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<わたしたちと音楽 Vol. 51>CUTIE STREET 人の数だけ“かわいい”がある、アイドルだからできること

インタビューバナー

 米ビルボードが、2007年から主催する【ビルボード・ウィメン・イン・ミュージック(WIM)】。音楽業界に多大に貢献し、その活動を通じて女性たちをエンパワーメントしたアーティストを毎年<ウーマン・オブ・ザ・イヤー>として表彰してきた。Billboard JAPANでは、2022年より、独自の観点から“音楽業界における女性”をフィーチャーした企画を発足し、その一環として女性たちにフォーカスしたインタビュー連載『わたしたちと音楽』を展開している。

 今回は「かわいいだけじゃだめですか?」がSNSなどを中心にヒットし、Billboard JAPANの“Heatseekers Songs”で堂々の1位、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”では最高2位に輝いた8人組のアイドル・グループ、CUTIE STREETが登場。メンバーは、アイドルを志していた者だけでなく、インフルエンサーや俳優、ダンサーとして活動していたり、学生だったりと、異なるバックグラウンドを持った8人。アイドルという活動を通して彼女たちが今見つめているもの、胸に抱えている思いとは。(Interview:Rio Hirai[SOW SWEET PUBLISHING]l Photo:Shinpei Suzuki)

どうしてアイドルになったのか、
8人それぞれの理由と熱意


古澤里紗



板倉可奈


――みなさんそれぞれ異なる経歴の持ち主ですが、どうして「アイドルになろう」と思ったのでしょうか。またアイドルでいることは、それぞれにとってどんな意義がありますか。

古澤里紗:私は8歳のときからずっとアイドルに憧れていたんです。AKB48さんが好きで、テレビを観て一緒に踊ったり、CDを買って応援していました。そんな様子を見ていた母親に「オーディションを受けたら良いじゃん」って背中を押してもらって、いろいろなオーディションを受けていたのですが、なかなかアイドルへの道が拓けなくて……。モデルやインフルエンサーとして活動していたところ、CUTIE STREETとしてデビューすることができたので、念願叶った自分の人生の第2章が始まったという感じですね。アイドルは、今奇跡的になれている“なりたかったもの”です。


板倉可奈:私は幼い頃からダンスを習っていたのが全ての始まりだと思います。ダンスをきっかけにモデルのお仕事をしたり、YouTubeで発信したりしていました。CUTIE STREETと出会う前に、これからどうやって歩んでいくべきか少し悩んでいた時期もあったのですが、やっぱり自分が今までやってきたダンスを生かしてやれることはないかなと考えていたときに、ちょうどオーディションに参加できることになって。周りにアイドルのお友達もいたのですが、自分自身がアイドルになるという発想はこれまで持っていなくて。なのでCUTIE STREETの活動は、自分にとってはチャレンジです。


――実際、ご自身がアイドルになってみてどうでしたか。

板倉:私はこれまで“カッコいい”に憧れていて、“かわいい”は癒されるために外から見る対象だったんです。実際、“かわいい”を発信する立場になってみて、そのひと言にいろいろな要素が詰まっているんだなと思いました。みんなかわいいけどそれぞれ違うカラーがある。今は、自分のかわいいはなんだろうって探しているところです。



川本 笑瑠


川本笑瑠:私は小さい頃に観た『プリティーリズム』というアニメをきっかけに、ステージで歌って踊るアイドルになりたいと思うようになりました。当時はAKB48さんも流行っていて、世の中はアイドルブームで、私の夢はずっとアイドル。それだけは諦めたくないなと思って生きてきたんです。実際、衣食住にまつわるものと違って、“推し活”やアイドルを応援することって生きていくために必須なわけではないですが、自分の世界を彩ってくれるもの。自分自身がそうだったので、私も誰かの人生を彩れたらいいなって思いながらアイドルをしています。



梅田みゆ


梅田みゆ:私はCUTIE STREETに入る前もアイドルとして活動していました。当時の活動は、お声がけいただいたことがきっかけでやってみたとのですが、続けていくうちに熱中していって。すごく楽しかったんです。でもそのグループは、自分自身が納得できる活動ができるようになる前に解散となってしまいました。それでも私はアイドルという夢を諦められなくて、CUTIE STREETのオーディションを受けたんです。実際に挑戦してみて、「天職かもしれない!」と思ったんですよ。私たちの活動を見てくれた誰かにとって、「明日も頑張ろう」ってモチベーションになることができたら、アイドルでいる意味があるなって思います。


真鍋凪咲:私はもともと歌うことやダンスが好きで興味はあったのですが、なかなか足を踏み入れられなくて。でもコロナ禍で自分自身の人生を見つめ直してみて、やっぱりやりたいことには挑戦しようと思い、CUTIE STREETと出会うことができたんです。私は好奇心旺盛なところがあって、これまでやりたいことがコロコロ変わっていたりもしたんです。でもこうしてアイドルとして活動をスタートさせて、今は自分の表現したいものや自分自身の軸を表せるものだと感じていて。すっかりのめり込んでいますね。初めて、自分が「これをやりたい!」と強い気持ちを持てたのがアイドルなんです。


