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CLIFF EDGE 『PLATINUM HEARTS』インタビュー

CLIFF EDGE 『PLATINUM HEARTS』 インタビュー

今年でメジャーデビュー5周年を向かえ、前作では初の試みとして全ての楽曲に外部プロデューサーを起用。第2章と銘打った活動をスタートさせたCLIFF EDGEが、間髪入れずに新作フルアルバム『PLATINUM HEARTS』を完成させた。
THE YELLOW MONKEY「JAM」をサンプリングした話題の1曲から、より深くダンスミュージックを掘り下げた強烈なサウンド。そして涙の友情ソングまで。真価が問われる問題作について3人が語る。

変化の第2章は幕開けからフルスロットル

▲YouTube「【PV(short ver.)】キミからの贈り物(映画「ノー・ヴォイス」主題歌)」
▲YouTube「【PV(short ver.)】キミからの贈り物(映画「ノー・ヴォイス」主題歌)」

--前作ミニアルバム『Diamond Stars』から2か月弱でフルアルバムという、CLIFF EDGEの第2章は過密なリリーススパンですね。

JUN:(楽曲制作に外部プロデューサーを起用した)『Diamond Stars』の制作で学んだことがたくさんあったので、それを次の曲に落とし込みたくて同時並行で作ってたんですよ。

SHIN:タイトなスケジュールではあったんですけど、本当に新鮮なことばかりで。(前作に参加した)オリコン1位を獲った方々ばかりの中でラップするのは緊張感もありましたし、提示された楽曲に対してのレスポンスも試された。刺激的で一瞬だった所はあって、その中でかたちにできたことも自信になりました。そうして『Diamond Stars』で吸収したものをダイレクトに投下できたのが、今回の『PLATINUM HEARTS』ですね。

DJ GEORGIA:僕は今のシーンで何が躍らせているのかを一番身体で感じている人間なので、どれだけ音に還元できるのか。それが新しい側面を見せる上でのキーになると思ってました。音作りに関しては現在進行形で成長中ですけど、今時点での僕のベストを収められたという点では、今作は特にと思いますね。

--そんな新作『PLATINUM HEARTS』ですが、1曲目「Opening ~Time has come~」はGEORGIAさんによるインストトラックです。クラシカルなベースでありながら、ダンスミュージックとしてのアプローチを融合させたサウンドになっています。

DJ GEORGIA:僕は最近、CLIFF EDGEのスキット職人になっているんですけど、何か新しいことをしたいという気持ちがあったんですよ。
メロディアスでありながらかっこいい部分がある。そんな今作を音で象徴できればと思って、クラシックとダブステップの融合みたいな所を意識して作りましたね。……ちなみにこの曲は、『半沢直樹』を観て作りました(笑)。東京中央銀行のエントランスを見ながら聴いてもらえれば間違いない! と。

--そして2曲目の「キミからの贈り物」は、ファンが待ってましたとひざを打つような1曲です。

JUN:最初の「Opening ~Time has come~」で「お、いいね! 今回はどこへ行くんだろう?」と思わせておいて、ちゃんと今まで通りに返ってくる始まりというか。作るメロディは結局、そこまで変わらないのかなって思いましたね、今回。一番言葉が届きやすいメロディっていうか。

--前回の取材時、SHINさんは「次作ではガツガツラップする」と明言されていましたが、「キミからの贈り物」のようなハートフルな楽曲でも、より存在感のあるラップになってきましたね。

SHIN:それこそ前作でご一緒した方々からアドバイスしていただいたポイントを参考に、ビートに対してそのまま乗っかっていくというか、グルーヴというか。その辺をすごく学べたので、遅いビートだろうが超早いビートだろうが乗っていける自分ができてきましたね。
今回はすごくラップが多い気がしていて、ゴツいというかハーコーだけどいっちゃおうみたいな。しっかり言葉が聴こえるとか、韻が気持ち良いっていう所を提示できればいいなって意識しました。

問題作「JAM ~絶望の夜を越えて~」での覚悟

▲YouTube「話題のTHE YELLOW MONKEY「JAM」サンプリング曲!!【PV(short ver.)】JAM ~絶望の夜を越えて~」
▲YouTube「話題のTHE YELLOW MONKEY「JAM」サンプリング曲!!【PV(short ver.)】JAM ~絶望の夜を越えて~」

