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ジャネール・モネイ 【ビルボード・ライジング・スター・オブ・2013】受賞 スペシャル・インタビュー


インタビュー

  これまでにビヨンセ、ケイティ・ペリー、テイラー・スウィフトなどが、その栄誉に輝き、今年は見事ピンクが受賞した米ビルボードが選出する【ビルボード・ウーマン・オブ・ザ・イヤー】。そして同時に発表された今年最も飛躍した女性アーティストに贈られる【ビルボード・ライジング・スター・オブ・2013】を受賞したジャネール・モネイ。
 R&B、ソウル、ヒップホップ、ゴスペル、ファンクを自由自在に操るレトロ・フューチャー・サウンドで注目を浴びる彼女が、9月にリリースした最新作『ジ・エレクトリック・レディ』は、米ビルボード・アルバム・チャートにて初登場5位を記録、アルバムからエリカ・バドゥをフィーチャーした「Q.U.E.E.N.」がスマッシュ・ヒットとなり、【MTV Video Music Awards】、【Soul Train Awards】など数々の賞にノミネートされた。女性アーティストとして揺るぎないスタンスを持つ彼女が、受賞の喜びをはじめ、作品にかける想いをBillboard.comに熱く語ってくれた。

私の航海はまだまだ続く
まだ立ち止まって、「ここまで来たわ、やっと到着した。」
なんて振り返る時ではない

??今年9月に発売の最新作『ジ・エレクトリック・レディ』のリリースに先駆け、6月に取材をしてから、様々な賞や栄誉を受けていますが、今回の【ビルボード・ライジング・スター・オブ・2013】賞を含め、今年はどのような年になりましたか?

ジャネール・モネイ:まず最初にこのような賞が頂けて、とっても素晴らしいし、光栄だわ。まったく予想していなかったから。私のキャリアは始まったばかりだけど、ここまで辿り着くのにとても努力した。そしてワンダランド・アーツ・ソサエティ(ジャネルが音楽仲間たちと立ち上げたインディ・レーベル)をここまで築きあげることができた。現代の音楽業界で若い女性アーティストとしての見解を持ちながら、この主観や、業界内での音楽の立ち位置を構築していくことに労力を費やしてる。

私の航海はまだまだ続く。まだ立ち止まって、「ここまで来たわ、やっと到着した。」なんて振り返る時ではない。もちろん認識はしていて、今もそうし続けている。それにこのように認められることは励みになる。今年リリースした『ジ・エレクトリック・レディ』は、コミュニティ、そしてそのコミュニティにおける女性を主人公にした作品で、このような女性のストーリーを語れることは喜ばしいこと。普段多く語られないこのような形に捉われない、普遍的な物語を。

この作品に強いテーマ性を持たせることと社会の様々な人々を映し出すことには特にこだわった。そしてこのアルバムのツアーを行うことによって、観客の若い女性たちが作品にインスパイアされ、アルバムの中で描かれているストーリーが彼女たちの励みになっているのを見ること、そして彼女たちが自分とアルバムと重ね合わせ、それがムーヴメントとなっていくこと、これが成功の証拠だと思うの。今後もこのような成功を収められるような活動を続けていきたいと思っているわ。

「Dance Apocalyptic」
▲ 「Dance Apocalyptic」 Music Video

??これまでも女性をサポートすることを全面に出してきましたが、『ジ・エレクトリック・レディ』では、それがより強調されていますね。たとえば「Dance Apocalyptic」のビデオでは、とにかく強そうな女性が観客として100人以上参加してますが、このアルバムを制作することは女性を支持する行為に対しての考えをより深めてくれましたか?

ジャネール:私はいつも模範を示そうとしていて、今回は女性が主役になって欲しかった。私は自分のことを建築士でビルダーだと認識している―ムーヴメントを作り上げ、それを遂行する人物、変化、新たな思考やアイディアを奨励する人物。自分たちのコミュニティの中で実現させたい変化へ向って舵を取り、直感を頼りにし、哀れむこと、強くいること、愛すること、愛らしさ、セクシーさ、知的さなどを恐れないこと。

すべてのホーンの音色、ストリングスのアレンジ、シンセサイザーのサウンドから、そのストーリー、叫び、葛藤、そして私が心から繋がりを持つことができたものを表現しようとしたの。

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    フィルターを通さず、
    自分の本心を語る機会を与えてくれること
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アーティストでいることが素晴らしいのは、フィルターを通さず、
自分の本心を語る機会を与えてくれること

「Q.U.E.E.N. feat. Erykah Badu」
▲ 「Q.U.E.E.N. feat. Erykah Badu」 Music Video

??アルバムからの曲をライブで披露することで、曲の意味合いなどは変わってきましたか?リアルタイムで人々の楽曲に対する反応が見れるのは、アーティストであるあなたにとってどのような意味がありますか?

