ダニエル・ラノワ来日公演へのプロローグ

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ダニエル・ラノワ

daniellanois

いよいよ来日公演が迫ってきたダニエル・ラノワ。来日を目前に控え、今年3月に発売された自伝書『ソウル・マイニング～音楽的自伝』(みすず書房)の訳者であるKoyu氏に、公演へのプロローグを綴ってもらった。

daniellanois ニール・ヤング、U2、ピーター・ガブリエル、ネヴィル・ブラザーズ、エミルー・ハリスなどのプロデューサーとして有名なダニエル・ラノワ。彼自身もギターを弾き、歌う。彼の音楽の持つ多面性は聞く人を困惑させるかもしれない。カントリー／ニューオリンズ風のアメリカーナ的なものから、ポストロック／シューゲイザー的な爆音ギター、そしてループを使ったアンビエント的なものまで。しかしそのような一種の分裂性はラノワ個人の中に共存しているのだ。そしてそれは彼の少年・青年時代における経験からのとても自然な帰結なのだろう。

そこには孤独感と静寂がある。たとえどんなにレスポール・ギターを大音量で演奏していたとしても。音の響き／テクスチュアの微細な部分にまで向き合おうという彼の繊細さがそこにはある（ブライアン・イーノがアンビエントミュージックを生み出したとき、その音響制作の片腕を担ったのは若きラノワだったことを忘れてはならない）。

「夢の力は、いつも私とともにあった。カナダで育った子どもとして、生きていくために自分ができるのは夢見ることだけだということが何度かあった。私の周りには、私が知っているようなことを教えてくれる人は誰もいなかった。」（ダニエル・ラノワ『ソウル・マイニング～音楽的自伝』より）

カナダの厳しい寒さ。フランス系というマイノリティであること。そして貧しく育ったこと（十代からさまざまな楽器を担当してショーバンドでドサ廻りをしている）など、そしてさまざまなコンプレックスが彼の音楽に大きく影響を与えているような気がしてならない。

daniellanois 「私の頭の中にあるイメージは、全て明らかにカナダ的なものだ。グランド川がシックスネーションズ先住民居住地区を切り裂いていく。私が見つめた先住民の眼、アルコールが含まれているその眼が、私の曲『スティル・ウォーター』のインスピレーションとなった。この曲は旅立ちの曲だ。しかしこの曲は帰還の歌でもある。オンタリオでのタバコ摘みは汚らわしい仕事だ。これは昔から、イギリス系カナダ人に雇われたフランス系の若者たちがやる仕事だ。私の曲『オ・マリー』はこの労働と、あまりの辛さにやる気が失せていくことを歌った歌だ。」（同）

音楽に対してあまりに真剣であるために、自分がプロデュースするアーティストとぶつかり合うことも少なくなかった（ボブ・ディランの自伝に描かれているように）。今回のライブでは、そんな彼の真剣さはどのような美しい音として我々の前に提示されるのだろうか。

Koyu：ベース奏者、翻訳家（ダニエル・ラノワ『ソウル・マイニング』みすず書房刊など）。シカゴでブルースやジャズを演奏したあと、現在は東京在住。ベース・ソロ即興のほか、アフリカン／カリビアン音楽などを演奏。

独特なレコーディングの秘訣や新機軸を明かしつつ、ラノワは、自らの信念を語る。

好評発売中！
【ソウル・マイニング～音楽的自伝】

著者：ダニエル・ラノワ
訳者：鈴木コウユウ
出版社：みすず書房
定価： 3,990円（本体3,800円）
2013年3月22日発行

みすず書房オフィシャルサイト＞

ビルボードライブ公演情報

■ダニエル・ラノワ■

2013年7月29日（月）at ビルボードライブ大阪
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
サービスエリア 8,900円　カジュアルエリア 7,400円
公演詳細はこちら＞＞＞

2013年7月31日（水）～8月1日（木）at ビルボードライブ東京
1stステージ開場17:30 開演19:00
2ndステージ開場20:45 開演21:30
サービスエリア 8,900円　カジュアルエリア 6,900円
公演詳細はこちら＞＞＞