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<コラム>WENDY、ロックで真正面から世界へ挑む、平均年齢19歳のティーンエイジバンドに迫る
平均年齢19歳、男性4人組のロックバンド・WENDY(よみ:ウェンディ)。メンバーは18歳~20歳のメンバーで構成されており、若さと勢いに溢れるティーンエイジバンドである。
昨年2022年に【SUMMER SONIC 2022】、2023年には【METROCK 2023】にも出演。さらに同年8月には渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライブを敢行。ライブには、耳の早い幅広い年齢層のリスナーが訪れ、ライブの熱量に魅了されるファンが増加中。
ライブシーンでも勢いに乗っているWENDYだが、彼らの音楽を一聴したリスナーは揃って「10代とは思えない」と口を揃えて言う。1970~80年代のルーツロックやハードロックに強く影響を受けたという彼らの楽曲を聴いていただければ分かる通り、日本のアーティスト、さらには世界に目を向けてみても、ここまでのロックを鳴らしているバンドはなかなかいないのでは…と思うほど、激しさや荒々しさを感じる。その中でもメロディラインやリリックには、彼らが持つ10代なりのエッセンスを加えることで、2020年代でも聴き馴染みの良い、それでいてWENDYらしいオリジナリティと普遍性を体現する楽曲を作りあげている。
メンバーはSkye McKenzie(Vo.G)、Paul(G)、Johnny Vincent(B)、Sena(Dr)の4名。2020年10月に東京・世田谷にて結成。Skyeはイギリスと日本、Paulはロシアと日本のハーフであり、特にSkyeは英語をネイティブに操れるので、全ての楽曲が英語詞。ただ、英語詞で歌い続けているのは、単にそれだけが理由ではない。
もう一つの理由としては、WENDYメンバー全員が目指している場所が“世界”であるということである。結成当初から、メンバー全員の共通認識として“世界を目指す”という夢があり、その“世界”が一体何を指しているのか…グラミー賞を獲るのか、はたまた海外の大きな会場でライブをするのか、メンバーそれぞれに聞いてみたいところではある。
※以前のインタビューでSkyeは、ロンドン・ウェンブリースタジアムに立ちたいと語っている。
そんな”世界”を目指していく彼らにとっては嬉しい状況が起こり始めている。2023年8月23日にリリースした1st Album『Don't waste my YOUTH』に収録されている「SCREAM」や「Chasing a song」が、イギリスやアメリカ、フランスなど各国のSpotifyプレイリストに多数入り、Spotifyの月間リスナー数も急増中。Spotifyの月間リスナー数は、アルバム発売前の10倍以上まで数字を伸ばしている。SNSのコメント欄にも、海外リスナーからのコメントも徐々に増え、確実に世界のロックシーンからの注目を集め始めている。
さらに本アルバムは、デビューアルバムにも関わらず、ジョン・バティステ『ウィー・アー』でグラミー賞「アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、ザ・ブラック・キーズのアルバム『Let's Rock』等を手掛けたマーク・ウィットモアをプロデューサーに迎えて制作されている。マークは、本アルバムの初回限定盤付属のDVD【RECORDING MAKING with Marc Whitmore】の中で、「彼らはロックンロールが何かを本当に知っているし、だからこそ、やらなければならないんだ。」と語っており、WENDYの音楽性を高く評価していることが分かる。
さらに先月9月には韓国・ソウルにあるライブハウス『Rollinghall』にて、新世代K-POPバンド“W24”(よみ:ダブリュートゥエンティフォー)とのツーマンイベント【W24&WENDY: Rock n Roll is Back】に出演。WENDYとしては初の海外公演でもありながら、会場のキャパシティは500名。その中でも、臆することなくWENDYの音をかき鳴らし、Skye(Vo.g)は観客と英語で対話するなどのコミュニケーションなどがあり、会場の雰囲気を完全に掌握。
ライブを重ねるごとに、演奏はもちろんだが、国を超えても堂々とMCをしていることが印象深かった。Skyeの捲し立てるような煽りに応えるように、観客からは大きな歓声と拍手が沸き起こり、大盛況のうちに韓国公演が終演。本公演でWENDYは海外ライブの成功体験を積み、また一歩”世界”というものに近づいたのではないかと思う。
とはいえ、WENDYは“ロック”で世界へ挑まんとしている中で、昨今は日本のみならず、世界に視野を広げても“ロック”というジャンルがなかなか伸び悩んでいる状況が、チャートのランキングを見ていてもひしひしと感じられる。その中でも、自分たちが好きな音楽、やりたい音楽をブレることなく演奏していくということは相当のプレッシャーや不安があると思うが、メンバーやWENDYの楽曲からは、そのような不安は微塵も感じられない。その理由は「SCREAM」の歌詞に隠されているのかもしれない。
「SCREAM」のサビでは以下のように歌っている。
Don’t waste your time
Think about what people think of u
I don’t wanna be
Just a kid that sits around
I’ll scream out loud
(訳)
他人が自分のことをどう思っているかなんて気にするな
その辺に座っているただのガキにはなりたくない
だから、でかい声で叫ぶんだ
ここから「他人がどう思おうが関係ない、俺らがやりたいことをやる!」という強い意志を感じ取ることができる。故に、彼らの堂々とした佇まいや熱量の高いライブや楽曲群が生まれるのだと、この楽曲を聴いた時に確信した。
だが、その強い意志だけではなく、彼らが単に音楽、ロック、ライブというものを楽しんでいるということがリスナー側にも伝播することで、韓国公演の盛況ぶりを生み、そして海外プレイリストでの好状況を生んだのかもしれない。
ただ、これでWENDYは満足しない。ロックというジャンルで真正面から“世界”へ挑んでいく道のりのスタートラインに立ったに過ぎないということを彼らは理解し、さらにライブパフォーマンスや楽曲のクオリティに磨きをかけてくるだろう。目指すべき“世界”というのは、より広く大きいものであるのだから。
“世界”というものに恐れることなく、堂々と彼らのスタイルで”世界”へ挑んでいくWENDYの姿をリアルタイムで追えるということに歓喜しながら、これからの日本、そして世界のロックシーンでの活躍を期待したい。
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