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<インタビュー>HANA 変わる私も、そのままの私も愛していく――新曲「My Body」でCHIKA & MOMOKAが見つめ直した“セルフラブ”の形

インタビューバナー

Interview & Text:高橋梓


 今年4月にデビューして以降、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで人気を獲得し続け、チャートを賑わせている7人組ガールズグループ、HANA。そんな彼女たちが10月13日に新曲「My Body」をリリースした。同曲は“セルフラブ”なメッセージを詰め込んでおり、自分自身を大切にすることを歌った一曲。彼女たちは同曲をどう受け止め、どんな表現をしたのだろうか。MOMOKAとCHIKAに話を聞いた。

今の自分を愛することが
「素敵なこと」だと思ってもらえたら嬉しい

――「My Body」のテーマは、「セルフラブ」とのこと。このテーマを聞いた時、おふたりはどう感じられましたか?

MOMOKA:テーマを聞いたのが、1stファンミーティング【HANA with HONEYs】の最中でした。私はファンミーティングのMCでも「自分のことを愛していますか?」「自分を大切にしていますか?」と話していたので、「My Body」は今の自分にすごく合っているなと感じて。「歌詞を書きたいです」と言って作詞に参加させてもらうことになったんです。

CHIKA:私は、「HANAらしい曲だなぁ」と思いました。それに「My Body」というタイトル通り、自分の体や見た目をテーマにしている曲で、私自身、自分の体や見た目について悩んできたので歌えることが嬉しかったです。そもそも「セルフラブ」は『No No Girls』(ノノガ)の課題のような感じで、メンバー全員、「自分を愛すること」を大事にしたいと思ってオーディションをやってきたので、「My Body」を歌えてすごく嬉しいです。


――おっしゃる通りです。そんなおふたりは「セルフラブ」についてどのような意見をもっているのでしょうか。

MOMOKA:『No No Girls』に参加する前とか、HANAになる前、私はセルフラブが全くできていませんでした。なので、歌詞にも〈できてなかったけど今love me〉と入れました。「My Body」は体についてのセルフラブなのかなと思う方も多いと思いますが、私は自分の内面も含めてちゃんと愛してあげる、という意味だと受け取りました。未来に向けた頑張りも含めて「セルフラブ」だと思っています。

CHIKA:私は、ずっと勘違いしていたことがあって。今も100%その勘違いが拭いきれているかは自分でもわからないのですが、痩せたら自分を好きになれると思っていたんです。「二重になったら」「もっと背が高ければ」「運動ができれば」と考えていましたし、自分を好きになれない理由は「変わる努力をしていないから」なんだと思っていました。でも、『No No Girls』やHANAのみんなと出会ってから、「変われば自分を好きになれる」という考え方自体が、自分を追い詰めているんじゃないかと思うようになって。私はすごく痩せているわけでもないし、背が高いわけでもないですが、今は自分の体を愛せるようになりました。昔の私と同じように悩んでいる人が、私がありのままの自分を愛しているのを見て、「こういうかわいさや美しさもあるんだ」と選択肢が広がって、今の自分を愛することが素敵なことだと思ってもらえたら嬉しいです。


――おふたりとも昔と今で考え方が変わっていますが、やはり『No No Girls』の影響が大きかったですか?

MOMOKA:そうですね。ちゃんみなさんの言葉と愛が大きいと思います。『No No Girls』そのものというよりも、私はちゃんみなさんのひと言でガラッと考え方が変わったかもしれません。

CHIKA:本当に。ちゃんみなさんは、小さい時に思っていたことを思い出させてくれるんです。私が音楽をやりたい理由は痩せたいからじゃないと気づけたし、自分が「この人素敵やな」と思った人は痩せていたから素敵と思ったのではなくて、歌が好きで聴いていて楽しかったからなんだと思い出させてくれました。


――ちなみにおふたりとも日々お忙しいと思いますが、自分を大切にするためにやっていることはありますか。

MOMOKA:寝る!

