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<CASIO×Billboard Live>つるの剛士が語る、常に新しい歌い方や表現を見つけていくこと
「すべての人に音楽を奏でる喜びを」という想いから、新しい生活スタイルに寄り添う電子楽器を展開するCASIOがBillboard Liveとコラボレーション。Billboard Liveの出演者にリレー形式で「音楽の楽しみ方」を語ってもらう。
俳優、タレント、歌手など様々な分野の第一線で活躍し続けるタレントのつるの剛士が、昨年大好評を博した「芸能生活30周年」記念公演に続き、1年ぶりにビルボードライブに出演する。新旧ジャンル問わず様々な日本の名曲を歌い大ヒットしたカバーアルバム『つるのうた』シリーズのリリースをはじめ、力強く伸びやかな歌声で多くの人を魅了してきたつるの。今回は、来年迎える50歳の節目を前に「イブイヤー」を盛り上げるようなスペシャルなステージを展開する予定だ。「音楽」が縁で出会った両親のもとで育ち、クラシックやロック、ジャズなど様々な音楽を通じてたくさんの楽器を演奏してきた彼に、ビルボードライブへの意気込みはもちろん、音楽に目覚めたきっかけや、今後の抱負などたっぷりと語ってもらった。(Interview: 黒田隆憲)
小さい頃から家には絶えず音楽が流れていた
――つるのさんは、音楽一家で育ったそうですね。
つるの剛士:そうなんですよ。僕の父親はクラシックギター、母親はリコーダーの奏者でした。父はすでに他界しましたが、母は今でもリコーダーを続けていて、地元のコンサートにもいろいろ出演しています。そういう家庭で育ったので、小さい頃から家には絶えず音楽が流れていたし、妹たちもみんな楽器を演奏していました。
――そうすると最初の音楽体験はクラシック?
つるの:はい。3歳の時から父親にクラシックギターを習っていました。練習が辛くて当時は嫌々やっていたんですけど、後から考えるとやっていて良かったなと思うことがたくさんありますね。たとえば中学生になってバンドを組んだとき、周りの友だちはみんなチューナーを使っている中、僕は自分の耳だけでチューニングしていたんですよ。自分にとってそれは自然に身についたことでしたが、決して当たり前にできることではなかった。バンドと並行して吹奏楽部に入り、部長を任されていた時は大会で金賞を獲りました。勉強は全然出来なかったけど(笑)、ひたすら吹奏楽の活動に明け暮れていました。今でもその仲間たちとは繋がっていますね。ちなみに吹奏楽部ではホルンを吹いていました。本当はトランペットがやりたかったんですけど、顧問の先生に「お前の唇の形はホルン向きだ」と言われて渋々やっていましたね。
――ロックバンドに目覚めたのは、世代的にバンドブームの影響ですか?
つるの:まさに。当時はTHE BOOMやユニコーンが大好きでした。バンドをやろうと思ったのもユニコーンに憧れたからなんです。実は、ユニコーンさんとはフェスで一緒に演奏する機会があって感動しましたね。メンバーとも仲良くさせていただき、明日も実は手島(いさむ)さんに会うんですよ(笑)。あの頃、憧れていたアーティストの方々と今、仕事やプライベートでご一緒させてもらえているのは本当に幸せなことだと思います。
高校に入ってからはみんな洋楽を聴くようになり、パンク、メタル、ハードロック、グランジなどに夢中でした。友達がレコードをたくさん持っていて、「今日母ちゃんいないからうちに聴きにおいで」と言われ(笑)、そこで初めてレッド・ツェッペリンを聴いて衝撃を受けたのを覚えています。それから洋楽にどっぷりハマって、ギターだけでなくベースやドラムも練習しましたね。
――しかも、25歳になってから鍵盤を始めたそうですね。
つるの:ジャズピアノを弾いてみたくなったんです。友達がピアノを弾いていて、普段はバカばっかりやっている奴だったんだけど、演奏している姿がめちゃくちゃカッコよくて。当時、彼女がいなかったもんだから「モテてえなあ」と思って弾き始めたのがきっかけ(笑)。ビル・エヴァンスみたいに弾けたら最高だろうなと思ってデジタルピアノを買ったのですが、基本的にロック畑の人間なんですよね。ギターで3コードをかき鳴らしている方が性に合っている気がします。もう少し歳を取ったら、ちゃんと勉強してピアノを弾きながらしっとりと歌えるようになりたいですね。
偶然の出会いや出来事を楽しみながら生きていきたい
――昨年大好評を博した「芸能生活30周年」記念公演に続き、今年もビルボードライブ大阪とビルボードライブ横浜で公演が開催されます。意気込みを聞かせてもらえますか?
