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<インタビュー>堂村璃羽が“夢”を掲げ、大衆に寄り添う歌を目指した最新作について語る

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Interview:Takuto Ueda
Photo:Yuma Totsuka

 堂村璃羽が計4曲入りの最新EP『夢の続き』をリリースする。

 自身が主宰するレーベル<BLUEMOONMUSIC>所属のゆう。をフィーチャーした表題曲「夢の続き feat. ゆう。」、友人の失恋からインスピレーションを受けた「lost love」や人気FPSゲーム『VALORANT』をプレイ中の出来事をきっかけに制作したという「EGOIST」など、今まで以上に多彩な世界観を見せる本作は、堂村自身も「新しいことに挑戦」した一枚になっているという。メジャーレーベルと契約し、より広く、より多くの人々の人生に寄り添える歌を届けるべく、その音楽性とリリックのメッセージ性もますますバラエティを増していく堂村の最新モードについて、本人に話を訊いた。

新しいことに挑戦できたEP『夢の続き』

――まずは近況について聞かせてください。ストリーマー活動やレーベルの運営など、幅広く活動されているかと思いますが、楽曲制作も順調に進んでいますか?


堂村:そうですね。今回は4曲入りのEPを出すんですけど、他にも裏で曲は作っていて。9月からはレーベル<BLUEMOONMUSIC>からもシングルを出そうと思っています。堂村璃羽としてはワーナーミュージックと契約しているので一人で勝手にリリースはできないけど、所属メンバーも含めて<BLUEMOONMUSIC>として出すのは大丈夫なので。毎週1曲ぐらいのペースで新曲を発表できたらと思っています。

――堂村さん名義でワーナーミュージックからリリースする楽曲、自主レーベル<BLUEMOONMUSIC>としてリリースする楽曲、それぞれ棲み分けみたいなことは考えていますか?


堂村:ハイペースで出すので完全に分けることはできないかもしれないですけど、やっぱりメジャーでリリースする楽曲では昔のような攻めた内容、例えばコンプライアンスすれすれの歌詞やタイトルは抑えめになるとは思うので、そういう楽曲は自主レーベルのほうで増やしていこうかなと思ってますね。

――前回のインタビューでも<BLUEMOONMUSIC>のメンバーをフックアップしていきたいということはおっしゃってましたよね。


堂村:はい。この記事が出る頃には解禁していると思うんですけど、あれくんというアーティストも所属することになっていて。僕が“少年D”という名義でツイキャスとかをやっていた頃、5~6年前だと思うんですけど、その時期に出会いました。ツイキャスって歌枠リレー配信という、言ってしまえば対バンみたいな歌配信があって、そこにあれくんも参加していたんです。ギターも上手すぎたし「誰なんだ」と思って声をかけて。でも、彼はけっこう人間不信というか、ギターが上手いがゆえに自分自身もギター扱いされてしまうみたいなことが多かったみたいで、最初は「申し訳ないんですけど、一緒にやるのは…」みたいな感じだったんですよ。でも、そんなふうには思ってないしなと思って、諦められなくて何度かアタックしたんです。ずっと断られ続けながら。



――ラブコールを送り続けた。


堂村:「もうギター置きましょう。一回メシ行きましょう」みたいな。自分も経験があるので分かるけど、過去の人間関係のせいで新しい人とも仲良くなれないなんてもったいないじゃないですか。そしたら少しずつ心を開いてくれて、東京からあれくんの車に乗って、いろんな地方で路上ライブしに行ったりして。そのときは4人いたんですけど、あれくんしか免許を持ってなかったので運転は任せてました(笑)。昔、同じマンションに住んでいたこともあるぐらい仲良しになりましたね。

――その一方で、いわゆるメジャー・アーティストとしてのチャレンジも続けていくと。最新EP『夢の続き』について、まずは率直な手応えを聞かせてください。


堂村:キャッチーな曲もあれば、僕が書いてこなかったような曲もあって、内容的には新しいことに挑戦できていると思います。特に「EGOIST」とかはそう。これまでの僕の楽曲を知らない方々にとっても分かりやすく聴きやすい楽曲になったんじゃないかなと。僕自身も作れる楽曲の幅を広げていて、それを認知してもらうのには適したEPになったんじゃないかなと思います。

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友人を題材にした楽曲たち

――各楽曲の制作時期はいつ頃でしょうか?


