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<インタビュー>カミラ・カベロ、マイアミにインスパイアされたニューアルバムのために“自信溢れるいい女のエネルギー”を取り込み、ドレイクにDMを送ったと明かす
By Jessica Roiz / Billboard.com掲載
米マイアミの緑豊かなコーラル・ゲーブルズ地区の5月のある晴れた日の午後、カミラ・カベロが平屋建ての実家で私を出迎えてくれた。彼女はゴールデンレトリバーのターザン、ジャーマンシェパードのサンダー、コッカプーの保護犬パーシーを含む4匹の犬に付き添われている。
カミラは、カリフォルニアでの滞在や【メット・ガラ】のために間もなくニューヨークへ出発するという慌ただしい数日間の中、“充電のために”実家にいる。しかし、乱れたおさげ髪にデイジー・デュークのショートパンツ、シルバーのビーチサンダルを履いた今日の彼女は、大胆不敵な芸術的声明である『C,XOXO』というタイトルの4thソロ・アルバムを6月28日にリリースしようとしているメジャーなポップスターというよりは、休暇中の女子大生のように見える。彼女の父親は車道を洗い、母親は私にキューバエスプレッソ(cafecito)を勧め、おばは犬たちと遊んでいる。
「ランチに行きましょう、私が運転しますから!」と、トートバッグを手にしたカミラが大声で言う。27歳の彼女は2年前に免許を取得したばかりで、パンデミックの最中に運転を覚えた。愛称“テッシー"の白いテスラに乗り込むと、彼女はステレオからいいアルバムやポッドキャストを流しながらハンドルを握ることがお気に入りのストレス解消法だと認めた。彼女は地元のお気に入りのヘルシースポットのひとつ、プーラ・ヴィーダに連れて行ってくれ、私たちは外の席でサマーチキンボウルを食べた。「メット・ガラが近いし……その後にお腹いっぱい食べるのが待ちきれない」と彼女は冗談を言った。
今年2月にSNSで披露したばかりのプラチナブロンドの髪をしたカミラは、ほとんど誰にも気づかれない。通行人の何人かは彼女に気づいているようだが、恥ずかしがって近づけないのかもしれない。ただ一人、「カミラ、愛してる!」と叫んだ人がいた。これは、彼女が定期的に実家に寝泊まりしているとはいえ、世界的なスーパースターであることを思い出させる。この新しい見た目について、彼女は、人前で匿名性を確保するという副次的な利点があると冗談を言う一方で、これには深い意味があると説明している。
カミラは、「新しいアルバムで見つけた声(ボイス、考え)には、baddie(自信溢れるいい女)のエネルギーのヴァイブスが大いにあるんです。そのスピリットの一部は、リスクを冒し、何も気にせず、好きなことをすること。ブロンドにしたのは、その気持ちに忠実でいるためだと思います。ヘアスタイルは、『これが私の新しい時代であることを視覚的にどう人々に伝えるか』というようなものでした。時には、『ああ、これは新しいものだ、新しいキャラクターだ』と知ってもらうために、身体的な特徴が必要なんです」と生き生きと話す。
3月27日にカミラは『C,XOXO』の全貌を予感させる、プレイボーイ・カーティをフィーチャーした1stシングル「アイ・ラヴ・イット」をリリースした。スペインのヒットメーカー、エル・ギンチョ(ロザリア)とジャスパー・ハリス(ジャック・ハーロウ、ドージャ・キャット)が共同プロデュースしている「アイ・ラヴ・イット」は、グッチ・メイン(「レモネード」)をサンプリングし、ハイパーポップな美学を持っており、最初はフィフス・ハーモニー(5H)のメンバーとして、その後はソロ・アーティストとしてカミラを有名にした従来のポップ・サウンド(最近ではラテンの影響を受けたサウンド)とは大きく異なっている。
この予想外の楽曲は、もう一つの理由でも重要だった。5Hのデビュー以来10年近く在籍し、最初のソロ・アルバム3枚(『カミラ』、『ロマンス』、『ファミリア』)を2018年から2022年にかけてリリースしたエピック・レコードを離れたカミラが初めてインタースコープ・レコードからリリースする作品となったのだ。