つるの:去年が久しぶりのビルボードライブだったのですが、会場の雰囲気がとっても好きなんですよね。お客さんとの距離が近くて、すごくアットホームな感じがする。まるで自宅に皆さんをお招きして、ご飯を食べたりお酒を飲んだりしながら楽しんでもらっているみたいで。こちらもすごい気合いを入れるというよりは、カジュアルにハイチェアーに座って歌うような感じでやっていますね。毎年恒例にできたらいいなと思っています。
――様々な日本の名曲をカバーした「つるのうた」シリーズをはじめ、その力強く伸びやかな歌声に定評のあるつるのさんですが、歌う上で心掛けていることはありますか?
つるの:実は僕、歌っていて「楽しい」と思うことってほとんどないんですよ(笑)。
――そうなんですか?
つるの:いまだに人前に立つと緊張しますし、「歌が楽しくて仕方がない」と言っている方たちが本当に羨ましくて。普段はのんびりしているので、歌っているときくらいは緊張しないといけないのかな(笑)。とにかく、ライブ本番になってみないとどうなるか分からないことがたくさんあるんですよね。ただ、ライブはお客さんとの特別なコミュニケーション空間というか、そういう感覚があるからこそ歌を続けていられるのかもしれない。あと、歌うことと演じることは、どこか似ている部分も多いんですよ。
――歌うことで、楽曲の世界観を表現するというか。
つるの:そうですね。僕が歌う曲はロックっぽいものもあれば、しっとりしたバラードもあって、その曲が持っている世界観を歌で表現するのは、まるで一本の映画を撮っているような感覚というか。歌うことはとても不思議だし奥が深いなと思いますね。それも「歌」をやめられない理由の一つです。
――来年で50歳になるつるのさんですが、音楽への向き合い方はどのように変わっていくと思いますか?
つるの:もともと歌手になる夢なんて一つもなかったし、ボイトレに通ったこともなかったのに、気がついたら歌いはじめて15年が経っていました。歌はその時々の自分を反映するもので、同じ歌を歌っていてもまた違うものになると思うので、そこを自分でも楽しみにしながら続けていきたいですね。「歌い手としてこうあるべき」みたいなものに縛られず、常に新しい歌い方、新しい表現を見つけていけたらいいなと。そういう意味でもビルボードライブは大切な場所の一つだと思っています。
――50代を前に、新たにチャレンジしたいことは?
つるの:実は今、大学に通っているのですが(東京未来大学こども心理学部)、それに伴い新たな資格や免許を取得するための勉強もしています。これからどんどん自分のフィールドが広がっていくと思いますね。これまでも、俳優やラジオパーソナリティ、アイドル(笑)、歌手などいろんなことをやらせてもらってきましたが、それって一種の「転職」みたいなものだと思うんですよ。「芸能界」と大きく括ることはできても、そこでやっていることは多岐にわたります。子どもたちが小さい頃は育児をしながら活動していたのですが、大きくなって夫婦二人の時間が増え、ライフスタイルも変わってきました。今後も「あ、これいいな」「やってみたい」と思ったことはどんどん挑戦したい。夢はありますが、それに固執せず偶然の出会いや出来事を楽しみながら生きていきたいですね。
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