある楽曲が多かったように思いますが、1970年代後半から歌謡曲色の強い楽曲も多くなりましたよね。
五輪真弓:それはフランスで学んだ、母国の音楽にこそオリジナリティがあるというところからスタートしています。日本ではかっこよくきこえる今風の音楽も世界から見ますと亜流になりがちなのです。私は成長過程で吸収した日本の情緒を改めて自分の音楽に取り入れたいと思いました。すると、それはいとも簡単にできました。やはり日本人だからです。しかし、それ以前から自分の作品にはインターナショナルな要素があるとは思っていました。それは、レコーディングに関わってきたすべての海外の音楽家たちが音で証明しています。彼らは私をアメリカンと言ったり、日本の伝統とクラシックやジャズ・サウンドが融合した音楽と呼んでいます。
??その後80年シングル「恋人よ」は大ヒットし、日本レコード大賞金賞を受賞、五輪さんの代表曲となるばかりか日本の音楽シーンに大きな影響を残し、海外でも高い評価を受ける楽曲となりました。ご自身の評価は?
五輪真弓:この曲を書いた時はものすごく力がぬけていて、まさかあのような大曲になるとは思いませんでした。私自身、この歌を歌い始めた時は「この一曲を歌いきることで、他に何も歌わずとも満足する」くらいに完成された歌と感じていて、多くの人が共感するだろうと確信していました。なので、この曲を歌うときは手が抜けない。イントロが始まると背筋がピンと伸びるのです。
??「名曲」というものにはどのような要素が備わっていると思われますか。
五輪真弓:それは起承転結の枠の中で個性的に完成された物語で、情感があり、人の心に深くしみてゆく。
??今後はどのように音楽と向き合っていこうと思われますか?
五輪真弓:共に生きてゆく、仲間として。
??今回のライブはどのような内容になりますか。
五輪真弓:劇場コンサートとは異なった、より身近な雰囲気のなかで、比較的自由な感じになるのではないかと思います。選曲は会場に合ったものにしようと思います。
??最後に今回のライブを楽しみにしているファンの皆様にひとことお願いします。
五輪真弓:ビルボードライブでのライブは初めてなので、舞台に立ったときどうなるのか予測がつきません。みなさんも同じと思いますので、ご一緒に新鮮な気分で行きましょう!
リリース情報
五輪真弓
デビュー40周年記念ベストアルバム『Lovers & Friends』
- 2013/10/23 RELEASE
- [MHCL-30183/4]
- 定価:¥3,500(tax in.)
- 詳細・購入はこちらから>>
公演情報
五輪真弓
日時:2014年1月31日(金)
会場:ビルボードライブ大阪
⇒詳細はこちら
日時:2014年2月4日(火)・5日(水)
会場:ビルボードライブ東京
⇒詳細はこちら
関連リンク
五輪真弓デビュー40周年記念ベストアルバム Lovers & Friends
2013/10/23 RELEASE
MHCL-30183/4 ¥ 3,666(税込)
Disc01
- 01.恋人よ
- 02.冬ざれた街
- 03.本当のことを言えば
- 04.さよならだけは言わないで
- 05.残り火
- 06.雨の中の二人
- 07.運命
- 08.抱きしめて(愛は夢のように)
- 09.熱いさよなら
- 10.雨宿り
- 11.ジェラシー
- 12.時計
- 13.リバイバル
- 14.密会
- 15.春・のすたるじい
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