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中島美嘉 『REAL』 インタビュー
中島美嘉のリアル。本音。待望のニューアルバム『REAL』にはそれが詰まっている。未だかつてないほど人間くさい楽曲群だ。そのリリースに伴い、今回のインタビューでも中島美嘉のリアル、本音にフォーカス。プライベートの話から男勝りな人格のルーツ、そして『REAL』に込めた想いまで、飾らない素直な言葉で語ってもらった。
中島美嘉のリアル“最も女の子らしかった時期”
--あけましておめでとうございます。世間は今週から仕事が始まったりしていますが、どんな年末年始を過ごしていましたか?
中島美嘉:年末はすごかったです。有難いことに忙しくて、もう記憶がぶっ飛ぶぐらいバタバタしてました。でも年始は一週間ぐらい休みがあったんで、ボケーッとしていました。
--年末は具体的にどんな仕事に追われていたんですか?
中島美嘉:アルバムが出るから、それのパフォーマンス……じゃなくて何だっけ?
--プロモーション?
中島美嘉:そうそうそう(笑)。シングルとアルバムのプロモーションが重なってて。それに年末の特番が重なってドッタバタでしたね。
--その分、年始はゆっくり休んだと。正月ボケはどうですか?
中島美嘉:休んだ後だからやる気はあるんだけれども、パフォーマンスとプロモーションを間違える程度にはボーッとしてます(笑)。
--美嘉さんもお雑煮作ったり、親戚の子供にお年玉あげたり、そういうお正月然としたこともやったりするんですか?
中島美嘉:お年玉はあげますよ。もう年齢的にはあげる側になっちゃったんで。
--いわゆる芸能人的なアクションとして、グアムやハワイに行ったりは?
中島美嘉:今までは結構海外に行ってたんですけど、今年は行かなかったですね。いつもは年始って2週間以上休みがあるんですよ。でも今回は1週間ないぐらいだったから行かなかった。でも私はグアムとかハワイとかに行きませんけど。
--じゃあ、今年はお年玉あげたぐらいですか。正月らしい体験は。
中島美嘉:正月らしいエピソードは、お年玉あげたことぐらいですね。
--ところで、昨年末に強引にプレゼントさせて頂いた少女コミックはご覧になられました?
中島美嘉:ごめん、読んでない。ありがとう。気持ちだけ。
--(笑)。元々『クローズ』や『WORST』を読んでいたから、いわゆる少女コミックらしい少女コミックはあまり読んでこなかったと仰ってましたけど、なんで『クローズ』『WORST』に行っちゃったんでしょう?
中島美嘉:そもそも論(笑)? あのね、一番の影響は姉。姉が『クローズ』を読んでて、借りて読んだら面白くて、そこからハマっていって、気付いたらそういう漫画しか読めなくなってたんだよね。
--美嘉さんって昔から男っぽいというか、今と変わらぬサバサバした性格だったんでしょうか?
中島美嘉:小学生の頃は『りぼん』とか『なかよし』とか読んでたんだよ。でもなんかしっくり来なくって、男の子が読む『ドラゴンボール』とかの方が面白かった。少女マンガは夢の国のお話みたいで……
--『ドラゴンボール』の方がよっぽど夢の国ですけどね(笑)。
中島美嘉:そうだね(笑)。でもあそこまで行くと逆に楽しいんですよ。
--では、美嘉さんが最も女の子らしかった時期っていつになるんでしょう?
中島美嘉:何、その質問(笑)。今でも女の子らしいところはある!
--あります! もちろんありますよね!
中島美嘉:女の子らし…………うーん、らしかった時期あったかなぁ?
--ないんじゃん(笑)!
中島美嘉:幼稚園? ぐらいかな。その頃はスカートが大好きで、おままごとが大好きで、お人形で遊んで…………たかな? いや、遊んでた。人形を……(以下、略)
--その遊び方、完全に男子です。『セーラームーン』にハマったりとかしなかったんですか?