ジャネール:とても励まされるわ。それにモチベーションにもなる。話かけられると―実は最近話しかけてきてくれた女の子がいて、その子はライブの2日前に両親にカミングアウトしたそうなの。その時、人生ではじめて、すべてがうまくいくって感じたって。その話を訊いたら、目に涙が浮かんだわ。このことで悩んでいる人は多いと思うの。女性が他の女性を「変だ、ゲイだ」って言われることなく、評価し、称賛すること。私は、いつでも自分の音楽を通して、女性を称え、他の女性を尊敬することがいいことだというのを示したいの。

女性だけではなく、彼女たちを支える為に一緒にライブに足を運んでくれる男性も大勢いる。こういうライブは唯一無二よ。観客の歌う声が大きすぎて、自分の声が聴こえないぐらい。「Q.U.E.E.N.」のラップだったり、すべての歌詞を憶えているの。とてもインスピレーショナルな詞だから、私自身が癒しを求める時や何かを乗り越える時に参照する言葉でもある。人々の人生に活力を与え、より豊かにすることを目標にしているから、それがきちんと届いていることを知るのは素晴らしい気持ちだし、本当に励まされる。もし私が疲れてしまっても、自分の頑張りを評価してくれる人がいるっていうのが分かるから。

アーティストでいることが素晴らしいのは、フィルターを通さず、自分の本心を語る機会を与えてくれること。もし自分が生まれたコミュニティではない場所で育っていたら、自分がこれほど強い人間で、そしてコミュニティーのリーダーのようには感じていなかったと思う。私はカンザス州の労働者階級の家庭で、差別を受けてきた人々と育った。これまで様々な経験をしてきたから、こんなにも強い義務を感じているの。

「Try」
▲ 「Smile」 (cover)

??前回話した際に(ジャネールの分身)シンディ・メイウェザーを題材とした長編映画のストーリーボードを見せてくれましたが、このプロジェクトの経過は?

ジャネール:脚本はもう書き終わってる。でも次はNASAの技術チームに加わって、宇宙にタダで行こうって企んでるの(笑)。だからそれを遂行するのが私の次のプロジェクト。でも実際に次に何をするかは決まってないわ。話はしていて、興味を持ってくれている人もいることは確かだから、どうなるか楽しみね。

??では2014年はどのように過ごすのですか?

ジャネール:今のところは、ツアーが決まってる。今年も素晴らしい時間を過ごせた。自分のバンドとツアーしているんだけど、ほぼソールド・アウトしているから、今はそれに集中してる。あまり未来へだったり、過去を遡ったりしないようにしてる。今、この瞬間に“カラー”で生きていることが大切だから。今年は腹の底にこたえるような経験ができた、あまり来年はどうなる、とかの話はしたくないない。だって2013年にビルボードに表彰されるなんて思いもよらなかったから、来年何が起きるかなんてわからないわ。

でもそれが人生の素晴らしいところでもある。数々の予想不可能な展開が待っている。だから流れにのって、2014年が運んでくる経験に全身を投じるわ。

2013年12月6日 Billboard.com掲載

"PrimeTime ft. Miguel" Music Video

ジャネール・モネイ「ジ・エレクトリック・レディ」

ジ・エレクトリック・レディ

2013/09/18 RELEASE
WPCR-15200 ¥ 2,284(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.スイートⅣ:エレクトリック・オーヴァーチュア (SUITE Ⅳ)
  2. 02.ギヴン・エム・ホワット・ゼイ・ラヴ (feat.プリンス) (SUITE Ⅳ)
  3. 03.クイーン (feat.エリカ・バドゥ) (SUITE Ⅳ)
  4. 04.エレクトリック・レディ (feat.ソランジェ) (SUITE Ⅳ)
  5. 05.グッド・モーニング・ミッドナイト (インタールード) (SUITE Ⅳ)
  6. 06.プライムタイム (feat.ミゲル) (SUITE Ⅳ)
  7. 07.ウィ・ワー・ロックンロール (SUITE Ⅳ)
  8. 08.ザ・クローム・ショップ (インタールード) (SUITE Ⅳ)
  9. 09.ダンス・アポカリプティック (SUITE Ⅳ)
  10. 10.ルック・イントゥ・マイ・アイズ (SUITE Ⅴ)
  11. 11.スイートⅤ:エレクトリック・オーヴァーチュア (SUITE Ⅴ)
  12. 12.イッツ・コード (SUITE Ⅴ)
  13. 13.ゲットー・ウーマン (SUITE Ⅴ)
  14. 14.アワー・フェイヴァリット・フュージティヴ (インタールード) (SUITE Ⅴ)
  15. 15.ヴィクトリー (SUITE Ⅴ)
  16. 16.キャント・リヴ・ウィズアウト・ユア・ラヴ (SUITE Ⅴ)
  17. 17.サリー・ライド (SUITE Ⅴ)
  18. 18.ドロシー・ダンドリッジ・アイズ (feat.エスペランサ) (SUITE Ⅴ)
  19. 19.ホワット・アン・エクスペリエンス (SUITE Ⅴ)
  20. 20.クイーン (feat.エリカ・バドゥ) (ワンダミックス) (SUITE Ⅴ) (日本盤ボーナス・トラック)
  21. 21.エレクトリック・レディ (feat.ビッグ・ボーイ&シーロー・グリーン) (ダンジョン・ワンダミックス) (SUITE Ⅴ) (日本盤ボーナス・トラック)

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