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<連載>Da-iCE×インフルエンサー対談第1弾 工藤大輝×ごっこ倶楽部――“バズ”を生み出すためのお互いの戦略
Interview & Text:高橋梓
Photo:Yuma Totsuka
5月24日、Da-iCEが7thアルバム『SCENE』をリリースした。同作品はDa-iCEの様々な「SCENE=場面」が詰まっているというもの。結成から約12年半、デビューから約9年半経った今の彼らをじっくり味わえる作品となっている。そんなDa-iCEにとって欠かせない“SCENE”のひとつはインターネット上のプラットフォームだろう。「CITRUS」や「スターマイン」といった代表曲は、TikTokやTwitter、InstagramなどのSNSやサブスクリプションで大きな広がりを見せている。そこでBillboard JAPANでは、Da-iCE×インフルエンサーの対談企画を連載。第1回は、TikTokメインにショートドラマを制作しているクリエイター集団、ごっこ倶楽部の代表取締役である多田智とチーフクリエイティブディレクターの志村優、Da-iCEのブレインともいえるリーダー=工藤大輝の対談をお届けする。
「ショートドラマ×音楽」が生まれたきっかけ
――お三方には、“バズを生み出すブレイン”として集まっていただきました。はじめにごっこ倶楽部さんが「ショートドラマ×音楽」というコンテンツを制作することになった経緯から聞かせてください。
多田智:中国の「抖音 -ドウイン-(※中国版TikTok)」を覗いてみたところ、ほぼドラマコンテンツしか流れていなかったんです。僕は中国と日本のハーフで中国語がわかるので、「面白いな」と思いながら見ていました。その当時、日本のTikTokではダンスや歌のコンテンツばかりだったので、「ショートドラマが日本にもくるな」と。僕の役者仲間とカメラマンを「俺たちもこういうのを作ろう」と引っ張ってきたのがきっかけですね。
工藤大輝:最初からTikTokメインで活動されていたわけではなく、普通に役者をされていたんですね。
多田:そうですね。役者ってアーティストの方と違って、自分たちで作詞作曲のようなことをしているわけでもなく、脚本が書けるわけでもなく。発信できる場が少ないんですよ。でも僕は発信できる場がほしかったんですよね。これだけYouTubeやTikTokのような発信できるプラットフォームがたくさんあるのに、役者はずっと待ってオーディションを受けるだけなのがもったいないと思っていた。待っている状態がしんどくて、「何か発信しなきゃ」という思いに駆られていました。そんな時に「抖音」を見たこともあって、TikTokというプラットフォームにフォーカスすることにしたんです。
志村優:僕たちのショートドラマは音楽と映像をかけ合わせているんですが、初期は中国のショートドラマで流れていた音楽を使っていたんです。なので、自分たちが作るショートドラマにもぴったりハマるっていう。ショートドラマといっても、ジャンルがたくさんあるじゃないですか。その中でも「次に何かあるのかな?」って思ってしまう不穏なものに関しては、中国のショート動画が合う音楽を見つけるのがすごく上手なんです。今はそこを参考にしています。
工藤:へぇ! なるほど。
志村:日本のTikTokでショートドラマコンテンツを伸ばしていくとすると、色々考えなきゃいけないんですね。TikTokって動画視聴プラットフォームでもありつつ、音楽視聴プラットフォームでもあるので、バズっている音楽があふれているんです。その中でも「みんな知っているのに『俺しか知らないかも』って思われている音楽」を見つけて、うまくドラマに掛け合わせる必要があって。それがうまくいくとコメント欄がすごく盛り上がります。僕たちが音楽を大切にしている理由はそこかもしれないですね。ユーザーの指を止めるというワンアクションを生むために、音楽との組み合わせをすごく考えています。
――音楽とストーリーはどちらが先に生まれるんですか?
多田:作品によりますね。ストーリーとして数字を狙いにいく脚本は音楽が後付けになることが多いですが、脚本のインスピレーションが湧かない時は、音楽の歌詞からヒントを得ることもあります。
工藤:脚本はどのくらいのペースで書かれるんですか? ショートドラマというと1本1本が短いけど、アップするストーリーが全部違うからめちゃくちゃ大変なのかなって。
多田:(絞り出すように)めちゃくちゃ大変です……。
工藤:あはは! そうですよね。
多田:しかも、TikTokって“消費されちゃう”じゃないですか。ヒット作が1本出れば、ユーザーが遡って他のドラマも見てくれるんですけど、それにしても絶えず脚本を書かなきゃいけないので大変ですね。調子がいい日は3本書けるんですけど、3日に1本も書けないことも全然あります。
工藤:僕も全く一緒です。サラサラ書ける時もありますけど、1週間全く書けない時もあって。締切は結局守るんですけどね(笑)。
多田:ですよね! でもその締切のおかげで1日、2日前にパッと出たりしません?
