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山崎あおい 『夏海』インタビュー
山崎あおい、勝負の夏。
様々な個性派女性シンガーソングライターが次々とデビューしていく中、ひとり自分の個性について苦悩し続けていた彼女だが、おそらく今夏日本中で耳にするであろう新作『夏海』リリースを目前に控え、ひとつの答えに辿り着いた。
「私の個性は、王道。聴く人と同じ視点で王道を駆け抜けていく。」
アイドルシーンに負けずと(ちなみに山崎あおいはAKB48ファン)群雄割拠状態へと突入しつつある女性シンガーソングライターシーン。このウェーブの中心に立つのは一体誰なのか? 山崎あおいの“売れる為”=“歌い続ける為”の覚悟を感じてほしい。
AKB48総選挙の感想~山崎あおいが抱く劣等感=人並み
--山崎さんに会ったらまず聞きたかったことがあって。先日のAKB48総選挙の結果、どう思いました?
山崎あおい:(笑)。さしこ(指原莉乃)の1位はビックリしましたけど、嬉しかったです。さしこ、好きなんですよ。共感するじゃないですけど、多分、女子力があんまり高くないところとか、王道アイドルじゃないところが。
--山崎さんの推しメン、ぱるる(島崎遥香)の結果には?
山崎あおい:大満足です! 私もぱるるに投票したんですけど、選抜に入ってくれればいいと思っていたので。まぁ速報でもうちょっと上位を期待しちゃったんですけど、今回は12位で十分じゃないかと。
--感想がガチヲタ(笑)。
山崎あおい:アハハハハ!
--今回は辞めたメンバーも立候補できたりと、いろいろ画期的なことをやっていましたが、ああいう仕組みも好きだったりするんですか?
山崎あおい:(平嶋)夏海ちゃん、卒業メンバーから立候補しましたよね。今回の私のシングルも『夏海』なんで、気になっていたんですけど(笑)。アリなんだなと思いました。何でもアリですよね、最近。
--注目を集める為の仕組みや仕掛け。山崎あおいとしても試みてみたいって思うことはありますか?
山崎あおい:いや、私はいいです。私はアイドルのそういう仕組みとかに、ファンとして翻弄されているのが楽しいだけなので。もうそれで十分。
--では、現在のアイドル人気に対抗する為には……的なことって考えたりしますか?
山崎あおい:私は対抗しようとも思っていなくて。アイドルとは別世界の人間だと思うし、アイドルとは真逆の人間だと思っているんです。アイドルって自分のことを好きじゃないと出来ないじゃないですか。でも音楽やってる人って、自分に劣等感を持っていないと難しいと思うし。私たちは自分の音楽をやって、アイドルには楽しませてもらえればいいし、アイドルもシンガーソングライターやバンドの音楽を聴いて「良いな」って思ってくれればいいし。別に張り合う必要はないと思いますね。
--今、劣等感というワードが出てきましたけど、山崎あおいもそれが強くあってこそ音楽をやれていると思う?
山崎あおい:自分は壮絶な過去があるとか、そういう人ではないんですけど、逆にそういう人ではないことが嫌だったりして。何もないことに劣等感を感じて生きてきた。昔から何やってもすごく中途半端で、勉強やってもそこそこ褒められるぐらいだし、テニスで全国大会へは行きましたけど、そこで勝てるレベルではなかったんです。何やっても「誰かの次だよね」っていう感じ。
--その劣等感は今現在も抱えている?
山崎あおい:ずっと付きまとってくるものだと思います。友達の中でもトップで目立つタイプではないし、引っ張っていくタイプじゃないし、どちらかと言えば集団の中でヘラヘラ笑っているだけの人だったりする。もちろん目立つ人には憧れますけど、私には難しいと思う。
--ただ、そうした自分すら飲み込めてこその、今の山崎あおいですよね? 奇抜ではないけれど“そこにあるものをそのまま歌って何が悪い?”的な感覚が今はあるのかなって。
山崎あおい:そうですね。吹っ切れてきた。ここ1,2ヶ月で出てきた気持ちの変化だと思うんですけど、壮絶な過去を抱えて、普通じゃない気持ちを抱えている人が壮絶な曲は歌えばいいし、それに共感する人がいてもいいと思う。でも私は人並みの苦労をして、人並みに努力をして、敷かれたレールとやりたいことの狭間で悩むという、この年相応の経験をしてきている人。逆にミュージシャンの中では少ないタイプかもしれないので、私はその中で生まれたものを歌っていけば、逆に普通じゃないのかもしれない。っていうところで、気持ちの整理をつけられるようになりました。
リリース情報
夏海
- 2013/07/10 RELEASE
- 初回限定盤[VIZL-544(CD+DVD)]
- 定価:¥1,700(tax in.)
