自分の意見だけを正しいと思い込んではいけない

－－心さんは女子中高生のための掲示板サイト「ふみコミュ！」の“歌手デビュープロジェクト”で選ばれ、現在配信中の「ミライ」で配信デビューしました。

藤波心：“ふみコミュ！さんで、こんなオーディションをやってるよ”って人づてに聞いて、プロ・アマ問わずだったので応募したのが、きっかけですね。最終オーディション当日は、素人の子たちと一緒にオーディションを受けたんですけど、緊張しました（笑）。でも、自由曲で歌った大塚愛さんの『プラネタリウム』は、いつも歌っている歌だったので、落ち着いて歌えましたね！

－－そもそも心さんは、「ふみコミュ！」をご存じでしたか？

藤波心：前から掲示板に投稿をするなどしてよく使ってました！ なので、同じふみコミュのユーザーさんが書いた詞を歌うのは不思議な感じです。「ミライ」は、ふんわりしたイメージの歌詞になっていると思いますし、今の季節にピッタリな曲なので、色んな想いを込めて歌ったつもりです。みんなで作った歌ということで、頑張って歌っていきたいです！

－－心さんは自身のブログ「ここっぴーのへそっぴー」に投稿した“批難覚悟で・・・・”というエントリが話題となり、その後はネットニュースなどにも取り上げられ、その名が一気に広まりました。

藤波心：この記事を書く以前から、思ったことを書いちゃうタイプなんです。今回の記事でも、テレビとかを見て思ったことを書いちゃったんですけど、想像以上の反響があってビックリしました。
前回のプチ炎上でも驚いたんですけど、今回は規模が大きすぎて、まだちゃんとに認識し切れていないところもあります。「反原発デモに参加して下さい」みたいなコメントもあったんですけど、今回の地震で起きた事故について、私の記事から少しでも考えてもらえたらと思って、投稿したんです。

－－心さんは原発に反対？

藤波心：「何が何でも絶対反対！」って意固地になるつもりはないんですけど、無くても生活していけるんだったら、そっちの方がいいんじゃないかな～って思いますね。

－－また、炎上してもエントリを消さないのが良いですよね。

藤波心：やっぱり、ちょっとでも考えてもらえたらなって想いがあったので。「もっと勉強してから書け！」とか、厳しいコメントもたくさんあったんですけど、“自分の意見だけを、正しいと思い込んではいけない”って思っているので、色んなコメントを読んで考えさせられました。

－－そういえば前回のプチ炎上の後も、笑い飛ばすかのようにブログを更新していましたよね。

藤波心：最初の頃は批判的なコメントに落ち込むことも多かったんですけど、何処かで踏ん切りがついたというか、色んな意見を受け入れられる方がって思ってます。

－－そうした経験が、今回のTwitterでの絶賛に繋がった部分もあると思います。

藤波心：そうですね！ もちろんTwitterにも厳しい意見は多かったんですけど、……Twitterあんまりやってないんですよね（笑）。ブログもこまめに更新する方ではないですし。以前はコメントにひとつひとつ返信していたんですけど、さすがに結構な数になったので、難しくなってしまいました。100～150件くらいなら全部返してましたね！

－－あと、ブログの文章が非常に読みやすかったのも印象的でした。

藤波心：書くことは好きなんですけど、今回の記事については、重要な問題だったので時間をかけました。色々調べたりしながら、事務所に相談したりもして……。

－－もし事務所に止められていたら？

藤波心：……まあ、結局出しちゃってたと思います（笑）。

マネージャー：同じ業界の方から、「管理甘いんと違う？」って言われてますよ（笑）。

－－ただ、あのエントリを読んで勇気づけられた大人は多かったと思います。

藤波心：「意見を言える勇気は良いと思うよ」ってコメントしてくれる大人の方もたくさんいて、そこで励まされたから、批判コメントにもあんまり落ち込まないでいられたのかなって、今となっては思います。

－－また、心さんはなかなか凄い経歴をお持ちですよね。前回の炎上のきっかけとなった「オトメゴコロ　藤波心ファースト写真集」では、ヘソピをしている中学生として話題になりましたが、そもそもヘソピを空けたのは10歳の頃なんですよね？

藤波心：はい！ 別に写真集が理由で空けた訳じゃないんです。前々から「私、ヘソピ空けてます」みたいに言ってた訳ではなく、写真集のタイミングでアピールしてみたら話題になったので、ブログがプチ炎上した時は驚きました！ 「え、いまさら!?」みたいな。きっかけですか？ お母さんがヘソピとか空けているタイプの人で、その子供なので趣味が合うんです（笑）。

－－昨年夏には、逮捕直前の田代まさしさんとも共演しています。

藤波心：それもブログに書いちゃったんですけど（笑）、ビックリしました。去年、田代さんにボケとツッコミのレッスンをしてもらってたんです！

マネージャー：レッスンの時、田代さんが教材として持ってきたのが懐かしの「寝起きシリーズ」 だったんですけど、その映像に出演していたのが酒井法子さんだったんですよ（笑）。で、それがきっかけで「田代まさしのありがとうございマーシー」っていうネット番組に出演させて頂いたりもして。
本当はその後に、「となりのココロ」っていう歌をネット配信する予定だったんです。PVを撮ることも決まっていて、ウサギの着ぐるみが出てくるんですけど、その被り物を取ったら変なおじさんのメイクをした田代さんが出てきて、心を追いかけるっていう（笑）。ただ、田代さんが忙しかったみたいで撮影ができなくて、……って直後に逮捕されちゃったんですよ。