--そして3曲目「JAM ~絶望の夜を越えて~」では、THE YELLOW MONKEYの大名曲「JAM」をサンプリングしました。原曲は当時の音楽シーンに絶大な存在感を示した大曲であるだけに、相応の覚悟が必要だったと思います。

JUN:僕は正にど真ん中の世代で、何度歌ってきたか分からないし、初めてラジオから流れてきたときの衝撃はいまだに覚えてます。そういう好きな曲をサンプリングする、メロディを引用してCLIFF EDGEの曲にするっていう遊びは常にしているんですけど、この曲はTHE YELLOW MONKEYさんに聴いていただいてOKをいただきました。

原曲で何を伝えたかったのは分からないですけど、僕は混沌と“JAM”された世の中に色んな矛盾を感じながら生きていく中での“君を愛してる”というメッセージだと捉えていて。僕も日々感じる矛盾点が正直たくさんあって、汚い言葉を使えば「フザケるな!」って気持ちを歌詞にぶつけた。それは原曲の力を借りなければできなかった表現だと思います。

--歌詞は原曲よりも直接的な表現になっています。

JUN:まず一番にラップである”という所がありますし、“代弁をしたい”っていうのが僕らの音楽の原点なんですよ。何も言えずに苦しんでいる人、言わずに死んでいってしまった人もいる。その歴史を汲み取って代弁するのが1つの音楽であって、僕らはみんなを元気付けたい。代弁者になるべく、ある意味無責任に書いた所はあります。

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あの歌詞は迷わず変えるべき所だと思った

--こういったサンプリングにトライする上では、批判も覚悟の上ですよね。

JUN:この楽曲を選んだことも含めて、間違いなく覚悟の上ですね。

SHIN:ディスられてなんぼだなって思っていて、「JAM ~絶望の夜を越えて~」は絶対に言われますよね。“この歌詞は変えちゃダメでしょ”って方々がいる中で、自分が何を言うのか考えたとき、逆に素直にならないと危ないと思うんですよ。じゃないと何か言われたときに反論できない。

僕は最初のバースで根本を歌っていたりして、例えば“隣の芝生は青く見える”って言葉にしても、そうやってうらやましがっちゃうのは人間の性だけど、“隣の芝生は……”と言えるにはゆとりが必要ですよね。本能として持っている欲をリリックとして発しながら、“自分も矛盾して生きてる”ってことも分かってるんですよ。
他にも、技術の進歩によって助かってる俺がいるけど、その一方で自然破壊は進んでいる。すべてが均等でうまくいくことなんて、この地球上には無いと思うんですよ。

--それは後半のバースで歌われている所ですよね。

SHIN:“増える争い”というリリックもありますけど、これはネットについての言及で、世界中の人たちとコミュニケーションができるようになったけど、それによって浮き彫りになった問題もありますよね。「JAM」には無かった所や、ラップだからこそできる表現を詰め込んでいきましたね。

--ただ、「JAM ~絶望の夜を越えて~」には残念だと思う所もあります。原曲の終盤に出てくる“乗客に日本人はいませんでした”という歌詞は、90年代を代表する名パンチラインだと思うのですが、CLIFF EDGEはそこを変えました。

JUN:はい。

--本来であれば、そこがどうなっているのか、曲を聴いて確かめて欲しいじゃないですか。でも、ネットで検索すれば答えが分かるし、ともすれば言葉のみで捉えられてしまいます。

JUN:それはありますけど、曲を作っているときにはあまり考えないようにしていますね。やっぱり曲の最初から最後までをどういう物語で聴いてもらって、どういう抑揚をつけていくのか。作るときはそこを一番に考えていますね。

--でも、この歌詞を変えるか否かの覚悟も含めて楽しむというか、そうやって聴いた方が楽しめる楽曲ですよね。

JUN:確かに(笑)。ただ、僕ら的には、あの歌詞は迷わず変えるべき所だと思ったんですよ、あまりに名パンチラインすぎて。そこを使っちゃったら逆に失礼じゃないかと思って ―――もちろん変えるにもそれだけの覚悟が必要なんですけど、そこは迷わずでしたね。

