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JAMOSA 『BEST OF MY LUV -collabo selection-』インタビュー
それまでのイメージと異なる『何かひとつ feat. JAY'ED & 若旦那』のヒットに感じたことや、コラボ連発、初のfeat.なしアルバム発売の理由等について核心を語ってくれた。AKB48もアートと言える感性の持ち主 JAMOSAが、どこまでその音楽の可能性を広げていけるのか。楽しみになる話満載です。
『何かひとつ feat. JAY'ED & 若旦那』ヒットの背景
--2011年は多くの象徴的なトピック(『何かひとつ feat. JAY'ED & 若旦那』の大ヒット、アルバム『SKY』リリース、初のワンマンツアー開催、KEVIN & ELI(from U-KISS)とのコラボ等)がありました。
JAMOSA:あっという間の1年でしたね。でも質は濃い。歌い続けて9年目にしてはすごく良かった。自分がやりたかったことも実現できたし、今までの積み重ねが形になった1年だったと思います。
--『何かひとつ feat. JAY'ED & 若旦那』の大ヒットは、JAMOSAにどんな影響を与えていると思いますか?
JAMOSA:「この曲、知ってる」っていう人がたくさんいる。多くの人にJAMOSAを知ってもらうことになったビッグチューンでもあるので、やっとここまで来た感じはありました。常に“より多くの人に届けよう”という姿勢でいたので、正直に言うと「やっと気付いたか!」って(笑)。
--音楽性としては、JAMOSAのそれまでの楽曲とは異なるもの。個人的にはそんな印象を持っていたんですが、本人としてはどうだったんでしょう?
JAMOSA:すごく分かり易くて、すごくシンプル。でもすごく熱意のある曲。私、男らしいところというか、トムボーイなところがあって、その側面がこの曲を通じて表現できたんじゃないかなって。今までやってきたものとは全然違ったんですけど、ちゃんと私の一部ではあった。そこに若旦那とJAY'EDが参加することによって、かなりガッツのある曲になったし、私自身にとっても特別な曲になりましたね。
--では、音楽性の変化に対する戸惑いはなかった?
JAMOSA:自分が慣れている歌い方、曲の世界観があるとして、この曲は新しいことへのチャレンジではあったんです。若旦那がぶつけてくれたこの曲を私は好きなんですけど、こういう路線の曲を自分で歌ったことはなかったから。こういうマインドは持っているけど、難しさはありました。だから自分が納得いく仕上がりにするまで4ヶ月かかったんだと思うし。でもそれは戸惑いではなくて。単純に私にとってハードルの高い曲だった気がする。
--自分のものにするには、ですよね。
JAMOSA:そういう意味ではかなり試された。その言葉がピッタリだと思う。
--その後、発表するアルバム『SKY』は『何かひとつ feat. JAY'ED & 若旦那』からの流れを感じさせる、とてもポップでキャッチーなものでした。それでいてJAMOSAの人間性も強く出た作品になったと思うんですが、自分の中ではどんな印象を?
JAMOSA:うーん……かなりの、かなりのビッグチェンジだった。でもあれがなかったら今はないから。「よくやったな、自分」っていう感じ(笑)。あれほどいろんなことにチャレンジする作品はなかったから、いろんな意味ですごく新鮮だった。いっぱい考えたし、すごく時間をかけたし、より拘ったし、歌の深さを教えてもらった感じがする。
--新しい自分になっていく為の挑戦だった?
JAMOSA:新しい自分というか……成長する為の挑戦。でも成長するってそんなに簡単なことじゃないから、すごく苦しかった。
--アルバム『SKY』を引っ提げた初ワンマンツアー。JAMOSAは東京公演で「皆さんとの出逢いは偶然じゃない。奇跡に近い。だから、私は出逢いを大切にしたい」と語りました。
JAMOSA:絆をすごく感じたツアーだったんですよね。各会場、ファンとの距離も近くて、改めて「すごく支えられている」って実感できたんです。私の音楽は本当に出逢いで生まれているし、今回のコラボベスト『BEST OF MY LUV -collabo selection-』も出逢いがあったから作れたものだし、私は出逢いにすごく支えられていると思います。
--これまで多数のコラボを実現してきたのも、その想いが強いから?
