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LOVERSSOUL×HIROKI from ORANGE RANGE 『Loveliest』インタビュー
ORANGE RANGEが全員参加! 異色ユニットが冬の恋を綴る
ORANGE RANGEのプロデューサーとして名を馳せ、近年ではSMAPの楽曲制作も担当した気鋭のプロデューサー シライシ紗トリが、数奇な経歴を持つ若き歌姫 CHIHIROとタッグを組んだ異色ユニット LOVERSSOUL(ラヴァーズソウル)。今回はニューシングル『Loveliest』をリリースする彼女たちと、ORANGE RANGEのリーダー NAOTO(g)による3者インタビューが実現しました! レンジファンも必見です♪
Candyの頃から大御所の方が携ってくれていたんですけど
--そもそもCHIHIROさんは、Candy名義で活動していました。当時のサウンドプロデューサーが、MISIA『つつみ込むように…』を手掛けたことでも知られ、今は東京女子流のサウンドでも高い評価を集めている松井寛さんなんですよね。
CHIHIRO:そうです! プロデューサーが与田春生さんで、松井さんから楽曲提供などをして頂いてました。Candyの頃から、大御所の方がたくさん携ってくれていたんですけど、私は初めての現場だったので無知識で……
シライシ紗トリ::まあ知らないよね、当時15歳だし(笑)。
CHIHIRO:そんな中でレコーディングして、みんなでウナギ食べて……(笑)。それが当たり前なんだろうかってことすら思わなかったくらいというか。
シライシ紗トリ::お前は子役か(笑)。
CHIHIRO:最初は、何万人っていう大きなステージに出させて頂いたんですけど、インディーズでストリートライブとかを始めるようになって、如何に凄いことをしていたのかに気付きました。
ただ、シライシ紗トリさんというプロデューサーは以前から知っていて、いつかは一緒にやりたいって勝手に思っていたんです。ORANGE RANGEさんのプロデュースをしているってことは知らなかったんですけど……聴いてビックリしたんです! 運動会でも歌いました!
--その世代ギャップ感も凄いですね(笑)。また、Candyの頃のCHIHIROさんは、ブラックミュージック寄りの楽曲を歌っていましたが、LOVERSSOULを結成する上で、描いていたサウンドイメージは?
シライシ紗トリ::始めた頃からすると、かなり変わってきてますね。当初はCHIHIROが19歳くらいだったと思うんですけど、その頃とはパフォーマンスも表現の仕方も変わってきているので、それに伴ってサウンドも変わりますよね。ジャンルについてはそんなに、というか、基本的には好きなモノを摂取していって……って感じですね。
CHIHIRO:一番最初にLOVERSSOULを始めた時に、どんなジャンルも最終的にLOVERSSOULっていうジャンルになればいいよねって話をしていて、その時にやりたいと思った音楽をドンドンやっていきたいなって。ロックでもソウルでもエレクトロでも、縛りを作らずにやっていきたいです。それにCandyをやっていた時から、アコギを持ってステージに立つことも意外と多かったので、私自身はそんなに違和感なくやっています。
--そういう部分に関して、NAOTOさんも共感できる部分が大きいのでは?
NAOTO:そうですね。僕らもけっこう色んな……、昨日と今日が違う、みたいな感じなので(笑)。シライシさんとは僕らが18歳くらいの頃からのお付き合いになるんですけど、そのテンションに乗っかってきてくれる人なんです。一緒に楽しく騒いでくれるような人なので、僕らも意識はしてなかったですね。
--では、シンガーとして、CHIHIROさんが表現したい想いは?
CHIHIRO:歌で世界を変えるとか、天気を変えるとか、難しいと思うんです。でも、人の気分を変えたりとか、心に寄り添って泣いたり笑ったりっていうのは、音楽はできると思う。そういう音楽を作っていきたいですね。
--表現という意味では、昨年の3月11日以降、大きく変化した所があると思うのですが?
CHIHIRO:やっぱり表現者の前に人として、っていうのを凄く考えましたね。日々の生活の中で、ひとつひとつ感じることに重みが出たというか。震災の1か月後くらいにライブがあったんですけど、その頃って東京でもまだ余震が続いていた状況だったので、自分自身も違いました。歌詞ひとつひとつの意味もそうだし、お客さんの顔つきも違うし。
あと、私のマネージャーさんは気仙沼出身なんですけど、大変な中でLOVERSSOULを支えてくれている。その人がいてくれる、それだけで日々の憤りを感じなくなったり、落ち込まなくなったりしました。ちょっとのことでクヨクヨしてちゃいけないなって。
Interviewer&Photo:杉岡祐樹
頑張る時期なんですよね、クリエイターもパフォーマーも
--そうした表現者としての変化は、NAOTOさんも感じますか?
