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<インタビュー>-真天地開闢集団-ジグザグが異口同音に現況を「最高」と語る――第四完全音源集『慈愚挫愚 四 -最高-』
Interview & Text:藤谷千明
10月4日に、第四完全音源集(アルバム)『慈愚挫愚 四 -最高-』をリリースした-真天地開闢集団-ジグザグ。昨年11月には【日本武道館単独禊(ライブ)】を成功させ、近年は全国のロックフェスでも大いに観客を湧かせている。まさにロックバンドが描く「最高」を体現しているような状況だ。今の心境を必ずアルバムタイトルにしてきたというジグザグゆえに、このアルバムにも「最高」な想いが詰まっているのだ。
そして、これまで以上に振り幅が広く、バラエティに富んだ楽曲群は、これまでよりも明るくキャッチーになったように感じるが、命(Vo./Gt.)いわく「変わらずやりたいようにやっています」とのこと。そして龍矢(Ba.)、影丸(Dr.)はそんな彼に「命様についていけば間違いない」と語る。個性あふれるメンバーそれぞれの言葉から、今の彼らの「最高」ぶりが伝われば幸いだ。
左から:龍矢(Ba.)、命(Vo./Gt.)、影丸(Dr.)
今のステージだからこそやりたい曲が詰まってます
――-真天地開闢集団-ジグザグ(以下・ジグザグ)の第四完全音源集(4枚目のアルバム)となる、『慈愚挫愚 四 -最高-』(以下・『最高』)がリリースされました。これまで以上に振り幅が広いというか、バラエティに富んでいます。そして、これまでよりも明るさのある、前向きさを感じる曲が増えているのも、ひとつの大きな特徴だと感じました。
命:アルバム制作当初、特に意識してそうした訳ではないんですが、結果的にそうなった感じですね。ちなみにこのアルバムを聴いた龍矢が「すごく命様らしいですね」と言ってくれたんですが、確かにそうかもしれない。
――ご自身の中に明るくて陽気な部分が多かったと。
命:そうですね、自分は完全に明るい性格ですね。いわゆる陽キャとかではないですが、陽気です。
――失礼ながら、当然「売れて日和ってメジャー路線を狙った」という無難な話でもなく。
命:全くちゃいますね(笑)。変わらずやりたいようにやっています。むしろ、今シーンを市場調査をして、「こういうのがウケる」と思ったら、こんなアルバムにはならないです。ただアングラなものをメジャーな舞台で出そうと思わないし、今のステージだからこそやりたい曲が詰まってます。
――それは、バンドとしてはある意味挑戦でもありますよね。
龍矢:命様は僕たち以上にジグザグを客観視して見ているので「それは違うやろ」みたいなことは絶対に言わないし、いつも賛成できるというか。僕と影丸さんの中には、「命様についていけば間違いない」という信頼があります。それに、命様の作る曲って全部良いと思いますし。
影丸:その通り!
命:とはいえ、独りよがりなものというわけではなく、自信を持っていいものを出している。そういった意味での「媚びてない」というか。
――仮に、今シーンの需要を読んだものを出すとしたら、どんなものにします?
命:まずは、もうちょっと曲の方向性を揃えますね(笑)。
――たとえばですが、1曲目がエセ関西弁の曲(「おっかちゃん」)にはならない……?
命:ははは(笑)。とはいえ、こういう思い切りの良さが、化学反応というか、大爆発につながる可能性も秘めているじゃないですか。だからこそ、恐れずにやっていきたいというか。自分自身もそんなジグザグが好きなんですね。
龍矢:でも、ジグザグなら全然普通のことじゃないですか。こういう変化球を1曲目にもってきているのが、逆に「ジグザクらしい」というか、「違和感があるのが当たり前」というか、ある種のおふざけや、いたずら心を楽しみにしてくれているお客さんも、たくさんいると思うんです。
影丸:僕はこの曲を「頑張る人の応援ソング」だと思っています。命様いわく、全然中身はないらしいんですけど。
――ないんですか?
