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【サマソニ前に知っておくべき楽曲5選】ビリー・アイリッシュ/BTSのV/NewJeansのHANNIもファン公言、Z世代も魅了する“ジャズクラ界のスター”レイヴェイ

インタビューバナー

Text: Mariko Ikitake
Photos: Gemma Warren

 今年の【第66回グラミー賞】で初ノミネートにして〈最優秀トラディショナル・ポップ・ヴォーカル・アルバム賞〉を受賞し、瞬く間にその名が世界中に知れ渡ったレイヴェイ。ジャズやクラシックのエッセンスを取り入れながら、“全てを経験したとは言えないけど、何も知らないわけではない”20代を生きる一人の女性の日常を綴った楽曲は、トレンドとリバイバルを楽しむZ世代から共感を集めている。

 その証拠に、イギリスの由緒ある演劇場、ロイヤル・アルバート・ホールで開催された公演には多くの若年層が来場。アリシア・キーズやノラ・ジョーンズ、テイラー・スウィフトが、クラシックやジャズ、カントリーといった歴史ある音楽ジャンルの間口を広げたように、ジャジーでクラッシーでありながら、キュートに表現される彼女の音楽もまた、格式高いイメージを持つジャズやクラシックをポップスに近づけることで新しいセンセーションを作っているのだ。

 中国系アイスランド人のレイヴェイは、1999年4月23日、アイスランドのレイキャヴィーク生まれ。母親はアイスランド交響楽団の首席ヴァイオリニスト、母方の祖父母は音楽学院教授と主任という有能な音楽一家で育ち、4歳からピアノ、8歳からはチェロを習い始める。ジャズ好きの父親を通してアドリブや“崩し”を楽しむ音楽を、母親や習い事を通して楽譜通りに完璧に演奏するそれを学んだ彼女は、15歳でチェロのソリストとしてアイスランド交響楽団と共演、レイキャヴィーク音楽大学とバークリー音楽大学を卒業と、華麗なる音楽キャリアを積んでいく。

 バークリーでソングライティングに出会い、曲作りを始めた彼女は、新型コロナウイルスでロックダウンを余儀なくされた時にジャズ・スタンダードのカバーをネットに投稿したところ、瞬く間に注目を集め、2023年9月に発表した2ndアルバム『ビーウィッチド』はビルボード・ジャズ・チャートで1位を獲得。ブレイク曲の「フロム・ザ・スタート」はボサノヴァ風のリズミカルなメロディーがTikTokやインスタグラムのリールと相性がよく、多くの投稿に使われた(一度は聞いたことがあるかも!?)。

 ビリー・アイリッシュやウィロー、BTSのV、LE SSERAFIMのHUH YUNJIN、NewJeansのHANNIなど業界内にも彼女のファンは多く、「ミュージシャンとしての私の目標は、ジャズやクラシックをより親しみやすいかたちで私の世代に届けること」と話すとおり、その信念は成功しつつある。

@laufey

okay if you say so my cupid!!

♬ From The Start - Sped Up - Mei Mei The Bunny

 今をときめく“ジャズクラ界のスター”は【SUMMER SONIC 2024】に初出演。早くからソールドアウトした今年の【サマソニ】には例年通り、熱いラインナップが勢ぞろい。夏を代表する大型フェスの開催を前に、押さえておくべきレイヴェイの楽曲を5つ、彼女の解説とともに紹介しよう!

「フロム・ザ・スタート」

ライブでファンの大合唱が起きるほど、レイヴェイの楽曲の中で特に盛り上がる1曲。全世界で6億回以上再生されているレイヴェイの代表曲(※ルミネイト調べ)。

「フロム・ザ・スタート」がファンの心に響くのは、けっこう不真面目だからじゃないかと思うの。私は自分自身をからかってみるつもりで、ほぼ皮肉って感じのボサノヴァのビートに合わせて歌詞を書いたの。リリックの内容は、自分を恋していない相手との絶望的な恋愛について。実際、その人は別の人を愛しているかもしれない。みんなわかるでしょ、好きな人が他の人の話をしているところを目撃したら、どんな気持ちになるか。


「ゴッデス」

国内盤『ビーウィッチド:ザ・ゴッデス・エディション』のタイトルにもなっている楽曲。壮大な後半の盛り上がりは必聴。

「ゴッデス」は今までで一番正直になれた曲。ひとりでピアノに向かってこの曲を書いたのは、ステージに立つ私に恋をしたけどステージから降りたらイメージと違った、って思われてると感じたから。魅力を失って生身の姿があらわれたら、もう私は輝く存在じゃないってことね。


「ボアード」

しっとりしたメロディーと甘い歌声からは想像がつかないド直球な歌詞のギャップが印象的。そこがレイヴェイらしくもある。

「ボアード」は、ナルシストになってしまう相手とデートすることに飽き飽きしていることを歌った小生意気な曲。うんざりさせられてこれを書いたの。


「レター・トゥー・マイ・13イヤーズ・オールド・セルフ」

過去の自分に宛てた手紙のような歌詞は、自身の経験をもとに書かれたもの。将来に不安を覚えるすべての人に刺さる歌詞に注目!

私は今25歳だけど、13歳だった頃の自分に伝えたいことが山ほどあって、歌を通してそれができたらいいなって思っていたの。13歳の頃、私は自分の将来がすごく不安で怯えていた。「レター・トゥー・マイ・13イヤーズ・オールド・セルフ」は、今の私自身から13歳のレイヴェイへ送るメッセージ。彼女を抱きしめ、何もかもうまくいくよ、って語りかけている。若いファンの人たちがこの曲に耳を傾けて、自分自身にも自分の将来にももっと安心感を持ってくれたら嬉しいわ。


「ビーウィッチド」

世界的な名門オーケストラのひとつ、フィルハーモニア管弦楽団とコラボレーションしたアルバムのタイトルナンバー。

「ビーウィッチド」はアルバムのタイトル・トラック。完璧でクラクラするようなデートを綴ったラヴ・ソングなの。相手に対する感情が身体中を包み込み、その瞬間をボトルに詰めて永遠に取っておきたいって思う気持ち。この曲はフィルハーモニア管弦楽団と、物語『ビーウィッチド』の舞台でもあるロンドンでレコーディングしたの。


 グラミー受賞した2ndアルバムのデラックス盤CDに日本盤限定のボーナストラック5曲を追加した『ビーウィッチド:ザ・ゴッデス・エディション』には、本人による全曲解説コメントや日本のファンに贈る手書きのメッセージ封入と、なんとも豪華なパッケージ。【サマソニ】ではここで紹介した楽曲以外も演奏される可能性大のため、予習もかねて、涼しいお部屋でカフェラテとお菓子とともに彼女の渾身のアルバムをじっくり聞いてみては?

 レイヴェイの【サマソニ】出演を記念して、イラストレーター“くらはしれい”による描き下ろしイラストを用いた「フロム・ザ・スタート」日本版リリック・ビデオが公開。また、BEAMS RECORDSではレイヴェイの日本デビューを記念したノベルティ・キャンペーンも開催中のため、こちらも要チェック!


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