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<インタビュー>石崎ひゅーい、桐谷健太主演ドラマ『いつか、ヒーロー』と共鳴する主題歌「HERO」に宿る信念

インタビューバナー

Interview & Text:奥“ボウイ”昌史
Photo:上村窓


 石崎ひゅーいが、新曲「HERO」をデジタル・リリースした。同曲は、テレビ朝日系日10ドラマ『いつか、ヒーロー』(毎週日曜22時15分~)の主題歌として書き下ろされ、主演の桐谷健太が演じる20年間消息不明だった主人公と夢を失った若者たちが、理想と現実の狭間でもがきながら、腐った大人たちに立ち向かっていく復讐劇の世界観と絶妙にマッチ。「人生、死ぬまで敗者復活戦」と銘打たれたドラマチックな作品に寄り添う、疾走感溢れる熱いロックチューンに仕上がっている。

 これまでも多くの映画、ドラマ、CM等のタイアップ曲や、菅田将暉、アイナ・ジ・エンドらへの楽曲提供を手掛け、時に俳優としても活躍する石崎ひゅーいが見出した、令和のヒーロー像とは? 「今は挑戦の時期にいる」と自覚するシンガー・ソングライターの信念は、この曲にも脈々と息づいている。7月にはキャリア初となる東阪ホールでのワンマンライブも控える彼に、現在の心境を聞いた。

描きたかった“人間らしいヒーロー”

――石崎ひゅーいの近況と言えば、触れざるを得ないのはTV番組『相席食堂』への出演で(笑)。Xでも「海落ちした時の姿勢めっちゃ綺麗だった、、笑」「相席食堂の石崎ひゅーい氏の回、出だしヤバかったけど最後の方めっちゃ良かった」などと話題になった、泣き笑いの神回だったと。

石崎ひゅーい:いや~、本当にありがたかったですね。緊張しましたよ、普段から一番見ている番組ですから。ノブさんに声が似ているといじってもらうようになって、制作がつらいときは千鳥さんの番組を見てリフレッシュしていた時期もあったぐらいなので、そういう恩をちゃんと返さないとな、という意味での海落ちです(笑)。



Photo:上村窓

――それはもう最高のアンサーですね(笑)。それもこれも、新曲の「HERO」を世に知ってもらうためということで。現在放送中のドラマ『いつか、ヒーロー』は考察要素もあって、今季屈指の面白さですね。

石崎:今っぽさと、どこか懐かしい感じもある脚本が面白いですよね。タイアップをやらせてもらうときは作品に寄り添うことを大切にしているんですけど、今回は桐谷健太さん演じる赤山誠司という主人公に触発されて、曲が生まれる感覚がありました。


――意識を失い20年後に目覚めた男が、情熱を持って周囲の人を巻き込んでいく。何事も冷めて見がちな現代社会に抗うエネルギーも感じる、やりがいのある作品ですよね。

石崎:“ヒーロー”ってあまりにも大きなテーマだし、今までも素晴らしいアーティストがたくさんのヒーロー像を作ってきたから迷いもあったんですけど、そこに立ち向かうのが今、石崎ひゅーいがシンガー・ソングライターとしてやらなきゃいけないことなのかなと思って。


――今の石崎ひゅーいは何事にも挑戦するモードということであれば、お題が難解であればあるほど、やるぞという気持ちになるかもしれませんね。

石崎:そういうモードも何もないなかで、ヒーローという大きな題材は掲げられなかったと思うから、このタイミングで依頼していただけてよかったなって。この曲では、スーパーマンみたいにかっこよくて、いつでも助けに来てくれて……というようなヒーローではなくて、ダメで情けないけど、誰かひとりだけでも守りたい、幸せにしたいというプライドを持っている、人間らしいヒーローを描きたくて。そのほうが強さが生まれるというか、届き具合が変わってくるなと。


――みんなが憧れるスーパーヒーローになるのは、なかなか難しい。けど、誰かひとりのためなら、自分にも何かできるんじゃないかと思える。

石崎:きっとそう考える人もいるのかなって。その思いを向けられた相手にとっては、本当のヒーローになるかもしれないじゃないですか。そういう感情をリスナーが受け取って、また誰かにその気持ちを渡してくれたら最高だなって。



Photo:上村窓

――ただ、歌詞は最後の最後まで何度も書き直したそうですね。

石崎:一言一言、悩みました。心のどこかで、この曲は簡単に作れちゃいけないんだろうなと思ったんですよ。そう自分に課していたところも多分あって、とにかく時間のある限り向き合わないと、というイメージでした。


――昨年2024年にデジタル・リリースした「Season2」の制作時も、「楽曲を書いた自分ではなく、聴いてくれた人が主人公になるのが目標」だと言っていましたが、「HERO」にも通じる信念を根底に感じます。

石崎:(ドラマ)第一話で、「人間は……何にでもなれる。お前たちは、俺の夢だ。俺のヒーローだ!」という桐谷さんのセリフがあるんですけど、あれって今まさに僕が考えている「聴いてくれた人が主人公」という世界線とつながるし、結構共鳴する部分があったんですよね。


HERO / 石崎ひゅーい



Photo:上村窓

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石崎ひゅーいにとってのヒーローは?

