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<インタビュー>LEEVELLES、高みを目指して完成させた自己最高曲「Brand New Day」で見せていく新たな歩み

Text & Interview: 本間夕子
Photos: 辰巳隆二
このバンドの可能性そのものだ。4月4日に配信リリースされたLEEVELLESの7th デジタルシングル「Brand New Day」にそう確信する。現在放送中のTVアニメ『この恋で鼻血を止めて』のオープニング・テーマとしてもすでに大きな話題を呼んでいるが、アニメの世界観を的確に掴みつつ、どこまでも高くまっすぐに未来へと突き進んでいこうとする彼ら自身の意志をも、ありありと反映させたこの曲は、現状を打ち破り、新たな一歩を踏み出したいと模索するあなたの背中をきっと力強く押してくれるだろう。
この3月末をもって3人体制となり、さらなる勢いで活動を加速させていくLEEVELLES。リリース直後の彼らに、まさしくブランニューなこの新曲と現在の素直な想いをたっぷりと聞かせてもらった。
左から:宮地正明(Ba.)、小川紘輔(Vo.)、川﨑純(Gt.)
──新曲「Brand New Day」がリリースされたばかりですが、反響は届いていますか?
小川紘輔:はい。アニメのタイアップですし、僕らにとって初めてのオープニング・テーマという意味でも、すごくたくさんの反響をいただいています。『この恋で鼻血を止めて』のノンクレジットのオープニング動画もたくさん再生されていて、ありがたい限りです。
──「Brand New Day」(真新しい日、の意)というタイトル通り、バンドの新たな始まりをも感じさせる楽曲ですよね。このタイミングで3人体制になられたこともあり、みなさんとしても心機一転、新たな意気込みを抱いていらっしゃるのではないかと思うのですが、そのあたりはいかがでしょう?
小川:心機一転という気持ちはすごくありますね。ドラマー(高木皓平)の脱退はすごく大きな出来事だったんですけど、だからといってバンドを止めるわけにはいかないっていう思いも同じぐらいあって。なので、このタイミングで「Brand New Day」を出せたことは結果的によかったと思っているんです。ここからまたバンドの新しい未来を見せていきたいですし、それができる曲だとも思ってます。ピンチをチャンスに変えられるよう、ここから力を発揮していけたらと思います。
川﨑純:4人でやってきた歴史がなくなってしまうわけではないですし、僕はむしろその歴史をこの先に繋げていくため、という気持ちが大きいですね。この3人で新しいスタートを切って、ここから一歩ずつしっかり進んでいきたいです。
宮地正明:ずっと一緒にやってきた仲間なので寂しさも当然ありますけど、改めて3人でバンドのこれからをじっくりと話し合えたことで、より結束も固められましたし、僕自身、LEEVELLESを続けていく意思がより高まりました。そうしたなかでこの曲をリリースできたこと、新たに踏み出せたことに、すごく意味があると思ってます。
──楽曲からもみなさんからもすごく前向きなパワーを感じます。ところで、この曲は最初からアニメのオープニング・テーマとして書き下ろされたのですか?
小川:はい。曲を作る前にアニメを拝見して、そこから世界観を構築していきました。アニメ自体はもともと中国で配信されていたもので、僕が拝見したときはまだ中国語版の映像しかなかったんです。第一話と第二話の日本語の台本とアニメを交互に観ながら、「あ、こういう感じでストーリーが進んでいくんだ」とか「キャラクターの雰囲気はこんな感じなんだ」って自分なりにイメージを膨らませて。ただ、アニメに寄せてはいるんですけど、LEEVELLESの曲としてもちゃんと成立するものにしたかったので、アニメに寄せすぎないようにバランスを考えました。アニメ×LEEVELLESという点は、しっかりと組み込めたと思っています。
川﨑:お話をいただいたのが去年の12月頃で、スケジュール的にはなかなかタイトではあったんですけど……。
小川:なかなかというか、すごく(笑)! ちょうど福岡でのライブも重なっていて、メンバーは先に東京に帰らなくちゃいけないけど、逆に僕は残らないといけないっていう状況だったので、作曲用に福岡までシンセサイザーとインターフェイスを持っていって。僕、出身が福岡なので、実家で曲を作ってました(笑)。
川﨑:ライブで使わない機材を飛行機で運ぶっていう(笑)。
小川:でも、本当にありがたいお話だったので、とにかく全力で、できる限りのことをやったつもりです。
──作曲スタイル的には、ふと降りてくる派ですか。それとも、考えに考えて練り上げていく派?