JAMOSA:もちろん。私が出てきたシーンって、お互いをリスペクトして、サポートして、フックアップしていくこと。そういうファミリー的な愛をすごく大切にしているから。だからフィーチャリングがすごく多い文化だと思うんですよ。その姿勢を今でも私は変えてないし、まだまだリスペクトしているアーティストはたくさんいるので、コラボレーションはこれからもどんどんやっていきたい。
--JAMOSAは2010年11月に『LUV~collabo BEST~』を発表しています。その1年半後に全く内容の異なるコラボベストを出せるアーティストってそんなにいないですよね?
JAMOSA:それだけコラボしているんですよ(笑)。実は『LUV~collabo BEST~』のときも選曲がすごく大変で、冗談で「3枚組セットにした方が」って言っていたぐらいだったんです。それで、去年の『何かひとつ feat. JAY'ED & 若旦那』がきっかけで、コラボレーションアーティストの印象は更に強まったと思うんですけど、私はそれをすごく誇りに思っている。またこうしてコラボベストを発売させて頂くことになって、本当に感謝していますね。
Interviewer:平賀哲雄
コラボ連発、初のfeat.なしアルバム発売の理由
--JAMOSAにとってのコラボの魅力は?
JAMOSA:私は音楽やアートに正解も不正解もないと思っているから、他のアーティストにすごく興味があって。その人にしか出せないものにすごく魅了されるんです。そういう個性的な人たちと自分は一緒に仕事していきたいし、コラボレーションしたらどんな音楽が生まれるのか楽しみだし。それは恋に落ちる感覚に近いかもしれない。人に恋するとすごくドキドキするけど、どうしていいか分からなくなるじゃないですか。付き合ってみないと、その相手の深いところまでは見えないし…………私、気が多いんですかね?
--(笑)。
JAMOSA:すごく大好きなんですよ。みんなの作品が魅力的だなって思うんです。だから「そこに私のエネルギーをぶつけたい」ってなる。そこで何が生まれるか、どんな化学反応が起きるのか分からないけど、それはすごくエキサイティングなことだから。だから私はどんどんコラボレーションしたいと思うんです。
--逆に難しさはないんですか? コラボする上で。
JAMOSA:作業的な部分ではもちろんありますよ。でもそれは楽しい悩み事。ただ、今までは自分とは違う声質の人たちとコラボレーションしてきたんですけど、今回のコラボベストで新録音源としてLISA(ex.m-flo)さんとレコーディングするときに、声質がビックリするぐらい似てると感じて。『トリステーザ』でコラボレーションしたナオトくん(ナオト・インティライミ)も近い声質だったんですけど、それ以上だったんです。でも、私たちがカバーした『You Gotta be』はデズリーひとりで歌っている曲ですけど、それを2人で歌っているのに1人で歌っているように聴かせるのは逆に面白いかと思って。そういうアートも正解だし。
--LISAとのコラボはどういう経緯で実現したんでしょう?
JAMOSA:私が12才ぐらいの頃、浜辺でお兄ちゃんがデビューしたばかりのm-floのアルバムを流していたんですよ。その頃は洋楽しか聴いてなかったんですけど、m-floも洋楽だと思って。そしたらLISAさんの声が日本語を歌ってるからビックリして、「この人たち、超ヤバイ」ってなったんです。それで、デビューしてからLISAさんのラジオ番組へゲスト出演させてもらったりして。姉御的存在だから、ぶっちゃけトークでいろんな話をしてくれて、そういう人柄も大好きなんです。憧れですね。だから今回は緊張もしたんですけど、快くオファーを受けてくれて。しかも私にとって大切な『You Gotta be』を一緒に歌ってもらえて、鳥肌立ちまくりでした。
--そんなコラボの数々が詰まったコラボベスト『BEST OF MY LUV -collabo selection-』ですが、今作と同時に初のfeatなしオリジナルソロアルバム『TRY』を同時リリースすることになりました。この経緯と理由を教えてください。
JAMOSA:『何かひとつ feat. JAY'ED & 若旦那』の影響もあり、コラボレーションアーティストの印象はより強くなったと思うんです。JAMOSA=誰かと一緒に歌っている。それはすごく誇らしいんですけど、もう一度「JAMOSAとは?」といった基本的な部分を知ってもらいたいと思って。ひとりで歌ったらどんな感じになるのかを。だから『TRY』ではコラボレーションで表現できなかった私の側面、ひとりの女性としてどう考えているのか。それを表現したかったんです。
--コラボをやりすぎた故の反動。コラボでは「主張しきれない」的な想いがあった故の『TRY』でもあるのかなと憶測していたんですが、そこはどうですか?
