Interview & Text: Mariko Ikitake
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　LE SSERAFIMの3rdミニアルバム『EASY』は、初めて自分たちの弱さや不安をテーマにした作品だ。美しく完璧で大胆不敵な5人の姿は、まさに「IM FEARLESS」そのものだが、その裏には並々ならぬ努力と尽きない悩みがあった。全てを隠さず、見せることで、よりFEARNOT（ファンダム名）に近づけると考える5人に、文字通り親近感が増す。

　LE SSERAFIMは、現地時間4月13日と20日に開催される米国最大規模の音楽フェス【コーチェラ・バレー・ミュージック＆アート・フェスティバル】に登場する。【コーチェラ】初出演で彼女たちが見せるステージに世界中から大きな注目が集まっている。また、5月にはソウルを皮切りにファンミーティング【LE SSERAFIM FAN MEETING ‘FEARNADA’ 2024 S/S】の開催も決定しており、今後のLE SSERAFIMの動向にさらに期待が高まる。

　米ビルボードのメインチャート“Hot 100”に初めてチャートインしたタイトル曲「EASY」や、メンバーたちが楽曲制作に参加した収録曲に込められた思いが、本人たちの口から明らかに。歴代の韓国アーティストの中でデビューしてから最も短い期間で単独ステージに立つことになる、世界最大級の音楽フェス【コーチェラ】のパフォーマンスの見どころも教えてもらった。

──「EASY」が米Billboard Hot 100に初チャートイン。おめでとうございます！　日本でもたくさん聞かれているこの曲には、どんなメッセージが込められているのでしょうか？

HUH YUNJIN：デビューしてから少しずつキャリアを積んできて、皆さんからたくさんの愛や関心をいただけるようになってきました。ただ、その過程の中で悩みも出てきました。今まで私たちは強い姿をお見せしましたが、果たして自分たちには強い姿でメッセージを伝える資格があるのだろうか、その資格を持った人間なのだろうかと、いろいろ悩んだり、不安に思ったり、心配したりしています。そういった私たちの気持ちを表現した曲です。

──皆さんの力強い姿を見て、勇気をもらっている方も多いと思いますし、パワフルな姿こそLE SSERAFIMだと思っていました。果たしてその資格が自分たちにあるのか、と悩みはじめたきっかけがあったのでしょうか？

SAKURA：どんな人も、常に強くいられないと思っています。いろんな面があってその人ができていると思うんです。デビューしてから前作の1stスタジオアルバム『UNFORGIVEN』まで、力強い姿をお見せしましたが、私たちも皆さんと同じ人間ですし、悩みや苦しみを乗り越えて、強くいられるんだということを表現することで、より人間味が増すのかなと。強い姿ばかり見せていると、それを聞いている方々や見ている方々に「なんで私はこんなに強くなれないんだろう……」と思わせてしまうかもしれない。でも、私たちにも同じ悩みがあるんだよということを伝えることで、皆さんにもっと寄り添えるのではないかという思いがあったので、このようなメッセージを伝えようと思いました。

KIM CHAEWON

──パーフェクトな姿を見せている裏にはそんな葛藤もあったんですね。3rdミニアルバム『EASY』は舞台裏の不安と悩みを表現した作品で、日頃から努力している皆さんだからこそ伝えられる歌詞もあるのでは？

SAKURA：「簡単にやっているように見えるのは、実はその人がすごく努力をしているから」というお話を聞いたことがあるんです。「EASY」に〈make it look easy〉という歌詞がありまして、簡単なことをやっているのではなく、私たちがやっているから簡単に見えている、というのが今回のアルバムのメッセージです。デビューしてまだ2年弱ながら、ビルボードの“Hot 100”にチャートインすることができましたが、恵まれた環境にいるからいろいろなことが実現できているのだと、周りからは簡単に見えているかもしれません。その裏には数多くの練習と努力があったから今の私たちがいるということを伝えたかったんです。

SAKURA

──今回も実体験を楽曲に反映させるために、事前に制作陣と共有したことがあれば教えてください。

HUH YUNJIN：楽曲制作の際には、バン・シヒョク総括プロデューサーをはじめとしたスタッフの方々が、私たちの言葉に耳を傾けてくださっています。新しい作品の制作に先立って、今回も事前に私たちの気持ちや考えを聞いてくださいました。そこからインスピレーションを得て、アルバムのテーマを考えてくださっています。私は1stスタジオアルバム『UNFORGIVEN』の活動をしているとき、バン・シヒョク総括プロデューサーと「私たちは歌を通してこういうメッセージを伝えているけど、こんなことを言える資格があるんだろうか」「ANTIFRAGILE（強い）な人として見てもらえているんだろうか」なんていう話をしました。そういった会話からキャッチしてくださったものが、この作品に反映されている気がします。

