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ソニマニ・サマソニ 総力レポート
8月10日、11日にかけて【SUMMER SONIC 2013】が千葉・QVC マリンフィールド&幕張メッセと大阪・舞洲サマーソニック大阪特設会場で開催。鋼鉄過ぎたメタリカ、圧巻の完璧ステージだったミューズといった強力ヘッドライナー陣に加え、ももクロは入場規制でサマソニ伝説を再び巻き起こし、トラブルを演出に変えたミスチルの存在感など編集部が独自の観点でピックアップした出演の白熱ライブ・レポート。前夜祭として開催された【SONICMANIA】の模様も掲載。灼熱の中、絶頂に達した音楽の祭典を徹底特集。
東京会場、初日から記録的な猛暑の中、マリンフィールドに設営されたMARINE STAGEではONE OK ROCK~マキシマム ザ ホルモンと国内バンドからフォール・アウト・ボーイ、ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインとずっしりとした重量級パフォーマンスが繰り広げられ、幕張メッセのMOUNTAIN STAGE、SONIC STAGEでも昼前おかフィドラーのおバカステージ、要注目グループ、チャーチズ初来日公演、UKからの超新星、ジェイク・バグと新世代の凄まじいアクトが展開。
残念ながら初日のMOUNTAIN STAGEトリを務める予定だったビーディ・アイがギタリスト、ゲム・アーチャーの怪我の為、開催直前に出演キャンセルとなったものの、ステレオフォニックスが完璧なロックンロール・ショーで締めくくり、MARINE STAGEはヘッドライナーでもおかしくないリンキンパークがヒット曲のオンパレードでこの日の重量打線ラインナップを引き継ぎ、綺麗な弧を描く満塁ホームランを打ち、トリのメタリカが安定感ある鋼鉄サウンドでダブルアンコール、圧巻の2時間半のほぼフルセット・パフォーマンスで初日はフィナーレ。
2日目は波乱の幕開けとなった。MOUNTAIN STAGEのトップバッター、ももいろクローバーZにはこのステージは小さすぎた。彼女たちの現在の勢いはもう幕張メッセでは収まりきれないのだ。早々に入場規制となる中、駆け付けたオーディエンスに熱狂のパフォーマンスを見せつけた。SONIC STAGEでもキャピタル・シティーズ、ザ・ロイヤル・コンセプト、ピースと海外から新しい風が吹き荒れる。
MARINE STAGEは昨日と変わって色とりどりのアーティストがラインナップされ、“U2の再来”と呼び名の高いイマジン・ドラゴンズがスタジアム・ロックを叩きつけ、ジョン・レジェンドがその歌声で猛暑を和らげる。続くスマッシング・パンプキンズが圧倒的な音像を生み出し、新旧のヒット曲を炸裂させた。
このステージトリ前となったMr.Childrenは重なる音響の不具合にも「トラブル大好き!」とそれすら演出に書き換え、終始大合唱で国民的ロック・バンドであることを証明してみせた。そして、2日間の大トリとなったのは、今年1月の単独公演でさいたまスーパーアリーナをソールドさせたミューズ。サマソニ第1回目のトップバッターを務めた彼らはモンスター・バンドとなって帰ってきた。映像・照明と圧巻のパフォーマンスでロック・ファン歓喜に導き、灼熱の2日間に最高の終止符を打った。
ソニマニ、サマソニのライブ・レポートをCHECK!