中島美嘉:あまり得意じゃなかったね、『セーラームーン』。私は『ドラゴンボール』派。
--分かりました(笑)。さて、美嘉さんのリアルな話を聞いたところで、ニューアルバム『REAL』についてもお話を聞かせて下さい。まず仕上がったものを聴いて、自身ではどんな印象や感想を持たれましたか?
中島美嘉:私のアルバムはバラードが多くて、今回もそれ自体は変わらないんですけど、一枚通して聴いたときにスピード感がある。「もっと聴きたいな」って思えるような1枚になったので、それを私はすごく気に入っています。
リリース情報
REAL
- 2013/01/30 RELEASE
- 初回限定盤[AICL-2497/8(CD+DVD)]
- 定価:¥3,500(tax in.)
- 詳細・購入はこちらから>>
- 通常盤の詳細・購入はこちらから>>
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
「怖ぇーな、中島美嘉」みたいな感じになっちゃって
--なぜ『REAL』というタイトルにしようと思ったんでしょうか?
中島美嘉:プロデューサーが考えてくれたんですけど、まず字面と響きが格好良いなと思ったんです。あとは、休業したりとかしていたので、そのときの自分のリアルな感じをここで出せたらいいのかな……というのもあって。
--では、その収録曲について触れていきたいんですが、序盤から珠玉のバラード3連発。しかもすべてシングル。中島美嘉らしいというか、中島美嘉だから成立する構成だとも思いましたが、こうした流れにしようと思ったのは?
中島美嘉:これもプロデューサーから「3曲連続でバラードにしない?」って提案があったんですけど、どうかなって思ったんですよ。「いや、それはグッタリするよ」って。で、家に持ち帰って3回ぐらい通して聴いてみたんだけど、「なんかしっくりこない」と思ったから、曲順を入れ換えてみたんです。それで「初恋」「Dear」「明日世界が終わるなら」の流れで聴いてみたら「これだ!」と思って。この順番にしてみたら意外ともたつかなかった。
--以前、「最近の音楽シーンは、アイドルとか明るくて楽しい曲が求められている。でも私は自分が好きな切ない曲を歌っていきたい」と話してくれましたが、正しくその姿勢を提示してますよね。
中島美嘉:そうですね。私は言葉もメロディも切ないものが好きで、声質にもきっと切ないものが合うんじゃないかと思うので。
--中島美嘉って同世代の女性アーティストで最も多くバラードを歌ってますよね。
中島美嘉:……歌ってると思います(笑)。
--それだけバラードを歌い続けてきて、常に新鮮さを保つ為に心掛けていることってあります?
中島美嘉:正直言って、最初の頃の新鮮さは薄れてきてるのかな。自分らしいバラードとファンが求めるバラードは、同じバラードでも違う時もあるから、今はそれを使い分けて楽しんでいる感じかな。
--ファンが求めているバラードってどんなもの?
中島美嘉:私の勝手なイメージですよ。「初恋」みたいなバラードがファンの方々は好きなのかなと。聴いてキュンとするのかなって。
--では、自分が求めるバラードは?
中島美嘉:「明日世界が終わるなら」。こういう曲が私はしっくり来ます。重くて暗い方が好き。
--そんな様々なバラードを軸に置くことで、バラード以外の楽曲も新鮮かつ面白く響くのが中島美嘉の特徴だと思うんですけど、まず「PASSION」。「全部ぶっ飛ばして 胸ぐらつかんで」と、男性的なフレーズが目立つファンクロックナンバーですけど、やはりこれは『クローズ』や『WORST』の影響?
中島美嘉:違うわ(笑)!
--では、どんな心境や想いで書いた歌詞なんですか?
