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<インタビュー>NOA、初めてのアニメタイアップ曲「Merry Go Round」でのぞかせる自身の心境の変化

インタビューバナー

Text & Interview: 永堀アツオ

 現在放送中のTVアニメ『ホテル・インヒューマンズ』のエンディング・テーマであるNOAの新曲「Merry Go Round」が配信中だ。NOAにとって初めてのアニメタイアップ作品となるこのアニメの舞台は、なんと殺し屋専用のホテル。すれ違いをテーマにした切なさがにじみ出るナンバーが、様々な思いを抱えた殺し屋たちの人間味あふれるドラマをより一層引き立たせている。

 今年はメジャーデビュー5周年という記念すべき年。現在はTVドラマ『初恋DOGs』の撮影に加え、9月に控える横浜BUNTAIでのワンマンライブの準備に忙しい毎日を送っている様子のNOAだが、様々な活動を経て、心境にも新たな変化が現れてきたようだ。その変化が具現化される9月のワンマンライブの見どころも聞いた。

──TVアニメ『ホテル・インヒューマンズ』のエンディング・テーマを担当することが決まった心境から聞かせてください。

NOA:小さい頃から今に至るまで、アニメをたくさん観てきたので、率直に光栄でした。

──どんなアニメ作品に触れてきました?

NOA:本当にちっちゃい頃で言ったら『ドラえもん』や『ポケモン』、『イナズマイレブン』です。つい最近は『進撃の巨人』にどハマりして、大人になってからも常にアニメを観てます。韓国で過ごしていた時期は日本のアニメに触れることで、日本を感じられることができていたので、もっと観ていたと思います。例えば、『ワンピース』とか、韓国でも公開されていた新海誠監督の作品とか。映画『君の名は。』は韓国の映画館で観たんですけど、離れている“日本”をスクリーンから感じて楽しんでいました。だから、アニメの最後を飾るエンディング曲が重要な役割を持つことはわかっていたんです。そんな重要な役割を任せていただくことに、すごく楽しみな気持ちと、ちゃんと務められるか不安もありました。でも、初めてのことだったのでワクワクが大きかったです。

──どのように楽曲制作を進めていったんですか?

NOA:原作のコミックを読み込んでから曲の制作に移りました。殺し屋のためのホテルが舞台と聞いて、最初は「どういうことなんだろう?」って思ったんですけど、読めば読むほど、登場人物たちが心の裏で抱えているいろんな思いに共感をしてしまって。アクションもカッコいい場面が多くて、気づいたらどんどんページをめくってしまう、そんな面白さと新鮮味がありましたね。

──NOAさん自身が共感したのはどんな部分だったんですか?

NOA:客観視してみるとネガティブに捉えがちなところが、実は奥深いっていうところですかね。なんというか、「人間ってみんな、こういうところあるよね」みたいな。いい意味で、表と裏の部分を隠さなくていいんだと思えたんです。もちろん殺し屋という職業は悪いんですけど、その裏に悲しいエピソードがあって、共感をする場面が多かったです。そこから、『ホテル・インヒューマンズ』の世界観をたくさんインプットして。ご一緒したSunnyさんとUTAさんにも原作を読んでもらって、この世界観を音でどう表せるかを話しました。

──アニメサイドからのリクエストは何かあったんですか?

NOA:事前に「ちょっと童話っぽい雰囲気が欲しい」ということは言われていて。その“童話っぽさ”というのは、僕も原作を読んだときに感じた世界観のひとつだったんです。そこに、夜のホテルのちょっと温かみのあるライトの色味や少しゴージャスな感じを音としてプラスしようと努力しました。

──Sunnyさん、UTAさんとのコライトはどのように進めたんですか?

NOA:UTAさんにトラックを全面的に作っていただいて、僕とSunnyさんで歌詞とメロディーを作っていきました。でも、基本的には3人でずっと同じ部屋にいて、意見やアイデアを交わしながら作りました。SunnyさんとUTAさんは昔から交流があるし、僕もSunnyさんとは去年のアルバム(『Primary Colors』)でご一緒していて、UTAさんとはその前にも一緒に曲を作っていたので、仲間という感覚があって。大好きなおふたりと一緒にまた曲を作れて、とても光栄でした。

──初のアニメタイアップですが、これまでの作り方とは違いましたか?