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22:30~
豪華すぎるほどのラインナップが揃ったSONIC MANIAのメインステージ、MOUNTAIN STAGEには人が次々となだれ込む。ステージが暗転すると待ってましたと言わんばかり(いや、言っていた人も多かっただろう)の大歓声。1曲目「Magic of Love」が始まるとテンション爆発。「Spending all my time」、「ポリリズム」を立て続けに披露し、前に押し掛ける者もあれば、後ろで縦横無尽に踊り狂うファンもおり、これぞ大規模フェスの自由度を感じさせる。ラストは、PerfumeライブではおなじみのPTA(パッと楽しく遊ぼうのコーナー)で会場のボルテージを上げまくり、そのまま「チョコレート・ディスコ」でハッピーエンド。MCであ~ちゃんが放った「まだまだシンクロできるよね?」という言葉のとおり、屋内だからこそ感じることのできる音と光、そしてオーディエンスの一体感に包まれた。
23:30~
Perfume終了からSONIC STAGEへ大移動してきたオーディエンスたちが目撃したのは点滴を打ち、車椅子に乗った石野卓球と、それを押すピエール瀧、そしてステージ両サイドの巨大な顔のオブジェだった。これから始まるノンストップのダンスパーティに心が躍る。二人で「頑張れ~」「負けんな~」と絶叫しながら「The Big Shirts」、「Missing Beatz」をドロップ。PSBを観に行こうとするオーディエンスもピタッと足を止め、しばし電気グルーヴのビートに吸い込まれる。左右の顔のオブジェにはトリッキーなプロジェクションマッピングとともに、「ガリガリ君」、「FLASHBACK DISCO」、そして「Shangri-La」と続く黄金リレーが展開されると、フロアが揺れに揺れた。50分にギュギュっと凝縮されたパフォーマンスは「あすなろサンシャイン」からの「レアクティオーン」で締めくくられた。
23:40~
キング・オブ・エレポップことPET SHOP BOYSが6年ぶりに日本にカムバック。最新アルバムもリリースしたばかりで、多くのファンであふれかえったMOUNTAIN STAGEに「Axis」が流れ二人登場。すだれ状のスクリーンから放たれる映像と照明、そしてかぶりものの衣装に、一気にPET SHOP BOYSワールドに引き込まれる。6年前、いや30年前から変わらぬニールの声がまた素晴らしい。脳天をフワっと駆け巡るソフトな歌声とエレポップサウンドにキレキレのダンス、そしてそれに呼応する映像と照明が何とも言えぬ高揚感を創り出していく。後半は「It's A Sin」、「Domino Dancing」、「Go West」、「Always On My Mind」と怒涛のヒット曲連発でオーディエンスはさらにヒートアップ。「Go West」はもちろん大合唱。30年近い時を経て最新の映像設備と照明、衣装を手に入れた彼らのライブはよりコンセプチュアルで、エンターテインメント性に満ち、目も耳も奪われる圧巻のパフォーマンスであった。ラストを「Vocal」で締めくくると、会場は思わず笑みがこぼれるハッピーな余韻に包まれた。
01:30~
The Supremes「Stoned Love」がかかり、1stアルバムのアートワークを使ったおそろいのウィンドブレーカーを着たメンバーがステージに現れると、Mountain Stageは異様な空気に包まれた。ステージを見上げるオーディエンスの目は、若き日に衝撃を受けた伝説のバンドへの憧れと期待に満ちていた。マニの「I Wanna Be Adored」のイントロともに、地鳴りのような歓声が上がる。
前回のFUJI ROCKでのパフォーマンスの評判もあり少し変化がみられるかと思ったが、「俺たちは変わらないぜ」と言わんばかりに、「Elephant Stone」、「Ten Storey Love Song」と続けていく。「Waterfall」のイントロは一度やり直すハプニング(?)があったものの、若き日の青春ナンバーを彼らのやり方でプレイ。そこには彼らにしか為しえない音楽があり、オーディエンスもそれに大合唱で応える。マニはドット柄やカラフルなベースで淡々と確かなリズムを刻み、ジョン・スクワイヤはストラト、レスポール、SGを使い分け徐々にギアを上げる。レニはマイクが口に入りそうになりながらも、激しくドラムたたき続けている。そしてイアン・ブラウンはいつも通りに歌い、棒状のタンバリンを振りまくり、客席に投げ入れてはまた新しいのを取り出していた。「一体何本あるんだ!?」と思った人も多いはず・・・。ラスト「I Am The Resurrection」を終え、4人はお互いハグしあい、一列に並んで会場に一礼した。イアン・ブラウンは「トーキョー、No.1。サヨナラ」と言い残しその場を後にした。このライブを一番楽しみにしていたのは、ほかでもなく彼らなのかもしれない。
