Special
倖田來未 【KODA KUMI LIVE TOUR 2007 ~Black Cherry~ SPECIAL FINAL in TOKYO DOME】
2007.12.01(sat)at 東京ドーム|セットリスト
あたりまえだけど、すごい歓声。スクリーンの中で白いドレス姿で横たわる倖田來未の姿を5万人の10万個の瞳が見つめる。醜い姿の魔女はそんな彼女から鍵を奪い去る。そして開かれるステージの幕。さっきまで横たわっていた彼女は、なんと!ステージ中央に設置された巨大な水槽の中から登場!髪も体も濡らしたまま、まるで人魚のような装いで、ツアータイトルにもなっている『Black Cherry』を歌う姿は、正しく“水も滴る良い女”。前回のツアーと地繋ぎになっているドラマティックかつ衝撃的なオープニングにその胸と体を躍らせる僕ら。無数の白いサイリウムの光がきれいに揺れている。
気付けば倖田は、1曲目の間奏で早くも1度目の衣装チェンジを済まし、セクシーな海賊ルックで東京ドームのど真ん中、笑顔で華麗に挑発的に「東京ドーム、盛り上がっていこうね!よろしく!」と叫べば、凄まじい熱気と歓声に会場が包まれる。そして歓喜の声を上げるオーディエンスの声を遮るように打ち鳴らされるいくつもの銃声。ステージは巨大な海賊船と姿を変えており、彼女は敵の海賊たちと壮絶な戦いを繰り広げながら『Get Up & Move』を披露。そして最後には敵から旗を奪い取り、自由を手に入れた彼女は、大海原に集まった5万人の仲間たちと『Cherry Girl』で、見事なボトルさばきを魅せた後、完成したカクテルで祝杯をあげる。その次の瞬間、照明はダウン、妖艶なムーディーさを盛り込んだ新バージョンの『キューティーハニー』で、上着を脱ぎ去り、胸元が露わに!これには、この会場のメンズはもちろん、老若男女問わず、すべての人々を悩殺。そして更に夜が深まると、彼女は水面に揺れる満月の光を見つめて『月と太陽』をやわらかな声で歌い始め、僕らはそれに酔いしれる。「みんな、一緒に歌って」と彼女が言えば、やわらかな声で巻き起こる大合唱。何とも言えない穏やかな世界がそこに広がる。そのまま彼女は立て続けにバラードナンバーを、しかもこのタイミングで『夢のうた』を歌い始めた。これを熱唱と呼ばず何を熱唱と呼ぶんだと思うぐらいの、感情のままの歌を響かせ、大きな感動をここ東京ドームに生み出した。
倖田來未に恨みを持つ海賊達が今宵の生贄を客席からステージの中央に連れ出し、椅子に座らせて縛り付ける。すると倖田は『Heat』を歌いながら、浚われた女の子に近付き、後ろから優しく抱きしめる。湧き上がる羨望の声。更に倖田は彼女にほほえみかけ、膝の上に腰掛けて今度が強くギュッと抱きしめた。そして縄を解いてあげるという、おそらく東京ドーム史上初であろう、ファンとの超密接な絡みをストーリーの中に見事に取り入れ、実現させた。
再びスクリーン。例の鍵を手にした男に接触した倖田は、圧倒的な力で男を倒し、何かを口に含ませ気絶させて鍵をその手に取り戻す。すると、時空が歪み始め、気付けば彼女は僕らの目の前に横たわっていた。そしてそのまま彼女は静かに『Candle Light』を歌い始める。「あなたしか見えない」というフレーズに自然と想いが溢れ、潤む彼女の瞳。それを見て、聴いて、同じくその目を潤ませるオーディエンス。そんなみんなに彼女は穏やかな表情で手を振ると、続けて『運命』を披露。光の羽根が舞い降る中、これまた終始想いが溢れた声と表情で熱唱。そして「ここはみんなと私のお城」と、可愛らしい笑顔を浮かべ、みんなに甘えるように『ミルクティー』を歌い出し、巨大なピンクのプレゼントボックスの形をしたセットの上で、会場を見渡しながら幸せそうな表情と仕草を魅せる。そんなこの上ない幸福感の中で「めちゃくちゃ好きやっちゅーねん!」と、みんなと『恋のつぼみ』を大合唱。「みんなにハマってしまうんですぅ!」と大声で歌い叫んだ彼女にもうみんなこれでもか!っていうぐらい全身で好き好きアピール(笑)。そしてみんなにくぅちゃんは、投げキッス&ウィンクのプレゼント!もう可愛さの限りを尽くしたパフォーマンスで、とにかくハッピーな空間を生み出していた。
