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<インタビュー>NAQT VANEがNewborn Vibesをお届け──コンセプトEP『NV』に込めた想いと絆を深めたツアーを振り返る



インタビューバナー

Interview & Text:永堀アツオ
Photo:堀内彩香


 NAQT VANE(ナクトベイン)が、2025年4月2日にコンセプトEP『NV』をリリースする。今作は、Yunoaが加入し新生NAQT VANEとなって初のコンセプトEP。Yunoa ・Harukazeそれぞれソロで歌唱した「C」(読み方:シー)、「O」(読み方:オー)や再解釈した“NV シリーズ”など全7曲が収録されている。そんなコンセプトEP『NV』にはどんな思いとメッセージが込められているのだろうか。全国ツアーを終えたばかりの二人に、ツアーの感想と併せて、たっぷり語ってもらった。

お互いにいなきゃいけない存在

――4都市8公演を回った初めてのツインボーカル体制での全国ツアーを終えた感想からいただけますか?

Harukaze:最初は期間的には長いなと思ってたんですけど、実際にスタートしたらあっという間で。2人ともすごく楽しんでパフォーマンスできたし、8公演を終えたのがまだ信じられないぐらい名残惜しい感じですね。


Yunoa:めちゃくちゃ早かったです。私はワンマンライブに、ちゃんと1から参加するのも初めてで、もちろんツアーも初めてだったんです。だから、すごく不安だらけだったんですけど、始まってみるとすごく楽しくて。私も終わったのがまだ信じられないし、早く次のライブがやりたいっていう気持ちになってます。


――今回は、昼夜で異なるセットリストでした。お二人をそれぞれ「太陽と月」に例えていて、昼公演はHarukazeさんのプロデュースで。

Harukaze:お客さんたちに活力や笑顔を与えることをテーマにプロデュースさせていただきました。冒頭は私がやりたいと言った“ハルササイズ”から始めて。私だからできることを考えたときに、歌もそうなんですけど、体を動かすことが好きなので、無理言ってお願いして、BGMも自分で声を入れて作りました。


――意外な始まりですよね。NAQT VANEはどちらかというとクールで神秘的なイメージがあったので。

Harukaze:ライブではギャップを見せて、もう少し近い距離感を感じてもらいたいなと思って。お客さんたちも意表をつかれてた人が多かったんですけど、それでもみんなちゃんとやってくれました。半ば強制的にやってもらったんですけど(笑)、良い反応が得られたし、みんなが一緒に体温を上げてくれたので、すごく温かい回になったんじゃないかなと思います。MCも含めて、歌以外でもいろいろ届けたいという思いもあったし、客席からはVANEs(ファンネーム)の笑顔もたくさん見れたのが嬉しかったですね。


――夜公演はYunoaさんプロデュースでしたね。

Yunoa:昼公演も夜公演も“ありのままで”というメッセージは込められてるんですけど、夜公演は特に、素の自分でいてほしいという気持ちを込めていて。今、生きやすいようで実はすごく生きづらい、ちょっと難しい時代になってると感じていて、その中で試行錯誤して生きてるみんなが、この時間だけでも楽になるようにしたかったんです。それは、言葉でも伝えたし、私達が自由に楽しんで歌うことでも伝えられたんじゃないかなと思っていて。

 人は気持ちが落ちちゃったときとか、ネガティブに入っちゃったときに、とことん「自分はいてはいけない存在だ」、みたいな方向にいってしまうと思うのですが、このツアーに来てくれてる時点でみんなは私達のヒーローなんだよっていうことをソロ曲の前のMCで伝えて。これからは気持ちが落ちちゃうことがあっても、それを思い出してほしいということを話しました。


――それぞれの個性が「太陽と月」という対比になっていることはどう感じてますか?

Harukaze:ツアーのミーティングをしたときに、ツインボーカルになってからの私達の“対”な部分を打ち出していこうという話になって。自分たちを比較して、それぞれの個性的なところやキャラクターを表すキーワードを書き出したんですよ。そこで「月と太陽」っていうのも出てきて、一番わかりやすいんじゃないかってことになって。対照的だけど、どっちもなきゃいけない存在だし、重なるとすごくマジカルなことが起こる。いろんな面から見ても私達っぽいなって思ったのがきっかけですね。


――Harukazeさんを象徴するのは太陽ですか?

