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<インタビュー>「スターになりたい」と豪語し夢を一つずつ実現しているラッパー、SKRYUが目指す次のステージは「バカ売れ」

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Text & Interview: 大野俊也
Photos: 辰巳隆二

 ダンサブルなサウンド、ラップとメロディとハーモニーを自在に操るスタイル、独特の世界観で、スターダムを駆け上がってきたラッパー、SKRYU。1996年生まれ、島根県出身、MCバトルで頭角を現してきたが、数々のバイラルヒットを飛ばしたあと、昨年はヒップホップ・アーティスト史上初となる、千葉・幕張メッセ国際展示場ホールでのワンマンライブを成功させている。

 そして、2026年2月、ワーナーミュージック・ジャパンより、5曲入りデジタルEP『絶』でメジャーデビューを果たした。3月には全国5都市・7公演のツアー【SKRYU 絶(Zepp)Tour 2026】の開催が控えており、絶好調モードが続くSKRYUのもとに、ある日突然、まばゆい光とともに舞い降りた“天使”の正体とは。

──EP『絶』は、もうジャケットからして、勢いしかないですね(笑)。

SKRYU:これは本当に気に入ってます。やはりメジャーから(リリースする)初めての作品なので、自分の主張を激しく、とにかくインパクトと思って、自分の顔が一発でわかるイメージにしました。

──タイトルも『絶』で、どの曲にも、タイトルの後半に、「絶叫」、「悶絶」、「絶世」、「輝絶」、「絶景」と、サブタイトル的に「絶」が入っているのが、スゴいですね。

SKRYU:Zeppツアーと掛けていて、「絶」しばりで曲を作ることにしました。こういうコンセプトの作品を作るのは、憧れだったし、やってみたかったことなんです。それで、ちょっとおふざけチックな「絶」でまとめました。

──昨年は、アルバム『START』をリリースし、9月のワンマンライブのタイトルも同じく【START】ですよね。幕張メッセでワンマンをやるヒップホップ・アーティストは、今までにいなかったと思います。メジャーデビューの前でもあり、新しいスタートを切るタイミングでの、原点回帰の意味合いもあったのでしょうか。

SKRYU:まさにその通りです。「START」という単語の中に「STAR」が入っていますよね。自分は「STAR=超スーパースター」だと思っていて、自分のことをSTARだとずっと自負してるし、豪語してるんですよ。集大成ではあるけれど、STARとしてのSTARTを切って羽ばたいていくために、それまでの自分の歩みを、全部一度振り返ってまとめてみようかなというイメージです。『絶』はその対比で、自分の物語はもちろんありきで、曲として本当に今の自分が表現したかったこと、言葉遊び、コンセプト、音感も含めて、初めて俺を聴いてくれた人に刺さるようなものにしたくて。アトラクションのような感覚で楽しんでもらえる作品集にしたつもりです。


──全曲がヒット曲という感じがしますが、特に「スパンコールじいちゃん -輝絶-」は中毒性が高くて、フックが頭から離れられないんですよね(笑)。

SKRYU:タイトルがとんでもないですもんね(笑)。サビは鼻歌から作るんでけど、「チャンチャンチャンチャン」っていうメロディが出てきた時に、それにハマるものがどうしてもありきたりなフレーズで、広がらなかったんです。3日ぐらい考えてたら、雲の上からスパンコールじいちゃんが降ってきて、「これを歌いなさい」って言われたんですよ(笑)。もう、そのワードが降りてきた瞬間にすべては決まりました。途中からサブタイトルに「絶」をつけるのが苦になってきて、「輝絶」なんて単語はありませんからね。輝きながら全うしてほしいという思いを込めました。

──これは誰かのことを歌っているのかなと思いつつ、芸能界のいろいろな人を組み合わせたイメージなのか、あるいは、未来の自分のことなのかなと思いました。

SKRYU:未来の自分もありますね。成し遂げちゃったスターで、必ず自分が正しいと思っていて。言い方は悪いですけど、老害ムーブをカマせるのって、それも成功者の証なのかなと思うんですよ。スパンコールの衣装を着て、イルミネーションでデコった電動自転車に乗って、明け方にスピーカーから爆音を出して、「おはようございます!」って歌う。かつて一緒に戦った一流アーティスト、友達、奥さんは亡くなってるんですけど、「小僧、シケた面してたらあかん。おまえの未来は光り輝くスパンコールなんだから」って、空の上から聞こえた気がするんです。それで、最後のヴァースで流れ星が光るんです。

──ラッパーって、一人きりで暗い部屋でリリックを書いてそうですけど、そういうイメージがしないんですよね(笑)。

SKRYU:うれしいですね。でも実際、一人で暗い部屋で描いてるんですよ(笑)。作ってる時は皿洗いもできないし、服も畳まず、家の中は泥棒が入ってるみたいに荒れる。ただ、デモを録って、「これ、クソカッコいい」ってタンクトップで踊りながら、缶酎ハイに手を伸ばして、デモを100回ぐらい聴く時間は、ファンのみなさんには味わえない、俺の一番の幸せなのかなと思いますね。今回は、全曲でそういう時間がありました。

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  2. 簡潔に4文字で表現するならば、「バカ売れ」したいです(笑)。
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──1曲目の「Ahhhhhhh! -絶叫-」では〈まだ見ぬ絶景へ〉と歌っていて、ラストの曲「Shangri-La -絶景-」につながりますよね。

