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<コラム>結成45周年のJUN SKY WALKER(S)、前代未聞の数のライブを行う彼らを掻き立てるものとは



コラム

Text:兵庫慎司
Photo:根本風太

 今、JUN SKY WALKER(S)(以下ジュンスカ)が、ものすごくライブをやっている。まず、2025年は結成45周年であることを記念しての全国ツアー【JUN SKY WALKER(S) 45th Anniversary Tour “since 1980”】が、2025年1月25日から5月13日まで27本と、10月4日から12月19日までの21本の計48本。そして、前半はそのツアーのインターバルの時期に、後半はそのツアーと並行して、【JUN SKY WALKER(S) 対バンシリーズ2025 狼煙上がる時】が、8月3日から12月14日まで5本。それ以外にも、2025年1月11日の初の海外公演となるオーストラリア公演【JUN SKY WALKER(S) Live in AUSTRALIA 2025】(森純太は気管支喘息発作と肺炎のため不参加)から、9月20日の福岡DRUM LOGOSのROTTENGRAFFTYのツアーゲストまで、フェスやイベント等の出演が11本入っている。今後、増える可能性もある。

 さらに、宮田和弥は5〜6月で8本の弾き語りツアーを行っているほか、下北沢CLUB Queと組んで開催している弾き語りイベント【弾けば弾ける】なども含めて、1月から11月までの間で、12本ライブが入っている。なので、今のところ年間で20本。

 小林雅之とサポート・ベーシストの市川勝也は、POTSHOTの30周年ツアーが、4月から11月までの間に9本入っている。森純太は、自身のライブが3月から6月の間に16本。これももっと増える可能性があるだろう。

 とりあえず、2025年は現段階で、ジュンスカだけで年間64本。ジュンスカと宮田和弥ソロと森純太ソロとPOTSHOTを全部足すと、116本になる。なんで全部足すんだ、という疑問はさておき。そもそも、超ベテランの枠に入るロックバンドが、1年中各地を回って、これだけの本数のツアーをやっている、という例はジュンスカに限らない。キャリア的に彼らの先輩である、LAGHIN’NOSEなどもそうである。




 だが、それをバンドでやりつつ、バンドのスケジュールが入っていない日も、それぞれのライブ活動として、こんなに数多く各地のステージに立ち続けている例となると、少なくともロックバンド界隈ではなかなかほかにいないのではないか。ツアーを「やっている時期」と「やっていない時期」のオンオフがない、「生活=ツアー」みたいな按配で、日々全国を回り続けている、近藤房之助や木村充揮のようなブルース界の巨匠くらいしか比較できそうな存在は思い当たらない。(ブルースじゃないけど、ジュンスカ。パンクだけど、どっちかと言うと。そもそも座って歌わないし、飛んだり跳ねたりし続けているけど)

 さらに、2025年は結成45周年だから特別にそのような活動をしているのか、というと、おそらくそういうことでもない。少なくとも、2021年1月に寺岡呼人と袂を分かち新体制になり、市川勝也にサポート・ベースを依頼してライブ活動を始めて、コロナ禍の状況が収まって以降は、多少の増減はあるが基本的に今のような「ずっとライブをやっている」状態が続いているように思う。1980〜1990年代のホコ天時代からメジャーブレイク期、そして解散の時代。2007年〜2008年の一度目の再結成の時期。2011年に、二度目の活動再開を果たしてから、新体制になるまでの10年間──どの時期と比べても、今の方が、多くのライブをやっているのではないか。


 なぜそこまでやるのか。それがいちばんやりたいことだし、それ以外に、それ以上に、やりたいことがないからだと思う。客前で、リアルタイムで、生身をさらしてパフォーマンスをするという、ごまかせない、やり直せない、逃げられない、そんなギリギリの場に立つことが、音楽活動の中でいちばん「生きている」という実感を持てる瞬間だからではないか。(いや、音楽活動の中に限らないか。人生すべての中で、か)

 じゃあ、ライブをいっぱいやっていれば偉いのか? と、もし問われたら、30年前なら「うーん、そうよねえ、必ずしもそういうわけでもねえ……」などと答えたかもしれない。が、今なら、「そうよ。それがいちばん偉いのよ」と、スッと答えられる気がする。まず、そもそもそれだけライブをやれるということは、観に来てくれる人がいるということだ。それに、そんなふうに人前に生身で立って何かやる、という、普通に暮らしていたらやらなくていい異常な行動に、取り憑かれている、やり続けている、そして歳を重ねれば重ねるほど、よりいっそう激化している──というその様に、我々が感じるのは何か。いわゆる「業」だろう。そんな「業」を背負っている人たちだからこそ、観たいと思うし、観に行くんだ、というところが間違いなくある。ライブをやっていてもやっていなくても、機嫌よく生きていける、そんな人がたまにやるライブは観たいだろうか?

 何十年も活動を続けていて、今も全国のライブハウスを回り続けているバンド。そんなバンドに関わる仕事ばかりしていて、日々そんなバンドのライブにばかり足を運んでいる、森純太の4学年下・宮田和弥&小林雅之の3学年下・市川勝也と同学年の、音楽ライターとしては、そう思うのだった。


 〈限りある未来 その日まで 終わらない永遠の歌と 今あるこの場所を正解とする〉

 2025年5月21日にデジタル・リリースされた、ジュンスカの最新曲「レジスト」のサビで、宮田和弥はそう歌う。そして、曲の最後は、〈今を生きている 今を生きている 今を生きて行く 今を生きて 今を生きて逝く〉と、締めくくる。「なんてジュンスカなんだ」と「なんて今のジュンスカなんだ」の両方を、つくづく感じる。「ずっと変わらないジュンスカ」と「2025年現在だからこそのジュンスカ」の両方が、この曲には描かれている、どちらかだけではない、だからグッとくるし、だからリアルだし、だからすばらしい、ということだ。


JUN SKY WALKER(S) 『レジスト』Official Music Video


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