Harukaze:そうですね。名前に晴れるっていう漢字が入っているので(笑)。太陽をいつも味方につけてるイメージです。


Yunoa:確かに。めちゃくちゃ晴れ女だし。


Harukaze:本当に晴れ女なんですけど、NAQT VANEだと澤野さんがすごい雨男なので、澤野さんが来ると負けちゃうんですよ。まだ勝ったことがない……。


Yunoa:ツアーの東京公演も澤野さんが昼公演と夜公演の間ぐらいにいらっしゃったんですけど、その後に雨が降り出し始めて、さらに雪になって……。


Harukaze:そう、負けたんです。でも、昔から自分で「晴れるっていう字がついてるからには」って思ってるところがありましたね。


――Yunoaさんは月っぽい?

Yunoa:はい、めちゃくちゃフィット感があります。小さいときから一匹狼みたいなところがあったし、一人で弾き語りしてる時間も夜だったし。朝に弱くて、最近はもう逆に、朝方に行きそうなくらいのところまで起きてる(笑)。だから、すごくマッチしてると思う。


――対極の個性を持つ二人による新体制になって10ヶ月が経ちましたが、ツアーも経て、何か変化はありましたか?

Harukaze:ツインボーカル体制になって、最初から「新しい道が切り拓ける」とは思ってはいたんですけど、ツアーをやったことで、お互いにいなきゃいけない存在になってましたね。太陽公演、月公演でお互いプロデュースしてはいるけど、お互いがいないと輝けないという面が両公演で出てた。逆に、今まで1人でやってたことが少し不思議に思うぐらい(笑)、もう当たり前の存在になってました。ツアーで一緒に濃密な時間を過ごしたことで、改めて、すごくしっくりきました。


Yunoa:私も改めて、Harukazeと歌うことがこんなに楽しいんだっていうことを感じました。あと、こんなに自分が他の人と一緒にいられるなんて知らなくて、ずっと素の自分でいられたし、すごく楽しくて。人といることが苦じゃないんだという、自分の新たな一面を知れました。だから、これからも大好きなみんなと一緒にいたいなと思います。


――そして、このツアーに向けて澤野さんが二人のために制作されたソロ歌唱曲「C」と「O」が収録されたコンセプトEP『NV』がリリースされました。まず、ソロ歌唱曲からお伺いします。Yunoaさんは「C」を受け取ってどう感じました?

Yunoa:普段、Yunoa名義としてソロ活動をしてるときは自分で詞を書くことが多いんですけど、この曲は、自分の特徴や考えをリストアップしてお渡しして書いてもらったんです。でも、自分が思ってるまんまを書いてもらえたなっていう箇所がいくつもあって。「ありのままでいてほしい」っていうのは、無理に自由にしてほしいっていう意味ではなくて、気楽に行ってほしいみたいな気持ちなんですね。「C」は無理に背中を押しすぎない曲だと感じて、それがすごく腑に落ちたし、ちゃんと私の曲だなって受け取ることができました。


――Harukazeさんは「C」を聞いてどう感じましたか?

Harukaze:私、すごい好きなんですよ。Yunoaのまだ知らなかった魅力を澤野さんが最大限に引き出してくださっている曲だなと思って。メロディーも好きなんですけど、Yunoaの声の出し方とか、ほんとにいいところが全部出てる。

 お互いのソロ歌唱曲のレコーディングには行ってなかったんですけど、リハで聴いた時に歌詞を見なくても想いが伝わってきて、すごく「Yunoaじゃん!」って思いました。例えば、<いつか満ちる日を/未開拓の道行を指す>とか。


Yunoa:確かに、ここは歌うとき押してたかも。伝われって。


Harukaze:あと、これまで歩いてきた冷たい道を振り返ったりもしながら、私達がこれから行くまだ開拓してないところを見ていて。Yunoa名義のソロ活動も去年始まったばっかりだし、これからいろんな道を切り拓いていくんだな、みたいなことを思ったり、いつか満ちていくのを私も見届けたいと思っていますし。すごくグッときますね。


Yunoa:私も歌いながら泣きそうになる瞬間は結構あって。それこそ<静かに瞳を濡らす Nowhere night>とか。人の前ではそんな簡単に泣けないじゃないですか。私は泣いちゃいそうなときはもう1人で泣くタイプで、家で1人で壁に寄りかかりながらポロって涙が流れる感じ。それはリストには書いてなかったんですけど、知ってるんだ、ばれてるんだって感じて。本当に自分の思ってたことがそのまま出てるんで、歌いながらも、そうなんだよって思いながら、泣きそうになってます。


――タイトルはどう捉えましたか?