- ≪試聴可能≫
- 詳細・購入はこちらから>>
- 通常盤の詳細・購入はこちらから>>
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
勝負作『夏海』=この曲をキッカケにどうにかなりたい
--そうなれたきっかけは?
山崎あおい:大きなきっかけがあった訳ではないんですけど、ライブとかのお客さんの反応を聞いている中で、自分には自分のやるべき、歌うべきことがあって、その役割を果たして、それを私自身も納得できるのなら幸せなことなんじゃないかなって。
--山崎あおいが発表してきた、積み重ねてきた音楽がそれに気付かせてくれた部分もあるのでは? 「私はこういう歌い手なんだ」って。
山崎あおい:そうですね。あと、こういうインタビューとかで自分について話すことで気付くこともあって。それまでボンヤリしていたものの形がしっかり見えてきた感じはあります。
--その吹っ切れ、気付きは、今回の『夏海』をシングルリリースすることにも影響してますよね、きっと。いわゆるポップスのど真ん中、そして山崎あおいらしさがよく分かる夏の曲。
山崎あおい:この曲は高校2年生のときに書いたんですけど、ずっとここまで大事にしてきて。歌を何回も録ったりとか、アレンジもいろいろ考えたりとか、大切に育ててきた曲なんです。歌詞も“ザ・私”というか、私が思っていることをそのまま言葉にした感じで、歌っていても感情が入りやすいし、情景が思い出される曲なので、個人的にもこの曲をキッカケにどうにかなりたい気持ちはありますね。
--そもそもどんな想いや背景があって生まれた曲なんですか?
山崎あおい:夏の初めに書いた曲なんですけど、花火大会の情報や「お祭り、誰か行く?」みたいな声が飛び交う、その時期特有のざわざわ感があって。でもその雰囲気に乗っていけなくて、置いてけぼりになった気がする。そういう独りぼっちの気持ち、なんとなく煮えきれないモヤモヤした気持ちを抱えている人は多いんだろうなと思って、曲にしました。
--先程「この曲をキッカケにどうにかなりたい」と言っていましたが、本人的にも今作で勝負みたいな感覚はあるの?
山崎あおい:そうですね。大切にしてきた曲ですし、私自身もデビューから一年足らずでいろんな経験をしてきて。正直、デビュー当初って分かってないことの方が多かったと思うんですけど、最近やっと“自分はどういう曲を歌うべきか”とか“自分の良さ”みたいなものも見えてきた。気持ち的にも準備が整ったという意味では、この曲でたくさんの人に私のことを知ってもらえたらいいなって思ってます。
--『夏海』って近年のJ-POPにおけるサマーソングにはなかった憂い、切実さもあるじゃないですか。そういう意味でも共感する人が多い曲だと思うんですが。
山崎あおい:夏ソングってたくさんあるんですけど、聴いていて「いや、楽しいんだけど……でも」って思う曲が多くて。だからってめちゃくちゃ暗い失恋ソングを聴く季節でもないし、一番リアルなのは“キュンと痛いような気持ち”。それを誰も歌わないなら、私が書いてしまえと思って。
--このメロディーと、歌詞のシチュエーション。沁みる人、いっぱいいると思いません? 自分でも。
山崎あおい:私は自分で歌ってて沁みます(笑)。
--今作の歌詞からの引用になりますが、山崎さんは“今年の夏もまた一人”なんでしょうか? それとも“誰かと二人で笑って”過ごせるんでしょうか?
山崎あおい:スタッフさんと笑います。
--なんだろ、一人より切ない。じゃあ、今年の夏は『夏海』に思いっきり気持ちを込めて歌えると?
山崎あおい:正にですよ! 気持ちを込めて歌う状況は整ってる。準備万端です(笑)!
--また、山崎さんが『夏海』で勝負する夏、さっきのアイドルシーンの話じゃないですけど、女性シンガーソングライターのシーンも確実に熱くなっていくだろうなと思っていて。ニューカマーが次々出てきてるじゃないですか。
山崎あおい:私も気になります。元々ファンとしても女性シンガーソングライターが好きですし、これから一緒にシーンを盛り上げていくライバルとしても気になる部分はありますね。ただ、最近めっちゃ出てきてますよね? 追い切れない。何人ぐらい出てきました? きっと二桁はいってますよね。
リリース情報
夏海
- 2013/07/10 RELEASE
- 初回限定盤[VIZL-544(CD+DVD)]
- 定価:¥1,700(tax in.)
