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<インタビュー>“VTuberの常識”を覆すあおぎり高校、メジャー1stで示した音楽的挑戦

Interview & Text:草野虹
VTuberグループあおぎり高校が、キングレコード内レーベル"EVIL LINE RECORDS"よりメジャー1stアルバム『あおバム』を2026年1月21日にリリースした。
VTuberなのに中の人の一部がよく映る、VTuberなのに外ロケをよく行うなど、一時期のVTuberシーンにおけるタブーへ、臆することなくチャレンジし続け、彼女らは少しずつ支持を集めてきた。
そんな彼女ら13人のメジャーアルバムは、聴く者をさまざまに”挑発”するような歌詞とダンサブルな楽曲が混ざりあったポップさが詰まっており、「あおぎり高校のチャレンジする姿を音楽で表現したかのような」1枚となった。
そんなあおぎり高校のメジャー1stアルバム『あおバム』のリード曲「諸行無常ってやつですか?」の歌唱メンバーにBillboard JAPAN初となるインタビューを行った。
あおぎり高校とは?
――Billboard JAPANでの初めてのインタビューということで、それぞれ自己紹介をしていただけると嬉しいです。
音霊魂子:音霊魂子(おとだま たまこ)です。あおぎり高校のなかでいちばん古参で、リーダーを名乗らせていただいてます。普段の配信では雑談配信を主にしてて、ラーメンが好きなのでラーメン屋さんへ足を運んで動画にしたり、ほのぼのとした活動をしています。あとASMR配信などもしています。
石狩あかり:あおぎり高校の石狩あかり(いしかり あかり)です。普段はゲーム配信や歌配信などを主にしています。
千代浦蝶美:千代浦蝶美(ちようら ちよみ)です。アニメやアニソンが大好きで、普段の活動もアニソンを中心にした歌枠をやっています。
我部りえる:あおぎり高校の天使・我部りえる(がぶ りえる)です。普段は歌配信やホラーゲームをプレイするのを中心に活動しています。よくリスナーさんとの距離が近いと言われてます!
春雨麗女:春雨麗女(はるさめ うらめ)と申します。お酒と音楽が大好きで、お酒を飲んだり、しゃべったり、歌を歌ったり、あとは企画配信によく出演したりしています。最近は楽器を披露させてもらったり色々やってます。

――「あおぎり高校はこういうグループだ」と表現するならどのようになりますか?他の人に紹介や説明するとしてどんな風に説明しますか?
春雨:「VTuber界の異端児」って感じです。"おもしろければ何でもあり"というスタイルでやっているんですが、実際に「おもしろければマジで何でも許される」節があります。動画内で顔は隠していますが中の人が登場しているものもあるので、見ていただけると分かります。
石狩:他の事務所に比べて、本当に自由だなっていう印象がすごいあるので、ほぼ縛りがない。「あおぎり高校って何ですか?」って聞かれたら「とにかく自由だよ」と答えます。
――「あおぎり高校の特徴や、ここが他とは違う」というところを挙げるなら?
石狩:ほとんどNGらしいNGがないところですかね。
音霊:例えば、私たちVTuberにはそれぞれ3Dモデルがあって、それがバーチャル空間で動いているんです。魂子の3Dモデルは身長154センチなんですけど、配信などで「魂子ってほんとは158センチなんだよね~」と言っても、運営から怒られることはないんですよ。

――VTuberシーンのなかではそういったプロフィールや設定に重きが置かれがちですし、普通なら言わないものですが、あおぎり高校ではセーフになると。
音霊:そうですね。そこが他のVTuberグループとちょっと違うところかなと。
千代浦:VTuberカルチャーのなかでは、こういうアニメらしいビジュアルを"ガワ"という言葉で表現することがあるんですが、VTuber自身からそのように言及することは躊躇われることでもあるんです。でも私の場合、配信中に「今日ちょっと"ガワ"の調子が悪い」とか「顔の表情、今から変えるね~」とかそういうことを言っちゃうんですよ。そういうのもまた、スタッフさんやファンのみんなは「そういう発言したな」ぐらいで許してる。そういうのも含めて楽しんでもらえたら嬉しいですね。
我部:私は今日集まった5人のなかで唯一、個人として活動していたところからあおぎり高校へ加入したメンバーなんです。VTuberグループに加入しようと思ってオーディションを受けて合格したら、「個人として活動している名義やビジュアル」を辞めなくてはいけないことがほとんどなんです。そんななかであおぎり高校は、個人として活動しているなかで生まれたリスナーやファンの皆さんをすごく大事にしてくれて、「いま活動している姿のまま、そのまま加入しても大丈夫です」と言ってくれて、加入することができたんです。そういう意味でも、とても懐の広いグループだなと感じています。
- 「あおぎり高校にしかたどり着けない頂」
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「あおぎり高校にしかたどり着けない頂」
――今回メジャー1stアルバム『あおバム』をリリースしましたが、そもそもキングレコード/EVIL LINE RECORDSからメジャーデビューする。そしてアルバムを制作してリリースしますという話を聞いた時、どのように感じましたか?