工藤:あります、あります。やっぱり追い込まれないとできないんだなって。
――どうしても出ない時の秘策ってあるのでしょうか?
工藤:どうですか? 本当にやばかった時ってあります? 納期ギリギリ、なんだったらちょっとアウトみたいな。
多田:ありますよ。ただ、ちょっとアウトしたぶんはいいものを無理矢理にでも出しますけどね。僕は締切ギリギリなのに「もう何も出ない!」ってなった時は、引き出しじゃなくて「冷凍庫」を開けちゃいます。
工藤:冷凍保存していたアイデアのストック。
多田:そう、そう。最後の最後のアイデアを解凍して使っています。
工藤:なるほどねぇ。僕もあまり使わない歌詞ストック、ネタストックを使う時はあるかも。今作る方がいいものができると思ってやってはいるんですけど、本当にやばい時は引っ張り出しますね。
――常々「最新が最高」っておっしゃっていますもんね。
工藤:そういう気持ちでありたいけど、「最新」に昔を混ぜている時は多々あります(笑)。
多田:そうなんですよね(笑)。
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“バズ”を作るための計算
――今昔の化学反応ですね。皆さん「バズを計算する」という思考はお持ちかと思うのですが、どういった流れで仕掛けを作っているのでしょうか?
工藤:ごっこ倶楽部さんは作品を作る時に「バズらせよう」と思って作りますか?
多田:作っていますね。僕、いつもメンバーに「見てもらえなかったら作品じゃない」って言っているんです。まずバズを作って、そのうえでどれだけいい作品が作れるかと考えています。なので、自分の美学を我慢することもあります。バズが確保することが第一、そこにどれだけ自分の美学を並べられるかっていう。
志村:逆に音楽ってバズを狙えるんですか?
工藤:狙えると思います。というのも、バズの種類がふたつあると思っていて。ひとつはキャッチーに寄せるバズ。この場合は多田さんがおっしゃった美学を含めていろんなことを捨てなきゃいけない時もあるんですけど、それはそれで振り切っています。もうひとつは、狙った楽曲のテイストやカルチャーが好きな人たちに刺しにいくバズ。刺す相手が変わるという考え方で作品を分けて作っていますね。
志村:なるほど! どこで聴かれることを想定しているのかなっていうのも気になっていました。僕らはTikTokで見られることを想定しているので、最初の3秒くらいまでの凝り方で勝敗が決まるんですよ。
工藤:複合的に考えているかもしれないですね。たとえば、TikTokでバズる曲がライブで盛り上がるかというと、そうじゃなかったりする。ライブで盛り上がったり、お客さんの気持ちを上げられたりする曲なのか、曲始まりの1秒~2秒で決着をつけられるネームバリューを上げにいく曲なのかで変えています。
多田:いわゆるSNSでのバズを目指す時は、やっぱり最初を凝って作るんですね。
工藤:「スターマイン」は凝りましたね。
多田:僕、不思議なんですよ。たとえば、「スターマイン」だったら曲の出だしで勝負を仕掛けているわけじゃないですか。でもそれ以外の部分がTikTokで切り抜かれても、結局バズるっていう。それは工藤さんとしては予想外のバズり方なんですか?
工藤:どこを切り取られてもいいようにって思いながら作った記憶はありますね。最初の15秒だけ切り取られていたら、聴かれるペースが落ちていくのも早いだろうなって。二次的に違うところも切り取ってもらえるように、とは考えていました。
@da_ice_sotahanamura スターマイン本人が歌って踊ってみた #ローカルカンピオーネ🗾👑 #da_ice #スターマイン #一発じゃ足りないのかい @da_ice_official @ローカルカンピオーネ🗾👑 ♬ スターマイン ロクデモナイ ver. - Da-iCE
多田:えー! めちゃくちゃ面白い。
工藤:音楽って一般的にBPMがずっと一緒なので、最初の15秒を切り取れたら、Aメロ、Bメロ、落ちサビ、全部15秒で切り取れるんですよ。なのでどこでも使えるようにしておこうと思って作っていた記憶はあります。
志村:いちばんバズるBPMってありますか?
