Billboard JAPAN


Special

<インタビュー>Rainy。が歌う“16歳ならではの曖昧さ”――TVアニメ『名探偵コナン』OPテーマ「But ノーラヴ」

インタビューバナー

Interview & Text:高橋梓

 歌手のRainy。が、3月19日に2ndシングル『But ノーラヴ』をリリースする。同曲は1stシングル表題曲「...and Rescue Me」に続いてTVアニメ『名探偵コナン』(読売テレビ・日本テレビ系)のオープニングテーマに起用されており、すでに放映中。アニメファンからも高く評価されており、初日オンエア直後にYouTubeで公開されたノンクレジットオープニング映像は3日間で23万回再生を記録した。そんな同曲にRainy。はどう向き合っているのだろうか。カップリング曲「Why? Why?」や昨今の自身についてなどと併せて話を聞いた。

「2025年はこの曲で勢いづけていくぞ」

――前回インタビューをさせていただいたのが、2023年6月でした。約1年8か月経ちましたが、どんな毎日を過ごされていましたか?

Rainy。:本当に一瞬で時間が過ぎ去ったような感覚です(笑)。前回インタビューをしていただいた時は中学3年生でしたが、高校生になると同時に上京してきたこともあって生活環境が大きく変わりました。


――そうだったんですね。上京したことで、より活動に集中できていそうです。

Rainy。:そうですね。福岡にいた頃は、まとまったお仕事がある時に東京に来ていたのですが、今は毎週レッスンを受けたり、自分でトレーニングできるようになって、活動の幅が広がった気がしています。自分の成長を少しずつ感じられていますが、まだまだ改善点やスキルアップしなくてはいけない部分が見えているので、日々そういったところに向き合っています。


――“Rainy。”としての活動もこの1年8か月でたくさんやってこられていますが、【Animelo Summer Live 2023 -AXEL-】もその一つですよね。Rainy。さんの存在感をより高めたきっかけになっているのかな、と。

Rainy。:ありがたいことに、アニサマ以前にも大きな舞台に立たせていただくことはありましたが、やはりひと味違いました。私は『名探偵コナン』のエンディングテーマだった「...and Rescue Me」を歌ったのですが、初めてペンライトでいっぱいのステージでパフォーマンスをして。私の出番まではグループの方々が続いていたのでいろんなペンライトの色が光っていたのですが、私がステージに上がると一面真っ青のペンライトになってすっごく綺麗だったんですよ。揺れている様子がキラキラした星空みたいでしたし、忘れられない光景になりました。歌っている最中も本当に楽しくて、「また絶対あそこに立つぞ」という気持ちになりました。



――あれだけの人数を目の前にして楽しめるのは流石ですね。緊張はされなかったんですか?

Rainy。:ステージに立つまではすごく緊張していました(笑)。スタッフさん一人ひとりに抱きしめてもらって、背中を叩いて気合いを入れてもらったりしていて。普段あまり緊張はしないタイプなのですが、頑張って準備していたのですごくドキドキしていましたね。でも、結果モチベーションになったので良かったな、と。あの人数を全員私のファンにして、1人でさいたまスーパーアリーナでライブができるアーティストになろうと思いました。


――モチベーションになっているんですね。もう1つ「HAPPY EARTH FESTA」のアンバサダーも2年連続務められています。以前「学校に行かずに水汲みに行っている同世代をテレビで見て衝撃を受け、人の役に立つことがしたいと思うようになった」とお話しいただきましたが、その一歩になったのでは?

Rainy。:それまで恵まれない子どもたちのために何か支援がしたいと思って、自分ではいろいろと勉強していたつもりだったんですね。でも、アンバサダーになったことをきっかけに、もう一度きちんと勉強し直してみると、上辺だけしかわかっていなかったんだと痛感しました。様々な方とお話をする機会が増えて、もう少し踏み込んで知ることができたのは貴重な機会だなと感じています。それと、お越しくださった皆さんと一緒にゴミ拾いをする機会があったんですね。ゴミ拾いをしようと思ってゴミを探していると、街路樹の草むらの中にゴミが溜まっていたり、取りにくい道路脇の部分にタバコの吸殻が捨ててあったり、人目につきにくい部分にもたくさん捨てられているんです。それを見ていたら、そういった積み重ねで現在の環境問題が起こっている世界の縮図のように思えてしまって。自分でしっかり向き合わないと、今起こっている問題に気がつけないのかもしれないと思いました。「なんとなく貢献できたらいいな」ではなく、一つの問題を突き詰めて勉強するのも大事なんだと感じましたね。