NOA:作品を読んでから曲を作ることがなかったので、やっぱり違いましたね。想像しやすいという意味で、作りやすかったと思います。言っちゃえば、目に見えるリファレンスが目の前にある状態なので、曲を作りながら、迷ったり悩んだりしたときは、何度でも作品を見ることができる。それは、作品のテーマソングを作る上でのメリットかなと思います。でも、あくまでも自分が想像している世界観を音で表現しているので、人それぞれ受け取り方も変わると思うんです。そこのバランス感というか……。「みんなが同じように感じてもらえるようには、どうすればいいんだろう?」って考えるのは、普段とは違うやり方でした。

──アニソンでありながらも、NOAさんの新曲でもあるという面もありますよね。

NOA:そうですね。もちろん作品が一番大事な部分ではあるので、そこをメインに作ってはいたんですけど、『ホテル・インヒューマンズ』のエンディング・テーマをNOAが歌うからこそこうなるっていうことを見せたかったと言うか……。NOAだから歌える曲、NOAっぽさは常に大事にしてます。ビートを作る上でも「こういうビートのほうがNOAっぽいよね」とか、逆に「こういう作品だから、普段とは少し違うメロディーにチャレンジしてみよう」とか。ここはNOAっぽいけど、ここはNOAっぽくないっていうバランスを、あえて取ってみました。

──3人が共通して持っているNOAさんっぽさというのは?

NOA:感覚的なものなので、言語化が難しいですね(苦笑)。実際に作りながら、「あ、今のメロはNOA君っぽいね」って言ってもらえるんですけど、確かにそうだなと思うときもあれば、自分ではあまり気づけていなかった自分っぽさに気づけることもあるので。

──UTAさんが作ったトラックに関してはどう感じました?

NOA:やっぱりすごいなって思いました。その場でどんどん出来上がっていくんですよ。あのスピード感にはいつも感動します。そして、何よりも自分が頭の中で思い描いている音を瞬時に具現化してくださるので、そこもすごいなって。

──童話の世界観以外にも、何かキーワードはあったんですか?

NOA:ハッピーさと悲しさで言えば、悲しさのほうを出したいと思ったので、歌詞や音で切なさを足しました。童話っぽさを求めすぎて、ちょっとハッピーになりすぎてしまったんですよね。「ちょっとこれは違うかもね」って一回戻して、切なさをより追求しました。


──切なさを足したという歌詞についてですが、これはラブソングですかね?

NOA:はい、ラブソングです。たしかメロディーが先にあって、切なさをテーマにしようって決めたんです。それから、「ラブソングがいいですよね」「切なさを表すキーワードないかな?」みたいな話から、メリーゴーラウンドというモチーフが生まれて。3人とも「これはもう、そういうことだよね!」ってなりました。メリーゴーラウンドって永遠に回り続けるけど、相手に近づけないし捕まえられない。「永遠のすれ違いもいいかもね」っていう会話から、この発想に辿りつきました。

──永遠と回り続けて捕まらないなんて、かなり切ないですね。

NOA:捕まえられないこともわかっているんだけど、すれ違いながらずっと惹かれているという思いをメリーゴーラウンドに重ねてます。このアニメにはいろんなストーリーがあって、登場人物の背景もそれぞれ違うんですけど、言いようのない“切なさ”が全員に共通してあって。そこをじんわりと感じていただけるとうれしいです。

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がむしゃらに走り続ける夏になるんじゃないかな

──ご自身の心情とも重なる部分はありますか?

NOA:はい。僕の体験も重ねながら書きました。自分が求めるものに対して、求めたように返ってこなかったり、なぜかずっとすれ違いが起きてしまったり。恋愛だけじゃなく、人間関係の中で生まれるぎくしゃくした感情を書いたんですけど、ラスサビ前のブリッジの歌詞で、今までだったらポジティブに追求するところを、今回はもう、〈離れるべきなのに/この恋は〉と歌っていて。本当は自分でもわかってるんだっていうことを、歌詞に書きました。あまりそういう感情で書いたことがなかったので、すごく好きな部分です。

──すべてをわかった上で、っていう感情はとても大人っぽいですね。歌入れはどんなアプローチで臨みました?

NOA:アニメの世界観に合わせることを考えて歌いました。曲自体、すごくアップテンポでも、めちゃめちゃスローなわけでもない絶妙なところなので、自分の声でもそれを意識して歌いました。あと、切ないという感情も込めながら歌ったと思います。

──楽曲がアニメの映像についたものはご覧になりました?

NOA:はい、観ました。そのときに初めて「本当にアニメのエンディング曲を書いたんだ」って実感が湧きました。それまではずっと頭の中で想像していただけなので。それにマンガでは色がなかったので、実際に色と動きがついた映像を観て「ああ、合ってた!」って(笑)。思い描いていた以上にアニメの世界観とマッチしていたので、すごく感動しました。本当に作品の一部になれていると実感して、めちゃめちゃうれしかったですね。

──これからもアニソンをはじめ、ドラマや映画などの作品のテーマソングを作っていきたいという意欲は湧きましたか?

