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<インタビュー>菅田将暉 3rdアルバム『SPIN』で体現した、30代の“今”リアルに感じていること
Interview & Text:岡本貴之
Photo:Akari Yagura
菅田将暉が、3rdアルバム『SPIN』を7月3日にリリースした。今作では、東京スカパラダイスオーケストラとのコラボ、Vaundy、Sundayカミデ提供曲等の既発シングルに加え、小野雄大、佐藤千亜妃、甫木元空(Bialystocks[Vo. / Gt.])、牧達弥(go!go!vanillas[Vo. / Gt.])といった気鋭のアーティストたちが参加。さらに盟友・石崎ひゅーいとの共作もあり、変幻自在な音楽表現を楽しむことができる。一方で、前作『クワイエットジャーニー - EP』のテイストにも似た、仲間たちとの個人的で自由な空気感を纏った曲の味わい深さもあり、一枚でメジャーとインディーを両立したような構成が特徴的だ。そしてそれは、菅田将暉の表現者としてのスタンスをそのまま表している。アルバムのテーマとなったもの、参加アーティストについて、年齢や生活の変化と共に感じていること等々、時間の許す限りたっぷりと話を訊いた。
自分がこのアルバムを歌えば歌うほど、
歌が上手くなるように作った感じなんです
――前作の取材時に、「このやり方でフルアルバムも作りたい」とおっしゃっていたこともあり、今作の半分にはそういうニュアンスがあるように感じました。リリース発表時のコメントにある「スタートを切ったメンバーを軸に和が広がっていき」のメンバーというのは、ライブでのバンドメンバーのことですか。
菅田将暉:そうです。元々それがずっとやりたかったことでもあって、そのメンバーを軸に始めた感じはあります。もっと言うとタイヘイ(Dr.)と越智(俊介/Ba.)が軸にあって、しみちゃん(Kohei Shimizu/Gt.)とかと一緒に作った曲も入っている感じです。タイヘイは総合プロデューサーっていう感じですね。
――菅田さんご自身がプロデュースした曲もあるということですが。
菅田:基本的に、新しく作った曲には全部一から参加してはいるんですけど、たとえば「二つの彗星」「くじら」は、(甫木元)空くん、牧(達弥)くんとそれぞれ話し合って精査しつつ、みんなでまとめていきました。一方で「谺する」「ユアーズ」「サディスティックに生きなくちゃ」「エメラルド」「Magic Hour」……の後半の曲は、自分がゼロからやったという感じです。
――後半に行くにつれて、前作のEPに近い雰囲気が出てくる気がします。曲順もそういうところを意識して並べているのでしょうか。
菅田:自然とそうなりました。最初はもっといろんな曲を交わらせようかなと思っていたんですけど、やっぱりスカパラさんとの曲(「るろうの形代」)とか、Vaundyの曲(「惑う糸」)が強いので。1個1個の個性がちゃんとあるものは立たせて、混ぜるよりは別にしたほうがいいかなと思ったのと、タイヘイと一緒にいろいろ聴きながら、同じビート感が続かないように、進行とかが同じにならないように配置したら、自然とこうなった感じでしたね。
――タイヘイさんはドラマーですが、作曲やアレンジをする際には菅田さんと一緒に、まずビート感にこだわって作るわけでしょうか?