命:ないですね(キッパリ)。だから、そのまま「ふざけてるな~」という人もいるし、意図せぬ「感動しました」という人もいる。ジグザグに対してどんな想いを持ってくれているかで、印象が変わる曲かもしれないですね(笑)。
――それをいいますと、童謡を彷彿とさせる「どんぐり」も異彩を放っています。こちらの曲も人によって受け取る印象が異なりそうですね。
命:この曲は……、全米が泣いた……。そう、どんぐりの人生を歌った曲です。
龍矢:命さまって、楽屋とかでいろんな曲を歌っているんですよ。ジグザグの曲じゃないものも。で、「どんぐり~、どんぐり~」と楽しそうに歌っていたので、僕はてっきりそういう童謡があると思って「何の曲ですか?」と訊ねたら、「今度出そうと思う」と。「えっ! オリジナル曲だったんだ!」と、衝撃を受けました。いい意味でどこかで聴いたことがある、耳馴染みのいいメロディで、一回聴いたら覚えられそうな曲ですよね。
――大ヒットして、ぜひ童謡のように親しまれてほしいですね。
命:子供は絶対好きや思うんですよ! 「どんぐりは、死んだ」ですから。子供は不謹慎なものが好きですからね!
「どんぐり」
- 「今の自分たちを形成する全て」
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リリース情報
第四完全音源集(アルバム)『慈愚挫愚 四 -最高-』
2023/10/4 RELEASE
<初回限定盤>
CCR-044 4,400円(tax in.)
<通常盤>
CCR-045 3,300円(tax in.)
公演情報
【全国開闢禊-最高-(読み:ぜんこくかいびゃくみそぎ -さいこう-)】
2023年11月1日(水)愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
2023年11月3日(祝・金)岡山・岡山市民会館
2023年11月5日(日)愛媛・松山市総合コミュニティセンター・文化ホール(キャメリアホール)
2023年11月7日(火)大阪・オリックス劇場
2023年11月10日(金)宮城・仙台サンプラザホール
2023年11月12日(日)新潟・新潟県民会館 大ホール
2023年11月15日(水)北海道・カナモトホール(札幌市民ホール)
2023年11月18日(土)福岡・福岡サンパレス
2023年11月21日(火)東京・東京ガーデンシアター
関連リンク
「今の自分たちを形成する全て」
――先んじて発表されている、シングルの「スマイル★かわいいねん」も、アイドルソングのようなキャッチーさがありつつ、複雑な乙女心(?)を歌ったかわいらしい曲だと思います。サンリオキャラを筆頭に、かわいいものがお好きなことで有名な命様ですが。
命:かわいいものは大好きですねー。でもこれは自分的にかわいいというよりは、ふざけている曲という認識ですかね。ふざけたものも好きなので。むしろ、自分としては「Nighty night!」の方がかわいいと思っています。
「スマイル★かわいいねん」ミュージック・ビデオ
――なるほど、「Nighty night!」は疾走感のあるロックチューンですが、歌詞は本当にドがつくストレートなファンや禊への想いを感じます。たしかにおっしゃるように「かわいい」です。
命:そう、本当に歌詞は自分でも「なんて可愛いんだ!」って思ってます。
――かわいいのはもちろんですが、ファンとの信頼関係を感じるというか、じんわりとした暖かさのある曲ですね。
命:暖かくてかわいい。そう、あたた……あたたかかわいい曲です。
「Nighty night!」
――「Stay with me」も、暖かさというか、愛を感じます。
命:ファンはもちろんですが、家族、メンバー、スタッフ……、もう、「全て」ですね。今の自分たちを形成する全て。今の時代を生きていて、色んな素晴らしい出会いがあって、色んな素晴らしい人に囲まれて……今があるわけじゃないですか。愛というか、感謝というか、そういう気持ちが大きいですね。
「Stay with me」ミュージック・ビデオ
――そして、全体的にライブが目に浮かぶような曲も多いです。「最高だZ」なんて、とくに。
命:基本的にどの作品もライブを意識して作っています。『夢幻』はコロナ禍の時期だったこともあって、座って聴くだけでも成立するような曲をメインで作ったんですけど、今回はむしろ原点回帰ですね。ただ、これまでよりも想定しているライブがスケールアップしている。大きな会場だったり、フェスだったりでライブ映えするような曲になってますね。
「最高だZ」
――ワンマンもですが、近年のジグザグはロックフェスの常連バンドです。その経験が反映されていることはありますか?