小川:曲によるんですけど、だいたいの場合、ふと降りてはこないですね。とにかく考えて考えて、練って練って、雑巾をギューッと絞るような……。
川﨑:もっと綺麗なたとえにしようよ(笑)。
小川:だって、いろんなものが混ざってるから。アイデアとか曲のパーツとか、いろいろ考えてることがいっぱい混ざってるから、雑巾でいいんです!(一同爆笑)その雑巾を絞りに絞って、ピチョンと一滴、落ちてきたものを大事に広げて曲にしていく感覚です。

──わかる気がします。では川﨑さん、宮地さんが最初にこの曲を最初に聴いたときの印象は?
川﨑:いい曲だなって思いました。デモの段階から風景というか情景が見えて、紘輔くんらしい曲だなって。あと、メロディがすごく綺麗だなとも思いました。男性ボーカルの曲としては、かなりキーが高めだと思うんですけど……
小川:うん、高い。
川﨑:「大丈夫かな?」って思うぐらい高いのに、それを実際に歌えるのもすごいなって。僕も今、カラオケで練習してるんです。
小川:そうなの!?(一同爆笑)
宮地:歌うんだ?
川﨑:うん、チャレンジはしてる。やっぱり、いい曲は歌いたいじゃない。
小川:じゃあ、俺に何かあっても大丈夫だ(笑)。
川﨑:代役が務まるとはまったく思わないけど、頑張りは見せたいかな(笑)。
宮地:お〜!
──何かがあってはほしくないけど、川﨑さんのボーカルは聴いてみたいです(笑)。宮地さんはいかがでしたか?
宮地:爽やかさもありながらも、すごく元気が出るエネルギッシュな曲だなって思いました。さっき純くんも言ったように、風景が見える感じ、僕は光が差し込む印象を受けたんです。「いい曲ができてるな、いいぞいいぞ!」って。デモを聴いてテンションが上がるって嬉しいじゃないですか。これはいいベースを弾きたいなって思いました。
──最高の褒め言葉ですね。もちろんアニメのオープニング・テーマということも意識して作られていたと思いますが、曲を構築していくうえで特に何を大事にされたのでしょうか?
小川:“キャッチーさ”はすごく大事にしました。僕のなかで、いい曲、グッとくる曲って、単純じゃないのにキャッチーに聴こえる曲だったりするんですよね。メロディの高低差があって、歌も早口なのに口ずさめる、みたいな。今回の曲も一見、難しそうだけど、ちゃんと口ずさめるものにはできたと思うんです。
──まさに気づけば一緒に歌ってました。
小川:よかった! そこがちゃんと届いたのはすごく嬉しいです。
──ギターに関してはどうでしょう?
川﨑:この曲は、ダンスミュージックやEDMを基にしたアレンジなんです。シンセサイザーの特徴的なフレーズもありますし、言ってしまえばギターがなくても成り立つ曲調ではあります。だからこそ「なんでギターを入れるのか?」を、自分でもかなり突き詰めていて。かっこいい音で弾くことを大前提として、ギター単体でもノレるサウンドにしたいな、と。今回、カッティングフレーズがすごく多いのは、ギターによるリズム感を大事にしたかったからなんです。
あと、奥行き感も大事にしています。それは最近の僕のテーマでもあるんですけど、音で立体感を出せたらいいなと思っていて。レコーディングの音の作り方や、テイクを決定するときも奥行きの部分を重視しています。その甲斐あって、ギターが存在する意味をしっかりサウンドに入れることができたと個人的には思っています。

──ギターソロもめちゃくちゃかっこいいですよね、ギターヒーロー感が全開で。
川﨑:楽しくやらせてもらいました。ソロはギターレコーディングのいちばん最後に録ったので、デザートみたいな感じ(笑)。紘輔くんの歌とクロスしてギターソロが入るんですけど、歌からバトンをもらうようなイメージで、好きなように、それこそ奥行きとかも考えず「よいしょー!」って(笑)。音作りも上手くいったし、大変満足してます。
──ベースが生み出す緩急のメリハリも、この曲をさらにドラマチックにしていませんか?