3:50~
Ed Banger Records 10th Anniversaryのトリ、そしてSONIC MANIAの大トリとして登場。ここまでにKRAZY BALDHEAD、BREAKBOT、BUSY Pがフロアを十二分に温めてきたRAINBOW STAGEでしょっぱなから「Waters of Nazareth (Erol Alkan's Durrr Durrr Durrrrrr Re-Edit)」、Boys Noize「XTC (MMM Remix)」を続けてフロアに投下。ストロボがバッチバチに炊かれる激しいライティングとアグレッシブかつ繊細なプレイで、満腹気味のオーディエンスにこれでもかと音の波を喰らわせ、これから数時間後にSUMMER SONICに参戦する人もそうでない人も負けじと体を揺らし、跳び、手を挙げた。そこには、エレクトロブームの先駆けとなりEd Bangerの屋台骨として活躍するJUSTICEの自負とそれに身を委ねるオーディエンスとの信頼を感じることができた。最後はサカナクションから流れてきたオーディエンスも加わり、フロアを埋め尽くした観衆に向けて「AUDIO, VIDEO, DISCO.」でこの盛大な前夜祭を締めくくった。
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12:30~
今年の【SUMMER SONIC】で、一番多く「カワイイ!」という言葉が発せられたのは、Perfumeでも、ももクロでもなく、チャーチズのSONIC STAGEでのライブではないだろうか。独特なロリータ・ヴォイスと最強にキュートなルックスで世界中を魅了するヴォーカリスト ローレン・メイベリー、キーボード、ベース、サンプラー、コントローラーなどを担当するイアイン・クックとマーティン・ドハーティが紡ぎ出すカラフルでキャッチーかつアグレッシヴなエレクトロ・ポップが懐かしくも新鮮なグラスゴー出身の3人組チャーチズ。
彼らにとってのデビュー・シングルとなった「Lies」でライブがスタートするものの、その直後に機材トラブルが。「暑すぎて、コンピューターが具合悪くなっちゃたみたい。」としばらく場を繋ぐためにローレンが初めて訪れた日本で猫カフェに行ったエピソードなどをはにかみながら語る。その後も「Now Is Not the Time」「Gun」や強靭なビートにローレンの透明感溢れるスウィートなヴォーカルが絡み合う「Science And Vision」と深遠なエレポップ・ワールドを展開していく。メンバーも淡々と演奏を続けていくが、やはり満足がいくようなサウンドではないようで、そのフラストレーションがマーティンがヴォーカルを担当(そしてこれが意外と美声)する「Tide」で、オタゲー的な動きとともに爆発!ラストの「The Mother We Share」では多少持ち直していたが、日本での初ライブを楽しみにしてたバンド、そして観客にとっても不完全燃焼なライブとなってしまったのでは…フェスでは起こりがちなアクシデントではあるものの万全の態勢で再び観たいと思わせてくれるようなポテンシャルを持つ現在進行形のパフォーマンスだった。
13:40~
デヴィッド・リンチの名作『Lost Highway』にインスパイアされたデビュー・アルバム『Bad Blood』のアートワークのバックドロップを背に、これまたデヴィッド・リンチの顔がプリントされたTシャツを纏ったダン・スミス率いるバスティルのメンバー4人がステージに登場。映画『The Breakfast Club』の台詞とともにアルバムのタイトル・トラック「Bad Blood」でライブがスタート。