命:ジグザグがほんまに大好きってわけではない人たちの前で演奏する、そしてそういう人たちが、ワーって盛り上がったりすると気持ちいいですし。それこそ、「Dazzling Secret」を、フェスで初披露したんです。もちろん「フェスで演奏したら絶対かっこええやろな、盛り上がるやろな」くらいは思っていたけれど、思ってた以上に盛り上がって。
龍矢:こっちがビックリするくらい盛り上がったんです。
命:これまでジグザグって「ウェイ! ウェイ!」みたいな、お祭り騒ぎで煽るような曲で盛り上がっていたんですけど、これまでになかったクールな曲で、歌と演奏だけでカッコよく盛り上がれたのは、めちゃくちゃええな。
――定番曲ではない、初披露の曲でフェスのステージが盛り上がるということは、本当にすごいことですよ。
命:これは今後ちょっと強い曲になりそうだな、と。
「Dazzling Secret」ミュージック・ビデオ
――こういった幅広い楽曲に統一感をもたせようと、サウンド面で「ジグザグっぽく仕上げよう」みたいな意識などはありますか?
龍矢:僕はジグザグ以外でベースを弾いたことがないんで(※龍矢は2019年にギターからベースに転向したという経緯がある)、全部ジグザグっぽくなるというか、基本的にジグザクで使う音しか作ってないんですよね。
――つまり、龍矢さんが弾けば、なんでもジグザクになると。
龍矢:だと、うれしいですね!
影丸:僕は……叩いて、寝るだけですね!
リリース情報
第四完全音源集(アルバム)『慈愚挫愚 四 -最高-』
2023/10/4 RELEASE
<初回限定盤>
CCR-044 4,400円(tax in.)
<通常盤>
CCR-045 3,300円(tax in.)
公演情報
【全国開闢禊-最高-(読み:ぜんこくかいびゃくみそぎ -さいこう-)】
2023年11月1日(水)愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
2023年11月3日(祝・金)岡山・岡山市民会館
2023年11月5日(日)愛媛・松山市総合コミュニティセンター・文化ホール(キャメリアホール)
2023年11月7日(火)大阪・オリックス劇場
2023年11月10日(金)宮城・仙台サンプラザホール
2023年11月12日(日)新潟・新潟県民会館 大ホール
2023年11月15日(水)北海道・カナモトホール(札幌市民ホール)
2023年11月18日(土)福岡・福岡サンパレス
2023年11月21日(火)東京・東京ガーデンシアター
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「『誰でも来れる禊』にしたい」
――そして、『最高』というタイトルは、やはり現在の状況を現しているのでしょうか?
命:「アルバムタイトルどうしよう?」ってメンバーと集まって話した時に、「今どんな状況や?」って聞いたら第一声で影丸が「最高!」って叫んだんです。最初は笑ってたんですけど、「いや、いいぞ『最高』って。響きも面白いし」と。
影丸:命様に「今の状態は?」と聞かれたので、冗談半分、本心半分で「最高!」と言ったんです。
――影丸さんは、今の状況が「最高」だと。
影丸:はい! お客さんの数にしても、関わってくださるスタッフさんの数にしても、……そして、ギャラ的にも!
龍矢:なんでそこだけ力入れるの(笑)。
影丸:だって、これまで持ったことのないくらいのお金が入ってきて……。
――お金の話は身も蓋もない話かもしれませんが、「ミュージシャンは儲からない」みたいな話ばかりが目につく昨今、ロックバンドで成功した結果、お金がたくさん入ってくるなんて夢がある素敵な話だと思います。
影丸:メンバーもみんな健康で、バンドがやむを得ない状況で止まることもない。だから総合評価で「最高」だなって。今、本当に幸せなんですよ。
龍矢:この3人で活動していることが、すでに「最高」なんですけど。その上、昔できなかったライブ演出や作品制作も、現実にできるようになった。僕らのやりたいことができて、それをたくさんの人たちが喜んでくれていることは、本当に「最高」だと思います。
命:昔は「(ライブ演出で)炎を使いたい!」って頼んでも「ダメだ! カネがない! 却下!」だったのに、今はススっと「やりましょか~!」と。
――やっぱりそれも夢があります。この記事を読んでいる夢見るバンドキッズがいたら、きっと勇気づけられると思うんです。続けていたら、やりたいことができるようになると。
命:たしかに、「僕たちも、いつか炎を出せる!」って(笑)。でも、本当に今までの人生を振り返っても、最高の時期に来ているんじゃないかとは思いますね。
――そして本作を引っ提げての2万人を動員する全国ホールツアー【全国開闢禊-最高-(読み:ぜんこくかいびゃくみそぎ -さいこう-)】も11月に控えています。初の全国ホールツアーに対して意気込みは?