宮地:そう感じていただけたなら、よかったです。自分としてもイメージ通りに弾けて、レコーディングもかなりスムーズにいきました。君がいることで退屈な日常も特別になるという歌詞のテーマを踏まえて、ベースでは何ができるのかを考えて臨みました。例えば、ベースはBメロから入るんですけど、天使の梯子というか、雲間から光が差し込むようなイメージで弾いたり、逆にイントロやサビではワクワクしている感じ、後ろからみんなの背中を押すような、アクセルを踏んで前に進むイメージで弾いたりしました。
──ボーカルはいかがでしょう。先ほど、川﨑さんもおっしゃっていたようにかなりキーの高い曲ですよね。小川さんのハイトーンはボーカリストとして大きな武器のひとつだと思いますが、ここまで冒頭からずっと高音で押し切る曲はこれまでにもそうなかった気がします。
小川:とんでもない曲を作っちゃったなとは思ってます(笑)。ハイトーンかつ、ちょっと落ち気味のサビから始まる歌い方がなかなか難しくて。力強さはありつつ、強すぎないバランスで歌いたかったので、レコーディングでは結構、苦労しました。
──曲を作るときは、“ボーカリストとしての自分”を、あまり考えないんですか?
小川:もちろん考えてはいます。何も考えずに作ったら、もしも声が出なかった場合、キーを下げて作り直さなきゃいけないじゃないですか。そうすると当然、曲の雰囲気が変わっちゃいますし、僕自身もすごく悔しいですし……作っているときって、曲に“呼ばれる”というか、キーやメロディに呼ばれている感覚があるんです。せっかく形が見えたものを自分の声が出ないせいで変えなきゃいけないのは、曲に対してもすごく失礼な気がして。「ここまでは出る」ってわかったうえで、もう少しいけそうだと思ったら、半音高くしてみたりしてます。
──できる範囲内に収めるのではなく、可能な限りハードルは高めに設定したいんですね。
小川:声の音域って低音は限界があるけど、高音はわりと広げやすいって言うじゃないですか。高い声で歌えることが正義とは思わないけど、高音域が出れば出るほど表現の幅が広がると思うので、そこは挑んでいきたいんですよね。それに、デビュー前から僕らのスローガンが“現状打破”なので、ボーカル担当としては歌声も表現の幅も、どんどん広げていきたいんです。

──そうしたバンドのアティテュードもこの曲をいっそう説得力のあるものにしているんでしょうね。「Brand New Day」というタイトルはパッと見、爽やかで明るい希望を連想させますけど、この曲で歌われているのはただの綺麗事ではないというか……人生における困難や試練にも直面してきたからこそ、君と一緒に未来に向かっていきたいという切実な力強さに励まされるんです。
小川:ありがとうございます!
──歌詞はすぐに書けたんですか?
小川:いや、悩みに悩みました(笑)。この曲の“退屈な毎日と君との特別な1日”というテーマはアニメから得た着想なんですけど、必ずしも“君”は人物じゃなくていいと僕は思っています。僕らで言えば、お客さんも音楽も“君”。音楽があって、それを聴いてくれるお客さんがいるから、僕らは退屈な毎日を抜け出せます。同じように、人それぞれの“君”があると思ったので、それをなんとか盛り込めないかと考えました。ラブソングにも捉えられますけど、深く深く突き詰めていった先に見つけた本当の意味での“君”が、聴いてくれる人によって変わればいいなと思ってます。
宮地:僕がいちばんグッときた歌詞が、落ちサビの最後の〈抜け出せる僕らの今日を/信じてみたいのさ〉だったんです。“僕”ではなく“僕ら”になっているところがすごくいいなと思いました。孤独さを感じさせるパートではありつつ、“僕ら”という言葉のなかに、そこから抜け出すキーとしての“君“の存在を感じられてグッときたんですよね。
川﨑:僕はサビの頭の〈僕ら気付けば大人になった/繰り返すはじまりを駆けて〉という2行が好きです。どんな人にも過去があるし、毎日毎日、今日がやってきては終わりを迎える。その積み重ねで今があることを、この2行がしっかり表してくれている気がしたんです。毎日繰り返される新しい今日を全力で駆け抜けていたら、気づけば大人になっていたというのは、さっき言ってくださった人生の苦しみや辛さも抱えながらのことだと思うし、それが曲の最初に歌われているのもすごくいいなと。

──みなさん、気づけば大人になっていたなと思う瞬間ってあります?