菅田:今回の裏テーマとして、「リズムとかグルーヴみたいなものをもう一回教えてほしい」みたいなところもあって。自分がこのアルバムを歌えば歌うほど、歌が上手くなるように作った感じなんです。だからアルバムを聴くと、明らかに1番より2番のほうがグルーヴがあるな、みたいな曲ばっかりなんですよ。
――確かに、1番では音数が少なかったのに途中からグルーヴが出てくる曲が多いですよね。
菅田:そうなんですよね。歌のテイクも、「やっぱり2番のグルーヴがいいんだよな」みたいに言われて。自分では最初から意識して歌っていると思っているんですけど、「そうだよね、すみません」って、ちょっとショックを受けて(笑)。でも確かにそうだなって。そういう、リズム的なところがひとつテーマとしてありましたね。ライブをやる想定としても、歌うことだけに捉われずに、もっと乗れたり踊れたりするものをタイヘイと一緒に作った感じです。
――新たに参加しているミュージシャンたちとの関係は、タイヘイさんをはじめとするメンバーとの繋がりから生まれたものですか。
菅田:もともと、「合いそうだから会わせたいんだよ」って言ってくれた人たちがいっぱいいて、今回の機会にそういう人たちともセッションできたという感じですね。今までは割と、「自分が」会いたい人たちとやっていたんですけど、今回はそうじゃないやり方というか。「二つの彗星」の空くん、「くじら」の牧くんもそうだし、「スモア」の小野雄大くんとかもそうです。
――曲の中心になっているのはいつものバンドメンバーで、そこにゲストを招いてやっている感じですか。
菅田:まさにそんな感じでした。「エメラルド」も、表記上の作詞・作曲は僕だけになっているんですけど、みんなで作りあげた感覚です。「こんな感じがいい」って僕が色々言わせてもらって、自分がなるべく歌わずに済む曲にしたというか(笑)。
――“なるべく歌わずに済む曲”ってどういうことですか?(笑)
菅田:ライブを何度かやらせてもらっていて、いつも思うんですけど、ライブが進むとどんどん余裕がなくなってくるんですよ。せっかく会場にはたくさんの音が流れていて、かっこいい楽器も弾いてくれているのに、それをもうちょっと聴きたいなって。ライブで自分の歌だけじゃない部分もやっぱり欲しくなって、歌唱部分が減るという構成になっています(笑)。あとは、自分もライブでギターを弾きたいなというのもありました。
――昨年の武道館ライブでは、終盤にレスポールでギターソロを弾いていましたよね。
菅田:そうなんですよ。めっちゃ怖かったです。ギターソロなので、一音変な方向に行った瞬間に「あ、終わった」みたいな(笑)。でも、間違えるのも楽しかったですけどね。そういう時間をもっと増やしたいというのもあります。
――ギタリストでいうと西田修大さんが何曲か参加されていますが、やはり周りから紹介された方ですか。
菅田:修大くんは、(石崎)ひゅーいくんのライブでギターを弾いていて出会ったのがいちばん最初で、もともと知ってはいたんです。あとはBialystocksでも弾いていたりするので、そんな流れもあってお願いしました。
今って30歳が“成人”っていう気がする
――みなさんどこかしらで繋がっているわけですね。Bialystocks甫木元さんの作詞作曲、西田さん編曲による「二つの彗星」はどういう成り立ちの曲でしょうか。
菅田:空くんとは不思議な縁がいろいろとあるんです。映画監督と音楽を両方やってる人で、彼の映画監督のルーツとなる師匠のような存在の方が、僕の大好きな映画監督だったりもしていて。その方が亡くなったお別れ会で初めて会って、それからずっと再会したかったんですよね。そしたらたまたま、越智が昔にBialystocksのサポートをやっていたこともあって、今回一緒にやるきっかけになっているんです。だから、「二つの彗星」の意味みたいなことは空くんといろいろ喋りつつ、空くんの中でまとめてくれたという感じです。
――何だかちょっとスピリチュアルな感じも受ける曲です。
菅田:そうですね。何か神々しい曲ですよね。
――石崎ひゅーいさんとの共作で、西田さんとタイヘイさんが編曲の「サディスティックに生きなくちゃ」は非常に面白い曲というか、このアルバムの目玉だと思って聴きました。
菅田:あ、嬉しい。歌詞に〈Spin!〉って入れてよかった。ひゅーいくんには本当にお世話になっていて、菅田将暉の音楽業もひゅーいくんのおかげなんですけど、やっぱりひとつのアルバムに1曲は欲しい。家電みたいな存在です。
――家電ですか?
