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<コラム>デビュー10周年にして『Mステ』初出演、Da-iCEのこれまでの歩みをおさらい
Text:高橋梓
5月17日、Da-iCEが『ミュージックステーション』に初出演を果たす。デビュー10周年を迎えるアニバーサリーイヤーにふさわしいトピックで、長年応援してきたファンにとって嬉しいことであるのはもちろん、Da-iCEというグループがさらに広く知られるきっかけになることは間違いないだろう。そこで、これを機にDa-iCEについて、そしてDa-iCEのこれまでについて、改めて振り返ってみたい。
Da-iCEは、4オクターブの歌声を持つボーカルの大野雄大、花村想太、パフォーマーの工藤大輝、岩岡徹、和田颯からなる5人組アーティスト。2011年にグループを結成し、2014年に「SHOUT IT OUT」でメジャーデビューを果たした。とりわけ楽曲リリースやライブ活動に力を入れており、渋谷の小さなクラブから始まり、現在ではアリーナツアーをおこなうまでに成長。コツコツと経験を積み、スキルを磨き続けている。
そんな彼らの転機となった曲といえば、21thシングル表題曲「CITRUS」だろう。2020年11月にリリースされた同曲は、日本テレビ系ドラマ『極主夫道』の主題歌になっていたこともあり、リリース前にテレビサイズが解禁。リリース後初週となる2020年10月21日公開のストリーミング・ソング・チャートにて、初登場94位をマークした。その後2021年12月30日に『第63回 日本レコード大賞』を受賞したことを契機に、一気に広がりを見せていく。そして、『THE FIRST TAKE』での魂のこもったパフォーマンスなども相まって、2022年1月5日公開の総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”では最高位となる7位を獲得。その後2022年10月12日にはBillboard JAPANチャートにおけるストリーミングの累計再生回数3億回を突破した。この一連のムーブメント、そして2020年8月26日にリリースされた「DREAMIN' ON」がTVアニメ『ONE PIECE』の主題歌に起用されたこともあり、Da-iCEという名前が一気に知られていったのである。
「CITRUS」MV / Da-iCE
そして、それから約2年後にリリースされたデジタル・シングル『イマ』の表題曲「スターマイン」で、再びDa-iCEに注目が集まった。〈あぁ 一発じゃ足りないのかい/二発目をおかわりしたい〉というサビは、Da-iCEの名前や「スターマイン」というタイトルを知らない人でも耳にしたことがあるはずだ。同曲は音楽番組などでのパフォーマンスも経て、リリースから4か月後の12月7日公開の“JAPAN Hot 100”で最高位となる13位をマーク。『THE FIRST TAKE』での遊び心あるパフォーマンスや、同曲収録アルバムのリリースによって、2023年5月31日公開チャートではストリーミングのトップ100圏外から再び50位へジャンプアップするなど、根強い人気を誇った。結果、2023年6月28日には「スターマイン」もBillboard JAPANチャートにおけるストリーミングの累計再生回数1億回を突破。そんな「スターマイン」はとりわけSNS上で注目を集めた印象だ。ローカルカンピオーネが仕掛け人となったフィンガーダンスや、有名インフルエンサーの替え歌が話題を呼び、Billboard JAPANのTikTokチャート“TikTok Weekly Top 20”でも最高4位を記録(2022年9月21日発表)。今もなお耳にすることが多く、もはや定番の夏曲になりつつあるのではないだろうか。
「スターマイン」MV / Da-iCE
こうしたターニングポイントを経てきたDa-iCEが『ミュージックステーション』で披露するのは、前述した「スターマイン」と「I wonder」。「I wonder」は4月17日にデジタル・リリースされた最新曲で、TBS系火曜ドラマ『くるり~誰が私と恋をした?~』の主題歌になっている。“恋愛”と“本当の自分探し”という2つのテーマを色彩に喩え、カラフルから白黒、そしてそこに再び色が重ねられていくという表現で描いた一曲で、曲尺も約2分半というコンパクトなサイズのため、音楽番組で披露するにはもってこいの楽曲だろう。
その「I wonder」は現在、ドラマはもちろんSNSからも火がついている状態だ。メンバーの花村がTikTokやInstagramに自身のダンス動画や他アーティストと一緒に踊っている動画を頻繁にアップしており、じわじわと輪が広がっている印象である。実際、5月15日公開の“JAPAN Hot 100”では前週の40位→31位へ、なかでも右肩上がりを続けるストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”では67位→36位まで順位が上昇。“TikTok Weekly Top 20”でも初登場(20位)を果たした。そして、このタイミングでの『ミュージックステーション』への出演が重なることで、さらに順位を伸ばしていきそうだ。