SNS上での「アイ・ラヴ・イット」に対する反応は様々で、この楽曲は米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で初登場81位を記録したのが最高位だった。それでもこの曲(と、そのややたがが外れたヴァイブス)は、カミラの次の音楽的な章への興味をかき立てた。彼女は、「(この曲の)予測不可能さは、私にとっても(今までとは)すごく違うものです。サウンド的にドアを蹴破るような瞬間で、強くてパワフルな気分にさせてくれます。少なくとも私にとっては、人生のこの段階で、ヒットしたとしてもすでに前にやったことのあるような曲であれば、とても満たされない気分になります。それでは何の喜びもありません。それよりも、奇妙で、自分にとって新しい領域となるような曲のほうがいいです」と述べている。
「アイ・ラヴ・イット」の奇妙さはカミラの新時代を象徴しているが、『C,XOXO』のセッションのトーンを決定づけたのは別の楽曲だった。彼女は、「最初はこのアルバムの音の世界を見つけるためにいろいろなジャンルで遊びました。『シャネル No.5』がアルバムをこじ開けてくれました。ソングライターとしての自分にとって、あれがまさにアルバムに欲しかった声(ボイス)でした。こびていて、生意気で、ちょっとずる賢い感じが」と説明している。
「シャネル No.5」でカミラは、奇抜なピアノの間奏の合間に、ファルセットを歪ませながら、“病んだ心を持つキュートな女の子"であることを歌っている。彼女がラップを披露するパートもあり、最近フロー・ミリやベイビー・テイトのような“ふしだらで自信過剰なガール・ラップ"からインスピレーションを得たという。
アルバムの共同プロデュースを担当したハリスは、この楽曲について、「プロセスの途中で重要な転換期にぶつかっていることに気づきました。この曲は、僕たちがすごく“C,XOXO”らしいと思った最初の曲で、曲を作るたびに、(ブランドの)シャネルと同じくらい真正かどうか確かめました。僕たちの北極星(進むべき方向)だったんです」と話している。「シャネル No.5」はファン・トラックとしてアルバム発売前にリリースされる予定だ。
カミラ、エル・ギンチョ、ハリスの3人は、2023年のほとんどをニューヨーク、ロサンゼルス、バハマ、そして主にマイアミでのアルバム制作に費やしたが、その過程で彼女はまた新たな創造的啓示を受けた。彼女のこれまでのアルバムには、その中心に“なぜ”と“いつ”と“誰が”はあっても、“どこで”はなかった。『C,XOXO』にはその“どこで”がある――マイアミへのラブレターなのだ。
カミラはもともとマイアミっ子だったわけではないが、移民によって豊かになった音と文化に溢れる街への旅が、最終的に彼女をマイアミっ子たらしめた大きな要素だった。キューバのハバナで生まれた彼女は、6歳のときに両親とともにメキシコシティに移り住み、最終的に母親とともにマイアミにたどり着いた(父親はその約2年後に合流した)。キューバで建築家だった母親はマーシャルズの靴売り場で働き、父親はドルフィンモールで洗車をしていた。現在、二人はカミラと妹のソフィアにちなんで命名したソカ・コンストラクションという請負会社を経営し、成功を収めている。
中学3年生の時、カミラは『Xファクター』のオーディションを受け、最終的に出場者のアリー・ブルック、ノーマニ、ローレン・ハウレギ、ダイナ・ジェーンと一緒にフィフス・ハーモニーを結成した。カミラが加入したガールズグループは、史上最も商業的に成功したグループの一つで、2015年と2016年の最初の2枚のアルバムでプラチナ・ディスクを獲得し、タイ・ダラー・サインをフィーチャーした「ワーク・フロム・ホーム」は“Hot 100”でトップ5入りするヒットを記録した。
5Hの成功の中、カミラはグループ外での活躍の場を模索し始めた。2015年にはショーン・メンデスと組んだ「I Know What You Did Last Summer」が“Hot 100”のトップ20に入り、翌年にはマシン・ガン・ケリーと「バッド・シングス」をリリースし、4位を記録。2016年12月に5Hはカミラの脱退をSNSで発表した。当時ほかの4人のメンバーは、「4年半活動をともにした後、カミラがフィフス・ハーモニーを脱退することを決めたと彼女の代理人を通して知らされました。私たちは彼女の幸せを願っています」とコメントした。
カミラはすぐにソロで頭角を現していった。最初の3枚のソロ・アルバムはすべて米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”のトップ10に入り、ソロ・アーティストとして“Hot 100”に21曲がチャート入り、さらに二つの【ラテン・グラミー賞】を受賞した。その間も、2017年初頭にピットブルとJ.バルヴィンと組んだ『ワイルド・スピード ICE BREAK』のサウンドトラックに収録された「ヘイ・マ」のようなスターとのコラボレーションを勝ち取ってきた。彼女のソロキャリアは同年8月にヤング・サグをフィーチャーした「ハバナ」で本格的にブレイクし、翌年1月には“Hot 100”で1位を獲得した。その2年後には、2年間の交際が大いに激写されていたメンデスとのセクシーなデュエット曲「セニョリータ」で2度目の“Hot 100”首位を獲得した。