JAMOSA:うーん……まぁでも、人生長いですから!
--その一言、凄いですね。何でも許容できちゃいますよ(笑)。
JAMOSA:(笑)。人生長いですから、feat.やり過ぎて「うぅ~」ってなるようなフラストレーションはなくて。もう単純にJAMOSAひとりの歌も聴いてもらいたかった。でもこの2枚同時リリースは良い機会だと思いますね。いろんな側面を知ってもらえるきっかけになりそう。
--『TRY』というタイトルにしようと思ったのは?
JAMOSA:前作『SKY』もすごくチャレンジした部分はあるんですけど、そこからより一歩踏み込んだアルバムが『TRY』。元々はfeat.している曲を敢えてひとりで歌うとか、特殊な歌の取り組み方もしていたり。そういうアーティストとしての“TRY”という意味もあるんですけど、人生って何事も“TRY”しないと分からないじゃないですか。本を読んだり、テレビを観るより、自らが経験することで「なるほどね」って気付くことの方が多い。でもチャレンジって勇気が要ると思うから、その勇気を出す為の一歩になったらいいなって。そういう願いも込められています。
--仕上がりの印象は?
JAMOSA:すごく丸裸になった。シンガーとして、すごく素の部分を出せたんだなって思いましたね。そこはずっと出したかった部分だと思うんですけど、出すのがすごく難しかった。でも今回は一小節一小節に拘って、すごく細かに考えて取り組んでいったので、歌い手としての実力がすごくフィーチャーされている。だから裸になった気分なんですよ。すごく見られてしまう気がする。
Interviewer:平賀哲雄
JAMOSA feat.AKB48? これからの展開
--今後、シングルでもJAMOSAオンリーのものを発表していく可能性はあるんですかね?
JAMOSA:そういう可能性もあるし、コラボレーションの可能性もある。私には「こうじゃなきゃダメ」っていうのがないので。昔からそれは変わらない。初めてやることでも『何かひとつ feat. JAY'ED & 若旦那』のときのように「試されてる」と思ったり、試練に感じるようなことであっても「何か意味があるんじゃないか」と思って取り組んでいくので。そういう性格なんです。
--個人的には、ソロでは『TRY』のように純度100%に限りなく近いエモーションを響かせてもらって、コラボでは「そんな人とも組んじゃうの? すげぇな」って思わせるような動きをしていく。これが確立できたら、JAMOSAって凄いことになっていくと思うんですが。
JAMOSA:ソロ作では出来ないことがコラボレーションでは出来るんです。そのアーティストのコンセプトだったり、遊ばさせて頂くことができるんですよ。そういう意味では、遊び心は大切にしたいから、コラボレーション作品ではすごくぶっ飛びたいですね! その影響はソロ作品に「ひとりだったら、こういう風に歌いたい」みたいな感じで出てくるから、相乗効果になりますし。
--00年代からfeat.の文化って日本に浸透してきましたけど、自分はあのいろんな人たちが混ざり合っていく形を“新しいエンターテインメント”だと思ったんです。そこで聞きたいんですけど、JAMOSAのコラボもエンターテインメントとして楽しんでもらいたい感覚はありますか?