――素晴らしい学びを得たのですね。そして2024年5月、6月には【TOKYO 〜the city of music and love〜】にも出演されました。ここでも刺激や学びがありそうです。

Rainy。:そうですね。プロデュースを担当された城田優さんをはじめ、たくさんのキャストやスタッフの皆さんとリハ室で演出の細かな部分を詰めていく作業をしていく中でも、たくさんの新しい挑戦ができました。ショーの中でYOASOBIさんの「アイドル」を歌ったのですが、城田さんや音楽監督のSWEEPさんのアドバイスで自分なりにメロディを変えてみたり、バンドの方々にも「こういうメロディって合いますか?」と相談したり。ずーっと音楽をしている感覚が強くて、体は疲れているのに毎日すごく楽しかったです。あとは、同世代であるFYURA PROJECT のyuzuちゃんと一緒にステージに立ったのですが、yuzuちゃんはラップやダンスがすごく上手で。ラップっぽい歌い方やダンスを教えてもらいました。城田さんや演出の金谷かほりさんともたくさんお話をして、貴重なお話を聞かせていただいたりもして、数え切れないほどの学びがありましたね。


――そんな活動を経て、3月19日に2ndシングル『But ノーラヴ』をリリースします。表題曲「But ノーラヴ」はすでにデジタルリリースをされていますが、反響はもう受け取られていますか?

Rainy。:2025年一発目の『名探偵コナン』の放送からオープニングテーマにしていただいているのですが、SNSを見ると「今までとは違うRainy。ちゃん」、「かっこいい」、「歌詞が切なくて素敵」という嬉しい声がたくさんありました。いろんな面から楽曲を褒めていただいているのが本当に嬉しいです。


――たしかに今までの楽曲とは違ったアプローチですよね。

Rainy。:いろんな方に言っていただくのですが、「But ノーラヴ」は平成のJ-POPという感じで、たしかに私の今までの楽曲にはなかったタイプなんですよね。新年1発目で大きなタイアップをいただいた楽曲なので、「2025年はこの曲で勢いづけていくぞ」という情熱と、新しい自分を見せたいという気持ちを強く込めました。


――歌い方でも新たな工夫をされていたり?

Rainy。:歌詞がぎっしり詰まっている楽曲なので、発音は意識しています。ボイトレの先生に教えていただいたのですが、ストローや鉛筆を口に加えて歌ってみるという練習をしました。


――さらに「敏感で感情的な16歳の気持ちの機微」を歌っているとのことですが、ご自身ではどの部分にそれが表れていると思いますか?

Rainy。:1番の<この両⼿じゃ⾜りないほど⼤きな想いだとはいったい誰が予想したでしょうか?>なんかは顕著ですよね。多分、自分じゃ抱えきれないほどのものであることに気づけていなかったという、16歳ならではの曖昧さが出ていると思います。あとは、出だしの<恋の真実も、嘘も全て駆け引きしようか>もそうだし、2番のサビの<在るべき場所へと…そこに君が居て欲しいな>ではこの曲の主人公の弱さを表しているんじゃないかと感じました。強い自分と本来の弱い自分の掛け合いのようなものが見えているのもいいなと思います。


――ちょうど16歳のRainy。さんにとっては、等身大の言葉ばかりなんですか?