工藤:どういうバズらせ方かによるかな。歌をカバーしてもらう狙いならバラード寄りがよくて。BPM100かちょっと下がるくらいか。ダンスで使ってもらうことを狙うなら120~130。(机でリズムを取りながら)こういうわかりやすい4つ打ちですね。逆に(ドラマで)使いやすいBPMってあるんですか?
志村:BPM120までいくと難しいです。
工藤:ドラマだとそうですよね。ちょっと疾走感が出すぎる。
志村:はい。数値化してBPMを見ると、100前後がバズりやすくて。一方で、ボカロのような音楽的に無機質な曲だと、120を超えていてもドラマに合わせやすいですね。
多田:曲が早くても、カットチェンジをBPM100くらいで打つことはできるんです。そうすればお芝居にもストーリーにも集中できるんですけど、曲が速いおかげで、一瞬で終わった感覚にもなれる。「もう2分経ったの!?」みたいな。そうするともう一回見てくれるから、視聴完了率が取れて「おすすめ」にも繋がるんですよね。
工藤:なるほど、面白い! 脚本を書く時点で尺は決めているんですか?
多田:だいたい決めてます。だから、撮影していても心苦しい瞬間が結構あって。お芝居を割愛しなきゃいけないので。役者が台詞を吐くまでの間でめちゃくちゃいい表情を作っていても、「ごめん……!」って切っちゃいます。
J-POPは「長すぎる」?
工藤:あはは! 前編と後編に分けている作品もありますよね? あれは最初から分けるつもりなんですか? それとも長くなっちゃったから分けているんですか?
多田:どっちもありますね。でも、前編と後編を分けていて、ちゃんと数字が出ている作品は全部狙って分けています。なぜかというと、今のTikTokってフォロワーがつきにくいじゃないですか。いいねは押してもフォローに至ることは滅多にない。フォローのハードルが高くなっちゃっているぶん、後編が気になる前編を作らないとフォロワーが増えないのかなって。
工藤:うわ、すごいな!
志村:尺について、逆に音楽ってどうなんですか? 僕が高校生の頃って1曲3~4分が当たり前だったんですけど、今って3分を切っている曲もありますよね。バズを究極に突き詰めていくなら、僕は1分半で終わらせるべきだなとも思っていて。
工藤:僕も最近、その思考はずっとあります。J-POPの尺が3~4分っていつまで続くんだろうって。歴史を遡ると1990年代は6分のバラードがあったし、演歌も長いんですけど、もう30年前の話。徐々に短くなって3~4分になったとはいえ、まだ変わらないのかって。なんでワンコーラスしかない曲ってダメなんだろう、そういう曲作ってもいいのかもと思っていました。だって、テレビでパフォーマンスをしても「2分半でまとめてくれって」ってテレビ尺でカットされちゃうんですよ。じゃあ最初から2分半の曲作った方がよくねぇかって(笑)。
多田:たしかに。「1曲全部聴いてほしい」っていう考えがなくなりますもんね。
工藤:そうそう。2分半にまとめると歌詞も繋がらなくなりますし。今後はもしかするともっと短く、要は媒体に合わせた曲が生まれてくるかもしれないですね。
――ちなみに、現時点で2分半の曲はなぜ誕生しないんですか?