中島美嘉:音楽の世界に限らず、仕事をしているとコロコロ意見変えたり、良いときだけ近づいてきたり、悪いときは離れていったりする人がいるじゃないですか。それを嫌味のように歌ってみようかなと思って。私が休業したときに人が見えたんですよ。「あ、本当に大事に思ってくれていたんだな」っていう人と「なんとなくだったんだな」っていう人がパックリ分かれたんで、私はもう綺麗に区別できてよかったと思ってるんですけど、それについて書いた曲ですね。
--ぶちまけてる感、半端ないですよね。
中島美嘉:そう。これね、OK出るとは思わなかったの(笑)。だけど、ウチのプロデューサーが「いいね~!高いスーツと安いシャツのところ、いいね~!」って。
--また、曲調的にはモータウングルーヴを感じさせる可愛らしいナンバー「SUPREME」も、歌詞は「街を歩けば カップルだらけ もう見飽きた 勝手にやってろ」と、これまた乱暴な言葉遣い。これはもう自然と出てきてしまうものなんですかね?
中島美嘉:(笑)。これ、真剣に受け取る?
--いや、可愛らしいと受け止めてますけど。
中島美嘉:だよね。私はギャグで書いたんですよ。でも意外とみんな真剣に受け取っちゃって、「怖ぇーな、中島美嘉」みたいな感じになっちゃってるんですよ(笑)。私はニヤつきながら「やってろよ」って言ってる感じで書いたのに。
--そのニヤついてる感を曲調が表現してますよね。
中島美嘉:そうそう! すごく明るい曲だから書けたんだよね。暗い曲にこの歌詞だったら物凄く怖いですけど、この曲なら笑いながら、楽しみながら毒吐いてる感じになるかなって。
--また、中島美嘉のリアルを描いた曲と言えば、アルバムの中心に位置する「BE REAL」。主観的な自分と、俯瞰的に見た中島美嘉で構成されていると思うんですけど、どうしてこういう歌詞を書こうと?
中島美嘉:これは「美嘉の生き様みたいなものを書いて、みんなの背中を押してあげてくれ」と。それで「美嘉は否定的な言葉をよく使いがちだから、とにかく前向きな歌詞にしてほしい」と言われ、のたうち回って書いた曲。本当にのたうち回りました。「こんな書けないか!」っていう。私はちょっとひねくれていたりとか、例え話的な歌詞が好きだから、そういう歌詞ばっかり思いついちゃうんですよ。でもこの曲では「ストレートな歌詞」ってずっと言われてたから……。
--「もっとリアルにWOW WOW……」と、中島美嘉が歌うイメージはなかったですからね。
中島美嘉:そうなのよ……そうなのよ!
--(笑)
中島美嘉:でもそこをみんなで歌えればいいなと思って。
リリース情報
REAL
- 2013/01/30 RELEASE
- 初回限定盤[AICL-2497/8(CD+DVD)]
- 定価:¥3,500(tax in.)
- 詳細・購入はこちらから>>
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正直、まだ迷ってます。本当にこれを……
▲中島美嘉 『【HD】LOVE IS ECSTASY( ショートver.)』
--この曲は自分のことを歌っているんだけど、それが誰かへのメッセージにもなっていくという。例えば「私はみてるよ 毎日頑張っている君を」というフレーズが自分に対しての言葉とも、第三者への応援メッセージとしても捉えられる。そこは目指したところなんでしょうか?
中島美嘉:結果、そうなったね。自分が言われて嬉しい言葉を探していったら、そうなった。この歌詞の新境地感は凄いと思います。
--また、今作における中島美嘉作詞の新曲で最も小説的なナンバー「ピアス」。こちらはどんなイメージやきっかけで書いたものなんでしょう?
中島美嘉:これは知り合いの体験談というか、話を聞いていて「ちょっと元気づけられたらなぁ」と思って。ツラい恋をしている人たちに「あ、同じ体験をしている人がいるんだ」って安心感を与えることができたらなと思ったんですよね。
--そして、今作の最後を飾る「LETTER」。この曲こそ“REAL”そのもの。「まさかまた君に会えるなんて あの頃は思っていなかった 消えることだけを考えてた 歌う事に疲れていた」というのは、以前話してくれた“最も苦しかった時期”の中島美嘉ですよね?