Rainy。:共感する歌詞は多いです。恋愛ではないのですが、<この両⼿じゃ⾜りないほど⼤きな想いだとはいったい誰が予想したでしょうか?>を読んだ時は、世界中の子どもたちに支援ができるようになるには、もっと大きな影響力を持つアーティストにならないといけないと感じました。他にも<”いつの⽇か”なんてもの頼りにしてちゃいけない>という部分は、日々の練習をもっと大切にしなきゃと改めて思わされて。私はデビューして3年目になるのですが、早く影響力のあるアーティストにならなきゃという焦りを感じている部分もあるんです。影響力のあるアーティストへの近道は、結局練習をすることが大事なんだなと気付きましたし、頑張ろうという気持ちになりました。


NEXT PAGE
  1. 「もっと自分の武器を増やさなきゃと思って」
  2. Next>

「もっと自分の武器を増やさなきゃと思って」

――リスナーだけではなく、自分を鼓舞する曲でもあるんですね。ミュージック・ビデオはすでに公開されていますが、撮影はいかがでしたか?

Rainy。:一番最初に出てくる感想は「めっちゃ楽しかった!」ですね(笑)。ダンサーさんと一緒に踊ったり、衣装チェンジをしたり、スクールバスに乗ったり、本当に楽しく撮影ができました。あと、私がバスケットコートに寝そべって手を伸ばしているシーンがあるのですが、めちゃくちゃ寒くて。お腹を出している衣装だったから、カットがかかった瞬間にスタッフの皆さんが腹巻きや防寒具、カイロを持ってきてくださったんです。心も体も暖かくなりました!


――素敵なスタッフさん……! ダンスも見どころの一つですよね。前回5歳くらいの時にダンススクールに通っていたとお話しいただきましたが、そこから続けていたんですね。

Rainy。:続けてはいたのですが、私、ダンスが得意ではないんです。通っていたスクールも遊び感覚だったので真剣に練習はしていませんでした。でも、Rainy。として歌って踊れるアーティストになりたいと思ったので、ダンスレッスンを強化してもらって。上京して時間に余裕もできて、自分でトレーニングする時間も取れるようになったので、ダンスを確立させるために練習を重ねています。





「But ノーラヴ」ミュージックビデオ


――もともと「歌って踊れるアーティストになりたい」という思いはあったのですか?

Rainy。:世界的に活躍するアーティストになりたいと思う中で、もっと自分の武器を増やさなきゃと思ってダンスに力を入れようと思いました。私は、単に「感動した」、「歌がうまい」と思われるだけではなく、人の心を動かして何かを届けられるアーティストになりたいんですね。パフォーマンスの幅を広げるために、ダンスが必要だと考えて改めて向き合い始めました。


――なるほど。手応えのほどはいかがですか?

Rainy。:私、ダンスをやっていたとは思えないほど体が固いんです。でも、ダンスをやる上で柔らかくしたくって180度開脚と前屈を目標に掲げていて。習慣づけることが本当に苦手なのですが、毎日少しずつ柔軟運動をしています。ダンスの先生がすごくポジティブな方で、「いいじゃん、ちょっと伸びてるよ」、「これからまだまだイケるよ」、「ここをアプローチしたら劇的に良くなると思う」といい言葉をたくさん言ってくださるんですよ。そのおかげで柔軟も練習も頑張れています。変化を見るのが楽しくなってきました。


――成果が出始めているんですね。ちなみに、夢の180度まであとどれくらいですか?

Rainy。:今多分105度くらいなので、あと75度頑張ります(笑)。最近努力をすることが楽しいので、絶対に開いてみせます!


――楽しみにしています。同曲の「まだ知らない愛もあるけど、ずっと愛に包まれているんだってことはわかってる」というメッセージにかけて1つ。最近Rainy。さんが「愛に包まれているな」と感じた出来事を教えてください。

Rainy。:この間、レコーディングが終わって帰る時にふざけて「先生、さようなら」って言ったら、「はい、さようなら」ってスタッフの皆さんが乗ってくれて(笑)。それだけでも楽しかったのですが、ディレクターさんが「ちゃんと宿題やってこいよー」って言いながら通り抜けていったんです。些細なことですが、和気あいあいとした現場で作業できるのが幸せだし、「愛に包まれているな」と感じました。


――素敵なエピソードありがとうございます! そしてカップリング曲「Why? Why?」についても聞かせてください。とてもかっこいいイメージの楽曲ですが、聞きどころはどこにあると思いますか?