それでもカミラは、完全に彼女自身のものであり、自身のクリエイティブ精神を強く定義するような、永続する長編ステートメントをまだ発表していない。最新アルバム『ファミリア』(2022年)は、エド・シーランをフィーチャーした「バン・バン」でトップ40ヒットを記録したが、彼女のソロ・プロジェクトとしては最低のチャート記録にとどまった。前年に公開された長編映画『シンデレラ』は、彼女の知名度をさらに高めるような派手な主演作だったが、評価は良くもなく悪くもないものだった。2022年9月、カミラはエピックを離れ、ビリー・アイリッシュやオリヴィア・ロドリゴのような若手スターが所属するインタースコープと契約。インタースコープには、彼女たちのように強い音楽的アイデンティティーを堂々と確立することでポップミュージック界の大物になったスターがいる。『C,XOXO』で、カミラも同様になる可能性がある。
カミラの長年のマネージャーであるゴールド・ミュージック・マネージメントのロジャー・ゴールドは、「(エピックは)素晴らしくて、とても協力的でしたが、自分で選ぶことや決定することができないレーベルと契約しているのと、本当に初めてそれができるのとでは違います。彼女と一緒に仕事をしたいと深く思い、彼女を尊敬し、理解してくれる人たちを見つけることは、彼女にとって大きなことでした。(インタースコープは)本当に、時々自分たちだけがレーベルに所属している唯一のアーティストのように感じさせてくれるんです」と話す。
インタースコープ・ゲフィン・A&M社長兼クリエイティブ戦略責任者のミシェル・アンは、「彼女は妥協を許さないタイプのアーティストです。カミラは、あらゆる些細なことに首を突っ込んでくれるレーベル・チームを求めているようでした。(デジタル・サービス・プロバイダー・)パートナーとの関係はどうなっているのか? ラジオ戦略はどうなっているのか? 国際的にどのように導入するのか? 彼女は役員室のボスであり、自分がどう感じ、自分をどう売り出したいかを私たちに伝えることができます。ブティックのような自分で運営できるチームを持っているという事実を本当に活用しています」と述べている。
そのようなレベルのサポートがあったからこそ、カミラは『C,XOXO』をこれまで探求したことのないようなクリエイティブな出発点として扱うことができたのだとゴールドは言う。「彼女は女性であることにとても自信を持ち、自分自身の力を認めていて、今こそ自分が言いたいことを勇気をもって言う時だと感じているんです」と彼は言う。サウンド的には衝撃的で、一部のファンにとってはハズレだったかもしれないが、「アイ・ラヴ・イット」は決して人を惑わすために出されたわけではなかった。
『C,XOXO』では、カミラの音楽の特徴である催眠術のようなファルセット、傷つきやすさを歌ったバラード、心のこもったソングライティングはそのままに、ヒップホップ、アフロビーツ、R&B、レゲトン、エレクトロニック・ミュージックが融合したまったく異なるサウンドの文脈が展開されている。それはマイアミそのものの音であり、車でマイアミビーチのコリンズ・アベニューのクラブ街を通り過ぎたり、週末の賑やかでアートなウィンウッドを抜けたりといった街の場面を鮮やかに浮かび上がらせる。
「このアルバムのインスピレーションの多くは、ドライブしながら音楽を聴き、窓を開けて、街の人々が何を聴いているのかを聞くことでした」とカミラは言う。エル・ギンチョは、「彼女がソングライターとして使っていた声(ボイス)は、街そのものにとても似ていると感じました。通常はとても離散的で分散的なものであるポップ・アルバムという文脈で、カミラが自分の街を強く表現するというのはとても面白い切り口だと思いました」と話している。
アルバムはほとんどマイアミで制作されたため、“双眼鏡を使い、細心の注意を払って”この街に目を向けたカミラは、「サウンド的には、マイアミのアート作品のように感じる」と話している。彼女のパレットでは、プレイボーイ・カーティ、リル・ナズ・X、ザ・ドリーム、同じフロリダ在住のシティ・ガールズ、BLPコーシャ、そして特にドレイクなど、多様なコラボレーターがユニークな色を添えている。昨年、ドレイクとカミラがタークス・カイコス諸島でジェットスキーの冒険をしたことが話題になった(そしてパパラッチされた)が、彼らは一緒にトラックを仕上げていたのだ。
