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<インタビュー>80年代カルチャーを伝える『FM STATION 8090』最新作、そして杏里&杉山清貴が語る“80年代”と“シティポップ”

インタビューバナー

 7月12日に、80年代のシティポップ・カルチャーを詰め込んだパッケージ商品『FM STATION 8090』のシリーズ第2弾、『FM STATION 8090 ~GOOD OLD RADIO DAYS~ DAYTIME CITYPOP by Kamasami Kong』および『FM STATION 8090 ~GENIUS CLUB~ NIGHTTIME CITYPOP by Katsuya Kobayashi』が2枚同時リリースされる。昨今の、世界規模でのリバイバル・ブームにふさわしく、世代を超えて楽しめる選曲が光る作品だ。そこでBillboard JAPANでは、本シリーズのプロデューサーであるDJ BLUEと、本作の収録アーティストから杏里&杉山清貴に、それぞれメールインタビューを実施。ぜひ、80年代に思いを馳せながら読んでいただきたい。

DJ BLUEが作品に込めた思い

Text:栗本斉


――まずは、昨年の第1弾『FM STATION 8090 ~CITYPOP & J-POP~』が生まれた経緯を簡潔に教えてください。

DJ BLUE:DJ BLUEは“大人の皆さんが青春時代に聴いていた80年代90年代の音楽を今改めて掘り起こし、伝えていきたい”というミッションを掲げて各種活動をしております。その活動の中で、80年代にあったエアチェック・カルチャーにスポットを当ててみたいと考え、その象徴であった『FM STATION』という雑誌および、表紙を飾っていた鈴木英人さんのイラストをタイトルやジャケットとしてクローズアップした形で、当時流行っていた音楽が架空のFM局である“FM STATION 8090”から流れてくる、というコンピレーションCD&カセットテープを企画することを考えました。ナビゲーターは80年代当時、まだ自分自身が行ったことのない憧れのハワイを音楽に乗せて部屋に運んできてくれた、カマサミ・コングさんにお願いをしました。


――DJ BLUEさんと、収録曲や雑誌『FM STATION』との関わりや思い入れを教えてください。

DJ BLUE:自分自身が80年代を青春期として過ごしていましたので、当然、エアチェックをするために『FM STATION』を購読したり、付録のインデックスカードでマイベスト・カセットテープなどを作って聴いていました。収録楽曲は当時自分自身が好きでまさにそのマイベストに収録していたような楽曲ばかりです。


――前作が非常に好評だったようですが、どのような手ごたえを感じましたか?

DJ BLUE:80~90年代に自らが体感していたカルチャーや、好きで聴いていた音楽、読んでいた雑誌、見ていたイラスト等を自分と同世代の方たちが「だよね!」的に共感してくれたのかなと思ったり。若い世代の方達も昭和レトロを新鮮に受け入れてくれたのかなと、とてもうれしく思いました。



V.A. / FM STATION 8090 ~CITYPOP & J-POP~ by Kamasami Kong

――続編を作るにあたって最初に考えたことはどういうことでしょうか?

DJ BLUE:今作は時代を80年代に寄せようと思いました。よって、選曲も80年代を軸としたシティポップに固めていますし、参加いただいた方々も80年代を象徴するレジェンドの方々で固めました。


――続編は2アイテムありますが、ぞれぞれのコンセプトを教えてください。

DJ BLUE:『DAYTIME』は朝から昼、そして昼から夕方にかけて、海に隣接するシーサイドステーションから、とにかく気持ちのよい空と海と風と音楽を、カマサミ・コングさんがナビゲートするというコンセプト。『NIGHTTIME』は夜から深夜にかけて、ムード漂う都会のステーションから、アーティストおよび楽曲ごとの紹介を小林克也さんならではの言葉でささやくようにナビゲートしていくというコンセプトです。


――今回の選曲でこだわったところはどういうところでしょうか?

DJ BLUE:80年代のシティポップから、上記の『DAYTIME』『NIGHTTIME』のコンセプトにマッチするような選曲を心掛けました。


――前作はカマサミ・コングさんでしたが、今回新たに小林克也さんと早見優さんを起用した意図は?

DJ BLUE:今作の企画のベースにあるのは、当時から今にかけてもずっと自分の愛聴盤である、80年代に発売された山下達郎さんの名盤『COME ALONG』シリーズのオマージュ的な作品であるからです。『COME ALONG』シリーズは、山下達郎さんの楽曲を小林克也さんがDJとしてナビゲートし、途中でゲストとして参加しているのがカマサミ・コングさん。ラジオにリクエストしてくる女の子役で登場するのが竹内まりやさんです。今作では竹内まりやさんのような、バイリンガルで80年代を象徴する女性として早見優さんに参加いただきました。


――特典付の豪華仕様やカセットなど様々なバージョンがありますが、それぞれのセールスポイントを教えてください。

DJ BLUE:雑誌『FM STATION』と、その表紙を飾っていた鈴木英人さんのイラストです。この組み合わせはジャケットだけにしておくのはもったいないと感じ、今作のLPサイズのデラックス盤には、ジャケットビジュアルを元にしたトートバッグ、キーホルダー、ステッカーシート、クリアファイル等を同梱しました。様々なシチュエーションで、様々な形で、見て、飾って、持ち運んで楽しんでいただけたらと思います。また前作に続き、今作もカセットテープを販売します。加えて、今作は当時の『FM STATION』に付録的についていたカセットインデックスカードが入っており、より当時のエアチェック・カルチャーを色濃く感じてもらえると思います。


――2作仕上がってみて満足度はいかがですか。また、客観的に見てDJ BLUEさんにとってどのような作品になったと思いますか?