CHIKA:おぉ~(笑)。

MOMOKA:寝ないと心の余裕がどんどんなくなってきて、小さなことでもイライラするし、人に当たりたくなったり、暴飲暴食しちゃったり。それで「食べちゃった……。明日撮影なのにむくむじゃん!」と自己嫌悪に繋がっていってしまうので、睡眠時間は確保するようにしています。人に迷惑をかけたくないし、好きな自分でいたいから、睡眠時間はめっちゃ大切。7~8時間は確保していますね。

CHIKA:私は人と話すこと。シンプルに、人と話したほうがいいなと思うんです。私はもともと喋らないタイプなので、ひとりでいるとマイナスに働くことが多いと最近やっと気づいて。みんなで話しているほうが楽しいし、ひとりで自分のマイナス(なところ)を考えて、わざわざ自分を落ち込ませなくてもいいかなと思うようになりました。


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ふたりに起こった“いい変化”

――セルフラブを大切にしたい人は、寝て、人と話すことから始めてみるのもいいかもしれませんね。では、「My Body」のお話も聞かせてください。楽曲を初めて聴いた時はいかがでしたか。

CHIKA:かわいい! こんなかわいい曲も歌うんだって思いました。

MOMOKA:ラフミックスみたいなものを、ちゃんみなさんがみんなの前でさらっと聴かせてくれたことがあって。それは結構前だったよね。

CHIKA:その時はサビのところだけだったかな。〈君のためじゃないmy body〉という部分はすでにありました。

MOMOKA:ちゃんみなさんが「こういう曲もやろうと思っているんだよね」と聴かせてくれて。その時は「こういう歌詞を入れたい」というお話をしてくださっていました。


――「ROSE」に〈My heart ain't yours〉という歌詞があって、今回は〈君のためじゃないmy body〉。心と体、どちらも自分のものだというメッセージが完結したのかなと思っていて。だいぶ前から曲の構想があったということは、ちゃんみなさんの中では前々から決まっていたのかなと感じました。

MOMOKA:それと、ラフミックスを聞かせてもらった後に、私は自分のバースだけが抜かれていて、他が埋まっている状態のものを聞かせてもらいました。その時はもうアレンジがされていて、爽やかでかわいいサウンドが気になりました。実は私、(今作の作曲と編曲に参加した)GRAYさんが大好きなんです。「このアレンジ、誰がやったんだろう? もしかして……」と思ったら、まさかのGRAYさんで。すごく嬉しかったのを覚えています。


――念願の、ですね。

MOMOKA:はい。憧れていた方と仕事ができるなんて、感無量でした。


――MOMOKAさんのバースが抜かれた状態だったということですが、その部分を作詞された、と。どんなメッセージを込めて書いたのでしょうか。

MOMOKA:私がいちばん言いたかったのは、〈探してた愛 気付いたfake love〉という部分です。誰かを好きになったり、大切に思ったり、愛されているなと思ったことを思い返すと、なんだかリアルじゃないんですよね。「かわいいね」と言ってもらっても、「それって上辺だけの言葉じゃないの?」って。「ずっと愛しているよ」と言われても、今一緒にいないということはフェイクの言葉だよね、と。一つの例えですが。でも今はちゃんみなさんやメンバーのみんなと出会って、どういう愛し方が正しいのかを学べたので、自分をちゃんと愛せるようになりました。最後の〈If you like me, just give me real love, baby〉は、「もし私のことが好きならちゃんとした愛をちょうだいね」という意味なのですが、自分自身へ言っている感覚です。


――なるほど。

MOMOKA:私、人に依存していた時期もあったんです。でもそれは正しい愛の形じゃないな、と気づいて。

CHIKA:HANAはメンバー同士、依存はしていないもんね。

MOMOKA:そう。依存ではなく、支え合っていて、でもちゃんと愛している。そういう爽やかな愛が今は心地いいです。


――依存していた時期があったと考えると、今、だいぶ考え方が変わられていますよね。すんなり変えられましたか。

MOMOKA:わりとすぐ変えられたかなと思います。というのも、ちゃんみなさんの言葉が偉大すぎたんです。私、ずっと「長い人生このまま生きていけば、いつか自分で勝手に気がついて、勝手に変わるでしょ」と思っていたんです。でも、ちゃんみなさんから『No No Girls』のファイナル前に「今変わらなきゃダメだよ。命を賭けな」と言われて、待っていても変わるタイミングは来ないと気がついて。「今やらないとずっと変われないんだ」と思ってから、変わるための行動をした結果、これだけ考え方を変えることができました。



――ちゃんみなさんが偉大すぎます……!

