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<インタビュー>ゆりやんレトリィバァがついに本格ソロデビュー 目指すは「みんながワクワクする “YURIYAN RETRIEVER”というジャンル」

インタビューバナー

Text & Interview: 永堀アツオ
Photos: 興梠真穂

 芸人、俳優、声優、タレント、ラジオパーソナリティと多方面で活躍してきたゆりやんレトリィバァが、YURIYAN RETRIEVER名義で、ついにソロアーティストとして本格的な活動をスタートさせた。本格的と書いたのは、すでにアーティスト活動も行っており、ラッパーデビューも果たしているから。

 デビュー曲「YURIYAN TIME」は、彼⼥が⾔いたいこと、腹を⽴てていることをベースに、新しい学校のリーダーズの「オトナブルー」や「Suki Lie」のプロデュースを⼿掛けた、トラックメイカーのyonkeyと共同制作した楽曲だ。さすがyonkey、ドラマチックな展開を⾒せるキャッチーなトラックは、数回聴いただけでもう頭から離れないほど、⾼い中毒性を持っている。〈⼟⽇は優雅にLAのおうち〉と歌っている通り、活動の拠点をアメリカに移している彼⼥はアーティストとしてどんな未来を描いているのだろうか。

──まず、YURIYANさんの音楽遍歴をお聞きします。小さい頃から音楽は好きでしたか?

YURIYAN RETRIEVER:はい。小学生の頃は芸人になる夢を持ちながら、ずっとモーニング娘。に入りたくて。とにかく歌も可愛いし、面白いし、みんな可愛いじゃないですか。加護(亜依)ちゃんが同じ奈良県出身で、「奈良県にこんな可愛い子いる?」って衝撃で……それが悔しさになり憎しみに変わり、「モー娘。の誰が好き?」っていう話になっても、フェイクで加護ちゃんって言わないようにしてました。好きすぎて言えなかったぐらい好きでした。

私には二歳年上の姉がいて、中学生時代はお姉ちゃんからアヴリル・ラヴィーンとかブリトニー・スピアーズのCDを借りて、家に帰ったらすぐCDを流して、歌詞カードを眺める、そんな時間を過ごしました。田舎やったんで、部活から帰ってもどこも行くとこないんで、ひたすら歌うだけみたいな。初めてCDを買ったのがSUM41の『チャック』(2004)やったかな。とにかく見た目がカッコよかったんで、曲は知らんけど買ってみました。高校時代は結構EXILEって感じです。高3のときに好きな人ができて、その子がEXILEがすごく好きだったので、その子に振り向いてもらいたくて、カバンにラジカセ入れて、昼休みはその子が遊んでる横でわざわざEXILE流して聞いてみたり。

──(笑)。ゆりやんと言えば、『フリースタイルティーチャー』も転機になったと思います。ラップに挑戦してみて、ご自身に合っていると感じましたか?

YURIYAN:ラップ自体、そのときが初めてでした。大学時代にストリートダンスサークルに入っていて、ヒップホップが一番好きなジャンルでもあるんです。モー娘。もJ-POPもバンド系の曲も好きなんですけど、特にヒップホップを聞くと気分が上がるんですよね。踊り出したくなる感じがします。(『フリースタイルティーチャー』)RGさんと紺野ぶるまさんとカミナリのたくみさんと4人で力を合わせて、ラッパーの先生に教えてもらいながら、励まし合いながらやってみたら、本当に楽しくて。韻を踏みながら言いたいことを言えるじゃないですか。「This is exactly what I wanna do! これこそあたしがやりたいことや!」みたいな。自分が強くなっていくというか。正直、フリースタイルのバトルで言ったことは向こうも忘れるし、言われたことも帰ったら忘れるので、結構フリースタイル好きなんですよね。

その後、Awichさんの「Bad Bitch 美学 Remix」への参加のお誘いがあり、新幹線の中で届いた音源を聞いていたら、掻き立てられるというか、どんどん魂の部分が震えだしてきて。眉毛も吊り上がってきて、気づいたら周りの人を睨んでたんですよ。「見とけよ、わかったか?」みたいな。みなさん平和にお弁当を食べたりしてはるだけなのに(笑)。

──(笑)。そこからソロデビューという道へはどうつながっていくのでしょうか?