まず驚かせられたのが、マイクを片手に縦横無尽にステージを動き回り、フロアタムやキーボードを演奏しても全くブレることのないダンの伸びやかなバリトン・ヴォイス。ダン以外のメンバーもマルチ奏者で、2曲の「Overjoyed」では、メンバー4人がステージに横並びになり、曲ごとに楽器を持ち替え、何層にも折り重なる細やかなアルバムのサウンドスケープを何なりと表現していく。映画『Requiem For A Dream』のセリフとともにダンが力強くフロアタムを叩いたかと思うとギリシャ神話のイカロスについて歌った「Icarus」のイントロがスタート。劇中で薬や欲望に溺れ堕ちていく登場人物と空を飛ぶことが快感となり、太陽に近づきすぎ墜落するイカロスの物語を重ねた、いかにもシネフィルな彼らしいセレクト&演出だ。そして『Other People's Heartache』ミックステープからコロナの「The Rhythm of the Night」をサンプリングした「Of The Night」と続き、ラストの全英2位を記録した「Pompeii」では、自然と沸き起こるシングアロングとともに会場の一体感は最高潮に。
インタビューで、ダンは「ライブではまだ緊張するんだ。間があると何を言っていいかわからない。」と話していたが、そんなことを微塵たりとも感じさせない堂々とした立ち振る舞い、そして丹念に作り込まれたアルバムの世界観をさらに進化させた新たな到達点をライブで表現してくれた。
14:00~
まだ19歳のジェイク・バグ。デビュー・アルバム国内盤は今年リリースとなったが、昨年からその若き才能の衝撃は世界中のロックファンを虜にし、5月の初来日公演でもギター1本で渋谷CLUB QUATTROに集まった大勢のファンを魅了。国内の音楽メディアも大きく取り上げ、注目度は今年のNo.1間違い無し。サマソニ初登場の新人アーティストにも関わらず、出演は幕張メッセ会場で一番の収容人数を誇るMOUNTAIN STAGEというのも納得。当然フロアは開演前から大勢のオーディエンスでにぎわっていた。
QUATTROとはキャパがあまりにも違うが、ステージに現れた彼はTシャツ1枚にジーンズとラフな服装で、さらりとした表情はすでに大物のオーラを放っていた。しかし、顔だけ見ればまだまだ少年の雰囲気が残っているのだ。今回は初のバンドセットで、ベースとドラムを配置したシンプルなステージを展開。まだリリースした作品もアルバム1枚しかないので、曲目はデビュー作からの楽曲が大半を占めるが、巨匠リック・ルービンのプロデュースによる新作アルバムから新曲もいくつか披露。とてつもなくギターが上手いわけでも歌唱力がずば抜けているということでもなく、力強いギターのストロークと、ひたむきにしっかりと歌うだけ。しかし、シンプルな演奏と彼の歌声は聴く者の耳と目を掴んで離さない。新しい音楽でもなければ、流行の音楽でもないだろう。彼の愛する先人たちが積み重ねてきたメロディーの歴史。それに媚びることなく敬意をもって自分自身が立ち向かう姿がそこにあるからだ。素晴らしい才能も開花させる努力をしなければ意味を持たない。しかし、努力の上に開かれる才能がとてつもないモノであれば人は心奪われる。新星のサマソニ初公演。ありがちな“伝説のステージ”になるかどうかはわからないが、あの場所で彼の音楽を聴いたことは10年後、20年後に自慢できるはずだ。
15:35~
例年類をみない炎天下の中、フォール・アウト・ボーイの登場を今か今かと待ち望む観客のさらなる熱気で溢れかえる満員のMARINE STAGE。大歓声の中、登場したフロントマンのパトリック・スタンプは、ちゃっかりと黒地の【SUMMER SONIC】Tシャツを着用。
お決まりの「Thriller」からライブは幕開け、ベーシストのピート・ウェンツが「日本は第2の故郷だ!」と叫ぶと、「This Ain't a Scene, It's an Arms Race」のイントロがスタートし、コーラス部分ではピートとギタリストのジョー・トローマンがステージをエネルギッシュに駆け回る。最新作からは「The Phoenix」「僕の歌は知っている」、そして日本で初めて「Alone Together」を披露。観客とのコミュニケーションも精力的で、コール&レスポンス、手拍子、タオルを回すように煽るなどはもちろん、パトリックが手でハートを作るなど、いかに彼らが日本のオーディエンスのツボを知り尽くしているかが伺える。そしてフォール・アウト・ボーイの人気を不動のものとした大ヒット・ナンバー「Dance, Dance」「Thnks fr th Mmrs 」と、もはやベスト・アルバムをそのまま演奏してくれているのではないかと思うほど、ファンにとっては最高のセットリストでライブが進行していく。そしてラストは「Saturday」でビシッと締め、彼らの魅力がギュッと凝縮された約1時間のステージが終了。4月に行われたクラブ・ギグも素晴らしかったが、10年以上のキャリアも積んできたこともあって、若き“ロックンロール・ヒーロー”達による観るものすべてを惹きつける圧巻のパフォーマンスは、やはり大きなステージが似合うんだと改めて確認させられた。