NAOTO:僕らは明るい曲が多いので、最初はためらいもあったんです、おバカな曲だったりをやるのはどうかなって。でも、イベントライブだったら30分くらいの間だけ、ちょっと気持ちが楽になるというか、楽しくなれることをやるのが、僕らのやるべきことなのかなって。
それは実際に東北3県でライブをやった時に気付いたことでもあるんですけど、曲ではなくてその場に行って、みんなで歌うことに意味がある。曲調以前に、行って何かをやることだけで、楽しそうな顔をしてくれる。僕らのように音楽をやっている人は、それをやればいいのかなって。
新曲『one』を無料配信にしたのも、色んな人たちが聴いて、「何かしなきゃな」って思ってもらえればいいかなって。別に何もしなくても、「何かがしたいけど、今の僕にはできないな」って思うだけでも良いというか。僕らも迷っていたし、みんなで一緒に考えるだけでも、一歩前に進めるんじゃないかって想いでしたね。
--では、そうした表現者たちの姿を、シライシさんはどのように見ていますか?
シライシ紗トリ::頑張る時期なんですよね、クリエイターもパフォーマーも。考え方は色々あって、本当にその場所にいたからこそ分かる人もいれば、遠くから見ていることによって、知らないからこそ助けてあげられる部分もある。
世界共通言語の音楽で、何か頑張ろうと思える。みんなが頑張ってそこに向かっている感じがしますよね。世の中的に大変だっていうのはあるんだけど、あんまりそこだけをフィーチャーしすぎるんじゃなくて、実はベーシックなことだったりするからね。音楽家は音楽で表現していけばいいと思います。
--では、そろそろ今回シングル『Loveliest』の話に移りたいと思います。ORANGE RANGEとのコラボが決定した時、CHIHIROさんはどのように思いましたか?
CHIHIRO:制作に入る前は、「本当にやるのかな……?」っていう感じで、全然想像がつきませんでした(笑)。打ち合わせをするって言われても「本当にするのかな……?」。その後、HIROKIさんとお会いさせて頂いたんですけど、そこでもまだ信じられなくて、レコーディングになってやっと「本当にやるんだな」って(笑)。それでも配信されるまでは、「本当にされるのかな?」って思ってたくらいで……。
--それは勘繰り深すぎますよ!(笑) どこかに大人に対する不信感があるんですか?
CHIHIRO:ん~……、色々!(笑) でも、本当にリリースできて良かったです。
--そこに感動があるって、何だか美しいですねぇ……。ではシライシさんは見えていたイメージなどはありますか?
シライシ紗トリ::やっぱり両者をそれなりに深く知っているので、何となくのイメージはありましたね、表題曲は。でも、それ以外のカップリングについては、どうなることやらって感じなので、それぞれの現場で「おぉ、そうなるのか!」って感じで。
--結果、シングルと呼ぶべきなのかさえ迷ってしまうくらい、多彩な楽曲が揃った作品になりました。それぞれのカップリングも、コラボが決まった段階で見えていたのでしょうか?
シライシ紗トリ::いや、ある時、ヤマ(YAMATO)にもやってもらえるかを訊いてみたら、「やりますよ!」って話になって。来てもらって話を進めていく内に、HIROKIと同じように歌詞を書いてってやってもらえる感じになり、だったらメンバー全員でバラバラにやってみようって形になり……。
そもそも、彼らと会うのは本当に久しぶりだったんですよ! それまで何をやっていたのか分からないくらい、距離があったんです。で、先日久しぶりにライブを観に行ったら「お、大人になってる!?」みたいな(笑)。1年ぶりくらいでしたね。
--では、そんなお話を受けたNAOTOさんの反応というのは?
NAOTO:うちらも色んな人たちからお誘いが来るんですけど、全員で考えてやるかやらないか決めるんですよ。ただ、今回はシライシさんがやってるって聞いて、「じゃあ、はい」って(笑)。やれば形になるだろうっていうのが分かってたし。
それに僕の時は表題曲が既にあったし、ひとりひとりが個性を見せてくるのは分かってたので、楽しんでやれば良いモノができるだろうなって。これまでメンバー全員がそれぞれにコラボする形って無かったですし、LOVERSSOULのことは前から知っていたので、形にできるっていう想いはありました。
Interviewer&Photo:杉岡祐樹
同じバンドのはずなのに、全然違ってビックリ!