工藤:うーん、ライブで実演する時に短すぎちゃうのかなって。でも、それを考えないようにするしかないのかも。
多田:それも媒体によるって話ですよね。SNSでバズを狙いにいくのか、ライブに合わせるのか。
工藤:そうですね。最近だと、イントロを入れると聴かれなくなると言われているので、大体の曲がサビから始まるじゃないですか。そうするとだんだん曲が短くなっていくんですよね。でも、ライブの時ってバンドの方々がイントロをつけてくれたりするんですよ。そういう意味では、もうライブを考慮しなくてもいいのかもしれない(笑)。
多田:もはや自分たちでイントロを作る必要がないのかもしれない(笑)。それでいうと、僕も「映画ってなんで2時間なんだろう」って似た考えを持っていました。今、映画館で映画が観られなくなっているじゃないですか。だから、20分くらいの映画を400円、500円くらいで上映して、パッと見て帰れるようにするのもありなんじゃないかって。
――映画を観に行くのって、ちょっと覚悟が必要ですもんね。
多田:そうなんですよ。絶対2時間は取られますし。もちろん、短い映画だとホップコーンが売れないみたいなビジネス的な問題があるかもしれないですけど。何かできそうですよね。
工藤:最近は、受け取り手の集中力が短くなっているっていう話も聞きますからね。
――受け取り手の話でいうと、皆さん考察要素を作品に盛り込まれていますよね。その施策を打つことによる狙いはどういったものなのでしょうか。
工藤:まず前提として、ダンス&ボーカルグループで作詞作曲をする人たちがまだそんなに多くないので、そこで差別化を図っていきたかったというのがあって。その上で、自分たちで曲を作ることで、「この人の思想が好き」っていうファンも増えるんだろうなという意図がありました。そのためには、ファンの方々がああだこうだ喋って考察している構図自体が大事なんですよね。たとえば「スターマイン」に関しては、多くの人はただの数え歌って思っていたはず。でも、ファンの方が考察していろいろと喋ってくれたことで、「実はアンチへのカウンターだ」という答えを導き出してくれたんです。そこで「本質を理解できた」というちょっとした優越感にも浸ってもらえると思うんですよね。なので、僕の場合は考察を盛り込むことで議論を活性化させるという狙いがあります。
ファンの“考察”から得るもの
――仕掛けを作るということは、工藤さんの中に「こういう考察をしてもらいたい」というものが少なからずあるはずですよね? それに対して、全く想像していなかった考察が繰り広げられることがあったりもするんでしょうか?
工藤:ありますね。「しめしめ」って思います。後付けですごくいいことを言ってくれるファンの方がいっぱいいるんですよ。「これってもしかして、あの時のこれと繋がってる!?」みたいな。僕も「本当だー! 使わせてもらおう」って思うことも結構あって。伏線を張っておくに越したことはないですね(笑)。
多田:本当にそう。伏線は入れたものの全然回収していなかったのに、「この作品はあの伏線のことか!」ってコメント欄で盛り上がってくれているのを見ると、「あぁ、なるほど。繋がってるじゃん」って思います(笑)。
工藤:いい流れですよね。
――「いや、全然違うよ」って言いたくなってしまうのかと思っていました(笑)。
工藤:本当に全然違う内容だったら、それに対してのアンサーを別の曲で書いたりはするけど、あんまりないですね。
多田:僕も工藤さんと同じ考えで「考察」というものを捉えています。結局エンタメって観てくれる人、聴いてくれる人がいるからクリエイティブとして成立する。だから「考察させる」というよりも、観てくれた人が余白を味わえるようにしておくというか。伏線を入れておくから余白をみんなで楽しんでねっていう狙いです。
工藤:そうそう!
多田:だから、もはやアンチでもいいですし、「全然違うじゃん」っていうのも僕はアリ。賛否両論が生まれてはじめてエンタメとして成り立つと思うんです。
工藤:余白がなくてさっぱり終わっちゃうと、繰り返し聴かれないんですよね。
多田:本当に!
――エンタメとして伏線や考察を入れるんですね。もし、ごっこ倶楽部さんが「スターマイン」や「CITRUS」を使って作品を作るとしたら、どんなものになりそうですか?
多田:ぶっちゃけ、どっちの曲もバズり過ぎていて曲として完成しちゃってるんですよね。ドラマが食われちゃう。もうすでに曲にストーリーがあるし、掛け算が難しいかな。普通、曲って聴覚しか奪っていないから視覚の部分は何とでも当てられるんですよ。ただ、この2曲に関してはストーリーがあるから聴いている時に映像が浮かぶんです。脳内で浮かぶ映像があるのに、わざわざ既視感のある映像を作るよりは映像を当てないほうが作品として素敵だなと思います。
工藤:そう言っていただけるのが嬉しい。
多田:でも無理やり作るんだったら……。
志村:「スターマイン」だったら、主人公がスカッと登り詰めていく系は? やっぱり〈一発じゃ足りないのかい〉はインパクトの大きいフレーズだと思うので。
多田:俺はね、夏のサスペンスかな。最後の最後まで犯人がわからなくて、犯人が目をガッと開いて「実は僕が犯人だったんだよ」っていうところで曲が入る。で、作中に花火がバーンって入る。
音楽とお芝居、フィールドによる“違い”
――もうドラマが完成しかけている……! ちなみに、映像が浮かぶと掛け算が難しいということは、日本語の曲は使いづらかったりするんですか?