【ビルボード】Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」がストリーミング16連覇、Da-iCE「I wonder」は前週比142.2%に https://t.co/DBdNZ1WGNU
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) May 15, 2024
一歩ずつ着実にステップアップをしているDa-iCE。そんな彼らの特徴のひとつといえば、メンバーが作詞作曲をおこなうというクリエイティブ力ではないだろうか。「I wonder」も工藤が作詞、花村が作詞、作曲、振付を担当しており、「スターマイン」も工藤が作詞作曲、「CITRUS」も工藤、花村が作詞を手掛けている。つまり、メンバー自らがヒット曲を生み出すことができるグループなのである。しかし、それだけでは終わらない。工藤と花村が中心となって楽曲制作をすることが多いのは事実だが、メンバー全員が作詞、作曲いずれかに携わった実績を持っているのだ。たとえば、2023年5月24日にリリースされた7thアルバム『SCENE』では、収録曲全12曲のうち10曲の制作にメンバーが携わっている。それぞれのメンバーらしさが楽曲に表れているので、ぜひチェックしてみてほしい。
しかも、メンバーが携わっている楽曲には強いメッセージ性が込められている場合も多く、考察のしがいがあるのも特徴だ。たとえば「スターマイン」。一見すると言葉遊びをしているだけの歌詞に見えるが、Da-iCEのことを知った上でじっくり歌詞を読むと、“「CITRUS」を経て次の花火(=ヒット曲)を打ち上げる”という本人たちの野心を歌っているようにも見える。また、2022年6月リリースのコンセプトEP『REVERSi』収録曲である「Kartell」も然りだ。同曲はリーダーである工藤がグループ結成10年を経て、新たな10年への初手として決意を表明するために作詞作曲した楽曲。そこには「世の中に迎合していくのではなく、自分たちが結果を出していく」「デビュー10周年に向けて突き進んでいく」という覚悟が表れており、Da-iCEにとっても、ファンにとっても重要な楽曲となっている。実際、2024年1月1日放送の『CDTVライブ! ライブ!年越しスペシャル!2023→2024』で披露されており、記念すべきデビュー10周年イヤーのスタートを切る曲となった。さらに、工藤は個人Instagramのストーリーズで『ミュージックステーション』に出演する予告を投稿した際、「Kartell」をBGMとして使用。自分たちのやり方を貫いてきたDa-iCEが、トップアーティストへの一つの登竜門である『ミュージックステーション』に出演を果たすことで、結果を出していくことを改めて宣言したようにも感じられる。こうした仕掛けができるのも、彼らの強みのひとつなのだろう。
「Kartell」MV / Da-iCE
そして、パフォーマンス力についても文句のつけようがない。流石はライブで育ってきたグループだ。そのパフォーマンス力を強みに、昨年2023年からは積極的にフェスにも出演しているのだが、彼らの“巻き込み力”は本物だ。まずは単純なスキルの高さがキラリと輝く。大野と花村の歌唱力は天下一品な上に、踊りながらあれだけ歌えるのは驚愕に値する。工藤、岩岡、和田のダンスも秀逸で、30代だからこその大人の余裕が感じられつつも、時には「なぜそんなに動けるのか!?」と目を疑うほどの激しいダンスを見せることもできる。さらに、演出にも彼らのパフォーマンス力とアイデアが反映されている。「スターマイン」では曲が始まる前にちょっとしたコントをしたり、「ハイボールブギ」はお酒の回し飲みをする振りで曲がスタートしたり。「I wonder」に関しても、4月29日放送の『CDTVライブ! ライブ!』で、歌詞の〈音が止まった〉に合わせて音源とバックダンサーが止まってしまう演出をして話題を集めていた。「今回は何が起こるのだろう」とワクワクさせてくれるのは、Da-iCEのパフォーマンス力があってこそ。加えてMC力もあるから恐ろしい。花村を中心に大野や工藤がワイワイと盛り上げ、和田はほっこりさせる。そして岩岡がポツリと放つひと言で爆笑をかっさらう……。こうしたシーンを目にすることは少なくない。全員個性が際立っているからこそ役割が明確になっており、見やすい上にしっかり面白いのがDa-iCEのMCである。こうした多角的なパフォーマンス力を持っているため、アウェイであることが多いフェスでもステージを盛り上げられているのだ。
「ハイボールブギ」-from Da-iCE ARENA TOUR 2023 -SCENE- / Da-iCE
そんな彼らが満を持して『ミュージックステーション』に出演するとあり、どんなパフォーマンスを見せてくれるのかワクワクしている方も多いことだろう。そしてパフォーマンスだけでなく、トークやSNSにアップされるショート動画、その後の楽曲の広がりでもDa-iCEらしさが見られるのではないかと期待が募る。5月17日21時、テレビの前で彼らの勇姿を目に焼き付けたい。
「I wonder」MV / Da-iCE
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