堂村:曲によって違いますけど、直近半年以内ではありますね。

――現在、先行シングル「夢の続き feat. ゆう。」が配信中。<BLUEMOONMUSIC>所属のアーティスト、ゆう。さんが参加しています。彼女との出会いについて教えていただけますか?


堂村:きっかけはゲームですね。彼女はまだ17歳と若いので、いろんな会社からお話もいただいていたみたいで、よく相談に乗っていたんです。同じく<BLUEMOONMUSIC>所属のPAREDは、もともと個人的にプロデュースさせてもらっていたこともあり、僕が会社を作ったらぜひ入りたいと言ってくれていたので、だったら二人だけじゃなく何人かいたほうがいいという話になって、ゆう。ちゃんにも「よかったらおいでよ」と声をかけて所属してもらうことになりました。



――アーティストとしてはどんな印象を持ってましたか?


堂村:出会ったときは15~16歳だったんですけど、第一印象は“元気”でした。キャラクターもそうだけど、特に歌が。でも、ここ1~2年くらいで大人っぽくなったというか、柔らかい歌い方も得意になってきたみたいで、今回の楽曲も全体的に柔らかいイメージだったのでちょうどいいなと思ったんです。

――本作は全体のコンセプトとして“夢”がキーワードですが、リード曲「夢の続き feat. ゆう。」はまさしく象徴的なナンバーです。


堂村:今まではタイトルも内容も一部の層に刺さるような曲が多かったけど、この「夢の続き feat. ゆう。」は“夢”という大きな言葉をタイトルに据えて、歌詞に抽象的な表現も増やすことで、より大衆に受け入れられるような曲を目指しました。自分の人生や日常の中で噛み砕いて解釈できるような。そこはBigDogくんのビートからもインスピレーションを受けた部分だと思うし、新しい挑戦になったという手応えもありますね。




Dream again (feat. Yuu.)




――“一生のお願い”という言葉から着想を得た楽曲とのことで、夢を追いかける人、夢を諦めてしまいそうな人の背中を押してくれるようなリリックになっていますね。


堂村:子供の頃は早く大人になりたかったけど、大人になったら子供の頃、何も考えずに外で遊んでいた日々が一番よかったことに気づくじゃないですか。同じように子供の頃はありふれたことに“一生のお願い”を使っていたけど、今考えたらすごく無駄な使い方をしていたんだなって。子供の頃に当たり前にあったものが手に入らなくなってしまった。そういう人たちに寄り添える曲を作りたいなと思ったんですよね。だから、自分の経験を踏まえた曲でもあります。



――2曲目「lost love」は、友人の失恋をきっかけに作った楽曲とのこと。


堂村:友人が“璃羽くん、俺の曲作ってよ”みたいに言ってくれて。フラれて別れたとかではなく、離れるのは嫌だけど依存するのはよくないから、自分の成長のためにも別れを選んだという話で。そういう失恋の歌を作ってなかったし、いい題材だったので曲にしてみました。

――ビートを手掛けたOmamurinさんはどんなクリエイターですか?


堂村:BigDogくんと違って、Omamurinくんは激しい音が得意なんですよ。クラブで流れてそうなゴリゴリの。ただ、基本的に欲しいビートは何でも作れるタイプですね。メロディックなギター系のビートもできれば、ゆったりとしたピアノ系のビートもできる。繊細なサウンドも作れる器用な人です。

――先ほど新機軸として挙げてくださった「EGOIST」。SNSでは「自分がアニメの主人公になった気分になるような歌を作りました」と紹介していましたね。


堂村:この楽曲は中二病全開です。きっかけは『VALORANT』というゲームなんですけど、いろんな役割に分かれたキャラクターでチームを組むんですね。そのなかで最前線で戦うポジションの人がやられ続けてしまうと、どうしてもチームはしんどいんですよ。その『VALORANT』を友達とやっていたとき、絵に描いたような中二病のやつがいて。そいつが前線キャラなのに敵に倒され続けた結果、メンタルをやられて「俺がエゴイストにならなきゃいけない」みたいなツイートをしていて面白いなと思ったんです。「俺が全てやるぜ」みたいな感じ。。