佐野愛花:私はもともとお芝居やミュージカルで舞台に出たりしていました。そこで歌って踊る楽しさを知って、「もっとやってみたい」と思っていたところ、CUTIE STREETのオーディションに参加しました。実際アイドルとして活動を始めて、「私、アイドルについてよく分かっていなかったな」と思うこともあります。楽しさも知って、今はもっと頑張りたいと思っています。アイドルは、ファンの方々との関係性がより密で、自分の行動によって傷つけちゃうこともあるかもしれないし、楽しませることもできる。誰かの支えになれていたり、喜ばせられていることをダイレクトに感じられるのは励みになります。


多種多様なかわいいを世界に、
アイドルとして伝えたいこと


増田彩乃


増田彩乃:私もみゆちゃん(梅田)と同じアイドル・グループで活動していたのですが、日々活動を積み重ねていく中でたくさんのファンの方と出会い、解散するときにも「(応援していて)幸せだったよ」「これからも一緒に頑張ろうね」と声をかけていただきました。そういうファンの方がいてくれたから、パフォーマンスをもっと頑張りたいと思えたり、グループをもっと多くの人に知ってもらうためにSNSの投稿を頑張れたりして、自分自身に変化があったんです。アイドルの活動ってなんて素敵なんだろうって、自分の人生がすごく楽しくなりました。


桜庭遥花:私は、アイドルって精神的にも身体的にも強さが求められる職業だと思うんです。私自身もほかのアイドルの方の強さに惹かれて救われたことがあります。誰かの頑張る源になれたり、誰かに生きる活力を与えられる、そんな人を救う力がアイドルにはあると思うから、自分もそんなアイドルになりたいんです。



桜庭遥花


――「かわいいだけじゃだめですか?」には、どんなメッセージが込められていますか。

川本:「かわいいだけじゃだめですか?」って、「かわいいだけでいいでしょ!」ってちょっと押し付けているような強い言葉に聞こえてしまうかもしれないですよね。実際「かわいいだけじゃダメだろ」「社会では通用しない」という声もいただきました。でも私は、誰かにとって“かわいくない”ところも、ほかの誰かにとっては“かわいい”と捉えられるかもしれないし、“自分のかわいくないところも全部肯定して愛してあげよう”というメッセージが込められていると思っているんです。歌詞の中では「本気出したらめっちゃかわいくなれるもん」とか「長所を磨け」、「私のでっかい夢に比べたらこんな失敗はちっちゃいかー!(?)」とかポジティブな言葉がたくさん用いられているんですよ。


――この曲を受け取ったときには、どう感じましたか。

川本:私たちのコンセプトは“KAWAII MAKER”で、自分たちで“かわいい”を作って世界に発信していくために集まったグループなんです。だから、「いろいろな“かわいい”があるんだよ」ということを伝えられるこの曲が1曲目なのは、私たちにぴったりだなと思いましたね。



かわいいだけじゃだめですか?


自分が好きなことを貫いて
なりたいものになる


Photo:ヨシモリユウナ


――今回は“女性”ということもキーワードにしているインタビューなのですが、女性であることはご自身の人生にどんな影響を与えていると思いますか。

板倉:私は、小さい頃からかわいいものよりもカッコいいものが好きだったんですよね。だからか、「女性だからこうしなさい」と押し付けられるのはあまり好きではなくて……女性だからかわいくいなきゃいけないわけではないと思うし、男性だからカッコよくいなきゃいけないというわけではないと思っています。男女問わず好きなものを貫いている人を素敵だと思うし、やりたいことをやって、なりたいものになればいいと考えて生きてきました。


――「女性だから、男性だからこうしなさい」という価値観には、どう対抗してきたのでしょう。

板倉:私自身はあんまり流されずに、自分を貫いてきたタイプだと思います。私がYouTubeで発信していたときは女性よりも男性の配信者のほうが多かったのですが、「女でもできるよ!」と思っていました。今も女性アイドル・グループですけれど、ライバルは女性アイドルだけじゃなく、男女関係なく同じように戦えるように頑張りたいという気持ちです。



佐野愛花


佐野:私はメイクやファッションのバリエーションがたくさんあって楽しめるから、来世も女性に生まれたいと思っていたのですが、今では男性がネイルするのも普通だし、あまり性差は関係なくなっていますよね。


――今後の活動を考えて、女性が活躍しやすくなるのに「もっとこうなってほしい」と願うことはありますか。

増田:女性であることが活動に影響しているとしたら、今は体力面かなって思うんです。男性のほうが体が大きい人が多いし、パフォーマンスの力強さや迫力に憧れたりもします。日常でも、男性スタッフの方に重い荷物を持ってもらうことがあるのですが、私は自分でも持てるようになりたいなって。筋トレとか、頑張っていこうかな(笑)。メンバー間でも、体力作りは課題の1つなんです!



真鍋凪咲


――かわいいだけじゃなくて、CUTIE STREETはこれから強くもなっていくんですね! では、「この人を見ていると勇気をもらえるな」とエンパワーメントしてくれる女性はいますか?

真鍋:最近学校の授業を通して知った、書家の金澤翔子さんです。彼女はダウン症の方で、30歳で完全に自立してプロの書家として活躍していて、女性の社会進出を後押ししている存在でもあると思います。私も「ここまでしかできない」と感じていることがあったら、それは自分自身の能力がそれまでなのではなくて、先入観がそう感じさせているんじゃないかって思うようになりました。徐々に薄れていっているとは思うけれど、まだ世の中には「女性だから(ここまでしかできない)」という価値観が残っている部分もあると思うから、 自分自身の行動や発言で変えていけたらいいな。


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