Yunoa:月の形ですね。そういうシンプルさっていいかなと思って。


――そうなんですね。じゃあ「O」も。

Harukaze:太陽の形です。「C」とは対極にある曲。私も歌詞をもらったときに、自分が人に伝えたいメッセージをしっかりと汲み取っていただいたなって感じました。“人に笑顔になってほしい”っていう私の人生のモットーもちゃんと<smile を頂戴>という歌詞に現れたりしていて。

 キーや歌い方も何も指示はされなかったんですけど、これまでのレコーディングで、澤野さんにいいねって言ってもらえたテクニカルなところがめちゃくちゃ出る曲だったんですよ。NAQTの中でも一番出せる曲だと感じていて。それを言ったら、「へぇ~」って意外そうな顔されてましたけど(笑)、その引き出す力にも驚きました。あと、NAQT VANEでアンセム的な曲は「Beautiful Mess」や「VANE」もありますけど、お客さんと一緒になって歌ってるのがイメージしやすかった曲でもあって。


――いろんな声色で歌ってますよね。

Harukaze:そうなんですよ。毎回レコーディングするときに、必ず新しい挑戦をしたいという話を澤野さんにしていて。NAQTの曲でフェイクを最後に入れたり、サビをいろんな人の声色をイメージして歌ったんです。こういう歌手になってみようとか、めちゃくちゃ低いおじさんで歌ってみようとか。15人ぐらい、何回もいろんな声を試してみて。全部入ってるんですけど、そういう遊び要素も交えてレコーディングできたっていうのが、私的には新しい挑戦でした。

 そこは楽しかった思い出としてあるし、ツアーではお客さんたちは初めて聴くはずなのに、ちゃんと乗ってくれて。<Stay bright! Daylaight>のところでハルササイズで使ったパンチの動きを使ってもらったんですけど、一体感も感じたし、<smile を頂戴>では笑ってくれてる人が多くて。みんなに「Harukazeらしい曲だね」と言ってもらえたし、ここまで引き出してもらえるのってすごいなって改めて思います。


Yunoa:私はツアー中、この曲を聞きながら、裏でずっと踊ってました。NAQT VANEは元々Harukazeが1人で歌ってたプロジェクトなんで、デビュー当時から見てたファンの方からしたらすごく嬉しいんじゃないかなって思うし、Harukazeがすごく弾けてて、めちゃくちゃ楽しそうに歌ってて。まさにHarukazeって感じの曲ですね。


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新しいバイブスが届くといいなと思ってます

――さらに、ファーストアルバムの収録曲をツインボーカルで再解釈したNVバージョンも収録されてますが、特に印象に残ってる曲を挙げるとすると?

Yunoa:「Ditty - NV」ですね。ラップが入ったんですけど、このラップがやばくて。もう初っ端からぶっ飛ばすんですよ。自分でも何言ってるかわからないくらい速いので、それはぜひみんなに聴いてほしい。


Harukaze:でも、一番楽しそうにラップしてると思う。このラップをやってる自分、めっちゃバイブスいいじゃん! みたいなのが伝わってくる。曲自体も楽しむ曲だからってのもあるかもしれないけど。


Yunoa:一番踊れたかも。


Harukaze:遊び心もあるし。<的なハーモニー>っていうリリックが、めっちゃギャルだなってずっと思ってて。本当に速いけど、Yunoaのラップで私も鼓舞されて。こんなに曲は変わるんだって感じたし、元々遊び心がある曲だったんですけど、1人で歌うより絶対に2人で歌った方が面白みが増える曲です。


