Special

<インタビュー>PSYCHIC FEVERはグローバルスターになれる――John Fossittが語る、グループの世界的な可能性

インタビューバナー

Interview & Text:高橋梓
Photo(Johnソロカット):雨宮透貴



 ブルーノ・マーズのバックバンド「The Hooligans」のリード・キーボディストであり、ライブアレンジャーとしても活躍をしているJohn Fossitt。彼は、2025年2月に行なわれたPSYCHIC FEVERの初のUSツアー【PSYCHIC FEVER FIRST U.S. TOUR 2025】で、ミュージックディレクター兼ライブアレンジャーとして、そしてキーボディストとしてライブに参加。さらに、6月に開催された【PSYCHIC FEVER LIVE TOUR 2025 "EVOLVE" in JAPAN】東京公演にも参加し、オーディエンスを盛り上げた。そんなJohnはPSYCHIC FEVERというグループをどう見ているのだろうか。本人に話を聞いた。

スーパーヒーローのようなグループ

――まずはPSYCHIC FEVERとの出会いから教えてください。

John Fossitt:1年ほど前に、PSYCHIC FEVERのマネージャーを紹介してもらったのがきっかけです。実はそれまでLDHという会社のこともPSYCHIC FEVERのことも知らなかったのですが、その出会いがきっかけとなってLDHのことを知りました。そこからPSYCHIC FEVERの楽曲も聴くようになって、メッセージ性や活動に共感し、ライブ音源の制作に関わるようになった、という流れです。


――最初にPSYCHIC FEVERの音楽を聞いた時、どんな部分が印象的でしたか?

John:そもそも、日本の文化はアメリカが忘れてしまったことを思い出させるんです。PSYCHIC FEVERに関しても、90年代~2000年代のR&Bを思い出させる、少しノスタルジックな音楽性を持っていると思いました。アメリカのボーイズグループの歴史を追ってみると、例えば、ニュー・エディションのような初期のR&Bグループから、ボーイズIIメンやジョデシィに至るまでのR&Bの要素を彼らに感じました。そして、それらに加えてバックストリート・ボーイズやイン・シンクのような初期のボーイズグループの激しいダンスやポップな要素もPSYCHIC FEVERには感じられます。だからこそ、彼らはノスタルジックさだけではなく、ボーイズグループの新しい姿を追求していると思いました。


――特にお好きな曲はありますか?

John:それは難しい質問! 新しい曲でいうと「Paradise」や「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」も好きです。それに昔リリースした楽曲ももちろん好きですね。彼らの楽曲はダンストラックであれば自分たちのエネルギーを見せられていますし、スローテンポ、ミドルテンポでも良さを発揮できていると思います。なので、お気に入りを選ぶのは難しいです(笑)。


――仰るとおりです(笑)。そもそもなのですが、正直なところJ-POPが世界に広がる可能性はどれくらいあると思いますか?

John:可能性はとても高いと思います。日本は他の文化やファッションを取り入れて、さらにブラッシュアップできる国と言われているんです。実際、工業製品もそうですよね。それと同じことを音楽でもすればいいと思っていて。しかも才能あるアーティストもいる。他の国の音楽を取り入れつつ、もともとあるJ-POPという文化を融合してブラッシュアップして発信することで、世界中にJ-POPが広がる可能性は間違いなくあると思います。


――なるほど。ちなみに、ジャパニーズ・ボーイズグループはアメリカでどういう認識をされているのですか?

John:正直に言ってしまうと、アメリカ人は日本の音楽文化、J-POPのことをあまり知りません。でも、そこがチャンスでもあって。世界の音楽シーンの中でK-POPというジャンルが確立してきてアジアに目が向いている今だからこそ、J-POPがどんなスタイルなのか、アメリカに対して知らしめるいい時期だと思っています。そういう意味で言うと、PSYCHIC FEVERは将来的な日本のボーイズグループの方向性を示しているような気がしています。


――音楽性も然りですが、PSYCHIC FEVERは武器をたくさん持っていますよね。

John:そうですね。彼らは一人ひとり違った個性を持っているので、世界中のいろんな人達が共感できると思います。ボーイズグループは1つのアイデンティティで統一されているケースが多いですが、PSYCHIC FEVERはモロッコと韓国のミックスや、ナイジェリアと日本のミックス、カウボーイ・ファッションのメンバーと、いろんな個性を持っています。それは世界の多様性を示しているとも言えるのではないでしょうか。先日行なったUSツアーでも、ファンの方がカウボーイハットを被っていたり、JIMMYや(小波津)志のファッションスタイルをマネしている方も見かけました。個性豊かなメンバーが集まってグループになっていることも、彼らの大きな武器になっていると思います。


――メンバー全員素晴らしい個性を持っていますが、Johnさんから見て特に気になる方はいますか?