影丸:……本当にカッコいいですよね。ホールツアーって。なんだか、夢みたいでまるで自分のことじゃないように思えてしまって。大きなライブやツアーが発表されるたびに、「すごいなあ」って言ってるんです。事前に情報は知ってるのに。Zeppツアー、武道館、一つひとつ階段を上がるたびに、いつも公式サイトやTwitterを見て、「ジグザグ、すごいなあ」って新鮮に思うんです。
――夢が現実になっているのですね。
影丸今回のツアー、ひとつワガママを言わせてもらって、今までは(ステージの規模の問題で)できなかった、新しいドラムセッティングを用意しています。ずっとやりたかった僕の夢が叶うのかなって、本当に楽しみにしています。
龍矢:ホールツアー、本当に今でも想像がつかなくて。そもそもZeppですらめちゃくちゃ広いし、武道館も広い。どうせ緊張すんねやろうな、と思ってます。
命:最近はいつもでかいよな(笑)。でも会場がでかいから緊張するとかないもんね。ちっちゃくても緊張するし、なんか自分のコンディションだったりとかにも関わってくるし。
龍矢:だから、どんな会場でも人数でも、関係なく全力で、ジグザグの禊をやるのみです。その気持ちだけで、なんとか緊張を押さえています(笑)。
命:ホールツアーを定期的にできるバンドって、安定感があるじゃないですか。ライブハウスに抵抗がある人でも、ホールでの禊なら足を運ぶこともできるかもしれない。小さい子供から年配の方でも気軽に来れるのが、ホールの強みだと思います。やっぱり「誰でも来れる禊」にしたいんです。ホールでちゃんと盛り上がれる禊が出来るバンドを目指していたので、ずっとやりたかったホールツアーです。それがようやく実現するんです。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
命:正直、まとまりのないバンドというか、「どんなバンド?」って聞かれても説明が難しいと思うんです。だから、友達に気軽にすすめるにはハードルの高いバンドかもしれませんが、ぜひ、ジグザグを広めていただき、皆さん一緒にツアーに遊びに来ていただければと思います。
龍矢:ジグザグは、ずっと「初めて観る人でも楽しめる禊」をテーマにしているんです。この三人が「最高」と思って作っているので、ぜひアルバムを聴いていただいて、禊にも来てほしいです。
影丸:ホールなんで、どうか座席の間違いには気をつけてください。
一同:(爆笑)。
命:(笑)。会場来るのにね、迷って禊に間に合わんとかないようにね。
影丸:当日体調を崩してしまわないように、健康に気をつけて……。あとは、楽しんでいただけたらと思います。
リリース情報
第四完全音源集(アルバム)『慈愚挫愚 四 -最高-』
2023/10/4 RELEASE
<初回限定盤>
CCR-044 4,400円(tax in.)
<通常盤>
CCR-045 3,300円(tax in.)
公演情報
【全国開闢禊-最高-(読み:ぜんこくかいびゃくみそぎ -さいこう-)】
2023年11月1日(水)愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
2023年11月3日(祝・金)岡山・岡山市民会館
2023年11月5日(日)愛媛・松山市総合コミュニティセンター・文化ホール(キャメリアホール)
2023年11月7日(火)大阪・オリックス劇場
2023年11月10日(金)宮城・仙台サンプラザホール
2023年11月12日(日)新潟・新潟県民会館 大ホール
2023年11月15日(水)北海道・カナモトホール(札幌市民ホール)
2023年11月18日(土)福岡・福岡サンパレス
2023年11月21日(火)東京・東京ガーデンシアター
関連リンク
慈愚挫愚 四 -最高-
2023/10/04 RELEASE
CCR-45 ¥ 3,300(税込)
Disc01
- 01.おっかちゃん
- 02.Mr. Idiot
- 03.最高だZ
- 04.Drip
- 05.Dazzling Secret
- 06.生きて
- 07.Cry Out -victims-
- 08.Sha. La. La.
- 09.どんぐり
- 10.スマイル★かわいいねん
- 11.Stay with me
- 12.Nighty night!
- 13.燦然世界 -acoustic ver.-
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