NOA:すごくあります。今までも作品を観て、その作品の曲が好きになることが多々あったんです。今後も機会があれば、アニメであろうが、ドラマであろうが、映画であろうが、すべてチャレンジしたいと思っています。

──3月のインタビューでは、「今年1年、四季を共にしたい」ということをおっしゃっていましたが、この曲は春の「Seasons」に続く夏ソングっていう認識で合ってますか?

NOA:実はまだ確定していないんですけど、夏はまた別の曲があって、いま作っています。この曲とは違うアプローチで夏ソングを届けられるんじゃないかと思ってますね。ただ、この曲も夏の夜にぴったりだと思っているので、皆さんには「Merry Go Round」も四季の一部として聴いていただけたらうれしいですね。

──NOAさんは夏好きでもありますよね。今年はどんな夏にしたいですか?

NOA:来月に【SUMMER SONIC BANGKOK 2025】の出演が控えているので、そこで夏を存分に感じられると思っていますし、いま別の作品を撮っているので、そこでも夏を感じたり、夏のNOAを皆さんに届けられる気がしています。個人的には、9月13日にあるライブのリハや準備が今年の夏のメインイベントになると思ってます。がむしゃらに走り続ける夏になるんじゃないかな。

──【サマソニバンコク】はどんなステージになりそうですか?

NOA:久しぶりにタイで行うライブで、タイの皆さんに会いに行くからこそ歌いたい曲がいっぱいあるんです。はじめましての方もたくさんいる場にもなると思うので、NOAっていうアーティストを知ってもらえる、いいきっかけになればと思ってます。あと、9月に向けて動いている中で、僕もいろんな心情の変化があって。アーティスト面をもっと見せられたらいいなと思っているので、今までの僕を知っている方には少し違う姿をお見せできると思ってます。

──9月の5周年記念ワンマンライブはどんなステージになりそうですか?

NOA:ちょうど今、セトリを作ったり、演出を考えたり、いろいろな準備をしています。5周年という節目のライブなので、今まで以上に本気度が違うというか。力の入れ具合がすごいです。来てくださる方々に「これからのNOAはどうなっていくんだろう。ヤバそう!」って思っていただけるようなライブにもしたいですし、今までずっと応援してきてくださった方には、ご自身の人生の経験や思い出と重ねながら、どこか共感してもらえる瞬間も作れたらと思っています。この9月のライブが僕の今年一番のイベントになるので、何が何でもたくさんの方に見ていただきたいです。

──ライブまで2か月ありますが、今、そこに集中して向かっている感じがしますね。

NOA:本当に毎日そのことばかり考えてます。今までのライブも気合いを入れてたんですけど、準備の姿勢が少し変わったというか。例えば、こうして楽曲を作ったとしても、何事も完成することはないって、最近、すごく感じるんです。終わりがないし、キリがないからこそ、すべてにおいて、できることから準備すべきって思うようになって。時間があれば考えて、行動に移すことを意識しています。

──先ほど、「いろんな心情の変化があった」ともおっしゃっていました。アーティストとしてどんな心境の変化を感じていますか?

NOA:自分に素直になることをより心がけるようになりました。今までが偽りだったわけではないんですけど、今年に入ってから、この5周年を迎える上で、もっと自分に素直になりたいと思うようになって。伝えたくない、あまり見せたくないと思っていた部分を見せることで、もしかしたら皆さんに共感してもらえる部分が増えるかもしれない。僕のこういう面を知って、もっと好きになったって思ってもらえるのかなって。これからリリースしていく曲や今回のライブの演出では、そういう部分を意識しています。

──「Merry Go Round」のDメロも変化の一部ではありますよね。

NOA:そうですね。少しネガティブすぎるから、あまりよくないかなと思っていた部分も、これが逆にいいのかもって思うようになってきました。

──最後に、前回インタビューさせていただいた時に「DJをやりたい」とおっしゃっていましたが、進捗はありましたか?

NOA:全然ないですね(笑)。諦めてはいないんですけど、本当に時間がなくて。そろそろお芝居のほうも落ち着くと思うので、8月ぐらいにでも……。今は本当に、9月のライブのことで頭がいっぱいなんです。でも、そろそろ息抜きしたいので、ライブの準備と並行してそっちもやろうかな……でも、どうしよう。次のインタビューのときに、まだやれてなかったら(笑)。次回お会いするときに話せるよう、実現させようと思います!

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