菅田:一人暮らしに冷蔵庫がないと困るように、「やっぱりひゅーいくんがいないと困るな」というか(笑)。ひゅーいくんとこれまで、「虹」とか「ラストシーン」とかを経て、次に何を作ろうか?と話していて、せっかく修大くんという色んなことができるギタリストのアレンジもあるから、今までと変わったことをやりたいとも思っていたんです。当時、ふたりともバイアグラ・ボーイズというスウェーデンのバンドにハマっていて。彼らのハチャメチャな感じとか……あと僕はホラーが好きなので、その辺のことをひゅーいくんと喋りながら作っていきました。いちばん最後にできた曲だったんですけど、アルバムには、死生観、代謝していくもの、循環していくものとか、そういう“回っていくもの”みたいなテーマがあるので、そういう意味では、この曲で〈Spin!〉と叫ぶことでよりまとまった感じになりましたね。
――1stアルバム『PLAY』、2ndアルバム『LOVE』に続く4文字単語のタイトルで、様式美を感じますけれども。
菅田:そうなんですよ。この謎にできた縛りには別にこだわっていないんですけど、今は様式美になりつつありますね。なんか、ここまできたらそれで行くかっていう(笑)。もともとは、アルバムもいろんな人に作ってもらったりしていて「一言でまとめられないよ」ということで、複合的な意味がある単語ひとつをタイトルにしていたんです。そこが英語の良さだったりもするので、今回も結果的に『SPIN』になりました。
――死生観という言葉がありましたが、ご自身の中でこれまでとは違う変化があるんですか。
菅田:おじいちゃんたちが亡くなったり、僕ら世代に子供が生まれたりっていうのもやっぱりあると思いますね。「谺する」は去年に作っていたんですけど、この曲が父と娘を描いた映画(『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』)の主題歌として書いていたこともあって、そういう家族とか血の繋がり、次の世代、過去/未来……みたいなことはテーマのひとつになりましたね。
――「谺する」以降(アルバムの曲順で)自作曲が並ぶことで、そういう温かい部分が色濃く出たのではないですか。
菅田:そうだと思います。なんというか、今はそんな気分なんでしょうね。聴き心地が温かくて、ちょっとのれるものというか。ドライブとかにいい感じの曲。「サディスティックに生きなくちゃ」みたいな曲ばかり聴いていると、テンション上がっちゃって危ないから(笑)。そういうのも好きですけどね。銀杏BOYZとか聴きたくなるけど我慢する日もありますから。心が揺れ動きすぎちゃう(笑)。
――「スモア」はとてもリラックスした空気感がいいですね。これはキャンプをイメージした曲なんですか。
菅田:ちょっと寒い時期に作っていたのもあって、“ぬくもり”みたいなことがテーマにありました。あと、(小野)雄大くんの弾き語りが好きなんです。畑の真ん中で弾き語りしていたり、地元の体育館で弾き語りしていたり、そういう姿がすごく素敵な人なので。だから、場所は外なんだけど私的な空間、みたいなことを一緒に歌いたいなと思っていて、キャンプっぽいことがテーマになりました。タイトルは、その直前に「スモア」を食べてたまらなくうまかったっていうのもあるんですけど(笑)。
――対照的にストレートなロックチューン「くじら」は、ミュージックビデオでバンドの演奏シーンも登場します。
菅田:これはみんなでスタジオに入って作った感じで、楽しかったですね。牧くんとはタイヘイたちも親交があるからこそ、お互い気も知れた関係だし、作業のテンポ感がすごく良かったんですよね。僕は牧くんとは今回初めてだったんですけど、なんか“いい男”ってこういう人のことを言うんだろうなって。バンドマン然としている感じもすごくかっこいいし、それでいて優しくて丁寧な人だなっていうのも、歌詞のやり取りとかをしていてもすごく思いましたし。一緒にやれて面白かったですね。
――牧さんもコーラスでかなり歌っていますね。
菅田:そこはバンドという想定で、牧くんはギターも弾いてコーラスも隣でしている位置づけなんです。ストーリーテラーのようにギターのリフから始まって、コーラスも歌い、最後まで一緒にいてくれる感じというか。曲づくりの最初からずっとそうでした。
くじら / 菅田将暉
――タイトルの「くじら」というモチーフはどんな発想から生まれたのでしょうか。
菅田:これ、本当にこんなんでいいのかっていう話ですけど……最初にサビの「♪ダダダダッダダダ~」っていうメロディがあって、一発目に出てきたのが「くじら」だったんですよね。僕が〈くじらだったらな〉って歌ったら、みんなが湧いて(笑)。そこに後からいろいろ肉づけしていったら、哺乳類最大のくじらという生き物がいて、それが群れじゃなくて家族で回遊していくさまもいいし、もともと話していた内容にも合うので、こうなりました。
――もともと、どんなことを話していたんですか。
菅田:“30代の青春”みたいなことを曲でやりたいね、という話をしていたんです。牧くんが好きなジブリ作品の話や、好きな音楽のルーツとかを聞きつつ、あとは僕がそのときに思ってたことですね。歌詞の中にもあるけど、大変な人が目の前にいたときや、火事が起こっているときに、〈怒りの火種 木をくべるか お湯を沸かし人を癒すか〉みたいなたとえが、まさにやりたかったことで。面白い表現をするなと思いました。歌詞は、僕が最初になんとなく構成を書いて、それを牧くんが改めてまとめてくれた感じです。
――この曲に限らず、歌詞については菅田さんご自身もいろんなアイデアを出しているわけですね。
菅田:そういうことが多いです。
――ドラマや映画では、特定の相手へ明確に伝える言葉をセリフで言うことが多いと思うんですが、音楽の歌詞って抽象的なことも多いですよね。それを読み解くのが面白いことではあるんですけど、たとえば「エメラルド」の歌詞は、菅田さんの中では歌っている相手や対象っていうものがあるのでしょうか。
菅田:何となくありますね。うちのおばあちゃんとかの顔が浮かんでいたり。どっちかというと、おばあちゃんの若いときみたいな感じかな。そこから派生していっています。
――「Magic Hour」はいかがですか?