DJ BLUE:自分自身が青春期に体感してきた80年代カルチャーを、これでもかこれでもかという感じでてんこ盛りにして企画制作しました。自分の聴きたい、所有したいものを作りました。満足度は120%です。

――最後に、聴いてくれる方へのメッセージをお願いします。

DJ BLUE:自分と同世代の方に共感される、世代同士がつながれるような作品になったと思っていますし、きっと世代を超えて若い世代にも新鮮な作品として受け取ってもらえるであろうと思っています。是非見て、聴いて、80年代の音楽カルチャーをご体感ください!


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杏里が振り返る、80年代の音楽制作

Text:DJ BLUE


――80年代当時、シティポップといわれる音楽が多く発信されていった理由はどこにあるとお考えでしょうか。その背景についてご存じのことや、ご感想、ご自身の考えなどあれば教えてください。

杏里:個人的な感想としては80年代、日本のポップアーティストの皆さんは私に限らず、サウンドにこだわりを持って、レコーディングもテクニカルな部分を含めて、ていねいな曲作りをしていました。
そういう事の積み重ねが、最近YouTubeやストリーミングなどによって世界中で聴く環境が出来るようになった事で、改めて見直されているのではないでしょうか。
シティポップの中で私の曲も話題になっている事は知っていますが、自分自身あまり実感がないのが正直な気持ちです。当時から流行にとらわれずに自由なサウンドやメロディ創りをしていたことが評価されているのであれば、非常に嬉しいことです。
これまで自分にとって好きなサウンドや曲作りをしてきましたので、今後も自分の音楽活動は常に新しい事に挑戦していくことに変わりはありません。


杉山清貴が語る“80年代”

Text:DJ BLUE


――80年代当時、シティポップといわれる音楽が多く発信されていった理由はどこにあるとお考えでしょうか。その背景についてご存じのことや、ご感想、ご自身の考えなどあれば教えてください。

杉山清貴:洋楽に追いつきたくてスキルを上げていた時代の音が、本家から望まれてるってのも面白い現象です。
素晴らしいことだと思います。


――このCD盤企画にも関わっている、雑誌『FM STATION』、鈴木英人さん(イラストレーター)、小林克也さん、カマサミ・コングさん、早見優さん等との、当時のエピソードなどはありますでしょうか。また、当時に上記以外で自分自身の音楽に影響を与えたアーティストや楽曲、音楽以外のエンターテインメントなどがあれば教えてください。

杉山:鈴木英人、小林克也、カマサミ・コング、早見優とくればハワイ、サーフィンしか思いつきません。
そうです、そんな時代でした。
若者はリゾート地を求め、コースト・ラインを走るための音楽を用意して。更にラジオからは気持ちの良いDJの曲紹介。
真っ只中にいたから、僕はこんなになりました!


――杉山さんの80年代当時の楽曲は、おしゃれでさわやかなイメージのCMに多数の起用がありました。その理由や背景でご存じのことはおありでしょうか。また、そのことへのご感想やご自身の考え、各種タイアップ時のエピソードなどあれば教えてください。

杉山:元々僕らのバンドはアマチュア時代から本牧、伊勢佐木町、湘南で遊んでそんな歌ばかり作っていたので、デビューしてからのイメージとかは楽でしたね。
まあ少し洒落者になる必要はありましたが、無理でした!
当時はタイアップありきで話が進んでいたので、それに合わせて作ることは少なかったです。
ただし、歌詞の世界はクライアントの希望はちゃんと聞いていました。


――今のシティポップ・リバイバルブームをどう捉えていらっしゃいますか。ご感想、ご自身の考えなどお持ちであれば教えてください。

杉山:今のブームは我々世代のアーティストの追い風になります。
時代がどうあれ自分の好きな音を求めて進んできているアーティストはちゃんといます。
そんな音たちに新たなるリスナーがついてくれるのはありがたいです。


(V.A.) 杏里 1986オメガトライブ 今井美樹 尾崎亜美 稲垣潤一 絢香 EPO「FM STATION 8090 ~GOOD OLD RADIO DAYS~ DAYTIME CITYPOP by Kamasami Kong」

FM STATION 8090 ~GOOD OLD RADIO DAYS~ DAYTIME CITYPOP by Kamasami Kong

2023/07/12 RELEASE
AQCD-77584 ¥ 9,990(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.最後のサーフホリデー
  2. 02.コットン気分
  3. 03.Super Chance
  4. 04.彼女とTIP ON DUO
  5. 05.マイ・ピュア・レディ
  6. 06.ロング・バージョン
  7. 07.やさしさに包まれたなら
  8. 08.音楽のような風
  9. 09.一本の音楽
  10. 10.君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。
  11. 11.SUMMER SUSPICION
  12. 12.SUMMER EYES
  13. 13.不思議なピーチパイ
  14. 14.ニートな午後3時
  15. 15.HABANA EXPRESS
  16. 16.セシールの雨傘
  17. 17.夏のクラクション

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