インスタグラムのDM経由でドレイクにアプローチした時のことを彼女は、「彼はマジでGOAT(Greatest Of All Time、史上最高の人)だから、高望みしているような気持ちでした。自分でも十分な出来だと思った時に彼にアルバムを聞かせたら、本当に気に入ってくれたんです。(フィーチャリングは)ビジネス取引ではないところから生まれました。彼には「ホット・アップタウン」という曲のアイデアがあって、(聞いたら)まるで街中にいるような気分でした。私は(実際に)マイアミにいる気がしたんです」と振り返っている。
ハリスによれば、タークス・カイコス諸島でカミラとドレイクが会うまでは、この誘惑するような、カリブ海の香り漂う楽曲は、アルバム収録曲の中で唯一遠隔地のコラボレーターと制作した曲だったが、ドレイクがフィーチャーされた唯一の曲でもなくなった。「ホット・アップタウン」の直後に流れる2分近い間奏曲「アグリー」で、ソフトなシンセビートとカミラの幽玄なバックボーカルに乗せてドレイクも歌っている。この間奏曲はドレイクのアイデアで、「彼はこのアルバムで、もうひとつ何かやりたかったんです」とハリスは語っている。
カミラは、「(私のアルバムなのに)なぜ彼は自分の楽曲を持ちこんだのか? それは、私が自分のアルバムでドレイクを聴きたかったという身勝手な考えから」と笑いながら話し、「私にはすごくいいんですよ、その反抗的なムードが。そんなことをやってはいけないなんて、誰が言いました? ドレイクは言いたいことを言っているんですよ」と語っている。
カミラのもう一つの大胆な行動とは、彼女がこのアルバムで初めてすべての歌詞とメロディを書き、その背後にあるアイデアとコンセプトに全責任を負っていることだ。エル・ギンチョは、「彼女はスピードが速く、好奇心旺盛で、メロディに対する素晴らしい直感もあり、自分の意見をしっかり持っていますが、それに異議を申し立てられることにもオープンです。彼女は最初のテイクが素晴らしいフリースタイラーです」と言う。カミラは、「(エル・ギンチョは)ソングライティングを引き受けた私を本当に信じてくれました。嬉しかったですし、(そのことが)自分にとって大事なことだと感じました。作品全体が純粋で、私の考えや言葉のセンスが感じられるからこそ、自分でも印象が違うんだと思います。とてもまとまりのあるように聴こえるのは、(この作品に)自分らしさを感じるから」と説明している。
プーラ・ヴィーダでカミラは携帯電話を取り出し、昨年秋に作成したPinterestのボードを開く。そこには、『スプリング・ブレイカーズ』の映画のスチール写真、バラクラバ(目出し帽)をかぶった女の子たち、マニキュアを塗った長い爪、BMXバイク、夜の街の写真など、彼女が『C,XOXO』のジャケットで表現しているDGAF(Don’t Give A F***、何も気にしない)なマイアミ・ガールの典型的なエネルギーを想起させるものが並んでいる。ジャケット・アートワークでは、汗ばんだ髪と、マスカラを濃く塗ったクラブを出たばかりのようなまつげの彼女が、蛍光ブルーに染まった舌で鮮やかなブルーのロリポップ(棒付きキャンディ)を舐めている。
インタースコープ・ゲフェンのアンは、「彼女はマイアミについて、またそこで育ったことについて、具体的な思い出を持っていたんです。他の地域では見られないような黄色い照明のトンネルを車で通った時の思い出を教えてくれました。ビーチで見られる特定の青い色についても語ってくれ、ブルーアワー(日の出前と日の入り後に空が濃い青色に染まる時間帯)に着目していました。ブロンドの髪も大事なことでした。パーティー・カルチャーも。彼女はマイアミが持つ視覚的世界を私たちに理解させるために多くの時間を費やしました」と語っている。
アルバムの声とビジョンに磨きをかけるにつれ、カミラはいつもと違う服装をするようになり、常にリップグロスをつけ、大胆な新しいペルソナを完全に受け入れた。彼女は、「このアルバムではそう感じることが重要でした。ポップミュージックはとてもわかりやすく、とても単純です。変な話、このアルバムでは混沌とした、時には有害な状況が描かれていますが、私たち人間とはそういうものだと思うんです。面倒で、複雑で、すごく捻じ曲がっている」と説明している。