菅田:「Magic Hour」は、タイヘイの家族の話です。タイヘイの地元の景色みたいなことがテーマにありました。今回はそういう曲が多いですね。「もののあはれ」は越智の地元の話だし。地元のお祭りで、おばあちゃんが口ずさんでいた謎の音頭があった……みたいな話から、越智の家でギターを弾きながら作っていった感じです。
――先ほど“30代の青春”とおっしゃいましたけど、これまでの人生を振り返ってみる機会が多くなったんですか?
菅田:やっぱり、30代前半ってそういう時期なんですかね。 振り返ろうと思っているわけじゃないんですけどね。今って30歳が“成人”っていう気がするし、大人になってきて、生活のこととか、会話もリアルになってくるじゃないですか。家のこと、家族のことの話題が増えてくるというか、そうなってきましたね。あとやっぱり健康のこととか、食べ物とか、そういう生活みたいなところに視点が移るんでしょうね。
“その人の”この癖じゃなきゃほぼ成立しない、
みたいなことって多々あるんです
――それで言うと、佐藤千亜妃さん作詞作曲の「化かし愛」は、そういう現実から離れた曲です。
菅田:この曲は、佐藤さんと何回かお会いして話したときに、佐藤さんが「こういうのを歌わせたいっていう曲が3つあります」とおっしゃっていて、その中から選んだ結果、書いてくださったのが「化かし愛」です。やっぱり表現が面白いんですよ。パンチラインがいっぱいあるというか。僕の憧れのアーティストなので、素直に嬉しかったです。
――〈愛なんて大層な理由じゃなきゃ/駄目かな?〉の「駄目かな?」は最初からセリフ調になっていたんですか?
菅田:最初からこうでした。面白いなと思いましたね。俳優に(書く曲)だからこそ、こういうセリフ入りの曲を提供してくれたんでしょうけど、すごいアーティストですよね。
――昭和歌謡的なテイストもあるところが、菅田さんとしては新境地なのではないでしょうか。
菅田:そうですね。この曲は歌うのがいちばん難しかったです。ノリというかグルーヴというか、いちばん歌唱力が必要になったなと思いますね。
――やっぱり曲を提供する人はみんな、菅田さんにチャレンジを課すというか。
菅田:別にそんな試練要らないんだけどな(笑)。本当そうなんですよね。特にやっぱり、ボーカルの方が作る曲が難しいですね。みんな、無自覚の“自分の癖”みたいなものがあるから。聴く側は多分そこが好きなんでしょうけど、“その人の”この癖じゃなきゃほぼ成立しない、みたいなことって多々あるんです。ひゅーいくんとかはもう、“癖の塊”なので。本人は気づいてないけど(笑)。佐藤さんはもっとフレキシブルな、間口が広い、何でもできるんだと思うけど、難しかったです。母音の置き方とかをすごい細かく教えてくれましたし、言葉の“捨て方”とか、そうやってリズム作ってるんだなとか、すごく勉強になりましたね。でも、佐藤さんが歌うと簡単に聴こえるんですよね。だから、聴いて気持ちいいけどカラオケで歌ったらいちばん難しい、みたいな感じでした。あと、ギターがやばいんだよなあ。名越(由貴夫)さんのギターが最高でした。音色のこだわりがすごかったです。何やってるかわかんなかった。本当、ギターって電気と金属と皮膚の振動なんだなって。エフェクトの回転数とかをずっとブツブツ計算しながらいじっていて、その作業音がほぼノイズなんですけど、めっちゃ気持ち良くて。本当に良い時間で、非常に刺激を受けました。
――Vaundyさんの提供曲「惑う糸」はライブでも披露されていましたが、ポップでかっこいいけど、どこかちょっと泥臭い感じもある不思議な曲です。
菅田:おっしゃる通り、なんか泥臭いけど浮遊感もあるから、軽快なのか重いかわからない感じはありますね。テーマ自体は結構シリアスだったりするからかもしれないです。言葉とかは特に。
惑う糸 / 菅田将暉
――「るろうの形代」は、菅田さん側からスカパラにオファーしたそうですね。
菅田:やっぱり、かっこいいスーツの先輩たちの中に混ざりたいっていう憧れがあって。そしたらまさかのOKをくださって、ジョインして歌わせてもらいました。また、谷中(敦/Baritone sax.)さんがすごくこまめに連絡をくださるんですよ。「今こんな歌詞なんだけど、お風呂とかでいいから鼻歌で歌ってみてもらえる?」みたいなやり取りをフラットにできたので、すごく贅沢でしたね。
――過去にスカパラとコラボしたボーカリストのことを、多少なりとも意識しましたか?