--では、表題曲にして本作の軸とも言えるLOVERSSOUL × HIROKI from ORANGE RANGE名義での『Loveliest』は、どのようにして制作されたのですか?
シライシ紗トリ::元々のモチーフを持ってスタジオに入ったんですけど、やっぱり興味があったのは「こういうテーマに対して、HIROKIはどういう言葉を発するんだろう?」って所ですよね。どんな言葉を使って、どんなラップをするのか。そんなやり取りをしながらBメロのアプローチを考えたりして……、っていうバンドみたいな作り方でした。
CHIHIRO:私は凄く楽しかったですね! シライシさんという存在があるからこそ、初めてなのに信頼関係ができていたので、良い意味で任せることもできたし、自信を持って作ることができたり。そういうキャッチボールができたので制作も早かったですし。
--歌詞も共作だったんですか?
CHIHIRO:最初にHIROKIさんが歌うパートの歌詞が決まって、そこから全体像が決まった感じですね。私は理想とか恋人とかをイメージして書きました。というのも、普通なら絶対、こういう歌詞にあるようなことって言わないですよね? だって、HIROKIさんの“映画のワンシーンみたいな やつ期待すんなよ”っていう歌詞とか、言い方が悪いかもしれないんですけど……、えっと……
--とりあえず言っちゃいましょう(笑)。
CHIHIRO:えっと(笑)、クサいというか、凄いドラマティックだから恥ずかしいというか。でも、実際、女の子にとっては言われたら嬉しい言葉でもあるから、女の子が聴いたらドキッとすると思います。後、“今日はカメラ忘れちゃったから 来年また来ようね”とかも……、あの、カメラ忘れててもケータイに付いてるじゃないですか?
--アッハッハ! その指摘は素晴らしいですね!(笑)
CHIHIRO:だからデジカメっていうよりは、フィルムのカメラを想像させるようなシチュエーションがあるなーって。
シライシ紗トリ::おー、言われてみれば確かに観光地っぽい!(笑) 凄いな、HIROKI。
CHIHIRO:ちょっと懐かしい質感は心があたたまるし、本当はカメラを忘れた理由で来年も来たい訳じゃないって所に感じる部分があるとか……。凄くあたたかい歌詞になったのは、HIROKIさんのおかげです!
あと、最後に“ささやかに願おう この雪に”って歌詞があるんですけど、雪には何となく東北のイメージがあるので、雪の降る町にもこうした小さな幸せがあればいいなって、自然と想いを込めてしまう部分もありましたね。
--そしてカップリングでは、YAMATOさん、RYOさんとYOHさん、NAOTOさんがそれぞれアレンジした『Loveliest』が収録されています。個々に歌詞をアレンジしたりと、ORANGE RANGEファンも必聴の楽曲が揃っています。
CHIHIRO:皆さん同じバンドのはずなのに、表現の仕方が全然違ってビックリしました! サビのテーマは一緒なんですけど、そこに向かう過程が全然違うんですよ。HIROKIさんは、大切な人とイルミネーションを観に行って、何かを共有して“ラブリエスト”になっていく。YAMATOさんは、隣で寝ている女性を見て、ひとりで“ラブリエスト”を感じるんです。
RYOさんとYOHさんは、ケンカした所から始まるんですけど、そうやって愛を確かめていく人もいますよね? NAOTOさんのは……、凄い都会な感じだし、“君を愛してるって言葉”ってフレーズを何度も繰り返したりして、ちょっと遠距離恋愛的な要素を感じさせる雰囲気で。色んな恋愛の形が入ってるんですよ。
--では、NAOTOさんはこの楽曲に挑む上で、意識したことなどはありますか?
NAOTO:まずは純粋に曲を聴いて、耳に入ってくる言葉を使おうって。後はシライシさんから「冬っぽく」って言われていたので、原曲よりも温度を下げるというか、より冬っぽい感じを意識しました。僕にお願いしてくれた訳ですし、無機質な冷たさくらいの方が良いのかなって思ったんですよ。
--結果、本当に幅広い方々が聴いて楽しめる作品になりましたよね。
CHIHIRO:凄く素朴なことだからこそ、寒いけど心があたたかくなれるような曲だと思います。雪とか冬って二面性を持っていると思っていて、冷たくて寒いイメージがあるけど、あたたかさも感じられる作品です。
Interviewer&Photo:杉岡祐樹
Loveliest 【ラヴリエスト】
2012/01/18 RELEASE
UMCK-5357 ¥ 1,257(税込)
Disc01
- 01.Loveliest
- 02.Loveliest
- 03.Loveliest
- 04.Loveliest
- 05.Loveliest
- 06.Loveliest [instrumental]
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