もう一つの問題作「SSS」

▲YouTube「SSS~キヤノンiVIS miniで自分撮りしてMUSIC CLIPをつくってみたver.~」
▲YouTube「SSS~キヤノンiVIS miniで自分撮りしてMUSIC CLIPをつくってみたver.~」

--また、問題作という意味では6曲目「SSS」も印象的です。もちろん、今までのアルバムにもダンサブルなアッパーチューンが必ず収録されていました。ただ、この曲は大きく3種類あるパートのそれぞれがEDMやダブステップをはじめ、様々な要素がスタイリッシュに構成された、非常に独特のサウンドになっています。

DJ GEORGIA:今まではアッパーチューンを作るとき、世界基準の一歩手前というか、ちょっとポップスなフィルターを通したりを意識していたんですよ。
でも今回は、普段音楽を聴いているときやDJをやっているとき、「この曲はラップが乗るな~」と頭の中にストックしてきた方向性でやってみるというか。例えばサビから2番に行くときのアレンジを、ダブステップ方面に起源がある音に落とし込んだりとか。
なかなか僕らのジャンルで、こういう所まで深くダンスミュージックに触れられる機会ってあんまり無い気もするので、「SSS」は納得がいってますね。

--間奏の“もたった”タム回しが気持ちよかったのですが、この手のリズムって日本人は苦手というか、使わない人が多いですよね。

DJ GEORGIA:作れる人があんまりいないんだと思うんですよ。やっぱりダンスミュージックのカルチャーを掘り下げている人って、意外と少ない気がしますし。「2013年はこんな感じでした!」みたいな感じですね(笑)。例えば音階があるキックの音とかも、今年を象徴するEDMの出来事のひとつというか。そういう旬も入れられたのは進歩ですね。

それこそ『Diamond Stars』で改めて自分の武器を知れたからこそ、いつもより外角へ投げることもできるようになった。ストライクはいつでも投げられるから、ボール球を狙って投げることもできるようになったんですよね。

--また、こうした後ろノリのビートだと、ラップの乗せ方も変わってくると思うのですが。

SHIN:いつもと違って、ラップの言葉尻を後ろにこぼしていく感じなんです。最初にオン(=ジャスト)でラップしていって、それを一度プロトゥールスでわざと後ろにズラすんですよ。で、それを参考にラップしていくと慣れていくので、本番のレコーディングはそれを歌う。そういう手法も『Diamond Stars』があったからできたことで、松尾(潔)さんに言われた後ろノリの勉強をしていたら、GEORGIAがここまで後ろノリのトラックを作ってきて、そのビートに踊って作りました。

JUN:GEORGIAの言うボール球に対しても完璧な信頼があったからこそ、それを壊す作業なんですよね、俺は。いかにポップなメロディをつけて、洋楽的じゃない所まで持っていってCLIFF EDGEの曲にできるか。本当にかっこいいビートにメロディを加えることで、より凄い化学反応を起こす方法が分かってきた感じはありますね、実感として。

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この曲は男だらけでよかった

▲YouTube「涙の友情ソング!!奇跡のコラボ曲「Neverending Memories feat. デジカット, KingrassHoppers, BIRTH」」
▲YouTube「涙の友情ソング!!奇跡のコラボ曲「Neverending Memories feat. デジカット, KingrassHoppers, BIRTH」」

--8曲目「Neverending Memories feat. デジカット, KingrassHoppers, BIRTH」には盟友とも言うべき面々が参加されています。

JUN:この3チーム全員がみんな結成から10年前後の、割と歴のあるミュージシャンだったりするので、「やっぱり同じようなこと考えてるんだな~」とか、同じような目標を持っているんだって気付けたことが面白かったですね。

SHIN:歌詞をまとめる役が俺だったんですけど、みんな恥ずかしいくらいの友情や涙を赤裸々に書いてきてて。やっぱり色んなドラマがある中で、みんな同じようなことを考えてる。この曲は男だらけでよかったなって思いますね。