CHIKA:「BAD LOVE」の時にMOMOKAとJISOOが歌詞を書いてくれましたが、ふたりから過去の話を聞かせてもらったんです。それもあって、〈探してた愛 気付いたfake love〉はMOMOKAの経験が見える素敵な歌詞だなと思いました。MOMOKAのことを知っているから、よりグッとくるものがありました。頑張ったんだなぁ、って。(MOMOKAに向かって)ありがとう。

MOMOKA:こちらこそ、ありがとう!


――そんなCHIKAさんが歌っているパートは、聴く人が聴くとドキッとしそうな歌詞ですね。

CHIKA:最後の〈I know you can’t control me〉は自分にも返ってくるというか。私はコントロールしたいわけではなく、されていた側なので、「あ、コントロールってされないものなんだ」と思いました。たとえば、事務所に入ったらスタッフさんが言っている通り体重を落とさなきゃいけない、組織に属していたら組織のルールに従わなきゃいけない、とずっと思っていたんです。それはデビューしたかったからなのですが、このパートを歌いながら改めて「私はずっとコントロールされていたんだなぁ」と思いましたし、そう思えるようになったことが嬉しかったです。


――ある意味、あの頃のCHIKAさんに今のCHIKAさんが言い放っているというか。

CHIKA:そうですね。でも、あの頃は知らないほうがよかったのかも。知らなかったから今があるわけですし、「ありがとう。今はこう思えてるよ」と伝えるくらいにしておいたほうがいいかもしれません(笑)。


――すべてが経験、と。そして歌唱法の部分に注目すると、前作の「BAD LOVE」とは違ったアプローチをされています。

MOMOKA:作詞をする時にちゃんみなさんから教えていただいた「My Body」を表すフレーズが、「簡単にあなたのものにはならないからね♡」。なので、可愛い子ぶるというか。

CHIKA:“モテがる”!

MOMOKA:レコーディングの時にちゃんみなさんが「モテがっていこう!」と言っていたので、みんなで「モテがれ! モテがれ!」と全員モテがりながらレコーディングしました。なので私もモテがってレコーディングしたんです。

CHIKA:でも「MOMOKAはモテがらなくていい」って却下されていました(笑)。

MOMOKA:その結果「いつものMOMOKA」のラップです。

CHIKA:MOMOKAだけ、ちゃんとMOMOKAだもんね(笑)。

MOMOKA:ね。今聴くと、ちゃんとこれが正解だったと思います。CHIKAも違う声色を披露しているよね。

CHIKA:ずっと「強い声じゃないと足を止めてもらえない」と思っていて。なので、今回のような声は、完全な自己満足で「こういう歌い方も好きだな」と家で歌う時くらいしか出したことがなかったんです。ステージに立つ時は怖くて出せない声色でした。


――「怖い」?

CHIKA:自分の強みが高音や張った声だと思っていたので、こういった声で歌っても認めてくれないんじゃないかな……とビビっていたんです。なので、曲調も高音の伸びがいいような曲を選んでいて。そういった状態だったので、この声を世に出すのを「え、大丈夫?」と思っていました。でも、皆さん受け止めてくださっているし、今は自分で聴いていても「いいじゃん!」と思えています。それはみんなのおかげだし、みんなが引き出してくれた歌声です。



――レコーディングでちゃんみなさんから、こういうふうに歌ってみようとアドバイスがあったのですか?

CHIKA:たしか、ちゃんみなさんに送ったデモの時点でこういうふうに歌っていたと思います。こういう声で歌ってみたいなと思って提出しました。


――封印していたものを自発的に「この歌い方をしてみよう」と思えたのも、いい変化ですよね。

CHIKA:本当に。素敵な環境で歌わせてもらっているなと改めて思います。


――そして、MVもリリースと同時に公開されましたね。

CHIKA:ギャップがすごいですよね。「え、誰!?」となると思います(笑)。

MOMOKA:今までとは本当に違うもんね。今まではストーリー性があるMVでしたが、今回はダンス中心のMVになっていて。衣装も3パターンあって見どころですし、表情もモテがっているので注目です。



My Body / HANA


――たしかに、表情はひとつのポイントなんだろうなと思っていました。ここまで笑顔が見えているMVは初めてかと思いますが、大変だった部分もあったのでは?