石狩:「あおぎり高校もここまで大きくなれたんだな」って思いました。密かにメンバーみんなで歌いたいなと思っていたので、達成感というよりかは、一つ夢が叶った感覚でした。
音霊:個人的なことを言うと、歌はそこまで得意じゃないので大丈夫かなと思ってたんです。ただ、歌で頑張っているメンバーもたくさんいるし、自分も良いものにしなきゃと思って制作に臨んで、完成したものを聴いたら「みんなの声が重なるとこんなに良いんだ」って感動しました。
春雨:最初に話を聞いた時は、正直戸惑いのほうが先にありましたね。中学の頃からバンドをやってて、周囲にもメジャーデビューを目指す人もいっぱいいて、それがどれだけ大変かはわかっていたつもりでした。そこでまさか「メジャーデビューしました」って自分が言う側になるとは……何が起こるかわからないもんだなと。
千代浦:アニソンファンだったので当然キングレコードのお名前は存じ上げてて、お話を聞いた時は本当にびっくりしました。4年ほど前ですが、当時のあおぎり高校のプロデューサーにもっと音楽を本格的にやりたいと伝えたことがあったのですが、やんわり断られたことがあったんです。なのでいまこうしてアルバムリリースができて……麗女と同じく何が起こるかわからないもんだなと思ってます(笑)。
我部:そうですね……本当に夢かな?と、今でも実感湧いてこないです!(笑) ちよちゃん(千代浦蝶美)と同じで、あおぎり高校に所属するオーディションのときに「歌がやりたい」と伝えたら、うちの事務所は「歌はあんまりやらないけど大丈夫?」と言われていたので、こうして歌で活動することができて本当に嬉しいです。
あおぎり高校 メジャー1stアルバム『あおバム』クロスフェード
――このアルバムの中で一番お気に入りの曲を教えていただきたいです。
春雨:お気に入りの曲は「諸行無常ってやつですか?」です。今回インタビューをしている私たち5人で歌った曲なんですけど、曲調がすごく好きだし、最初の歌い出しは耳に残りすぎて、リリース前に配信で口ずさんじゃいそうになったくらい大好きです。動画のコメント欄で「USENで聞いてすごい気になったので調べてきました」みたいなコメントもあったり、みんな聴いてくれてるんだなって実感してます。
音霊:私は「つまづきコレクション」が一番お気に入りです。ボカロPのくじらさんが作曲してくださってるんですけど、もともとくじらさんの曲が好きだったんです。お出かけの時とか散歩する時にこれを聴いて、口ずさみながら歩くこともよくあります。
我部:「えっえっえっ♡」ですね。歌唱メンバーが可愛い声の子たちばかりなので、自分はどうしようかなと一番悩んだ曲でもあります。試行錯誤して、私なりに可愛い&セクシーな歌声を表現したのでぜひ聴いてほしいです。
石狩:「ミス・プリマベーラス」ですね。FAKE TYPE.さんが制作してくださって、「私が歌えるの?!」という嬉しさもありました。歌詞や曲調がバチバチにアグレッシブな曲で攻撃的な曲で、それが私のなかでバチッとハマって毎日聴いてますね。
千代浦:全部いい曲なんですけど、あえてこれ!と選ぶなら「カオスですがなにか?」ですね。この曲はあおぎり高校のなかで同時にデビューした後輩3人が歌った曲なんです。歌が好きな子、得意な子、ちょっと苦手意識がある子、色んな3人が初めて自分のオリジナル曲として頑張ったわけで、先輩目線・親目線で胸が温かくなってお気に入りの曲になりました。
「諸行無常ってやつですか?」
――さきほどグループについて伺った際に、あおぎり高校の自由さを感じられたんですが、このアルバムの歌詞を読んだ時に聴き手を煽るような、攻撃的な歌詞が多いなと思いました。最初に歌詞を読んだときはどんな印象でした?