再びスクリーン。奇妙な街に連れてこられた倖田は、騙されてガラスの箱の中に閉じこめられてしまう。そして彼女がその箱の中に入ったまま僕らの目の前に現れ、アカペラで『人魚姫』を力強く歌い叫ぶと、フルバンドがステージに姿を現し、ロックサウンドが鳴り響くと同時に彼女はガラスを叩き割り、攻撃的な歌声と動きでオーディエンスを圧倒。そして客席まで熱風が届くほどの炎が幾度となく噴火するステージの上で、彼女は『FREAKY』を、更に攻撃的に歌い叫んで、踊り倒していく。ステージ上段で消えて、一瞬にして下段のステージ下から飛んで現れるといった瞬間移動までもやってみせて、オーディエンスの度肝を抜きまくった。そして更に度肝を抜いたのが、完全にロックバンド仕様に生まれ変わった『real Emotion』の披露。オリジナルの持つエレクトロさを躊躇無く削り去り、エモーショナルな音だけをバックに彼女もまた情熱的な歌声をクールに響かせた。で、更に更に僕らの度肝を抜いたのが、東方神起の5人の登場!そして『LAST ANGEL』の生披露である。情熱的なボーカル&ダンスアプローチで会場を興奮の渦に飲み込んだ。もうほんと、サプライズの連続で、今夜最初のMCを挟んだ後は、自身が出演し、CMソングを担当したナンバーをCM映像バックにメドレー形式で披露。というわけで、オリジナル曲だけじゃなく、ショッキング・ブルーの『ビーナス』やクイーンの『ウィ・ウィル・ロック・ユー』のカバーも生歌で聴かせてくれた。そして満を持しての『Butterfly』披露!みんなもそうだけど、くぅちゃんも終始、素の笑顔。
「かわいいってみんなの前で言ってほしい!」と、世界中の女性の願いを東京ドームで叫んでみせた『Puppy』、この空間を夏一色にして、ひとりでも多くのファンとコミュニケーションを図ろうと、手を降り続けた『I'll be there』、5万人が「オイ!オイ!」と叫びながらその腕を振り上げた『GO WAY!!』、みんながタオルをグルグル回転させながら(持っていない人はエアタオルで(笑))飛び跳ね、くぅちゃんはテンション上がりすぎてスティック持ってドラムを叩き出したり、タンバリン持って踊り出したり、とにかく自由に堪能した『With your smile』。そのどれもを満面の笑みで楽しみまくっている倖田來未の姿がそこにはあり、彼女の器のデカさというか、どんなものよりも“みんなとこの瞬間を楽しむ”というころに比重を置いているというか、彼女は全く“東京ドーム”に臆することがなかった。あらゆる面でのプレッシャーを味方にして、ありのままの自分で音楽を表現する。それがドームであろうが、どこであろうが。それが倖田來未の凄いところだ。
そんな驚愕のアーティスト・倖田來未は前代未聞のアンコールを用意。詳しく調べてみないと史上初かどうか分からないけど、結論から言うと、彼女はアンコールで更に13曲を披露した!そのアンコールの幕開けは、あのブルーマンをゲストに招いての『I feel LOVE』の披露。無表情のブルーマンの3人に戸惑いながら登場した倖田であったが、ブルーマンの予想不能な動きに負けじとついていき、最終的にはどこまでも伸びてゆくその歌声でもってブルーマンワールドを自身のライブワールドへと飲み込んで、東京ドームを巨大なダンスフロアへと化してみせた。そして、ブルーマンをステージから送り出すと、間髪入れずにステージ向かって左サイドまで全力疾走し、動くステージに乗って東京ドームを360℃回りながら『LOVE HOLIC』『Chase』『Come Over』の3曲をノンストップで披露。常に「うぉ~!!」「キャー!!」の声で湧き続ける会場。こりゃすげぇ。で、実はメインステージの真逆、スタンド前に設置されていたステージに立ち、オリジナルver.の『キューティーハニー』を披露!1階席、2階席にいるファンのみんなにもアリーナ席気分を味わわせてくれるこのサービス精神。今更言うまでもないかもしれないが、これぞ倖田來未の人気の秘訣である。更には、とんでもない高さまで人ひとりが立てるぐらいの小さなステージに乗って上昇し、彼女は正しく東京ドームのど真ん中で『大切な君へ』を披露。