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Yun*chi 『Yun*chi』インタビュー
矢沢永吉、SPEED、モーニング娘。、AKB48、尾崎豊、岡村靖幸、松田聖子、REBECCA NOKKO、ダフト・パンク、ジャスティス、デヴィッド・ゲッタ、浅田祐介、kz(livetune)、m-flo ☆Taku、FPM 田中知之、蔦谷好位置、中田ヤスタカ、きゃりーぱみゅぱみゅ、CHARA、YUKI。以上は全て、彼女の口から発せられたミュージシャン名だ(出た順)。「何がどうなって?」と思うだろうが、おまけに書けばフラメンコやガムラン、日本舞踊にヨガまで出てくる。
きゃりーも所属するASOBISYSTEMが手掛けるニューカマー Yun*chiとは一体何者なのか? 「音楽が好きすぎて何にでも感情移入してしまう」と語るアクティブな女の子の素顔に迫る。
シンガー Yun*chiが育った環境
--幼少期の頃から母の影響でボーカリストを目指していたとか。
Yun*chi:そうですね。父もそうなんですけど、家には常にJ-POPが転がっていたし、手の届く所にレコードとかCDとかあって。矢沢永吉さんのビデオもありました! ラジオも聞く家だったし、小さい時から歌をうたえるようなお仕事に関われたらいいなっていうのは思ってましたね。
--どのような環境で育ったのでしょうか?
Yun*chi:この間、久しぶりに父とお話しする機会があって、「デビュー決まったね!」って話してたら、「もー、うるさかったもんね!」って言われて(笑)。幼稚園の頃から帰ってきたら歌い出すし、ピアノも訳わかんなく弾き始めるしって言われて、「そ、そんな感じだったのか……」って。広い町に住んでいたので隣の家を気にしたりしなくてよかったので、本当に歌いたい放題の環境でした。
--当時、同年代の友だちとのギャップを感じたりはしませんでしたか?
Yun*chi:たまたまなのかもしれないですけど、何かになりたいっていう人が多かったんですよ。例えば、いち早く東京に出たいって小学生の頃から言ってる人だったり、SPEEDやモーニング娘。、AKB48とかのオーディションを受けたいって子だったり。ダンスをやっていたからなのかもしれないですけど、友だちの環境的にはよかったのかなって。
--Yun*chiさん自身、アイドルになってみたいと思ったことは?
Yun*chi:もちろんありましたね! ミュージカルとかのオーディションを受けたこともありましたし。ただ、感情的に歌うことをあまり知らなかったんですよ、小さい時は。ある程度大人になってから、友だちのユニットに参加して歌うようになって、例えば歌い方のニュアンスを変えてみることで伝わり方が違うとかを知って、そこから本当にやりたいと思うようになりましたね、歌を。
音楽が好きすぎて何にでも感情移入してしまう>
--当時はどういったミュージシャンが好きだったんですか?
Yun*chi:小さい時からそうなんですけど、音楽が好きすぎて何にでも感情移入してしまうんですよ。だからライブに行けば好きになってしまうし、泣いてしまうし盛り上がってしまうし(笑)。みんな好きなんですよね! アーティストさんだけじゃなくて、友だちも家族も親戚も、バイトの先輩だとしても、私の人生に1ページでも関わりのある人は全部、私に影響を及ぼしてる。本当にみんな大好き! って感じですね(笑)。
だから矢沢永吉さんもそうだし、尾崎豊さん、岡村靖幸さん、松田聖子さんも好きだし。歌い方だと、当時母親が真似しながらよく歌っていたREBECCAのNOKKOさんの影響を凄い受けてるのかなって思いますね。バンドをやり始めてからはクラブシーンが盛り上がっていることもあって、ダフト・パンクさんとかジャスティスさんとか、今だとデヴィッド・ゲッタさんとかも大好きです。生楽器の音楽も大好きで民族音楽とかも聴くし、フラメンコを少しだけかじっていた時期もあったんですよ(笑)。ガムランっていう民族舞踊に日本舞踊、最近だとヨガとか、何でも興味があるんです! 美術館も好きだし、新しいライブハウスができると行くし、ひとりでアクティブに何処でも飛んでいっちゃうタイプです!
--思春期にそれだけ多感な生活を送っていると、精神的な振り幅も大きくなりませんか?