Rainy。:サビがすごくキャッチーなので、まずはそこにぜひ注目してほしいです。


――一方で、歌詞は学生の甘酸っぱい恋愛が書かれていますね。お気に入りの歌詞はありますか?

Rainy。:<You donʼt know Why? Why? 切なくて息もできないくらいよ>という部分は、恋している女の子そのものですよね。片思いって辛いじゃないですか。私、小学校の時に好きな男の子がいたんですけど、4年間ずっと片思いだったんです。クラスも1回しか一緒にならなかったし、まったく話せなくて、卒業式に写真を撮ってもらって終わりました(笑)。その時の片思いの気持ちだなと思いました。


――かわいいエピソードです。

Rainy。:(笑)。最初、歌詞を2パターンいただいたんです。それを見て、私なりに組み合わせたり、深く読み解いたりして、今の形になりました。特に<何気なく視線 合った気がした>からの部分はすごくこだわっていて。スタッフさんが「しゃがみ込むくらい恥ずかしいのに、何で手を振るの?」と言うので、「いやいや、そうじゃなくて。手を振った後に『はぁ、緊張した!』っていうしゃがみなんです」と熱弁しました(笑)。その会議もすごく楽しかったです。少女漫画オタクなので、少女漫画みたいな展開の歌詞だなと思いながら、楽しく制作を進められました。



――渾身の1曲なんですね。そして、「Why? Why?」もダンスを踊られるとか。

Rainy。:はい。ちょうど昨日振り入れが終わりました。キャッチーな振りが多いのですが、だからこそ隙が見えないようにしないとなと思っています。この曲はパキッと踊ったほうがいいと思うので、指の動きまでしっかり決めていこうと思います。ピタッとポージングをする部分もあるのですが、私の中の『アイカツ!』のアイドル像にぴったりなんですよ。なので、どんどん「こうしたい」というアイデアが溢れてきて。振り付けをしてくださった先生と話し合いながら決めました。ちなみに、サビは頭に手を当てて「どうして?」と悩んでいるような振りなのですが、そこはお客さんと一緒に踊れると思うので楽しみです。


――ライブでも盛り上がりそうです。こちらもタイトルにかけた質問をさせてください! 最近「なんで!?」と思った出来事はありますか?

Rainy。:ちょっと前に、鎌倉に遊びに行ったんですけど、不思議体験とびっくり体験をしまして。江の島に行って、海に降りれる小道でボーッと景色を眺めていたんです。そうしたらさっきまで目の前にいた友だちが、いきなり私の背後に移動していて。


――え、怖い!

Rainy。:でも友だちは「いや、Rainy。が後ろから急に前に移動してきた」って。その時に「なんで?」って思いました。


――めっちゃホラーじゃないですか!

Rainy。:そうなんです! びっくり体験の方は、浜辺で楽しくはしゃいでいたらアジア系のカップルの方とすれ違った瞬間に「You are gorgeous!」って言われました。そのひと言だけ言って去っていったので「なんで!?」と思いました(笑)。


――たしかに「なんで!?」エピソードですね。まさか取材で怖い話が聞けるとは(笑)。そして、3月からはリリースイベントがスタートしますね。

Rainy。:リリースイベントは1stアルバム以来なので、以前見に来てくださった方がまた来てくださったら嬉しいなと思っています。それに、CDにサインをしてお渡しする時に、ファンの方が笑顔になるのを見るのが好きなので、楽しみです。


――いいリリイベになりそうですね。では最後に、これからやってみたいことや目標を教えてください。

Rainy。:最近ラップにハマっていて、彼らが書く魂のこもったリリックが好きなんですね。私も自分をもっと表現できるように歌詞を書いて、リリースしたいと思っています。あとは弾き語り。いつか皆さんの前で披露できるようになりたいです。それと、今年中にSNSのフォロワー10万人を達成するという目標を掲げているので、ダンス動画、歌のカバー動画をドンドン投稿していきたいです。ぜひ楽しみにしていてください!


Rainy。「But ノーラヴ」

But ノーラヴ

2025/03/19 RELEASE
JBCZ-6126 ¥ 1,200(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.But ノーラヴ
  2. 02.Why? Why?
  3. 03.But ノーラヴ -Future remix-

関連キーワード

TAG