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<コラム>神曲と話題、ディズニー映画『ウィッシュ』アリアナ・デボーズ&生田絵梨花がそれぞれの歌声で表現するアーシャの“願う力”と“意志”

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Text: 服部のり子

 今年は、ウォルト・ディズニー・カンパニーの設立100周年記念作品として、ディズニー・アニメーション・スタジオ渾身の一作といわれる映画『ウィッシュ』が12月15日から公開となる。この物語の舞台は、どんな願いも叶う魔法の国・ロサス王国。主人公は、そこに暮らす少女アーシャで、魔法を操る王様が、実は人々の“願い”を支配している事を知り、“みんなの美しい願い” を取り戻すために果敢に挑んでいくのだが、その予告編を観ただけでも何か大切なことを思い出させてくれる予感でいっぱいになる。

 その予告編に綴られた言葉は、「心からの強い願いこそ、すべての魔法のはじまり」というもの。子供時代はもちろんのこと、大人になってもさまざまな“願い”は、いつも心にあって、どうすれば、それを叶えられるのか。そして、叶う時にはどんな力が働くのだろうか。そんなことをあらためて考える機会を与えてくれるのではないかと、映画公開が今から待ち遠しい。


 そんな『ウィッシュ』は、世界中で社会現象となった作品『アナと雪の女王』を成功させた最強チームが制作を手がけている。そして、主人公・アーシャの声に抜擢されたのは女優のアリアナ・デボーズだ。ブロードウェイの舞台でミュージカルの経験を積み、2021年の映画『ウエスト・サイド・ストーリー』で主人公マリアの兄ベルナルドの恋人アニータを演じて、【第94回アカデミー賞】で<最優秀助演女優賞>を受賞している。その時のアニータも誇りと信念を胸に生きるために闘う、凛とした強い女性だった。そこが今回のアーシャとの共通点のように思う。


 映画公開を前に、オリジナル・サウンドトラックから先行リリースされた「ウィッシュ~この願い~」を聴くと、さすがミュージカルの経験を積んできた女優だけに語りかけるように歌うストーリーテリングな歌の説得力、さらに純真な心に隠された強さと本物の優しさの両方がまっすぐに響く歌声から感じられて、アーシャの人物像が伝わってくるようだ。劇中ではアーシャの心からの強い願いが星に届き、奇跡を起こすシーンで流れるという。


 すでにSNSを中心に「神曲」と称賛されているこの「ウィッシュ~この願い~」は、ジュリア・マイケルズとベンジャミン・ライスによって共作された。この新しいチームを少しご紹介すると、ジュリアは、アーティスト活動と並行してセレーナ・ゴメスやエド・シーランらに楽曲を提供し、ヒットを生み出しているシンガー・ソングライター。一方のベンジャミンは、プロデューサー&ミュージシャンとしてレディー・ガガの作品に関わり、彼女が主演した映画『アリー/スター誕生』のサウンドトラックで【グラミー賞】を受賞している。そんな2人による音楽。まだ「ウィッシュ~この願い~」しか聴けていないけれど、1993年生まれの若きジュリアは、今後ディズニー作品の音楽を担っていく逸材として大いに期待されている。

 そして、日本語版でアーシャの声を担当するのは女優の生田絵梨花だ。オーディションで勝ち取った大役に、「ずっとディズニーのキャラクターが好きで、ディズニー作品の歌を歌うことが好きだったので、今回まさか自分がキャラクターとして歌わせていただけるというのは不思議で、うれしい気持ちです」とコメントしている。だからだろうか、透明感のあるピュア・ヴォイスで歌う日本語版「ウィッシュ~この願い~」は、意志の強さと共に願う心のドリーミングな愛らしさが伝わる歌になっている。


 その日本語版の歌詞がまた素晴らしい。今の混迷の時代に求められている歌だ。「心を解き放つ」大切さを教えてくれて、「踏み出す」勇気を与えてくれる。きっとこの歌に励まされる人は多いだろうし、責任ある大人にとっては真実に目覚めさせてくれる歌となるだろう。さらに、あらためて思うのは古代から星が心の羅針盤にもなってきたということ。

 最後に、本国でもその歌唱が絶賛されているという生田絵梨花の「ウィッシュ~この願い~」を先日、生で聴いてきた。彼女自身の愛らしさは、まさにヒロインという感じで、歌い終わったあとに、初めての生歌披露に「心臓がバクバクしているけれど、アーシャもきっと葛藤と不安を抱えながら、この歌を歌っていたと思うから、私自身が抱いている緊張感を歌にのせて歌いました。歌いながら歌詞に励まされ、背中を押されるような楽曲です」と語った。そして、レコーディングを含めて歌うたびに「こういう声が出るんだ、こういう感情になるんだ、という発見をさせてくれる歌でもあります」と付け加えた。

 その生田絵梨花が思う主人公アーシャは、「まっすぐ心を持ち、優しくて、お茶目。でも、もともと強い性格ではなく、誰かを思って突き動かされるなかで強くなっていくんだと思います」という。

 今回念願だったディズニー映画のヒロインに抜擢されたこともそうだけれど、「ウィッシュ~この願い~」という歌との出会いがまた彼女のキャリアにおいて新たな試金石となるのではないだろうか。そう感じさせられた。

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