Yun*chi:お姉ちゃんで下に兄弟がいるんですけど、しっかりしなきゃというか、「おちゃらけてポジティブにみんなで元気に明るく生きていけたらいいよね!」って考える方ですね。でも、芯はちゃんとしてないと誰も相手にしてくれないって思いながら生活してきたので、あんまりスレたりもしなかったです(笑)。
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Interviewer&Photo:杉岡祐樹
Yun*chiを支えてきた面々は凄い!?
--ただ、メジャーデビューが決定した際、「何度も泣いたり、叫んだりしました。(笑)不安も嬉しさも爆発!」というコメントを発表していましたよね?
Yun*chi:私は凄く環境に恵まれていたんですよ。周りに協力して下さる方がたくさんいて、自分から声をかけてお願いしていったんです。例えば、今回プロデュースしてくれた浅田祐介さん(※1)やkz(livetune)(※2)さんも、自分でデモを持っていって「興味を持って頂けるのなら一緒に何かやりませんか?」ってお願いをしたら、快諾して下さったんです。その他にも、m-floの☆TakuさんとかFPMの田中知之さん、蔦谷好位置さんとか中田ヤスタカさんとか、周囲に応援してくださるアーティストやミュージシャンの方がいっぱいいて。
--凄い面子ですね……。
Yun*chi:ただ、デビューが決まったのは「私はこのままダメになるかもしれない……」って思い始めていた時期でもあったので、今までよくしてくれた人たちに恩返しの気持ちも含めてちゃんとやっていけるのか。ひょっとしてこれは夢じゃないのかなって気持ちが大きくて、不安だったんです。
元々、落差が激しい性格なんですけど、デビューの嬉しさと自分への不安が“ッドーン!”って両方にいっちゃって(笑)。爆発してましたね、けっこう!
--ただ、それ以前からモデルの活動はしていたんですよね?
Yun*chi:えっと、事務所に入る前、一人で音楽活動していた時に「とりあえず顔を見てもらわなきゃいけないよな?」と思ってアーティスト写真の撮影をお願いしたのが、たまたまJulie Wataiさん(※3)だったんですよ。Julieさんは友だちの知り合いだったんですけど、イタリアでも出版している凄いカメラマンの方と知り合いだなんて、普通はないじゃないですか!?(笑) 本当に恵まれてるんですよ。
そうして撮ってもらった時に、「今度『はーどうぇあがーるず』って写真集を出そうと思うんだけど、モデルをお願いできないかな?」って話を頂いたのが始めるきっかけだったんですね。しかもその撮影はスタジオとかじゃなくて、中野ブロードウェイやアキバに行ってゲリラ的に撮る! みたいな感じだったんです(笑)。その後、『VANQUISH』さんとのコラボプロジェクトで初めてちゃんと撮影した感じなので、モデルとしてもまだまだなんですよ。
--なるほど。
Yun*chi:しかも、さっきのアー写の撮影でスタイリストさんを探していた時も、たまたま近い存在だった人がいたので自分で連絡したんですけど、その方が今回のジャケットやPVの衣装を担当してくれた青木貴志さんなんです。
先輩 きゃりーぱみゅぱみゅとの関係性
--それも偶然だったんですねぇ。また、デビュー決定のタイミングでは、きゃりーぱみゅぱみゅの妹分、後輩として報道されましたよね?
Yun*chi:きゃりーちゃんには仲良くしてもらっているし、ご飯を食べに行ったりもするんですよ。好きなモノも似てたりもするんですけど、2人は持っている声が違うし、好きなモノでも見せたい角度が違ったりする。それぞれの良さをお互いに出していけるし、尊敬し合いながら活動していける先輩ですね! 今は色々教えてもらってます。
まあ、「い、妹ではないかもしれないよ……」って所もあるんですけど(笑)、応援もしてくれるなんて凄く嬉しいじゃないですか!
--そして、このたびリリースするミニアルバム『Yun*chi』ですが、4曲目「Mekurumekuru*」を初めて聴いた時、この曲こそがシンガー Yun*chiの面白さを一番如実に表していると思いました。
Yun*chi:えー! そうなんですね、ありがとうございます!