--同じく友情を歌った「ろくでなしメモリーズ」との対比も面白いですね。

JUN:この曲はどちらかというと、それぞれに仲間を持つ男たちを描いていて、「ろくでなしメモリーズ」は完全に俺ら3人の物語なので。そういう違いはありますね。

--また、今作は本編の最後として「Change Myself」があり、ボーナストラックに「Let’s Go! BRONCOS」が収録されています。

JUN:アルバムの最後は、常に次を匂わせるような終わり方にしたいとは思っていて。「Change Myself」を最後と捉えるのなら、これは色んな試行錯誤してできあがったトラックで、こういう応援歌にも色んなアプローチがあるっていう引き出しが増えた、印象的な楽曲ですね。
この曲は“CLIFF EDGE 2nd STAGE メモリアルソング”と銘打っていますが、「次のステージをどうやっていこうか」を考えて書きました。だからこそ変えようとか変わろうとか、そういう言葉が出てきたんだと思います。

勇気、元気を与えることが僕らの使命

--もう一方の「Let’s Go! BRONCOS」はプロバスケリーグ=bjリーグの埼玉ブロンコスのオフィシャルソングになりますが、起用から7年ほどが経った今に収録した理由は?

JUN:ブロンコスの試合は今シーズンも何回か応援に行っているんですけど、ブースター(=バスケやアメフトにおけるファンの呼称)のみんなに届けたかったのもあったし、「CDは無いんですか?」っていう問い合わせもいただいていたんですよ。

DJ GEORGIA:元々はインディーズのときに出した「To The Champ」という曲の歌詞が変わったバージョンだったんですよ。でも、7年も流れているので、今回はブースターの方々に印象付いているであろうリフの部分だけ残して、他の部分は思いっきりEDMを意識した感じにアレンジしていった感じですね。
去年、さいたまスーパーアリーナでの試合で応援としてライブをさせていただいたことがあったんですよ。けっこう広い会場でも鳴る可能性がある中で、どれだけかっこよく鳴らせることができるのか。ヘッドフォンで聴いたときと大きな会場で聴いたときとで全然違う曲になると思います。

--……と駆け足で伺ってきましたが、そんな1作のタイトルを『PLATINUM HEARTS』とした理由は?

JUN:前作のダイヤモンドから引き継いでのプラチナっていうのはありましたね。そして人というのは色んな状況があって、それぞれのシチュエーションの中で悩んでいて、2つは立たないことだって多々ある。そういう悩みを持っている人たちに、勇気、元気を与えることが僕らの使命だと思っていて、それぞれの輝きを持って欲しいという意味で『PLATINUM HEARTS』と付けました。

SHIN:かつて“CLIFF EDGEはラップの登竜門”なんて話もしていた時期もあったし、歌詞を書くにあたって自分を紐解いていく時期もあった。色々経験して一周まわって音楽の本当の楽しさというか、「こうやったらラップって楽しいよ」とかもどんどん提示していきたいですね。

DJ GEORGIA:自分がかっこいいと思うものを音にできるっていう所まで、あと2回くらい開花したらいけるような気がしているんですよ。僕の中で「ここを出したい!」っていう所まで、もうちょっとで到達できそうで。「Let’s Go! BRONCOS」は今までで一番納得できたトラックだと思えたりもしてて、そうやってどんどん自分のハードルを越えていきたいですね。そこはひたすら突き詰めます。

JUN:やっぱり音楽って良いスピーカーで聴けばもっと面白くなるし、色んな聴き方がある。そういうサウンド的な面白さもどんどん提示していきたいですね。当然売れるメロディっていう所も変わらず研究し続けているし、売れたいって気持ちは絶対にあります。その中で、やっぱり良い音楽っていうのは、僕らなりに最大限で臨んでいきたいですね。

Music Video

CLIFF★EDGE「PLATINUM HEARTS」

PLATINUM HEARTS

2013/11/27 RELEASE
KICS-1980 ¥ 2,619(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Opening ~Time has come~
  2. 02.キミからの贈り物
  3. 03.JAM ~絶望の夜を越えて~
  4. 04.LIFE
  5. 05.ろくでなしメモリーズ
  6. 06.SSS
  7. 07.Angel feat.中村舞子
  8. 08.Neverending Memories feat.デジカット,KingrassHoppers,BIRTH
  9. 09.さぁ手をつなごう
  10. 10.Change Myself
  11. 11.Let’s Go! BRONCOS [Bonus Track]

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