マネージャーのゴールドは、「この業界では、定型的であってほしいと望む人がたくさんいます。一般的に、あまり波風を立てるなというプレッシャーがあります。壊れていないものは直さなくていい、と。カミラはそういうタイプのアーティストではない」と言う。
『C,XOXO』が完成したカミラは、リラックスして自分のことに集中する時間ができた。彼女はようやく『ブレイキング・バッド』を見始め、今は水風呂に夢中で、できるだけ長い時間チャンクレタ(サンダル)を履いて過ごしている。
彼女はニヤニヤしながら、「これが一番自由を感じるときなんです。つま先が自由でありたい」と言い、「ヒールは嫌いですし、スニーカーも嫌い。ずっとチャンクレタを履いて過ごしたい。チャンクレタを履いてインタビューに出向いたのは実はこれが初めてで、このアルバムは、私にその許可を与えてくれたような気がするんです」と語った。
『C,XOXO』はまた、彼女の個人的な人間関係を取り入れることを可能にした。家で友人たちと一緒にいるだけで創作活動がより豊かになったのだ。「友達と一緒にいるときのエネルギーや、ガール・ギャングのようなヴァイブスが、私にはめちゃくちゃ良く感じられたんです」とカミラは話す。
その雰囲気は、彼女が『C,XOXO』のためにレコーディングした最後の曲「デイド・カウンティ・ドリーミング」で特によく表れている。その郡名にインスパイアされた、カミラがサウンド・エンジニアを通じて知り合ったマイアミのヒップホップ・デュオ、シティ・ガールズとのコラボ曲は、このアルバムと現在のカミラのエッセンス、つまりシティ・ガールそのものであり、楽しみながら人生を生きていることを表現している。このパンチの利いたトラックは90年代のフリースタイルを基調とし、心に響くピアノのラインと地理的な名前が散りばめられていて、カミラ曰く、「シティ・ガールズはマイアミをすごく象徴しているので、アルバムに欠けていたピース」だったそうだ。
『C,XOXO』のリリースを数週間後に控え、カミラは期待などしていないと私に言った。「いろいろなことが起こりうるし、私の力ではどうにもなりません」と彼女は話すが、5Hのデビュー以来、12年間で培ってきた明晰さと成熟さをもって、フィードバックに向き合う準備ができている。
「(駆け出しの頃に)誰もが私を好きになってくれるわけではないこと、そしてそれは私とは何の関係もないことを知っておきたかったです」と彼女は本音を話した。「最初の頃はそれが自分に大きな影響を与えました。あの若さでは、受け入れられて愛されることだけが望みで、人に嫌われた時はそれが理解できません。個人攻撃と捉えてしまい、自分が何か悪いことをしているように感じてしまう。年を取れば、人の反応は自分とは関係ないこと、そしてそれを個人的なこととして受け止めたり、影響を受けたりしなくてもいいと気づきます。今はだいぶ折り合いをつけています」と話している。
普段の日はビーチに行き、本を読み、サニー・アイルズにあるマンションに友人を招いて夕食をとり、バカルディのハイボールを飲み、キュートな服を着て、リュクスなマイアミ・デザイン・ディストリクトにあるシックなユーロスタイルのスポット、スワンか、エッジの効いたウィンウッドのダンスクラブ、ダーティ・ラビットに踊りに行く。夜遊びの後は、24時間営業のパインクレスト・ベーカリーに立ち寄ってクロケタ(コロッケ)を食べるのがお約束だ。疲れていても、無理してでも出かけ、ヴァイブスを感じたらイケメンと踊ることもためらわない。「『セックス・アンド・ザ・シティ』みたいな生活をしているの、ここマイアミで」と彼女は笑う。でも本当は、『C,XOXO』の生活なのだ。
カミラは、「(『C,XOXO』な人生とは)もっと外に出て、もっとパーティーに行って、もう少し大胆になって反抗的になることです。以前は外出しても自分がどう見えるかなんて気にしませんでした。不細工かなって思ってもどうでも良かった……でも今は、自分のためにいつもきれいでいたいと思っているんです。最も重要なのは人生を楽しむことで、官能とはそういうものだといつも思います。感覚的なもので、食べることを楽しんだり、鏡を見て何着かの服を着ることを楽しんだり、生きている感覚を楽しむ。自信に溢れるいい女のエネルギーを取り込むことも大切なことなんです」と語っている。
リリース情報
『C,XOXO』
2024/6/28 RELEASE
UICF-1138 2,860円(tax in)
国内盤: 歌詞・対訳・解説付
初回生産分のみ日本限定ステッカー封入
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