川﨑:僕、高校生くらいまであまり忍耐力のない子供だったんですよ。わりと小さなことでイラついたり、友達とすぐ喧嘩したり。いっぱい失敗してきたので、コミュニケーションを取りながら、どうしたらいい方向に持っていけるのかを学習しました。最近はほとんど怒ってなくて、そういう自分に気づく瞬間が年々増えてきて、そのたびに「ああ、大人になったな」って思います。
小川:たしかに話し合いはしっかりするよね。僕はLEEVELLESに入ってから純くんと出会ったので、イラついていた頃の純くんを知らないんです。むしろ初めて会ったときから、大人っぽい印象だったので、きっとすごく大人になったあとだったんでしょうね(笑)。
──そんな小川さんはどうですか?
小川:大嫌いだったきのこが大好きになりました。友達から鍋パーティーに誘われて行ったら、きのこ鍋で、「うわ〜」と思ったけど、「きのこが嫌い」とはさすがに言えなくて。「お水をいっぱい飲みながら食べるか」って覚悟して食べたら、すごくおいしくて、同時に俺の味覚も大人になったって感じました。今や、好んできのこを食べてます。
──素晴らしいです。宮地さんは?
宮地:あまり大人になった実感がないんですけど、前よりちょっと視野が広くなったかな。自分が見てないところで誰が何をしているのか、その人はどんな気持ちで、なぜそうしたのかに、前より想像力を働かせるようになった気がします。前までは思ったままに行動してたけど、今は「これを自分がやるとどうなるのか」を考えたうえで、やるかやらないかを決めるようになりました。
小川:言葉も丸くなったよね。出会った頃は、思ったことをそのまま口にするから、こっちもビックリする時がいっぱいあったんですけど(笑)、いまは考えてから言葉にしているみたいで、意思の疎通がスムーズになったんです。別に宮地が悪かったわけではないんですけど、「こう言ったらどうなるか」に気をつけてくれているのが嬉しいです。
川﨑:俺も怒らなくなったし、平和だね(笑)。
──もうひとつ、歌詞からの質問で〈越えていく越えていく〉というフレーズに掛けて、みなさんがこの先、越えて(超えて)いきたいものも教えていただけますか?
小川:僕はやっぱり曲かな。いつまでもLEEVELLESのコンポーザーでいたいですし、そのためには常に前作を超えていかなければいけないので。おかげで毎回、雑巾をギューッと絞ることになるわけですけど(笑)、過去と今の自分を超えたいんです。簡単なことではないですけど、それはずっと心がけています。
宮地:僕は勇気が出なくて、チャンスを逃すことがよくあるんです。飲み会の場にすごく尊敬している人がいるのに話しかけにいけない、みたいな。でも、恐れずに飛び込んでいきたいって強く思うようになりました。この先、いつ会えるかわからないじゃないですか。前までの自分なら、もっと有名になってから挨拶しようと思っていたんですけど、そんな時が来るのを待ってる場合じゃないですよね。勇気を出せない自分を超えていきたいです。
川﨑:僕は技術のレベルアップ、音への解像度を研ぎ澄ませたいです。ギターに限らず、音というものをもっと深く理解して、どうやったら聴いてくれる方に自分が考える解像度で届けられるのかを、より突き詰めていきたい。その集大成が楽曲になると思うんですけど、どうすればそれがより多くの人の心に届くのか……このLEEVELLESでそこを越えて、たくさんの人と音楽を楽しんでいけたらと思っています。
──この先も期待しかないです。
小川:期待されている実感はすごくありますし、とてもありがたいことだと思っています。その期待に全力で応えるためにも、いろんなアプローチでたくさんの人の心に響く音楽を作って、どんどん届けていきたいですね。
リリース情報

「Brand New Day」
2025/4/4 DIGITAL RELEASE
SICL-30070 3,300円(tax in)
再生・ダウンロードはこちら
関連リンク
LEEVELLES 公式サイトLEEVELLES レーベルサイト



