多田:そんなことないですよ。ボーカルさんによります。歌詞をハッキリ歌える人は持っていかれちゃうんですけど、ハッキリ聴こえない歌い方をしていて、サビもそこまで盛り上がらない曲は全然使います。
志村:最近はハスキーボイスの女の子や、ファルセット気味で歌う男の子が多いですよね。そういった、いわゆるTikTokで流行る子なんかは映像を当てやすいです。ボーカルが曲の中で楽器的な役割だと、むちゃくちゃ使いやすい。
工藤:最近だと、ミックス作業をする時もボーカルの音をあまり上げないで作るらしいですね。
多田・志村:やっぱりそうなんですね。
工藤:その方が、再生数が上がりやすいそうです。プレイリストの中にボーカルがガツンっていう曲があると、胃もたれするというか。みんなオシャレな曲でプレイリストを作る時、ボーカルがふわふわしている曲を選ぶんですよね。
多田:最近は歌詞を聴かない人が増えているってことにも繋がりそうですね。雰囲気で曲を聴くというか、「なんかわかんないけど好き」っていう。
志村:それでよく聴くと、とんでもない歌詞だったってこともある(笑)。
工藤:あはは! 蓋を開けて初めて衝撃を受ける(笑)。それも今の時代っぽいですよね。エンジニアさんの間で話題になっていた宅録の話があって。TikTokってマイクを目の前において録ることが多いじゃないですか。だから、声量を出さないんですよ。昔の歌手の方って、大きな場所でデカく声を出すトレーニングをしてたけど、TikTokで活動する方は逆のボーカリゼーションなんですよね。多分今、僕らが喋っているより小さい声量とか。だからハスキーにもできる。
多田:地声のかすれみたいなものも入って、エモい感じが出るんでしょうね。
志村:従来のアーティストとニュージェネレーションのアーティストの違いって、僕らでいう舞台俳優と映像俳優の違いくらいあるんですね。映像に舞台の人が来たら、マイクを相当離さないと声が大きいし、動きも大きいし。
多田:見せ方から違うもんね。振り向くっていう動作ひとつをとっても、舞台だと体ごと振り向くんですよ。じゃないと舞台で見えないんで。でも、映像だと目線を送って「何?」って言うくらいで終わっちゃう。
工藤:同じかもしれないですね。どっちが良い、悪いはないですけど、アーティストだとライブで映える、映えないという部分でも同じ現象が起きそうです。
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コラボするとしたら?
――適材適所、ですね。逆に工藤さんがごっこ倶楽部さんとタッグを組んで何か作るとしたらどんなことがやってみたいですか?
工藤:今ぱっと思い浮かんだので、ごっこ倶楽部さんが作る映像の尺ぴったりの曲を作ります。
志村:完パケした映像に合わせる、みたいな?
工藤:ぴったり合わせますし、カット割で音質を分けたりもできます。
志村:やばいな……。
多田:そんな贅沢なこと聞いたことがない……。
工藤:2~3分だと起承転結の流れは映像でも音楽でも一緒だと思うので、完全に当てにいきます!
多田:うわ~、嬉しい! でも僕の場合、3~4秒作ったら先に曲を入れちゃうんですよ。曲をヒントにカット割りを作っているところもあって。
工藤:じゃあ、一回デモを作ってお渡しして、はめたものをブラッシュアップすると精度上がりますよね。
多田:うわ、ヤバい。
志村:贅沢すぎる。
――工藤さんとしては、尺が決まっているものピッタリに作るという作業は苦ではないんですか?
工藤:全然! BPMも秒数で計れるし、チョキチョキ切ったりもできるし。
多田:すごい。でも、僕ら「ここもうちょっとこうしてください」とか言い出しちゃうかも(笑)。
工藤:それはいいクリエイティブ! 僕も「ここカット変えた方がいいんじゃないですか?」とか言ったりして(笑)。
志村:無駄が削れて、最後は消えてなくなるかもしれない(笑)。
工藤:どんどんコンパクトになってね(笑)。
志村:でもさ、あれあったよね。バズるだろうっていう動画が完成した時、後から音楽をはめたらぴったりハマったっていう。
多田:あったね。音楽を何も気にせず一回全部映像を作って。後からとりあえずバズっている曲を入れてみようってはめてみたら、このドラマのために作られた曲かって思うくらいハマったんです。
志村:それくらい、バズるものって親和性があるんですよね。多分、動画でも音楽でもテンポ、場面転換、切り替えとか同一ルールがあるんでしょうね。
多田:僕らのドラマって起承転結の「起」から始まらないんですけど、音楽も最近サビを頭に持ってくる曲が多いんじゃないですか?