――この曲もビートはOmamurinさん。


堂村:この曲のビートはもともとアニメのシーンを切り貼りしたような動画でアップされていたので、作ったOmamurinくんもそういうイメージだったと思うし、中二病を全開にして、まるで自分がヒーローになったかのような気持ちで書いてみようと思ったのが「EGOIST」ですね。

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「いつも通り、僕がただ歌い続けるだけ」

――「PM1:12」は、フリーBGM素材の制作をメインに活動しているクリエーター、しゃろうさんの楽曲「PM2:23」のオマージュ。


堂村:虹色侍ずまさんが「YouTubeで100万回聞くやつを夏フェスで歌われる切ないラブソングにしてみた」という動画で、しゃろうさんの「PM2:23」をアレンジして歌っていたんですよ。それを見ていいなと思ったんです。しゃろうさんの音楽っていろんな場面で使われてますけど、特に雑談配信とかが圧倒的に多いイメージで。そこから日常的なことを歌うのがいいなと思ってリリックを書いていきました。そのなかで、景気が悪い時代だからこそ、自分でメンタルケアすることが大事だということを落とし込んだ楽曲になっています。

――ラップのフロウに対するアプローチについては?


堂村:「PM1:12」みたいなメロディーラップは得意ですね。そのなかでも細かく歌い方は変えたりしました。例えば後半の<何もないとこからここにきた>から始まるヴァースは、何も考えてなさそうに平坦な歌い方というか、喉に力が入らない歌い方を意識していて。逆に「lost love」は伸ばしてから落とすというか、そういう緩急がつくように裏声も使ったりして、いつもより柔らかいイメージで歌いました。一方で「EGOIST」は張り上げる部分が多いし、かなり言葉を詰めて速めにラップしている部分はメロディーもいつも異常に崩していて。そんな感じで楽曲それぞれに対して声色や歌い方も変えてるし、メロディーや言葉の組み立て方とか、オートチューンとかエフェクト周りも含めて、かなり細かくこだわりました。

――そのうえで特にチャレンジングだった曲を挙げるとしたら?


堂村:「EGOIST」ですかね。めっちゃ韻も踏んだし、ラップもかなり詰めたし。



――「PM1:12」の話に戻りますが、ビートを手掛けたのはMitsukiさん。この方はどんなクリエーターですか?


堂村:Mitsukiさんも昔から依頼させてもらってます。もともとはSTUPID GUYSというユニットを組んでいたたかやんの会社にいるビートメーカーさんなんですけど、今でもたまに作ってもらってますね。MitsukiさんもOmamurinくんとちょっと似ていて、何でも作れるタイプです。

――「PM1:12」のトラックに関してはどんなオーダーを出しましたか?


堂村:“ピクニックっぽい雰囲気”にしたいと伝えました。しゃろうさんのビートに「ピクニックっぽいな」という印象を持ったのが僕だけの可能性もあったので(笑)。それぐらいかな。あまり構成とかについては言わないですね。



――EP『夢の続き』は8月11日に配信開始。これに先駆け、7月16日からは1stワンマンツアーがスタート(※一部公演は延期)。どんなツアーになりそうですか?


堂村:久しぶりの人たちにも会えるので楽しみです。僕はライブのことをファン・ミーティングだと思っていて。「武道館に立ちたい」みたいな目標もなく、赤字にならない程度にライブができればいいや、ぐらいの感じ。ツアーは学生とか遠方に行けない人たちにも会いに行ける機会なので、ファンとの距離をもっと縮められればいいなと思っています。

――ライブの内容に関しては?


堂村:いつも通り、僕がただ歌い続けるだけですよ。ただ、今までは歌いたい曲をひたすらやっていたけど、今回はいつも以上にしっかり曲順もこだわっています。

――最初に話されていた<BLUEMOONMUSIC>としてのリリースも含めて、ツアー以降も活動は活性化していきそうですね。


堂村:曲はたくさん出したいですね。今までファンの方からのリクエストに応えたりはしてこなかったけど、今後はそういうのも増やしたいなと思います。



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