- ≪試聴可能≫
- 詳細・購入はこちらから>>
- 通常盤の詳細・購入はこちらから>>
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Interviewer:平賀哲雄
私の個性は、王道。聴く人と同じ視点で王道を駆け抜けていく
--その中で山崎あおいはどんな女性シンガーソングライターであると言えますか?
山崎あおい:多分、一番ポップの真ん中にいるんじゃないかなと思っていて。思いっきりロックだったり、超明るかったり、超暗かったり、ちょっと面白いことやってたり、本当にいろんな女性シンガーソングライターが出てきてると思うんですけど、私はそのすべての中心、中間にスポっているんじゃないかな。それが良いか悪いかは置いておいて、自分ではそう思っています。
--同感です。ただ、暗い過去を背負っている人はそれを歌えばエモーションが生まれるから心を打つし、奇抜なことをやる人は「こんなに新しいシンガーソングライターが出てきたんだ」って賑わすことができる中で、いわゆる王道で「すげぇ」って思わせるのは、実は一番難しいじゃないですか。
山崎あおい:そうですね。まぁでも私がやりたいのは、そういう音楽なので。私はずっとポップスを聴いて育ってきたし、別に奇抜なことをやりたいとも思わないし、別に暗い過去を背負っている訳でもないので。
--嘘ついても意味ないですからね。
山崎あおい:急に「実は両親に捨てられて」とか言い出してもね(笑)。まぁ音楽を始めた頃から売れる為の戦略を考えて「じゃあ、私は両親に捨てられよう!」って決意できればよかったかもしれないですけど……
--そんな人いないよ(笑)!
山崎あおい:でも私は私のポップスでデビューしたし、その方向性は今後も変えるつもりはないので、もしそれで受け入れられなかったら、それはしょうがないんじゃないかなって思います。
--とは言いつつも、前回のインタビューで山崎さんは「今年売れる」と、豪語しました。その意思は変わらず?
山崎あおい:もちろん。どんな音楽をやっている人でも、やっぱりみんな聴いてもらいたい気持ちは絶対ある訳だし、なければ音楽やってないと思うし、売れたいと思う人が増えれば増えるほど良くなっていくんじゃないかと思います。
--山崎さんはYUIの影響で音楽を始めた訳ですが、彼女ぐらい大きい存在になりたい気持ちはある?
山崎あおい:最終的にYUIさんみたいな形になりたいかと言われたら、そうじゃないんですけど、歌われる曲をやりたいというか、聴いた瞬間に「山崎あおい、かっけぇ!」みたいな感じよりは、何年経ってもカラオケで歌われたり、口ずさんでもらえたりする。そういう音楽……というより歌をやりたい。
--ちなみに山崎さんは「今年売れる」の後、「来年、確固たる地位を築く」とも言いました。
山崎あおい:ハハハ!
--それだけの速度を求めるのは何故?
山崎あおい:安心したいからですかね。実際、その速度で辿り着くのはめちゃくちゃ難しいことだと分かっているんですけど、頑張ったものが早く結果になればなるほど、気持ちも落ち着くし、急がなくて済むようになると思うので。だからもし今年売れたら「来年、確固たる地位を築く」とはもう言わないと思うんです。「来年でも再来年でも」って言い出す。でも今の時点ではそれぐらい気持ちが生き急いでるのかもしれないですね。
--そこには「売れないと、音楽を続けられなくなるかもしれない」的な恐怖もあったりするんですか?
山崎あおい:それが一番大きいです。別に音楽は「辞めろ」って言われて辞めるものでもないし、どこでも続けられるものではあると思うんですけど、私が目指しているのは大きいステージで歌うこと。最初に抱いた憧れを実現したいと思っているので。
--山崎さんの「売れる」って、具体的にはどれぐらいの規模やレベルだったりするんでしょう?
山崎あおい:現実的な感じで言うと……まぁ最近は「売れる」の基準がよく分からないですけど、まずはライブをやれば大体チケットが完売する。大きな目標としては、出たいテレビがあったり、紅白に出たいとか、いろいろあるんですけど、この1,2年の範囲で話すとそこらへんなのかなって。
--その為の覚悟が決まってますよね。それは『夏海』完成披露イベントを観ていても感じたんですが。
山崎あおい:覚悟はすごく決まりました。そのイベントの前後の話なんですけど、自分のやるべきことが見えてきて、迷いがなくなったので、あとはもうやるしかない。私の個性は、王道。聴く人と同じ視点で王道を駆け抜けていく。
Music Video
リリース情報
夏海
- 2013/07/10 RELEASE
- 初回限定盤[VIZL-544(CD+DVD)]
- 定価:¥1,700(tax in.)
- ≪試聴可能≫
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Interviewer:平賀哲雄
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