JAMOSA:もちろんです。だって、feat.って名前を聞いただけでワクワクしたりするじゃないですか。「え、ブランディーとモニカが一緒にやるの? ライバル同士なのに」とか「マライア・キャリーとホイットニー・ヒューストンがやるの?」とか、そういう文化で私も育ったんですよ。そのドキドキ感は絶対エンターテインメントに繋がると思うし。私で言えば「JAMOSAとナオト・インティライミ?」と思った人もいっぱいいただろうし、そうした驚きは提供し続けたいですね。
--エンターテインメントという部分では、今、日本のシーンで最も影響力がある存在はAKB48になる訳ですが、そうした視点を持っているJAMOSAからはどんな風に映っているんでしょう?
JAMOSA:ある種のアートだと思います。スパイス・ガールズが出てきたときも、たくさんの女の子がいて、可愛くて、一緒に歌って、ガールズパワーを見せつけて、男の子たちを魅了していたじゃないですか。だからAKB48のような文化ってどこの国にもあるし、彼女たちがビッグな存在であるのはすごく良いこと。それは本当に思う。
--じゃあ、いつかAKB48とも?
JAMOSA:JAMOSA feat.AKB48? とりあえずこの部屋でのインタビューは難しいよね、人数的に(笑)。
--JAMOSAと絡んで面白い声質のメンバーを選んだりして。
JAMOSA:ヤバイね、それ! でも移動するのが大変だね。
--人数、気にしますね(笑)。
JAMOSA:でも自分が一緒にやりたいと思ったら、誰とでもコラボレーションしてみたい。人を愛するのもそうだけど、周りから「それってどうなの?」っていう否定的な意見があったとしても、それに振り回されるのはおかしいし、それこそ自分に芯がないってことになるし。だから「イイ!」と思ったら一緒にやりたいって思いますね。
--JAMOSAが音楽をやっていく上で、一番大切にしているものって何なんでしょう?
JAMOSA:うーん…………私は感謝が必要だと思います。何をするにしても感謝は大切なんですけど、何でもあたりまえと思っちゃいけない。歌えることだってそうだし。10年前はデビューしているかどうかも分からなかったけれど、今こういう場があって、歌えて、みんなが聴いてくれて、すごく感謝している。その気持ちはずっと持っていたいと思いますね。じゃないと、歌えないから。
--以前から思っていたんですけど、そういうJAMOSAの真っ直ぐな感覚ってどうやって養われたの?
JAMOSA:母によってです。子供の頃から「今日という日は絶対帰ってこないよ」って耳が痛くなるぐらい言われていて。歳を重ねていくとその意味が分かってくるんですよね。例えば、仲の良い友達が亡くなってしまって「あのときに言っておけばよかった」って後悔したり。だから感謝することもそうですけど、大切なことをお母さんから教えられていたんだなって。
--では、最後に。この先のJAMOSA、どうなっていくんでしょう?
JAMOSA:みんなをこれまで以上にビックリさせたいし、ドキドキさせたい。あと、女としても成長していきたいですね。『TRY』というアルバムは女性としての側面を表現できたアルバムだと思うので、そこにも踏み込んでいきたい。近いところでは、5月、6月、7月と3ヶ月連続で【JAMOSA LIVEBOND 2012】と題したワンマンライブをやるんですけど、毎回コンセプトが違うんですよ。そういう面白いこともたくさんやっていきたいです。
Interviewer:平賀哲雄
BEST OF MY LUV -collabo selection-
2012/03/21 RELEASE
RZCD-59019 ¥ 3,080(税込)
Disc01
- 01.トリステーザ
- 02.何かひとつ feat.JAY’ED & 若旦那
- 03.MISSIN’U (DJ WATARAI MIX feat.BIG-O)
- 04.STAY WITH ME feat.BIG RON
- 05.You Gotta be
- 06.Fly Away feat.JAMOSA & JAY’ED
- 07.HIGHER welcomez JAMOSA
- 08.Love Majic feat.LUNA,TSUGUMI from SOULHEAD & JAMOSA
- 09.Girl’s Night feat.JAMOSA
- 10.片想い
- 11.Together
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