CHIKA:私はこういう表情をあまり見せてこなかったので、大変でした!

MOMOKA:でも、自然と笑顔になるくらい自分のことを好きになれたと思います。デビューしてから今までの間に自信もついたので、それが表情や歌詞に落とし込めたのかなと思います。


――もしかして表情に関する演出はなかったとか?

MOMOKA:そうですね。表情に関するディレクションはほぼありませんでした。

CHIKA:「こういう顔して」という指示もなかったです。

MOMOKA:その中で、みんな自分で考えて表情を作っていきました。


――そして、コレオを初めて見た時の感想は?

MOMOKA:初めて見た時はぶっ飛んだし、「これを歌いながら踊れるか!?」と心配な部分もありました。

CHIKA:さすがにそろそろ“抜き”のダンスが来るかなと思っていたんです。

MOMOKA:わかる!

CHIKA:曲調もゆったりしているし。でも、すんごいのがきました。最高です! めちゃくちゃ楽しいです。

MOMOKA:振りを合わせる部分の角度や手を置く位置、お尻を回す時に同じポジションで回すのではなくだんだん下げていく、なども細かくディレクションしていただきました。そして踊ってみて、ダンスに関して、今回みんな成長を感じました。

CHIKA:MOMOKAがいちばんね! やばいよ。

MOMOKA:私は、毎回心配だったんです。「Drop」の時は振り覚えが遅いので「追いつけなかったらどうしよう」「迷惑かけちゃったら嫌だな」と勝手に追い詰められていたのですが、今は少し余裕が持てるようになりました。

CHIKA:振り覚えはもうみんな差がないと思う。

MOMOKA:本当!?



My Body -Choreography Video- / HANA


――先ほどCHIKAさんがおっしゃっていた、「やばいよ」というMOMOKAさんの変化はどういう部分なのですか?

CHIKA:MOMOKAはダンスの経験がすごくあったわけではなかったのですが、ダンスを頑張っているのは知っていたんです。一緒にレッスンを受けるたび、「え、どうした!?」というくらい上手くなっていて。しかも、私だけではなく他のメンバーも言っているんです。ド成長です。

MOMOKA:嬉しい。一時期、ダンスに関してすごく指摘を受けていた時期があって。私はめっちゃ負けず嫌いなので、「じゃあ、5年後にダンス選抜に選ばれてやるよ!」みたいな(笑)。

CHIKA:そのマインド大事!

MOMOKA:反骨精神でめちゃくちゃ練習をしました。動画を見たり、1回ごとにレッスンで吸収できることを考えたり。あとは長くダンスをやっているメンバーが多いので、教えてもらったのも大きいです。みんなすごく上手いから、先生に教えてもらっているようなものなんです。すぐ近くにメンバーがいてくれたのは、本当に成長に繋がったと思います。

CHIKA:(拍手)


――では最後に、おふたりは今後HANAの活動を通して、どんな表現をしていきたいと思っているのか教えてください。

CHIKA:私は美しさの概念を変えていきたいです。かわいい人、美しい人、「これが正解」という考えの選択肢を私たち7人で増やしたい。「こうじゃないといけない」ではなく、「こんな自分になってみたい」と思ってもらえるような姿を、音楽を通して発信していきたいです。以前、ちゃんみなさんに「CHIKAが強く前に立っているだけで救われる人がいるよ」と言っていただいたことがありました。私が私を好きでいれば喜んでくれる人もいるんだと思えましたし、自分をしっかり愛して、自分を愛している姿を伝えていきたいと思っています。

MOMOKA:私もCHIKAと似ているかも。みんな幸せになってほしいんです。「痩せないとこの夢は叶えられない」とか「私には無理だから諦めよう」とかをできるだけ無くしたい。一歩踏み出すことでその人にとっての幸せに近づけると思うので、「踏み出してみよう」と思える力を、音楽を通して伝えられたらいいなと思います。そして、HANAは7人いて、個性もバラバラなので、それぞれが自分を出せるようないろんな楽曲をやっていけたら嬉しいです。



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