工藤:めちゃくちゃ多いです。
多田:インパクトを最初に持ってきて、「ちょっと見たい」「ちょっと聴きたい」って思わせないと動かないんですよね。
工藤:プラットフォームがTikTokの場合は、セオリーが近いかもしれないですね。でも、ごっこ倶楽部さんは長編も作られましたよね?
多田:作りました。世界でいちばん長い縦の映画って10分くらいだったんですよ。なので、僕らは1時間半の映画を作りまして。でも観てもらわないと意味がないので、後編を映画にして、前編を19話ぐらいに分けてTikTokで上げたんです。そうしたら思った以上に数字がよくて。後編はYouTubeで観てくださいという流れにしました。映画館を借りて、両端のカーテンを閉めて試写会もしたんですけど、アーティストさんでいうライブに近いかもしれないですね。
志村:工藤さんが言っていた、思想性や作品性を見せるための作品です。
映画 【アンガージュマン −第1話− 】
――共通点がとても多いですね。お互い質問してみたいことがあればお願いします。
工藤:皆さん、最初はどうやって集まったんですか?
多田:僕が、仲良くしていた役者たちでユニットを作ることを考えていて。5人で作ろうと思って声を掛けて集めたんですけど、僕以外は全員初対面でした。
工藤:僕らと一緒ですね。志村さんも初対面のときに加入されたんですか?
志村:多田ともうひとり、共同代表の田中という男がいるんですけど、僕は田中とアプリ事業を別でやっていて。田中がごっこ倶楽部にジョインするタイミングで、僕も初対面でジョインしました。
多田:最初の5人は役者だけで、6人目はカメラマンなんです。作品を作る体制は整えたんですけど、お金がないと制作ができないので僕がビジネス回りもやっていたんですね。役者もやって、脚本もやって、監督もやって、編集もやってとなった時に、ビジネスが回らないなと思って。そこで田中と志村がビジネス担当としてジョインしてくれたんです。ただ、クリエイティブ理解が高すぎて、最近はビジネス担当でもなくなっていますけど(笑)。
工藤:そうだったんですね。役者メンバーの方は、TEAM NACSのように地上波で活躍する未来もあるってことですか?
多田:実はすでに地上波に出てるメンバーもいて。『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(テレビ朝日系)の雉野つよし役を演じていた鈴木浩文がメンバーのひとりなんです。今後は役者として地上波に出演するのはもちろん、AbemaやNetflixなどの番組を制作から任せてもらえるようなところまでいって、どのメンバーを出してもいいって状態を目指したいですね。
工藤:役者チームの新しいスタイルですね。
志村:Da-iCEさんはどうですか? 僕らは結構世界を考えているんですけど、世界を見据えていたりするのかなって。
工藤:海外のライブとか出たいねと話してはいるんですけど、ジャンルとしてJ-POPをどう広めていくのかっていうところを考えなきゃいけないのと、グループに英語を喋れる人がいなくて。それが問題なので、英語を喋れる新メンバーを入れたいなって思うくらいです。
多田:僕、喋れますよ。ダンスもやったことあります。
工藤:えー! じゃあ新メンバーだ!
多田:(志村に向かって)代表やめていい(笑)?
工藤:言語の壁さえなければ、普通に行きたい気持ちはあります。
志村:うちも世界展開って簡単に言えるのは多田がいるからなんですよね。多田は中国語が話せるから、中国に展開するための「このアプリケーションがいいよ」「こういうコンテンツが流行っているよ」って文化理解ができるところが大きくて。うちも多田がいなくなったら困るので……、Da-iCEさんには業務委託契約で(笑)。
――週末Da-iCEの誕生……!
多田:そんな生半可な気持ちでやったら怒られるよ!
工藤:上手く馴染んでもらえるダンスの構成も考えておきます(笑)!
多田:よろしくお願いします!
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