Yunoa:ツアー中は<あっち向いてホイ>のタイミングで本当にあっち向いてホイをやって。Harukazeは絶対に引っかかるんですよ。


Harukaze:なぜかね。引っかかるの。


Yunoa:いつもここで笑って。めちゃ楽しかった。


Harukaze:澤野さんも私も「Ditty」のNVバージョンが一番好きですね。一番変わった曲でもあるし。


――「NOWVERSE - NV」も二人じゃないとできない曲になってます。

Harukaze:そうですね。NVバージョンがもう全部当たり前になってしまっているので、逆に、自分の中で本当に私これ、1人でやってたんだって思うくらい(笑)。逆に「Break Free - NV」は何も変わってないけど、2人で歌うからこそお互いの「Break Free」の捉え方の違いが表れてる気がする。すごくフィットしてるよね、これも。


Yunoa:めっちゃフィットしてる。「Break Free - NV」は最後、ハモるんですけど、歌っててすごく気持ちがいいです。なんか「イエス!」って感じがする。


――2人だけの声になって、アカペラでハモってますね。

Yunoa:最初は自分たちでイベントの時に勝手に始めたことだったんですよ。採用してくれるとは思ってなかったんですけど、レコーディングで提案として録ってみたら使ってくださって。


Harukaze:まさか音源でもハモるとは。ここはゆっくりちゃんとメッセージが伝わるように言うって考えたときに、2人の思いが乗っかってるといいんじゃないかみたいなところからハモったのが、まさかの採用になって。そういうのもツインじゃないとできないし、ハモリの相性もすごい合うなと思いますね。


――全7曲が揃って、どんな感想を抱きましたか?

Yunoa:すごく嬉しいです。NAQT VANEに入って、まだ一年経ってないんですけど、CDに自分の名前が入ってるというのが初めての感覚なので、興奮もあります。ツインボーカル新体制っていうのも詰まってるし、それぞれのソロ歌唱曲も入って、それぞれの良さもすごく引き立ってるEPになってる。

 サンプルを見せていただいた時に、一枚一枚違う絵柄のジャケットになる”可変ジャケット”仕様になっていたり、封入特典でパズルのピースが入ってたりとか、中身もすごく可愛くて。特別なことが多くて、初めてのCDでこんなにいっぱいしてもらっていいんですかっていう嬉しい感情が大半を占めてます。


Harukaze:今のNAQT VANEの全部を詰め込んだ作品になっていると思います。NAQT VANEを知らなかった方にも、これを手に取って知ってもらえたらすごく嬉しいです。新しい私たちも見せたいし、皆さんの新生活にも風を吹かせられるようなEPになったらいいなっていうのは思ってますね。あと、「NV」っていうのは、“NAQT VANE”や“New Version”という意味もあるけど、実は”Newborn Vibes”=「生まれたばかりの/生まれ変わったバイブス」っていう意味も込められていて。ラジオも『NAQT VANE’s Good Vibes Only』っていう名前なんですけど、バイブスが本当に大事なプロジェクトなので、VANEsの皆さんにもそんな新しいバイブスが届くといいなと思ってます。


――これからのNew Versionはどうなっていきますか?

Yunoa:どんどんでっかくなっていきたいですね。NAQT VANEをまだ知らない人たちにもっと知ってほしいし。やっぱりみんな、ライブが一番いいって言ってくれていて、なのでみんなをライブに連れていけるようにしたいです。ドームに行って埋め尽くしたいですね。大きいところに行きたいです。


Harukaze:大きいところもそうだし、やっぱりグローバルに活動できたらいいなと思います。海外の方から「いつこっちで公演するの?」っていうメッセージも届くので、もっともっと世界に広がっていけたらいいなと思いますし、私達それぞれの個性もどんどん出しながら広がっていけばいいなと思ってます。


――最後に海外のリスナーにメッセージをお願いします。

Yunoa:それこそアメリカとか、バイブスが合う人がいっぱいいると思う。絶対に1回聴けば好きになってくれると思うので、まずは聴いてみてほしい。そして、いつかライブでみんなで踊り狂いたいです。


Harukaze:私は高校生のときにカナダのバンクーバーに3年半いて、その後にLAの大学に4年間行ってて。カナダやアメリカに戻ってライブをするのが夢なので、向こうに帰ったときに、昔の友達やお世話になった人たちに恩返しもしたい。今後は海外に向けての発信もしていくので、ぜひチェックしてもらえると嬉しいです!


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