18:55~
この日、何本の人差し指と小指が天に突き出されたのだろうか。本当に灼熱の炎天下の中、マキシマム ザ ホルモン、ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン、リンキン・パークら超重量打線による圧巻のパフォーマンスが続いたMARINE STAGE。19:00を過ぎてようやく日が沈み、風が流れ身体の熱気も収まってきた頃、ステージが暗転し、おなじみSE「The Ecstasy of Gold」で会場から怒号のような歓声が上がる。アルバムのリリース直後でもなく、完全再現企画でもない今回の公演はどうなるのか?ラーズ(dr)の頭皮後退具合にちょっと驚きながらも、待っていたのは怒涛のグレイテスト・ヒッツ・ステージだった。
1曲目「Hit the Lights」で安定感ある重厚サウンドを鳴らし、ファンの背筋をきっちり伸ばしてから「Master of Puppets」にサビでは「Master!Master!」コール。段差のある広大なステージ背面をすべてスクリーンにしているものの、その他に目立った装飾や演出は用意されておらず、シンプルに4人が鳴らす音を感じることができる。
ジェイムズ(Vo,Gt)もステージ各所に設置されたマイクを有効活用し、動きまわりながら「Holier Than Thou」、「The Four Horsemen」、「The Day that Never Comes」と畳み掛け、「今日は滅多に演らない特別な曲を」と語り、飛び出したのが「Carpe Diem Baby」、「I Disappear」という渋すぎな楽曲たち。熱心なメタラーは更にヒートアップ、フェスとあって知らない観客たちも「よっくわかんねーけどカッコいい!!!!」と盛り上がりは収まりを見せない。その後も「Orion」で往年のファンを泣かしてからの「One」と定番曲を連発し、中盤からバテてきたオーディエンスを煽るように「For Whom the Bell Tolls」を持ってくる。この辺に王者の風格を感じずにはいられない。「Blackened」を挟んで「Nothing Else Matters」、「Enter Sandman」のシンガロングで本編は終了。
アンコールでは「イチ・ニッ・サンッ・シッ!!」と叫ぶジェイムズに心奪われながら「Creeping Death」からの「Battery」に会場は一体となって狂喜乱舞状態。帰りそうで帰らないダブルアンコールなのか、ジェイムズのツンデレなのか楽しすぎるやりとりを一通り終えて、「Seek & Destroy」で鉄球(バルーン)が降ってきて大フィナーレ。メタルというジャンルを超越してロック界の王者に君臨する彼ら。80年代から90年代の鉄板曲を網羅し、渋すぎるレア曲まで鋼鉄のスタジアム・ロックを完膚無きまでに叩きつけてくれた。
19:45~
惜しくも出演キャンセルとなってしまったビーディ・アイに代わり、この日MOUNTAIN STAGEのラストを飾ったのは、ステレオフォニックス。英国では、数々の名だたる音楽フェスのトリを飾っているものの日本では中堅のポジションを長年キープ(?)している彼らだが、堂々としたいぶし銀のパフォーマンスでウェールズ、そしてイギリスを代表する国民的バンドの実力を見せつけてくれた。
前半は主に今年リリースされたばかりの最新作『Graffiti on the Train』から「Catacomb」や「Indian Summer」などの渋めでゆったりとしたナンバーを演奏。決して派手ではないが、バンドの活動20年間に培ってきたフロントマン ケリー・ジョーンズの巧みなソングライティングと情緒的な詞をぐっと噛みしめ、円熟味を増した“ステレオフォニックス”ワールドにじっくりと浸る。中盤からは、「Pick a Part That's New」を始め、ケリーの歪んだ歌声が大きなアリーナを温かく包み込むバラード「Just Looking」や「Maybe Tomorrow」など初期のナンバーが次々と披露され、「Have A Nice Day」のコーラスでは会場が一体となる。サイドをガッチリと固めるオリジナル・メンバーのベーシスト リチャード・ジョーンズの肉体的かつ堅実なプレイはもちろん、ギタリスト アダム・ジンダーニ、そしてサポート・キーボードのトニー・カーカムの参加は、元々トリオだった彼らの音世界に奥深さを与え、いい味を出している。そしてロックンロール・チューン「The Bartender and the Thief」でバンド、そして観客のテンションはどんどん加速。
