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<コラム>SixTONESの“静”と“動” 両A面シングル『GONG / ここに帰ってきて』で表現する二面性と、まっすぐに時代を牽引する力
Text:岡本貴之
SixTONESが、2024年7月10日にニューシングル『GONG / ここに帰ってきて』をリリースする。13枚目となる今作は両A⾯シングルとして、「GONG」「ここに帰ってきて」それぞれがリード曲となっている。
2024年のSixTONESは、1月にリリースした4thアルバム『THE VIBES』を引っ提げ、グループ初の4大ドームツアーを開催。360度センターステージ、バンドの生演奏を導入したパフォーマンスで大成功を収めると、グループ結成10年目の記念日である5月1日には12thシングル『音色』をリリース、絆を確かめ合う温かい歌声を聴かせた。また同作を「#1」とおいて、「“Raise our VIBES” years 2024-2026」のスローガンを掲げ、今まさに“バイブスをブチアゲる2年間”を駆け抜けている。そんな充実した活動を続ける彼らが放つ最新シングルが、『GONG / ここに帰ってきて』だ。
「GONG」は、田中樹が出演した日本テレビ系日曜ドラマ『ACMA:GAME アクマゲーム』の挿入歌。曲の冒頭、いきなり歪んだギターリフが低音と高音を奏でると、煽られるように飛び出す第一声は〈Turn it upside down.〉。直訳して〈上と下を逆さにしろ〉と捉えてみると、低音と高音を繰り返すイントロのリフと繋がってくる。サウンドが太く強烈な4つ打ちのビートに変わると、すぐさまジェシーを先頭にアジテーション的な歌がスタート。ジェシー、森本慎太郎が2小節ずつ、田中樹、髙地優吾、松村北斗、京本大我が1小節ずつ、一気呵成にリズミカルなフロウで繋いでいく。ハードエッヂなサウンドでより際立った、SixTONESならではの阿吽の呼吸による淀みないボーカルリレーだ。
〈這いつくばったって諦めない〉といった歌詞は、タイトル通り戦う相手を前にしたような泥臭さもあるものの、さりげなく〈仲間と笑う瞬間がトロフィー〉と挿入されているところに、6人の絆も歌われていることにも気づかされた。速射砲のごとく言葉を紡ぐ圧巻のA2パートから、〈loser(負け犬)〉〈ruler(支配者)〉と韻を踏む英詞によるBメロパートまでは、シンプルに音数が少なく、鼓動のようなビートに乗せて歌うことで、孤独な内面と社会との葛藤を感じさせる。暗い控室に佇むボクサーのごとき心象風景から、まばゆい光のリングに上がったように広がりを見せ、〈Being burned down to the ground./見下ろされたって/Never giving up./睨みつけんだ〉と歌うサビは、厳しい現実に直面することも多い現代に生きる人々へ刺さるハングリーなメッセージ。〈Gong of Game./Gong of Game./Gong of Game./Go./Rock'n, Rock'n, Rock'n Roll.〉と繰り返す語感も痛快だ。2番では、一度鼓動が停止したような状態から再び這い上がっていく展開が熱い。アカペラのハーモニーを聴かせてから進んでいく終盤部分は、ミュージックビデオではバンドとともに360度囲まれたステージでパフォーマンスを見せており、4大ドームツアーの興奮も蘇る。
GONG / SixTONES
一方の「ここに帰ってきて」は、「GONG」で聴かせた“攻める”SixTONESとはまったく対照的な楽曲。京本大我が初の映画単独主演を務める映画『言えない秘密』の主題歌となっており、愛する人との別れ、過ごした時間を惜しみながらも、大きな愛情と感謝の気持ちを持って前に進もうとするラブソング。清廉なピアノの響きから始まり、ストリングスもフィーチャーしたアレンジによる美しいバラードチューンだ。
シンプルな曲構成や言葉選びによって、一度聴いただけで、〈ここに 帰ってきて/ここに 帰ってきて/ここに 帰ってきて〉とリフレインするサビメロが記憶に残る。聴きどころは、ブレス音まで聴こえるほど距離の近い音作りによる6人の歌声。MVを見ると、白を基調とした純真無垢な世界観の中で、一人ひとりが身振り手振りを交えて、それぞれの「ここに帰ってきて」を表現していることがわかり、個性をよりじっくり堪能できる楽曲といえる。全員の優しく丁寧な歌いまわしが調和して、さらにピアノとストリングスの流麗な演奏と溶け合うことで、聴くものの心にスッと自然に入ってくる構成が秀逸だ。曲は、後半に進んでいくと徐々に壮大でドラマティックな展開を見せていくが、そこで必要以上に大袈裟に感情的になりすぎたり、情感を出しすぎたりしていないところがいい。それゆえに、愛情の深さと喪失感が共存する儚さをまとった、誰もが抱えている“人間の内面”を描くことができている。それは、いかにSixTONESが歌唱力と豊かで繊細な表現力を持ったグループなのかを証明している。
ここに帰ってきて / SixTONES
己を掻き立てながら周囲も巻き込んでいくミクスチャーロック「GONG」、人を想う気持ちを素直に歌ったバラード「ここに帰ってきて」。ともに生々しいサウンドに乗せた“静”と“動”の楽曲で、飾ることのない二面性を感じさせる今回のシングル。情報が溢れている今、シニカルな言葉や奇をてらった表現に辟易している人も多いはず。そういう意味で、思いっきりまっすぐに、素直に、“人間臭さ”を前面に出したこの2曲は、SixTONESがポジティブに新たな時代を牽引していくための第一歩なのかもしれない。
13th Single「GONG/ここに帰ってきて」nonSTop digeST / SixTONES
リリース情報
関連リンク
GONG/ここに帰ってきて
2024/07/10 RELEASE
SECJ-97 ¥ 1,210(税込)
Disc01
- 01.GONG
- 02.ここに帰ってきて
- 03.Are You Mine?
- 04.SPICY
- 05.音色 -Memorial Orchestra Rearrange-
- 06.GONG -Instrumental-
- 07.ここに帰ってきて -Instrumental-
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