菅田:もう、名ボーカリストばかりですからね。意識したというか、奥田民生さんの「美しく燃える森」はずっと聴いていました。あの曲がいちばん好きですね。全然曲調は違うんですけど、MVを撮っていてもチラチラ頭から離れなくて、困りました(笑)。でも、スカのビート感っていうのは、歌ってみて面白かったですね。
るろうの形代 / 菅田将暉×東京スカパラダイスオーケストラ
――アートワークについても訊かせてください。ジャケットに起用している写真は、中国・内モンゴル自治区出身の写真作家Ryu Ikaさんの作品とのことですが、どんな方なんですか。
菅田:パッケージには何か強い写真一枚がいいねと話していて、探してもらったんですけど、Ryuさんが撮った写真のうち何枚か知っているものがあったんです。すごく生々しいんだけど、ただのドキュメントじゃない写真を撮る方で、クレバーさもすごくいいなと思っていて。しかも同世代だったので、是非とお願いしました。何回かお会いしてお話したりしつつ、曲も聴いてもらったうえで、Ryuさんの中でいちばん「SPIN」してるのがこのジャケット写真だっていうことで決まりました。どういう意味で言ってくれたのかはわからないんですけど(笑)。でも、この写真がRyuさんご自身の原風景みたいですね。今回はそれぞれのルーツを辿る、みたいなこともテーマにあったので、それを汲んでくれてこの写真にしてくださったと思います。
――中ジャケに使われている生き物はなんですか?
菅田:牛です。これもいいですよね。こっちもパッケージ候補でした。ミルクを飲んでいるところだと思うんですけど、一頭なのかもよくわからない。海外の牛で、写真の質感も(エフェクトで)変えているから、わからない感じですけど。すごく好きですね。
――完全生産限定盤は、特製缶BOXに菅田さん自身がデザイン監修をしたオリジナルTシャツ、ステッカーセット、紙ジャケ仕様のCDが入った豪華盤です。この缶、結構大きいですけど、映画のフィルムケースみたいなイメージもあるんですか。
菅田:デカいですよね。最初に「こんなの作りませんか?」って話があったときのサンプルがまさにフィルムケースそっくりだったので、そういうのもあるのかな。『SPIN』だし、丸い形がいいかなっていうのと、僕、缶が好きなので。ちょうどTシャツも入るってことでこうなりました。
――初のアリーナライブ【菅田将暉 LIVE 2024 “SPIN”】が9月に大阪と東京で行われます。まだ先ではありますが、どんなことをイメージしていますか。
菅田:制作やバンドメンバーも含めて、ちょっと座組も変わるので、心機一転新しくライブを作れたらいいなと思っています。それをイメージしてこのアルバムを作った感じなので、自分自身も乗れるもの、踊れるライブにしたいです。
――その前に8月17日、【RISING SUN ROCK FESTIVAL 2024 in EZO】初出演があります。
菅田:いやあ、嬉しいですね。もちろんフェスに行くのは好きでしたけど、ああいうところでいつか歌いたいな、演奏したいなと思っていたので。フェスってお客さんのテンションも上がっているし、非日常感というか、よりライブ感があるし。いつ始まっていつ終わったのかわかんない感じもフェスの良さというか。出演できてありがたいですね。
――今年下半期は音楽活動に力を入れていく?
菅田:そうですね、ちょっと勉強させてもらおうっていう感じです。
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