John:全員それぞれがユニークだと思います。例えば、JIMMYだったら存在感の他に声という個性もありますし、志は素晴らしいシンガーですし。PSYCHIC FEVERのメンバーをまとめて1人の人間にしたら、スーパーヒーローが出来上がるんじゃないでしょうか(笑)。つまり、彼らはスーパーヒーローのようなグループだと思います。


――Johnさんはブルーノ・マーズという世界的アーティストと一緒にステージに立たれていますよね。その視点から見て、PSYCHIC FEVERがより世界に受け入れられるためにはどういった要素がプラスされればいいと思いますか?

John:僕がブルーノから学んだのは、すべてに明確な意図を持ってやっているということ。音楽制作はもちろん、MV制作、ライブでオーディエンスに投げかける言葉、すべてに意図があるんです。漠然と制作をしているのではなく、ストーリーや伝えたいこと、オーディエンスに理解してほしいことを明確化して、計画や目標を持って作っているんですね。PSYCHIC FEVERもその視点を持つといいのかもしれません。まずは自分たちのアイデンティティをどこに置くか、すでに世の中に広まっている音楽と比べた時に自分たちはどこに特化できるのか、かつ世界の人たちが共感できるものを探すんです。そうすることで、PSYCHIC FEVER、LDH、そして日本を表すことができると思います。


――なるほど。彼らにはまだまだ伸びしろがある、と。そんなPSYCHIC FEVERとUSツアーのロサンゼルス公演で共演した感想はいかがでしたか?

John:まずニューヨーク公演を見る機会があり、アドバイスをしたんです。どんな内容かというと、観客にしてほしいことがあったらそれを示したほうがいい、ということ。拍手をしてほしかったら、まずは自分たちが拍手をして見せる。手を振ってほしかったら、手を振って見せる。先ほど言った「意図」を示したほうがいいと伝えました。するとロサンゼルス公演の時には改善されていて、成長が見えました。結果、観客全体を巻き込んで熱狂を生む素晴らしいライブになったと思います。しかも、このツアー中に“追っかけ”のような人たちも増えていて。彼らと一緒にツアーを回っているんじゃないかというくらい、会場に足を運んでいたファンがいたんです。そうしたファンベースを作り上げられたのは、彼らが成功への道を歩んでいる印じゃないかと感じました。


――“追っかけ”の方はアメリカに住んでいる日本人、ではなくアメリカ人の方だったのですか?

John:そうですね。まず、ブルーノのライブに行くと、お客さんが9歳から90歳までいるんです。すごく幅広い。その幅広さはアーティストとしてのサステナビリティがあることだと思っていて。今回のPSYCHIC FEVERのライブでも、同じような現象が見られました。若い人もいれば年配の方もいたし、アジア系アメリカ人もいればラテン系アメリカ人もいて。いろんな文化の方が来ていました。印象に残っているのが、お子さんを連れてきている保護者の方。その保護者の方は最初後ろの方に座っていて、子どもたちが前で見ていたのですが、ライブが進み盛り上がっていくにつれて、徐々に前に出てきたんです(笑)。 最初はじっと子供の様子を見守っていたのに、次第にその保護者自身がライブを楽しみはじめたみたいで。熱狂的に応援し始めていた姿が良かったなと感じました。あとは、志がアカペラで1人で歌っていた時に現地の女性たちが大きな歓声を上げていましたね。いろんな文化の人がアメリカで日本のボーイズグループを見て、音楽とダンスに共感するのはすごいことですよね。




NEXT PAGE
  1. <Prev
  2. 彼らはもうグローバル・スーパースターになれる
  3. Next>

彼らはもうグローバル・スーパースターになれる

――素敵なエピソードです。ちなみに、6月19日には【PSYCHIC FEVER LIVE TOUR 2025 "EVOLVE" in JAPAN】の東京公演にも出演されていました。日本とアメリカのライブの違いは感じましたか?

John:The Hooligansのライブでは気が散ってしまうのでスマートフォンを使わないようにお願いしているのですが、日本のライブは注意しなくても皆さんスマートフォンを使わないのがいいですよね。アーティストは音楽に注目をしてほしいので、ちゃんと撮影できているか気にしたりと、スマートフォンに注意を向けてほしくないんです。あとは、ペンライト。アメリカではペンライトを使わないので、ペンライトがキラキラしていてすごく良いなと思いました。そういった小さな違いはありましたが、あとは同じです。アメリカも日本もエネルギッシュで、みんなで歌ったり、踊ったり。楽しい空間になっていたと思います。


――音楽を楽しみたい気持ちは同じ、と。Johnさんはブルーノのライブで世界中を回られていますが、どんなことを大切にしてライブをしているのでしょうか。

John:都市ごとの違いを理解するようにしています。例えば日本でのライブではオーディエンスが大人しい一面がありますが、ブラジルだと感情をストレートに表現する人が多いです。かと思えば、日本のナイトクラブではものすごく盛り上がっている。そういった違いを感じ取って理解するようにしています。それと、やっぱり盛り上がってほしいという気持ちがあるので、自分のソロパートでは毎回ライブをする国の曲を弾いています。そうすると、みんな知っている曲なので一緒に歌ってくれるんです。僕も自分自身をライブで表現していますが、オーディエンスにもライブで自分を表現してほしいんですよね。


――そういったことを大切にしつつ、ブルーノのパフォーマンスを近くで見ていらっしゃるわけですが、ブルーノが世界的アーティストたる所以はどこにあると思いますか?