HUH YUNJIN

──皆さんの思いは他の収録曲にも反映されていますよね。「Swan Song」の紹介と注目ポイントを教えてください。（KIM CHAEWON、SAKURA、HUH YUNJIN、KAZUHAが作詞に参加）

KAZUHA：ステージに立っているときの私たちは白鳥みたいに余裕があって、すごく輝いているように見えますが、その裏では血と汗がにじむような努力をしているということをこの曲で表しています。タイトル曲にもそういうメッセージが込められていますが、この曲はもう少し私たちの内に秘めた正直な感情を表現した曲です。歌詞に注目してもらえたら嬉しいですし、パフォーマンスにバレエやモダンダンスの要素を取り入れているので、今までのLE SSERAFIMにはない新しいパフォーマンスにも注目していただきたいです。

KAZUHA

──LE SSERAFIM日本公式Xのアンケート企画「タイトル曲〈EASY〉以外で特に好きな曲は？」で1位に輝いた「Smart」についても聞かせてください。この曲のダンス、カッコよかったです。

KIM CHAEWON：「Smart」は、一を見れば十を見抜くスマートさで勝利を掴むという抱負を歌った曲です。私たちにとって初めてのジャンルの曲で、最初は少し難しかったですが、とても楽しくパフォーマンスしています。多くの方がこのパフォーマンスのポイントダンスを真似してくださっていて嬉しいです！

──「Smart」には〈Wanna be a winner〉という歌詞があります。皆さんが考える“勝ち”とは？

SAKURA：歌詞にもあるように、誰かと比べて勝つことよりも、過去の自分や自分たちが立てた目標に対して近づいたとき、自分との戦いに勝つことが“勝ち”だと思います。

──ラストを飾る「We got so much」の〈서로 안에 꽃 피어나〉（お互いの中に花開く）という歌詞からはFEARNOTとの絆も感じられました。

HONG EUNCHAE：「We got so much」は、いつも私たちの一番近くで応援し、愛してくださっているファンの皆さんに対する感謝の気持ちを表現した曲です。メンバー全員の真心がこもった声が引き立っていると思います。

KIM CHAEWON：피어나（ピオナ）という言葉にはいろいろな意味が込められていますし、音自体もとてもかわいいですよね。この歌詞は、FEARNOTと私たちLE SSERAFIMの連帯感がよく表現されたパートなので、とても気に入っています。私たちとFEARNOTの絆がとても感じられて、胸にぐっとくるものがあります。

HONG EUNCHAE

──最後に、たくさんの注目が集まっている【コーチェラ】で皆さんが楽しみにしていること、FEARNOTが楽しめるポイントを聞かせてください。

KIM CHAEWON：【コーチェラ】は音楽を愛する方々が集まって楽しむ場所なので、果たしてどんな雰囲気なのか、今想像するだけでも緊張しますが、とても楽しみでもあります。私たちの曲を【コーチェラ】のステージのためだけに特別にアレンジしてお見せしたいと思っていますので、FEARNOTの皆さん、お楽しみに！

SAKURA：世界中の有名なアーティストの方々がいらっしゃるので、時間が許すかぎり、私たちもいろいろステージを見たいと思っています。本当に緊張しそうですが、その緊張感も楽しみつつ、覚悟を持ってステージに挑む私たちをFEARNOTに見てもらいたいです。

HUH YUNJIN：【コーチェラ】で私たちのことを初めて見る方も多いと思うので、私たちLE SSERAFIMがどんなグループなのか、どんな音楽をするグループなのかを知っていただけたらと思います。本当にワクワクしている反面、大きなプレッシャーも感じています。私たちの楽曲には臨場感を感じられる曲がたくさんあるので、新しいアレンジもぜひ楽しんでもらいたいです。

KAZUHA：【コーチェラ】は夢のステージで、その舞台に立たせていただけること自体、夢のようですし、楽しみです。当日はLE SSERAFIMを知らない方もたくさんいると思いますが、これがLE SSERAFIMなんだということをお見せできるように、デビュー以降の曲やパフォーマンスを準備しているので、自分たちをちゃんと見せられる場にできたらと思います。

HONG EUNCHAE：デビューして以来、一番規模の大きなステージになります。そのステージに立たせていただくことで、どれだけのエネルギーを感じられるのか、とても楽しみにしています。当日は、【コーチェラ】だけで披露するパフォーマンスをお見せできると思いますし、きっと楽しんでいただけると思います。私たちが楽しんでいる姿をFEARNOTの皆さんにも見ていただきたいです。FEARNOTの皆さん、楽しみにしていてください！