SKRYU:このEPで最初に出来たのが、「Ahhhhhhh! -絶叫-」なんです。「絶」を散りばめすぎてしまったので、そのしばりはこの曲だけにしようと思っていたところ、〈まだ見ぬ絶景へ〉が浮かんだので、これを目次みたいな1曲目にして、最後は「絶景」で締めようって、漠然と思ったんです。この曲はラップが強いと思うんですけど、こういうビートでラップをし始めたルーツがあるので、自分が歩んできた道の最初の音を選びました。

──「Shangri-La -絶景-」でも、ラッパーとしての真骨頂を見せているし、今しか歌えない歌になっていますよね。

SKRYU:一番リアルというか、自分の心の移り変わりが一番見えるのは「Shangri-La -絶景-」ですね。覚悟を見せてるし、メジャー一発目の名刺を渡すなら、やっぱり「Shangri-La -絶景-」だと思います。手前味噌ですけども、サビがカッコよすぎて(笑)。こういう音楽を作りたかったので、僕の中では最高峰の一曲だと思ってます。

──これから向かう先のことを、「Shangri-La=桃源郷」として見ているわけですよね。

SKRYU:あるのかないのかわからない理想に向かうのが桃源郷っぽかったんですよ。でも、実は途中で、シャングリラなんてものはないことに気づき出して。僕にとっての絶景って、自分を応援してくれるお客さん、家族、友達だったり、みんなが見せてくれるライブの景色だったりするので。友達や家族を振り切って夢を追っかけている自分が、振り返った時に、「みんなのおかげでこうなりました」って思える瞬間の景色こそ絶景やなって、途中で気がついたんです。僕が好きな表現で、「夢ってもう叶ってる」という言葉があるんですけど、今の状況は本当にそうだなと思っていて。誰もいない真冬の路上でフリースタイルを続けていたあの頃に比べたら、音楽を仕事にしているのは、あり得ないことなんです。今なんてずっと絶景続きなので、幸せですよ。裸で吊り上げられたライブの景色は本当に絶景でしかなかったし、こうやってお話を聞いていただいている現状だって、あり得ないことなんです。そう思ったら、「シャングリラはもうお前の目の中に入ってるぜ」なんですよ。

──リリックに夜行列車も出てくるので、ここまで来たぞという思いも入っていますよね。

SKRYU:サンライズ出雲という寝台特急に乗って、地元の島根県安来市から東京駅まで出てきたんですけど、その時はお金もないし、コロナ渦だったので、行ったらもう戻れない雰囲気やったんですよ。雑魚寝の一番安いシートには誰もいなかったです。〈煌めく星空に一直線〉は、スターになりたいという意味ですね。最近思ったんですけど、この曲もそうですけど、スターになりたいっていうのが全部ににじみ出てる気がするんです。口酸っぱく、軽薄に、胡散臭く、「俺はスターになりたい」って、ずっと言ってるような気がしていて、それがどんどん、まんざらでもなくなってきている現状が、幸せなんですよ。スターになりたいなんて、ヤバいですよね(笑)?

──スターになりたいと思ったのは、いつからですか?

SKRYU:3年前ぐらいにリリースしたEP『東京ドギマギ』のリード曲に「超 Super Star」という曲がありまして。その曲を機に、「超スーパースターになりたい」って言うようになったんです。上京したものの、どん底の時期が長くありまして。朝起きたら、キンミヤ焼酎に梅を入れて、お湯で割って飲んで、気持ちよくなって寝て、起きたら夜になってて、後輩たちから「飲みに行きましょう」って誘われたら、見栄を張りたいから、お金を出して。飲みだけで一日が終わるみたいなことをやってたら、消費者金融にもいっぱいお世話になってしまったんです。お金が原因で人間関係が荒れてしまうこともあって。キャリアの中で一番つらかった当時のことを書いたのが、「超 Super Star」やったんですよ。「超 Super Star」とは真逆の状態でいる時に、ガチのギャグで、「超スーパースターってどんなヤツなんやろな」と思って書いたんですけど、今見返してみると叶ってることがけっこう多いんですよね。

──「超 Super Star」もターニングポイントになったと思いますが、今回も大きなターニングポイントではないですか?

SKRYU:嫌らしい話、メジャーデビューさせていただくには知名度を獲得したいとスゴく思っていて。ヒップホップ出身ではありますけど、ラップがそんなに好きじゃない人、ラップに聴きなじみのない人にも、すっと入っていけるような曲作りを意識していて。お調子者の八方美人でもありますから、僕と出会ったら、僕のことを好きになっていただけるだろうというテンションではおります。具体的に言うと、ヒップホップにとどまらず、例えば、ロックやポップスのシーンのライブとかでも、アーティストとして僕を認めてもらいたいと思うし、何なら「あいつ、たしかラッパーだったよね?」ぐらいな感じでもよくて。みんなを楽しませる音楽をできるだけ広く届けたいという思いが漠然とあります。簡潔に4文字で表現するならば、「バカ売れ」したいです(笑)。

──たしか、正月に書き初めで「バカ売れ」って書くんですよね。

SKRYU:毎回書いてました(笑)。今回は「絶」だったので、書かなかったですけど。バカ売れしたいですね。

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