John:ブルーノはすごく研究熱心なんです。自分がやっていることの土台を築いてくれた先駆者たちのことをたくさん学んでいますし、僕らにもそうするように教えてくれました。例えばジェームス・ブラウンやマイケル・ジャクソンの映像を見て、観客のリアクションをどう引き出しているかを学んだり。スタイルは違えど、音楽は普遍的なものなので、学ぶことはたくさんあるという考えなんです。


――そうやって勉強したことが、先ほどおっしゃられた「意図を持つこと」にも繋がっているのですね。PSYCHIC FEVERのお話に戻させていただきますが、彼らのUSツアーのライブ音源制作をすることになったのはどういった経緯からだったのでしょうか。

John:PSYCHIC FEVERのマネージャーと連絡を取り続けていたのですが、去年の11月に彼らがアメリカに来ると聞いて。僕がどう関われるのかを話し合っていました。でも、なかなか話がまとまらなくて。「うじうじ考えるのはやめよう。日本に行ってから考えよう」と、まずは日本に行くことにしたんです。そこで、PSYCHIC FEVERのメンバーたちと会って、JIMMYをはじめとしたメンバーの何人かと、音響スタッフさんとでスタジオに入ってアレンジをスタートしました。ライブにどう息を吹き込むのかを考える作業を一緒にしていった、という流れです。


――スタジオでの作業は徹夜になることもあったとお聞きしています。JIMMYさん、(中西)椋雅さんも参加されたそうですが、どんなやり取りをしたのでしょうか。

John:僕はミュージシャンで音楽家なんですね。でも、ライブ全体をディレクションしようとすると、歌やサウンドなどの音楽面だけでなくダンスパフォーマンスも含めた、すべての要素を考えなくてはいけません。音楽は目に見えないもので感じるもの、ダンスは音を可視化したものですよね。最高のライブを作るにはそのケミストリーを考えなくてはいけないのですが、僕はダンスの知見があまりないので、どうしようかと思っていました。でも、ダンスが上手いJIMMYと椋雅がダンサーの視点からアイデアを出してくれて。実際に踊って見せてくれたので、音楽とダンスの中間点のようなものを一緒に探ることができました。すごく助かりましたね。


――USツアーを作る上で、大変だったことが他にもあったり?

John:全くありませんでした。PSYCHIC FEVERのみんなが素晴らしい人たちでしたから。彼らは自分たちがやりたいことを理解していますし、僕自身も経験を積んできているので、協力することでスムーズに作業を進められたと思います。あ、でも、時差ボケは大変でしたね(笑)。


――時差ボケはたしかにキツイです(笑)。メンバーともコミュニケーションをたくさん取ったと思いますが、Johnさんにとって彼らはどんな存在なのでしょうか?

John:学ぶ意欲が高いし、ハングリー精神も強くて、僕から学んだことをすぐにライブに反映する応用力もある。謙虚で熱心なメンバーばかりです。チームの一員として一緒に働きたいと思う、大好きなアーティストですね。8人目のメンバーになれないかな(笑)。


――(笑)。では最後に、PSYCHIC FEVERがどんなアーティストになることを期待しているかを教えてください。

John:彼らはもうグローバル・スーパースターになれると思います。日本という国から出てきてどう成功できるかを示せる、J-POPのボーイズグループのリーダー的存在になるグループなのではないでしょうか。LDHという事務所はトレーニングのシステムも整っていて、成長に対して献身的ですよね。その素晴らしい環境でこれからも頑張っていれば、必ずチャンスがくると思います。あと数年で、スーパーグループになるんじゃないかな。そんな彼らの姿を見ることが今から楽しみです。


関連キーワード

TAG

関連商品

PSYCHIC FILE Ⅲ
PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE「PSYCHIC FILE Ⅲ」

2025/06/18

[CD]

¥7,370(税込)

PSYCHIC FILE Ⅲ
PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE「PSYCHIC FILE Ⅲ」

2025/06/18

[CD]

¥7,370(税込)

PSYCHIC FILE Ⅲ
PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE「PSYCHIC FILE Ⅲ」

2025/06/18

[CD]

¥7,370(税込)

PSYCHIC FILE Ⅲ
PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE「PSYCHIC FILE Ⅲ」

2025/06/18

[CD]

¥7,370(税込)

PSYCHIC FILE Ⅲ
PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE「PSYCHIC FILE Ⅲ」

2025/06/18

[CD]

¥1,870(税込)

PSYCHIC FILE Ⅲ
PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE「PSYCHIC FILE Ⅲ」

2025/06/18

[CD]

¥7,370(税込)

PSYCHIC FILE Ⅲ
PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE「PSYCHIC FILE Ⅲ」

2025/06/18

[CD]

¥7,370(税込)

PSYCHIC FILE Ⅲ
PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE「PSYCHIC FILE Ⅲ」

2025/06/18

[CD]

¥7,370(税込)