大合唱が自然と巻き起こる。その声とシャボン玉に包まれながら歌う彼女の姿はとても美しく輝いていた。続いて、メインステージ上のスクリーンが2007年から2000年の作品までPVをカウントダウン形式で流し出すと、その最後にデビュー曲『TAKE BACK』のイントロが聞こえてくる。その曲を倖田は「くぅはここから始まりました!」と、おそらくはデビューからここ東京ドームに辿り着くまでの軌跡にいろんなことを感じながら、思い巡らせながら、堂々と誇らしく歌い上げてた。そして、『COME WITH ME』を歌いながら再び動くステージで残りの半分を回り始める。もうそこにいるだけで笑顔が零れてしまう開放感と幸福感、未だかつて東京ドームをここまで笑顔でいっぱいにしてみせたアーティストはいるのだろうか。『girls』を歌いながらメインステージに戻ってきた彼女は、倖田クマとハグして手を繋いで「ありがとうございました!」と、満面の笑みでステージを後にした。ここまででアンコール9曲。
『BUT』を披露し終えると、倖田來未の長くて楽しいMCタイムがスタート(笑)。その中で、先程披露した『BUT』を今回のツアー2日目に披露した際の、顔面を自分の膝で強打した瞬間の映像と、強打した直後の生々しい痣が目元に残る写真を公開する彼女。これは間違いなく東京ドーム史上初(笑)。そんな楽し恥ずかしいMCタイムの最後、彼女は自分なりの愛についての考えを口にすると、大切な人を想って聴いてほしいと『愛のうた』を熱唱。更には、最近の彼女のライブのクライマックスの定番となっている『WIND』の大合唱で今夜最後のお祭り騒ぎ!そしてラスト。彼女はこの日の最後も『walk』を披露した。とめどなく涙が流れてこようと歌い続ける彼女の姿は本当に美しかったし、夢を叶えてきた人だけが出せる、そして伝えられる光と想いがそこには溢れていた。倖田來未は「夢は叶う」と、これまでも口が酸っぱくなるぐらい口にしてきた。しかし今日この場でこんなにも気持ちを露わにして『walk』を歌った彼女の姿ほど、「夢は叶う」のだと信頼させるものはなかっただろう。
感動と興奮の余韻が残った東京ドーム。みんなが帰り支度をしていると、倖田クマがひとり(?)で姿を現した。そして客席に向かって駆け出していくところをダンサーたちに止められる。すると、その倖田クマの中から倖田來未が現れ(!!!)「帰りたくない~!」と本気で客席に飛び出そうとし、強引に引きずり戻されるのであった。これも間違いなく、東京ドーム史上初(笑)。
セットリスト
【KODA KUMI LIVE TOUR 2007 ~Black Cherry~ SPECIAL FINAL in TOKYO DOME】
2007.12.01(sat)at 東京ドーム
- 01.Black Cherry
- 02.Get Up & Move
- 03.Cherry Girl
- 04.キューティーハニー
- 05.月と太陽
- 06.夢のうた
- 07.Heat
- 08.BREAK IT DOWN
- 09.Candle Light
- 10.運命
- 11.ミルクティー
- 12.恋のつぼみ
- 13.Twinkle
- 14.人魚姫
- 15.FREAKY
- 16.real Emotion
- 17.LAST ANGEL feat.東方神起
- 18.CMメドレー
- 19.Butterfly
- 20.Puppy
- 21.I'll be there
- 22.GO WAY!!
- 23.With your smile
- En1.I feel LOVE with BLUE MAN
- En2.LOVE HOLIC~Chase~Come Over
- En3.キューティーハニー
- En4.大切な君へ
- En5.TAKE BACK
- En6.COME WITH ME~girls
- En7.BUT
- En8.愛のうた
- En9.WIND
- En10.walk
Writer:平賀哲雄
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