YURIYAN:マネージャーと「こういうふうになりたいな」という話をよくするんですよ。現実的なことを一切考えずに喋るんですけど、ある日、「アリアナ・グランデみたいになりたいな」って言ったことがあって。そこで、マネージャーさんが「一回、ユニバーサルさんに相談してみましょう」って言ってくれて。そしたら、まさかお時間をいただけて、まさか打ち合わせをしてくださって、まさかyonkeyさんが入ってくれることになって……。「じゃあ、なりましょうか〜」「なりますわ〜」というテンションで人生を構築しているんですけど、いまだに信じられない思いです。

──予想外にトントン拍子で進んだんですね。アリアナのどこに惹かれたのでしょう?

YURIYAN:アリアナが何かをするって聞いただけでワクワクするじゃないですか。ゆりやんレトリィバァが曲を出すということではなくて、「この世界にYURIYAN RETRIEVERという者がいるらしい」って知ってもらいたいんです。存在自体が広まって、日本に逆輸入のかたちで戻ってこられたらいいなっていう話をしたのを覚えてます。ゆりやんレトリィバァ=芸人と思われるのはめっちゃ嬉しいんですけど、それがベースにありながらも、限界を決めたくないという思いがあって。最終的には、ゆりやんレトリィバァというジャンルになりたいですよね。

──なるほど。yonkeyさんとは、どのように制作を進めていきましたか?

YURIYAN:yonkeyさんが「自分が思ってること、言いたいこと、腹が立ってること、何でもいいからワードで送ってください」って言ってくれて、いろいろキーワードになるものを送ったら、それをもとに作ってくださりました。yonkeyさんは私が言ったことに対して、「それいいですね。こうしましょうか」って、すぐに変えてくれたり、アイデアを取り込んでくれたりして、それがめっちゃ嬉しかったです。

──YURIYANさんのアイデアが反映されているのは、具体的にどの部分なのでしょうか?

YURIYAN:〈ゆりやんタイムイズマネー〉は、ゆりやんタイムっていう言葉はもともとyonkeyさんが作ってくださったんですけど、私が「ゆりやんタイムイズマネー」って言ってたらしくて、それがいいと思って入れてくれたらしいんです。口からでまかせみたいなこと言ってたんですけど、yonkeyさんがしっかりそれをキャッチしてくださっていて、それを聞いて本当に嬉しかったです。

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──「YURIYAN TIME」にはどんな思いを込めましたか?

YURIYAN:yonkeyさんが私の自己紹介の曲になればと、私が送った自分の思いをギュってまとめてくれました。とにかく「私ってこういう人間なんです。みんな、黙っとけ」みたいな。いろいろ言ってくる人がいるかもしれないけど、「私はこういう人間やから黙っとけ!」っていうメッセージをだいぶポップに、でも力強くyonkeyさんが作ってくれました。歌っていると自分も楽しいし、元気がもらえます。

歌詞には私の今を作ってくれたものがいっぱい詰まっています。例えば、美学って言葉は「Bad Bitch 美学 Remix」から来ていますし、Netflix『極悪⼥王』でダンプ松本さんを演じたことで私の人生も大きく変わったので、ダンプさんの名前を入れてくださったり、自分の体づくりでお世話になった命の恩人の岡部友さんの名前も入れてくださったり。本当に自分の走馬灯みたいな曲なっています。

──『極悪女王』でヴィランを演じたことは、YURIYANさんにどんな影響を与えましたか?