――このドラマのスタートにあたり、キャストの方々が「あなたのヒーローを教えてください」という質問に答えていて。「石崎ひゅーいにとってのヒーローは?」と聞かれたらどう答えます?

石崎:パッと思い浮かぶのは、やっぱり母親ですね。生んでくれたのもそうですけど、今こうやって音楽をやっている自分を形成しているのは母親の影響が強くて。そもそもデビュー当時に考えていたのは、母親の持っていたアイデンティティみたいなものが素敵だから、その感覚を世に知らしめてやりたかったんですよ。「第三惑星交響曲」なんかはまさにそうで。だから、僕にとってのヒーローは母親かな。


――そう考えると、聴いてくれる皆さんにとってのヒーローも案外、近くにいるのかも。

石崎:「HERO」も、誰かにとってのそういう存在の歌になればいいなと思いますね。



Photo:上村窓

――曲調がアップテンポで疾走感溢れるものになったのには何かあります?

石崎:プロデューサーさんたちとどういう曲調にしようかと話し合ったのと、映像を見たときに「何となくこれぐらいかな?」というテンポ感が頭に浮かんで、そこにメロディや詞を肉付けしていきました。今は監督さんが過去にどんな作品を撮ってこられたのかも調べられるし、しかもそれをNetflixとかですぐに観られるから、映像とか脚本の質感を事前にリサーチできるのはいい時代だなと思います。そういうヒントを自分でつかんで、「こういうBPMで、曲調で……」みたいな感じで、どんどん突き詰めていきました。


――脚本家や監督の作風が分かれば、創作上の判断基準になりますもんね。ただ、過去作の主題歌に名曲があったら、プレッシャーにもなりかねないですけど。

石崎:それが実際にあったんですよ(笑)。脚本家の方(林宏司)がドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』とかも手掛けていて、その主題歌がMr.Childrenの「HANABI」で。いい曲じゃないですか。そういうプレッシャーも含めて挑戦でした。


――今作のアレンジャーにKOHDさんを起用したのは?

石崎:去年、「Sunny Days」をKOHDさんにアレンジしていただいたんですけど、16ビートのリフを入れたり、すごく現代的なアプローチをしてくれる方で、ある意味、石崎ひゅーいをぶっ壊してくれるアレンジャーだなと思って。今回もそういう挑戦を一緒にしたくてお願いしました。「HERO」のひとつ目のサビが終わってから全然違うメロディが展開していく構成とかもKOHDさんのアイデアですし、最初はもうちょっと曲のウェイトを軽くしようと考えていたんですけど、歌と詞の混ざり方を考えたとき、あんまりライトにし過ぎてもなと思い直して。その辺りもKOHDさんにうまくバランスを取っていただきました。



Photo:上村窓

――俳優として出演した映画『パリピ孔明 THE MOVIE』も公開されましたが、演じる現場を外野ではなく肌で知っていることは、このような主題歌を手掛けるときに生きてくるものですか?

石崎:確かに、脚本の段階で「こういう演技で、こういうカット割りになるのかな?」とか、「このシーンはちょっとスローモーションっぽいな」みたいなことは、以前より想像できるようになったかもしれないです。


――そして、今後の石崎ひゅーいとしては、初の東阪ホールワンマンライブ【石崎ひゅーい LIVE 2025 - Season2 -】が、7月5日に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール、デビュー記念日の7月25日には東京・LINE CUBE SHIBUYAで行われます。

石崎:「HERO」はライブで一緒に心を解放できる曲だと思うし、それをバンドでガツンと披露できるのが7月のホールワンマンなので、その気持ちを会場に持ってきてほしいですね。今は自分の書いた歌詞やメロディ、考え方ひとつとっても、簡単に手放せるような心境でいたくて。もったいないと思ったりしない。新しい場所に行くために、これからはとにかくその2日間を目指して歌っていくので、ついてきてほしいな。今年の石崎ひゅーいの活動をここに集約して爆発させるつもりなので、楽しみにしてほしいですね。



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