中島美嘉:もう何も説明は要らないですよね。このまんまです。
--これを曲にして発表しようと思ったのは?
中島美嘉:「書いてみない?」って言われたんですよ。休業前とかの一番ツラかった時期の心境について。ファンがみんな知りたいだろうからって。それで「分かりました」って言ったものの、すごく迷って。でも性格上、0か100なので、100で書きました。嘘は書かない。綺麗事も書かない。
--この曲が作れてよかったと思う?
中島美嘉:正直、まだ迷ってます。本当にこれを……あのね、聴き流してもらいたいの。「あ、良い曲だな」とか「私にも疲れているときがあったな」ぐらいの感じで聴いてもらえたらいいんだけれど、優しいファンはすっごい心配するだろうし、それが気になる。だからいつもインタビューでは「もうこの時期を越えたから書けたんだよ」っていうことを伝えてはいるんだけど、「よかったのかな、ここまで書いて」っていう迷いは正直あります。
--とは言え、どこかでそこを見せていいと思える自分がいた訳ですよね。
中島美嘉:……そうね。
--今なら見せてもいいと。
中島美嘉:うーん……なんか…………そうね。
--(笑)
中島美嘉:やっぱりね、まだ迷ってるねー。
--リリースする直前までこんなに迷う曲って過去ありました?
中島美嘉:ないない。いつもは作ったらそれで終わりだから。その後のことは全く気にしないから。でもこの曲だけは「どうだったんだろう?」ってなっている。
--その答えが見えたらまた話を聞かせて下さい。また、今年は全国ツアー【中島美嘉 LIVE IS “REAL” 2013 ~THE LETTER あなたに伝えたくて~】の開催が決定しています。どんなツアーにしたいと思っていますか?
中島美嘉:待っていてくれた人たちに直接お礼を言いたい。やっぱり「ありがとう」って伝えたいかな。
--前回のツアーは、過去最大の試練。引退も意識しながら、ギリギリの状態で歌い続けることになり、「あのツアーが一番悔しかった」とも仰っていましたが、その分だけ今回は最高のものにしたい想いは強いんじゃないですか?
中島美嘉:強いですね。気持ちだけは前に。
--プレッシャーとか怖さはない?
中島美嘉:ありますよ。
--それでもやろうと。ちなみにこのツアー、タイトルに「THE LETTER あなたに伝えたくて」という言葉を入れていることからも、どんな意味合いのツアーなのかが分かります。ありのままの自分を届けたい、ありのままの自分で歌いたいという。
中島美嘉:そうですね。伝えたいことを伝えに行きたい。
--今日のインタビューからも感じましたが、美嘉さん、かつてに比べると人間臭さが前に出てきましたね。
中島美嘉:そうだと思います。今回のアルバムに関しては特に。これからまたどうなっていくかは分からないけど、今回はそうだと思います。
--ちなみに“LETTER”を届ける相手=ファンは、今、美嘉さんにとってどんな存在になっているんでしょう?
中島美嘉:いつになるか、どうなるか分からない私をずっと待っててくれる。それは物凄い根気というか、愛情なので、そういう人たちをずっとずっと大事にしていきたいです。新しいファンを獲得とか、そういうことではなくて。やっぱり待っていてくれたファンをとにかく大事にしたい。
--では、最後に。今年のツアーで再会するであろうみんなへメッセージを。
中島美嘉:いろいろ感じることはあると思うんです。ついてきてくれるファンのみんなは。でもやっぱり一番に「楽しんで帰ってもらえたらいいな」と思います。
Music Video
リリース情報
REAL
- 2013/01/30 RELEASE
- 初回限定盤[AICL-2497/8(CD+DVD)]
- 定価:¥3,500(tax in.)
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Interviewer:平賀哲雄
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