YURIYAN:自分の感情とか思いを全部、包み隠さずにさらけ出すことができたことが大きな収穫ですね。むちゃくちゃなことをするとは言われてても、やっぱり自分の中でちゃんとボーダーラインがあって、そこからはみ出ないようにしていましたし、自分をさらけ出すのが恥ずかしくて、ごまかしてたんです。でも、ダンプさんって全身全霊でダンプさんをやってはって、そんな中途半端に自分を隠しながらやってたら、絶対にダンプさんになれへんって気づいてから、私も全身でダンプさんになれるように、徐々に、他の方々の助けも借りながら変わっていった気がします。

──岡部さんを命の恩人と呼ばれている特別な理由があるのでしょうか?

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YURIYAN:2017年、18年の私はもう、太りに太ってたんですよ。芸人になってから40キロぐらい増えちゃって。別に太りキャラでいきたいわけじゃないのに、ただの不摂生で太っちゃって。そんなときに、ともさんが「その体でやりたいことはもうやったんだから、これからは健康な体で、自分がやったことないことに挑戦してみたらどうかな」って言ってくれて。一緒にトレーニングして食事や健康面の管理をお願いしたら、本当におっしゃる通り、新しいことにチャレンジできるようになりました。不健康なままだったら、こうやって曲を出すまでにたどりついてないんやろうなって、めっちゃ思います。ほんまに命の恩人です。

──途中で、ちょっと演歌っぽくなるところも印象的でした。

YURIYAN:こんなカッコよくて、アップテンポな曲が急にめっちゃ演歌みたいになるのがおもしろくって、「yonkeyさん、さすがすぎる!」って思いました。勝手に『キル・ビル』をイメージしていますが、ふざけてるようには聞こえるけど、絶妙にカッコいいところでやってくれてるのが嬉しいです。


──最後の〈ゆりやんタイムイズマネー〉はYURIYANさんの声ですか?

YURIYAN:そうです。何個かパターンがあって、ドスが効いた感じで録ってみたら、私もこんな声やったんやって、びっくりしました。

──アーティストとしてデビューしましたが、どんな心境ですか?

YURIYAN:よもや自分が……まだちょっと信じられてないんですけども……「すみません、アリアナ・グランデになりたいんですけど」ってアホみたいなことを⾔いに⾏ったら、「ぜひ⼀緒にやりましょう」って⾔ってくださったユニバーサルミュージック合同会社の皆さんにまず感謝したいです。

今、Iʼm in Los Angelesなので、コーチェラに出たい! それも夢の1個ですし、みんなで⾏きたいですね。アリアナ・グランデにもちろんなりたいんですけど、これからは“誰々みたいな”ではなく、サーカスみたいな⼈間になりたい。芸⼈とか、ラッパーとかに留まらない、ひとり芸術集団になりたいです……よくわからなくなってきましたけど(笑)、とにかく楽しい⼈間になれたらいいなと思います。

──今回は日本語の曲ですが、アメリカ移住もされているので、今後は英語曲にも期待できそうでしょうか?

YURIYAN:今、日本語めっちゃ熱いらしいじゃないですか。キム・カーダシアンさんの娘のノース・ウエストちゃんがフィーチャーされた曲で日本語のラップやってはって。「これ、もしかしたら日本語バズるんちゃう?」って思いました。英語もやっていきたいですけど、せっかくアメリカにいるので、日本語をおもしろく思ってもらえたり、歌ってもらえたりしたらいいなって。私が中学生のときに、ブリトニーの歌詞カードを見ても意味が全然わかってないけど歌いたくなったように、日本語の意味わからへんけど、可愛いしおもしろそうやし、楽しい曲やし、カッコいいし歌いたいって思ってもらえるようになったらいいですね(ここで持参した“おりん”をチーンと鳴らす)。

──最後に、YURIYANさんはどんな人物だと言えますか?

YURIYAN:手に負えない人物じゃないですかね。あははは(笑)。

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