--もっと言えば、歌に対するプライドを感じたんですよ。
Yun*chi:「巧く歌え」って言われたら私は色んな人に負けちゃうと思うんですけど、歌い方だったり感情の込め方、そして声質という持って生まれた部分に関しては、やっぱり誰にも負けないかなって思ってます。そこを活かして、みんなによりよく聴いてもらえる状態の曲を作っていけたらと思ってます!
あと、癖がある歌い方なのに歌詞はちゃんとに届く。聴いていて歌詞の絵が浮かぶって所は気をつけて作ってます。ちょっと早くて機械音とかが入っているダンスミュージックでも、ちゃんとに意味がある形になってるというか。やっぱりみんな元気になって欲しいので!
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kz(livetune)と根本的に持っている意志が同じ
--聴き手に対して元気を与えたり、何かのエネルギーを与えたい?
Yun*chi:はい! 特に1曲目「Reverb*」に関してはポジティブスイッチを入れる歌なんじゃないかなって。kzさんにプロデュースしてもらったんですけど、彼のサウンドと私のボーカルをこだまさせていって、世界を動かしていく。ポジティブにキラキラにしていこうね! って考えながら作った曲なので、朝お布団から出られない時に聴いて欲しい!(笑)
--また、今作のプロデューサーには、初期~中期のCharaを手掛けていた浅田祐介さんも参加しています。Charaさんとは歌に共通する部分が多いようにも思いました。
Yun*chi:ホントですか~♪ 私、CharaさんとYUKIさんが“CHARA + YUKI”として歌っていた「愛の火 3つ オレンジ」っていう曲が凄い好きで! そこから浅田祐介さんの曲を聴き始めていくんですけど、「浅田さんと曲を作れたら」って思って、ソーシャルサイトから浅田さんに熱いメッセージを送ってお返事を頂けた感じなので。
--やっぱりそこも自分なんですね(笑)。本当にアクティブですね!
Yun*chi:kzさんの「Tell Your World」って曲に“たくさんの点は線になって” “いくつもの線は円になって”っていう歌詞があるんですね。私も本当にあると思っているので、そういう意味ではkzさんとも根本的に持っている意志が同じというか。だから今回、一緒にできて本当によかったなって!
まずは“唇とアスタリスクの人”って覚えて!
--また、楽曲には全てアスタリスク(*)が付いています。これはYun*chiさんの名前にも付いていますが、何を意味するものなのでしょうか。
Yun*chi:友だちが私を見て「ピーターパンのティンカーベルみたいだね」って言ってくれたことがあるんですけど、ティンカーベルはピクシーダストっていうキラキラ光る粉を出すんですね。それをかけると人間でも空を飛べるようになったりするんです。
だから私もキラキラをみんなにまいて、ポジティブな世界観を伝えていけたらいいなっていうのが1つ。あと、アスタリスク自体に“小さな星”って意味もあるんですよ。今は小さい星だけど、これから大きくなってキラキラをふりまいていくよ! っていう意味合いも込められたらいいなって思ってつけました。……あと、見た目がかわいい!(笑)
--それは重要ですよね(笑)。
Yun*chi:で、曲名の後ろにつけたのは、その曲を聴いてキラキラだったり空を飛べるようなポジティブな気持ち、「悲しい恋愛だけど、これから楽しくなっていくから!」みたいな気持ちが伝染していけばいいなっていう目印みたいな感じです!
--また、「Reverb*」にはミュージックビデオもありますね。
Yun*chi:CGも使ってはいるんですけど基本的に合成ではなくて、大きいプロジェクターから投射された映像が映し出される中で撮影をしたので、ちょっとアナログ感があるんですよ。グリーンバックの合成だとつるんとした質感になっちゃうんです。
で、最初に吉田ユニさんとジャケットについてお話しさせてもらった時に、「Yun*chiは声が変だよね」って言われたんですよ(笑)。たぶんそのイメージが残ってたから、私の衣装が床に反射して唇に見えるジャケットデザインを考えてくれたんだと思いますし、その派生からできたのがあのMVです。だからまずは“唇とアスタリスクの人”って覚えてもらいたいです(笑)。
--Yun*chiさんは色んな繋がりを本当に大切にしているミュージシャンなんですね。
Yun*chi:やっぱり何かちゃんと理由があってやっていることは凄く大切だと思うし、意味が深く生まれると思うんです。今まで運命的に出会った人たちに支えられてきたからこそっていうのもあるかもしれないですけど、本当に凄く大事にしていきたいと思いますね!
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