－－また、過去にはダウンタウン 松本人志さんのお兄さん 松本隆博さんとも共演されているんですよね？

マネージャー：そうそう、やっぱりこの子は何か持ってるんですよね。

藤波心：それ、褒められてる？（笑）

避難所に行って、歌ってみたい

－－いきものがかり 吉岡聖恵さんのそっくりさんとして、「笑っていいとも！」に出演した経験もあるとか。

藤波心：そういうのが好きなんです！ 「いいとも！」の時は、その日の朝にオーディションがあったんですけど、全部で80組くらいいたし、審査が2回もあったんです。色んなそっくりさんがいて「これはダメダメやぁ～……」って思ってたら、いつの間にか出演することになってて……。

－－でも、かつては「紅白歌合戦」にもバックダンサーとして出演しているんですよね？

藤波心：w-inds.さんのバックで踊ったんですけど、紅白出た時はまだ小学5年生だったので、あんまり実感がなかったんです。今思うと「あんな大舞台に、よく立ったな……」って驚きますけど、小さかったから何も怖くなかったのかもしれませんね。あの頃はダンスも全然得意じゃなかったんですけど、そこまで緊張もしなかったですし。

マネージャー：練習から本番までの間、ダンスが変更になるたびに立ち位置がどんどん前になっていって、最終的にはw-inds.さんの隣になってて。ダンスが得意な方ではないって考えると、やっぱり何か持ってるんでしょうね。

－－自分では実感するところもある？

藤波心：全然分からないです！ オーディションも慣れてないし、しゃべるのも得意ではないので、毎回テンパって「落ちただろうな……」って思っていても、何故か受かってたりとか。ニコニコチャンネルの「生うたオーディション」でも緊張でバクバクでしたし、考えている暇もないくらいのスピードで終わっちゃってる感じです。もちろん、楽しんでいるからこそなのかもしれないですけど。

－－そうして色んな経験を積みつつ、今年の1月に発売した「オトメゴコロ　藤波心ファースト写真集」で、プチ炎上を果たし、晴れて歌手デビューを迎えた訳ですね。

藤波心：色んな方に知って頂いたことは、凄く嬉しいです。まだ事の重大さに気付けていないんですけど（笑）。

－－「ミライ」を聴いて印象的だったのですが、心さんは伸びやかな歌声が特徴的ですよね。

藤波心：でも、「肺活量が少ない」ってよく言われるんですよ（笑）。大きな声があんまり出ないのがダメなところで、何年も前から悩んでいるんです。トレーニングなどもしているんですけど、なかなか改善が難しくって……。

－－ちなみに普段は、どんな音楽を聴いていますか？

藤波心：自分で言うのもアレですけど、幅広いかもしれませんね。流行のJ-POPも好きだし、ショパンとかクラシックも聴くし……。でも、誰が好きって訳じゃなくて、テレビから聴こえてきた曲を好きになって、ハマッていくケースが多いです。
あと、歌詞からハマることも多いですね。子供の頃から本を読むのが好きで、……といっても難しい本じゃなくて、「リラックマ生活」って本とか、子供向けの詩集を読んでました。短い言葉から色々想像したりするのが好きなんです。最近はやっと、ちょっと難しい本も読めるようになってきましたけど（笑）。

－－本作は、ふみコミュ！ユーザーから投稿された言葉から生まれた歌詞になっています。同年代の女の子の“ミライ”が詰まった歌を、こうした状況の中、心さんが歌うというのも、何だか不思議な縁を感じますよね。

藤波心：“ミライ”なんて大きなモノではないのかもしれないですけど、被災された方々のいる避難所とかに行って、歌ってみたいと思ってます。実現させるのは大変だと思いますし、まだ中学生だから飛んで行くこともできないし……。余震が続いている今は、まだ「歌を聴きたい」って思ってもらえる状況じゃないのかなって思いますけど、少しでも励ませるのなら、歌いたいです。「ミライ」の歌詞って良い意味で抽象的だと思うんですけど、その方が自分の気持ちと照らし合わせて、色々考えたりできるんじゃないかって思うんです。

－－では、歌手としての目標は？

藤波心：辞めないで続けていきたいっていうのが一番です（笑）。「紅白出たい！」とか言っても、目標が大きすぎて挫折しそうなので、できそうなことから！

－－心さんが作詞した曲を聴いてみたいですね。

藤波心：やってみたいんですけど、やったことがないので、できるかどうか……。

－－まだ14歳だから大丈夫ですよ（笑）。では、心さんがこれから挑戦してみたいことなどは？

藤波心：今回は文章を通じて反響を頂きましたけど、もちろん歌もグラビアの仕事も好きだし、欲張りかもしれないけど、色々幅広くやってみたいです！

－－……それにしても、実際に話してみるとイメージ変わりますね。

藤波心：よく言われます！ ブログではカタいイメージがあるみたいなんですけど、普段は思ったよりも普通の中学生です（笑）。

マネージャー：ゲンコツが口に入るかどうか、とかしょーもないことばっか書いてますからね。そっちは自由にやってくれていいんだけど、こっちはもうクレームやら炎上やらと大変ですよ……。