ラストはやはり「Dakota」。なんとなくスチュアート・ケーブルの面影があるドラマーのジェイミー・モリソンの怒涛の鬼ドラミングでライブが終了。他のメンバーがステージを去った後もしばらくジェイミーが床に倒れ込んでいるほど、最後は気迫溢れる演奏で初日のMOUNTAIN STAGEを締めくくった。
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11:30~
昨年の大阪でのサマソニ伝説から1年。
RAINBOW STAGEからMOUNTAIN STAGEに。
彼女(&モノノフ)たちにはもう狭すぎた。
サイリウムの海は来年きっとMARINEへ。
12:05~
1日の暑さがピークに達する正午過ぎ、まさに灼熱と化したMARINE STAGEに登場したゼブラヘッドが「ヘヴィメタル」で怒涛のスタートを切った。2ndアルバム以来のセクシージャケットを使用し話題を呼んだ、新アルバムの表題曲「コール・ユア・フレンド」では、スペシャルゲスト、岡本夏生が25年振り(!?)となるハイレグ姿で登場し、ゼブラヘッドに負けじとバブル全盛期を彷彿とさせるキレッキレのダンスで会場をさらにヒートアップさせた。
日本語でのド下ネタや、Mr.Childrenの「シーソーゲーム」、L'Arc~en~Cielの「READY STEADY GO」のカバーなど、日本人のツボをピンポイントで衝いてくるあたりは流石としか言いようがない。伊達にサマーソニック最多出場していないモンスターバンドと言ったところか。オーディエンスも彼らの勢いに引っ張られながら「プレイメイト・オブ・ザ・イヤー」「アンセム」など、従来の名曲達でラストまで乗り切り、熱い、暑い真夏のロック・パーティーを繰り広げた。
13:50~
今、最も輝きを放つ歌姫を一目見ようと集まった観客で、入場制限ギリギリでは?と思わせるほどにまで膨れ上がった超満員のMOUNTAIN STAGE。ようやく会場に入れた時には、黄色い歓声が会場中に飛び交う中、もはや日本でもお馴染みの、エレクトロ・ポップ・サウンドの先駆け「グッド・タイム」で会場は超巨大ダンスホールと化していた。何とか潜り込んだ後方からの光景は、会場の軋む音が聞こえそうなほどの、オーディエンスが黒く大きな塊と化して上下左右に揺れ動く圧倒的景色が広がっていた。ライブ中盤には、色鮮やかな紙吹雪がド派手に舞ったかと思えば、彼女は観客席まで降り、前方のオーディエンスと握手やハイタッチを決め、会場をさらに興奮の渦に巻き込んでしまう。ラストには数名の観客をステージ上に呼び込み、自身の大ヒットナンバー「コール・ミー・メイビー」を堂々と歌いあげ、その溢れんばかりのカリスマ性を存分に魅せつけてくれた。
15:55~
今年2月に【Hostess Club Weekender】に出演し、ベスト・アクトと評判になったパーマ・ヴァイオレッツが早くも再来日し、このサマソニのステージに立つ。“広いステージをどれだけ勿体なく使用するか”というコンセプトでもあるのか?とツッコミたくなるほどコンパクトにセッティングされた機材たちを前に熱心なファンから前評判を聞いた敏感なファンと、大勢のオーディエンスが集結。
ほぼ開演時間通りに照明が落ちて彼らの敬愛するニック・ケイヴが流れる中、メンバーが登場。パフォーマンスをスタートさせると登場時のクールでスタイリッシュな雰囲気から一転、サム・フライヤー(G & Vo)のジャッキジャキのテレキャスターとチリ・ジェッソン(B & Vo)のブリッブリのベースがかき鳴らされ、ツイン・ヴォーカル2人のシャウトが響く。前回の公演より会場ながら、恥ずかしいくらいの“躍動感”と“高揚感”を会場に満たし、この日もきっちり聴衆を魅了してくれた。
16:10~
開演直前に到着したRAINBOW STAGEには、独特の神秘的な会場美術と、幻想的なSEで緊迫感漂よっていたが、それを切り裂くような1曲目はステージと同名曲「RAINBOW」。彼ららしい洒落た幕開けだ。