音霊:すごいですよね。だって「お前のまともはまともじゃない」ですよ? タイトルからしてすごい攻撃するじゃんって(笑)。でもこの曲、あおぎり高校の動画のなかで最後のエンディングに流れることが多いんですけど、サビで<常識ってさうちらに求めるものではない>という歌詞があるんです。私たちのことをしっかり伝えてるフレーズだし、動画の締めでこの曲を使うことでいろいろやらかしてる動画へのツッコミにもなってて面白いなと思いましたね。
我部:攻めてるな~って。だけど、あおぎり高校だからこそ言える歌詞なのではとも思いましたし、なんというか良い意味で刺さる歌詞が多いとも感じました。とはいえ、「コピペパペット」の中でまさか自分が<大衆迎合のご機嫌取りかい?>と言う日がくるなんて。
春雨:曲のことを知らない状態で歌詞を読んだとき「本当に大丈夫か?」と思いました。でも実際歌ってみると印象は変わって、あおぎり高校っぽい変な曲たちだなと思いました。しっかり活動のことを理解してくださったうえで書かれた歌詞だな、といまは思います。
石狩:私も正直変だなとは思ったんですけど、読んでみると歌詞の中にあおぎり高校らしさがあってすごく嬉しかったです。
千代浦:歌詞は尖ってるなと思いましたね。私はアニソンなどをキラキラした曲を歌うことが多いので、こういう攻めた曲を歌ってこなかったし、私自身も受け入れるのに時間かかって「聴いたファンのみんな、大丈夫かな?」と思ってたんです。でもリリースしたあと、配信でなにか発言したときに「お前のまともはまともじゃねえよ」みたいな感じでリスナーが返してくれたことがあって、「みんなに受け入れられてるんだ!」と安心しました。
――このアルバムではダンサブルな曲のアクセントとしてメンバー13人の声をうまく使った曲が多いように感じます。普段の配信からプライベートまで一緒になることが多いと思う皆さんですが、「このメンバーめっちゃ声いいよな」って思ってる方がいたら教えてください。
音霊:しゃべり声だとエトラさん。歌声だと石狩の声が好きです。ショタっぽい声も出せるし、歌声がボカロ曲にもピッタリ合う声だなと思ってます。
石狩:あおぎり高校に入ったときに、魂子先輩の声を聞いて「唯一無二だな」と思いました。いまでもそう思うことが多いです。
音霊:へへっ、両想い~(笑)。
春雨:うる虎がーるの声はうらやましいですね。配信だと伝わりづらいかもですが、とにかく本当に声がドデカイんですよ。外での収録でも一発でバレるんじゃないかって感じなんですけど、ドデカイ声なのに声がカワイイんですよね。私の声は低い声なので、すごく良いなと思ってます。
千代浦:私は月赴ゐぶきに驚かされました。歌が苦手だと言っててめったに歌わない子だったんですけど、出来上がった音源を聴いて「めっちゃいい声だな」と思って調べたらゐぶきの声だったんです。本人に「めっちゃ良かった。もっと歌やろう」ってすぐに伝えました。
我部:改めて全曲聴いたうえで、「コピペパペット」のむじじ(八十科むじな)がすごく良くて!なんていうかラップにすごくあってて可愛さもあって好きです。
「コピペパペット」
――今後、あおぎり高校全体としてやってみたいことや夢はありますか?
春雨:以前から言っているんですが、プライベートでメンバー全員の旅行に行きたいですね。夢や目標いっぱいあるけど、アルバムリリースした記念ということで、ご褒美旅行を運営さんよろしくお願いします!
石狩:先程も言いましたけど、みんなで歌うというのが一つの夢だったので、いったん達成してしまったんですよね……次の目標は全国ツアーですかね。東京はでっかい会場でやるみたいな。
千代浦:私、石狩先輩と同じです(笑)全国でリリイベする全国巡業みたいなのってあるじゃないですか?ああいう感じで全国各地でイベントができればいいなぁ、なんて思います。
我部:私も2人とほとんど一緒です。あおぎり高校のみんなで音楽ライブをやりたいです。もちろん武道館で!(笑)
音霊:みんなで無人島にいって、畑とか耕して生活してみたいですね。1か月くらいガチで無人島で共同生活して、その上でなにか作り上げる。イメージとしては高校生の文化祭で、メンバーで出し物みたいなのを作ってみたいです。
――最後に、音霊さんに別の機会でお話を伺った際に、当時の自身の在り方や後輩たちとの関係について「良いリーダーや良い先輩じゃなくて、良いグループを作りたいし、良い友情を築きたかった」と話されていました。ここまであおぎり高校が大きくなりましたが、あの頃から心境に変化はありましたか?
音霊:あの頃はリーダーとして頑張る意識が足りなかったり、入ってくる後輩たちに怖い先輩と思われたくないだったり、そうお話したと思うんです。
ただこの数年を経て、友達感情だけではなく、仕事仲間としていろんなところでぶつかって、みんなで意見を出したほうが上にいけるなとかなり実感するようになりました。
もちろんみんなのことは友達として大好きだし、そのうえで配信者としてみんなのことをライバルだと思えるようになったので、同じ仲間・ライバルとして高めあって、あおぎり高校にしかたどり着けない頂を目指せれば良いなと思います。
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