彼らのセンセーショナルなサウンドが色濃く反映され、美しくも激しく躍動する、ライブでは鉄板の、「荒狂曲"シンセカイ"」で会場をハチャメチャにかき回したかと思えば、新曲「alongside」を披露。彼らの楽曲の要ともいえるヴァイオリン・東出の流れるような演奏は、まるで夏の風物詩”風鈴”のような心地のよい音色を奏でる。その涼しげなメロディに誘われてか、ぞくぞくとオーディエンスがステージに集結していく。それに比例するように、ボーカル&ギターの金井の歌声もより伸びやかに、より美しく会場に響き渡っていく。彼らはやはり”ライブバンド”なのだ!と改めて感じさせてくれるパフォーマンスであった。一時ではあったが、真夏の猛暑を忘れさせてくれるような爽やかな旋風をRAINBOW STAGEに届けてくれたことに感謝したい。
17:10~
国民的ロックバンド、Mr.Childrenがサマソニに初登場。昼過ぎから空に浮かんでいた雨雲から降り出した小雨の中、メンバーが登場。正に悲鳴の様な大歓声に応え、各々がポジションに着いて鳴らしたのは「名もなき詩」。いきなりの大ヒット曲に会場の全員が大きく反応し、ほぼフルコーラスで大合唱が繰り広げられた。更に曲が終わる頃には雨も止むサプライズも。
この時点で単独公演と言っても間違いではないほどの一体感が生まれていたが、彼らが絶対的な国民的バンドであることを証明してくれたのはここからだった。「NOT FOUND 」、「Worlds end」、「GIFT」とこれまでリリースしてきたベスト盤からの楽曲を中心に人気曲を披露。途中マイクトラブルが発生するも、イントロがなる度に歓声が沸き、桜井も「ミスチルの音楽に触れた事のない人の心の隙間に届くような演奏をしたいと思います。」と語り、その歓声に負けないほど、叫び、ステージを駆け回る。最新曲「REM」から「ニシエヒガシエ 」とエッジの効いたナンバーを連発し、「フェイク」に突入すると、先ほどのマイクトラブルで感じた不安が思い切り的中。スピーカーからの音が切れてしまい、しばらく生バンドと生声だけになってしまったのだ。しかし、「トラブル大好きです!こんなこと滅多にないから!!」と復活すると、直接「聞こえてる?」とバンドの音を出して、再スタート。フルコーラス大合唱の一体感もすごいが、トラブルも演出の様に空気を一変させ、それすら楽しみに変えてしまうエンターテイナーっぷりには手放しで絶賛。もう一度「フェイク」をやり直してお得感まで与えたら、後半は更に大サービスと言わんばかりに「終わりなき旅 」、「fanfare」からの「innocent world」と一大フィナーレを迎えた。流石ミスチル。
19:10~
午前中の猛烈な太陽の日差しの暑さとはまた違う、恐ろしいほどの人の熱気がMARINE STAGE立ち込めているのを肌で感じたが、その割に妙な緊迫感が張りつめ、まさに嵐の前の静けさといった模様であった。その空気を一閃するかのようにミューズが登場!と同時に張りつめていた糸が一気に、歓声ともいえない、発狂にも似たものが会場中から一斉に挙がった。1曲目「スプレマシー」の最初のギターリフが鳴り響いた瞬間、さらに会場から挙がる歓声は大きくなりはじめ、「フォローミー」までくれば、会場を包み込むほどの怒涛のシンガロングを創り出した。
そして圧巻だったのが驚愕の映像美。ステージを囲むように設置された後方の大型ビジョンと左右のビジョンを最大限に駆使し、演奏と映像を見事シンクロさせド迫力ライブ空間を演出してみせた。真っ暗な外野席には無数のレーザーライトが降り注ぎ、怒涛のジェットスモークや巨大ロボの出現など、会場全体をフル活用してこそ、彼らの真のパフォーマンスを拝むことができるのであろうと感じさせられてしまった。もはや、音楽という枠に収まりきらない彼らのパフォーマンスは、正に圧倒的存在感を放っていた。
ラストソング「ナイツ・オブ・サイドニア」では3人の複雑に混ざり合う絶対的ユニゾンと共に盛大に花火が打ち上げられ、劇的なラストで幕を閉じた。2日間及んだサマソニのMARINE STAGEの大トリを会場にいた全員が納得せざるを得ない内容で見事勤め上げたくれた。
Photo:
SONICMANIA / (C)SONICMANIA 2013 All Rights Reserved.
SUMMER SONIC 2013 / (C)SUMMER SONIC 2013 All Rights Reserved.
Mr.Children / OSAMI YABUTA(FEMME)
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